流浪の月のレビュー・感想・評価
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ぼんやりした輪郭の映画
李相日監督の作品。
悪人とか怒りで突きつけられたような理不尽な悪意が足りない分、何だかぼんやりした輪郭の映画でした
(原作読んでないのでわからないけど、もともとそんな話なのかも?)
興業的成功が必要な作品では難しいのかも知れないけど、美男美女じゃない人が二人の役をやった方が見る側にもっと切実な作品になった気がします
例えば、そこのみにて光輝くの綾野剛と池脇千鶴のような救いのなさ感みたいな
広瀬すずと松坂桃李だと、やっぱり見る側からするとヒーローヒロインに見えてしまう…どうしても
その役ではなくて、広瀬すずと松坂桃李として見えてしまう
たまたま渋谷で見たけど、観客は高校生くらいの女子たちが中心でした(場所柄?)
彼女たちはこの作品からなにを持ち帰るのかな?
自分が殴られてると思って観るべき
最近よく邦画すごいなと思う、本作もそう
広瀬すずの炸裂した狂気性がグイグイきて喉がカラカラ、こんなに圧の強い俳優さんだったけかね、周りもみなさん分厚いしテーマも重いからほんとずっしりくる
公園で行き場を失ってた10歳女児を、雨も降ってたから自宅に招き入れた19歳男子大学生
その外型だけならば誘拐事案の加害者被害者の関係だし世間もそう消化する、そしてその15年後に、偶然が二人を引き合わせる
みんな井戸端話が好きなのは昔から
ても、すぐにそれが日本中に無造作に拡散する、かつ何も知らない匿名が正義感ぶれるのはつい最近の話、民放が窮してる事情もあるから、当事者に与えるダメージへの感受性を時代全体が欠いてる
されて嫌なことはしちゃいけない、皆でこれ貫き通せる社会を
誰だって言いたくないことはある、その当たり前を認める社会を
そろそろ上映終了時期だけど満席
そりゃそうだろうこれだけ素晴らしい作品だから
真実は2人にしかわからない
原作を読んでいなかったので、映画は諦めようと思っていたが、なんとか読み終え、なんとか鑑賞できた。映画も良い出来でした。
更紗は広瀬すずとわかっていながら、本を読んでいる間、どうしても私の脳内では更紗が有村架純だった。でも映画を観て、広瀬すずはしっかり更紗でした。いつの間にかしっかりした女優さんになったなあ、と驚いた。ラブシーンも驚き。いつの間にか大人になったんだなあ。
松坂桃李はさすがです。少し前からなんかすごく痩せたなあと思っていたが、この映画のために痩せたとか。確かに原作で背が高く、スラーとして立ち姿はカラーの花のよう、と表現されていたから、痩せてないとダメですもんね。体型もそうだが、繊細な雰囲気も文そのもので、やはり松坂桃李はただものではない。
一つ残念だったのは、多部未華子。原作通り顎のラインで、すっぱり切り揃えられたショートボブだったらもっとよかったのに。
更紗もお母さんが子供を置いて家を出てしまったことが更紗の不幸の始まりだし、文も家族と溝があったことが不幸の始まり。思春期の息子の身体の異変にお父さんもお兄さんも気付いてあげられなかったことが悲しい。そしてお母さん、トネリコを引き抜いた時、文の問いかけに、せめて文の眼をみて、お前は失敗作なんかではないよと、言ってあげていたらまた違った未来があったのではないか?
誰にも理解されなくても、2人には確かに愛があり、身体の繋がりは無くても、遥かそれ以上の心の繋がりがある。もう離れる事はできないだろう。
横浜流星よ!!
イケメン俳優なんでしょ。カッコいいー!って女性が話題にしてるくらいは知ってますよ。
売れててフェラーリとか乗ってモテモテなんでしょ。
ごめん君に対するイメージはこんなもんです。
して、この映画の亮くん、クソじゃ無いですか。
田舎ヤンキー思想丸出しだし、セックスすりゃオールオッケーだと思ってるし、前戯にイライラして二本指舐める演技とかもう見てらんない!
挙句の最後に、僕メンヘラ病なんで許して下さいー。ですよ。
もうこんなヤツ居なくなればいいのに!
と、俺ら観客全員そう思った筈です。
てね、この映画って、知りもしないクセして人を勝手にカテゴライズするな!って話じゃないすか。
俺らの利己的な判断と、時に善意だったとしてもその思いが他者の世界を踏み躙るノンデリカシーなんだよと。
演出も丁寧で絵も音も観客に理解を求める良い映画だったじゃないですか。
人への理解は難しくても、思い計る事は出来るんじゃ無いか。
俺らはそれをこの映画で勉強した訳ですよ。
たぶんこの映画見た人の大半は更紗 や文側じゃ無く、亮くんの側の人間だと思うんですよ。
アイツはあー言うヤツだからとか、職場の、学校のあの人はあんな感じだからと。
たぶん俺らがここで少しづつでも理解を示す事が、更紗 と文の未来を照らす明かりになると思うんですよ。
だって更紗と文には幸せになって欲しいじゃ無いですか。
だからこんな役を買って出てくれた横浜流星って最高のヤツなんですよ、一気に好きです!横浜流星。
細野真宏さんのレビューに大いに共感
俳優、演出がよく、長時間にかかわらず緊張感途切れず拝見しました。私たち各自がそれぞれ弱さや社会に受け入れられないものを持っていて、排除されるリスクや哀しみを持っているなと思いました。結末は少し明かりが見えた感がありました。ただ、いくつか疑問点があり、細野真宏さんのレビューに書いてある疑問点に共感しました。原作未読なので読んで補完したいです。
雰囲気から始まる伏線
なんでも暴けば良いってもんじゃない
誰も誰かになれる訳でもないのに
よくも人の心情を語れるなと感心してしまう昨今
原作は未読ですが、李相日監督が好きで自分に合っている映画だろうなと期待して鑑賞。
予告では成人した大人が幼少期に誘拐された犯人と付き合おうと、分別ある年齢に達しているのだから外野がとやかく言ってんじゃねぇよって視点で観ていました。
ストーリーは王道を地道に進むのですが、
演技がうまい
子役がうまい
演出がうまい
日常の何気ないやりとりだったり
会話だったり
仕草だったり
忘れられない人との時間の流れを繊細に切り取る映像、演出が素晴らしい。
役者さんの表情や血管、手の見せ方まで、顔が見えなくても感情が読み取れる演出が心に刺さって、中盤から大号泣でした。
思春期だからこそ成長する心と体のギャップに悩んだり苦しんだりする。
自分が傷ついたんだと自覚することは、自分がされた行為を認めることになるので、誰にも言えないし言いたくない。
頼むから、分かったフリをしないでくれ。
頼むから、可哀想な者として扱わないでくれ。
そっとそこに在ることを赦して欲しいだけなのに。
どうして放っておいて欲しい時には、罵詈雑言で捲し立てるのか。
どうして救って欲しい時には目も合わせてくれないのか。
自分と向き合いたかった。
家族に気づいて欲しかった。
自分は傷ついている、苦しんでいるぞって声を上げて泣き叫んでやりたかった。
が、出来なかった。
自分を守るために、自分の秘密や痛みを誰かと繋がっていくことがどんなに難しいことか。
身を引き裂かれる恥辱を味わうことか。
それは当事者でしか感じ取ることができないし、当事者だけが抱えている苦しみなのだと、映像から想像できるのが凄い。
男女の仲を描く作品は多かれど、この作品は恋愛映画ではくくれないと思う。
恋焦がれる気持ちは確かに存在するけど、肉体的にも精神的にもプラトニックな関係なのだと思う。
思春期に体が変化して、自分を見る異性の視線が変わる気持ち悪さや、性の対象となってしまった自身が生きていくために身につけた処世術だったり。
さらさの言う、
何事も諦めた方が楽じゃないですか?
って言葉に集約されている気がする。
他人に自分を分かれとも、他人を深く理解したいとも思っていない。
適当な距離感で付き合いたいのに、どうして踏み込んで荒らそうとするのだろう。
手を繋いで眠るだけで幸福で満たされるなら、それが愛だろうが恋だろうがプラトニックだろうが名前なんてどうでも良くて、ただ一緒に居たいから一緒に居る存在なだけ。
序盤ではフミの後を黙々とつけて、自宅を把握するさらさの行動がストーカーに見えて、え?っと思った。
中盤では今彼にレイプされそうになり、自分がぶん殴ってまで逃げた相手とまともに会話したり、あまつさえ自宅に一人で上がるなんて自殺行為は普通の感覚の女性ならしないだろうなと思った。
女性はどう頑張っても受け入れる側になるので、一度無理だと感じた相手は、生理的に受け付けないだろうな、と。
生理的に無理になってしまったら、キスも気持ち悪いし、同じ空気を吸っていることすら気持ち悪く感じるだろうな、と。
一見、相手に優しい言葉を投げかけているようで、ありがとうは今彼にトドメを刺す言葉だったんだろう。
りょうちゃんが救急車に乗り込む時に
もう良いからって手を離してくれたのがよかった。
相手に執着していても、心の無い関係で相手を縛り続けるのは呪いだ。
手放せたことが救いだったと思う。
フミも今彼女のタニとの別れの時に、嫌われる方を選んだのが良かった。
話せる、繋がれる相手じゃ無いと分かっていたから、相手を被害者にしてあげることができた。
終盤でサラサに対しては、嫌われても自分を曝け出す方を選んだ。
サラサがフミと繋がっていたかったように、フミもサラサと繋がっていたかったんだなと思えて泣けてしまった。
自分を理解してくれる存在
許容してくれる存在は大きい
在るが儘を良しとしてくれる存在は(本来で有れば)親や家族だけど、自分を大切にしてくれない血のつながりは暴力でしか無い。
認知しないことが既に呪いだ。
同じ言葉を話しているのに、まるで自分が透明人間にでもなった気分だ。
そんな中で、言葉の通じる相手をお互いが見つけた安心感や嬉しさが溢れている時間がとても綺麗で儚い。
自分が望む形で、望む人に愛される幸福があったように思う。
キャストは広瀬すずと松坂桃李のダブル主演。
いつもは広瀬すずが相手役を喰ってしまうので、今回も松坂桃李を心配していたがとんでもない。
表情やふとした仕草がとてつもなくうまい。
二人とも表情で演技をする。
その些細な演技をここだって切り取ってカメラに収めるのが凄すぎる。
二人の演技が本当に素晴らしい。
サラサの小役時代を演じた白鳥玉季の演技も抜群に良い。
研究されたのか、広瀬すずの仕草や表情の作り方を熟知して再現している。
そうそう!この口の感じ、この笑顔の感じ!
と、幼い頃に違和感がない。
キャスティングがドンピシャでハマっている。
アンティーク店の柄本明もいい味出してる。
飄々とした古物商感が出ている。
人の縁とは巡るもので、物は縁を繋ぐ媒体であり記憶の貯蔵庫の様に思える。
フミの母親役の樹木希林さんの娘、内田也哉子がアクセントになっている。
お母様も存在感のある女優さんでしたが、流石血は争えませんね。短い出演でセリフも少ないのに印象に残るんですよ。不思議です。
美しい思い出も
繰り返し苛まれる悪夢も
他人に伝えるのは至難の業です
だって体験していないことだから
体験したことのない出来事を追体験する。
映画と言う媒体で上映してこそ、当たり前を共感できる様に演出してこそ映画の価値があると思います。
刺さる人には刺さる。
共感できる層には刺さりまくって辛いです。
私は刺さりました。
上映日数も少なくなりましたが、映画館で観て損のない作品です。
ぜひ、劇場でご覧ください。
松坂桃李さんに圧倒されました。
私は李相日監督と相性良いのかもしれません。過去作同様に、悪と現実と切なさのバランスに共鳴しました。
本屋大賞受賞の原作は未読ですが、映画は文芸作でもありファンタジー部分もあり現代社会の歪んだ側面も描いていて、静かに涙が溢れていました。
雨や風などの描写が素晴らしくて映像はとても美しい。揺れるカーテンを下から見上げる角度で撮ってるのが印象的。美術が種田陽平さんだけあって、作りこんだセットも素敵。
いきなりのベッドシーンは(そこまでの生々しさいる?)って思いましたが徐々にいろいろ明らかになってきて、なるほどそういうコトでしたか、と納得しました。
キャストは全員良かったです。広瀬すずさんは可愛いだけじゃなくて今やすっかり大人の女優さん。横浜流星さんはDV男を熱演されていました。
が!!なんといっても松坂桃李さんが凄まじかったです!“性”を全く感じさせず、横浜さんのような“動”のない“静”の存在という難しい役を演じきっていて圧倒されました。昨年は「空白」「孤狼の血LEVEL2」と真逆の役を演じられていましたが、いつからこんなに演技派俳優さんになられたのでしょう。「新聞記者」のときも驚きましたが、よくこの仕事引き受けましたね、とリスクのある役(作品)を選んでいてその眼識もお見事だなぁと。
ただ、残念だったのは柄本明さんの使い方。原作ではもう少し背景が描かれていたようですが、骨董品屋さんの描写が中途半端になってしまっていて映画ではよくわからない存在でしたね。
それだけが本当に残念でした。
役者が良かったからいいけど、 ストーリーとしては・・・。
松坂桃李や広瀬すずなど役者の演技と映像はすごく良かったと思う。
さすが映画だと思いました。
でも、ずっと見てきて終盤に、「すべての起因はこれか」となると少しがっかり。
もっと心的なものがかかわっていると思ってました。
ま、「原作ありき」だから仕方がないですけど。
不寛容な世界…誰かを知らず知らずに傷つけていないか
広瀬すずがすごい!!
二人だけの秘密
この物語の背景にあるのは、世の中に、
①家族からの性暴力に苦しむ人がいる。そしてそれは人に言いにくい。(言えない。)
②性犯罪の加害者、被害者、双方に向けられる世間の目。(実際、性犯罪は再犯率が高い。)
という現実です。
この暗く重い物語の中で主人公を支えているのは「二人だけの秘密」です。
・子供だったサラサ(広瀬すず)は、自分の秘密をフミ(松坂桃李)に話した。フミは黙って受け入れた。①に耐えられたのは、その存在ですね。
・一方フミが自分の秘密をサラサに話したのは、再会後の最後の最後でした。
そしてサラサもそれを受け入れた。ここで「二人だけの秘密を共有」できたのです。
そうして②にさらされても「二人で流浪する覚悟」ができた。
「月」は、暗い空の中に1点明かりを放つ「秘密を共有し理解し合える存在」の象徴ですね。
・・・・飽きないで見られましたが、難しい映画でした。レビューを書き終えるまで評価点さえ決められませんでした。
とりあえず亮にリンゴ剥いてあげたい
更紗ちゃん、文といる時はほんとに自然で楽しそう。それ以外では生き苦しそう。その演技が上手だなと思いました。この中では1番強い気がする。
文は、これ原作読まないとちゃんと分かんないけれど、病気によるコンプレックスがあったから同じ様な子供(更紗)と居て楽だったのかな?それともそれプラス小さい子が好きなのか?どっちかによって少し見方が変わるけど。前者なら凄く理解出来るし、後者だとしても人に言えない性癖を持ってしまうことは、自分を認められず辛いもの。
亮はまつ毛が長い顔がいい…笑
亮は、かわいそうで凄く良かったです。んー、このまま過去に囚われたままでもいいし、誰かが救い出してもいい。
1番弱いのは亮なんだよね。りんご剥きながらの心配してくれてるの?は捨てられた子犬みたいで可愛かったですね。この役凄く横浜さんあってたなと。凄い美形の方が似合うと思うのでこういう役は。
2人は一生行為をしないんじゃないかな。でもそんな事しなくても心の底から繋がってる2人だと思うので、薄暗い光の中2人で漂って行くのではないでしょうか。そうすることで文も自分を愛せるようになれたらいいな。
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