劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM 後編 僕は君を愛してるのレビュー・感想・評価
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奇しくも宗教2世問題が描かれている
一本の映画作品としては、ちょっと長くて情報量を詰めすぎているかなとも思うのだけど、これだけ膨大な情報があってもなお底の見えない作品でもあって、幾原監督の作った世界のユニークさの現れともいえる。奇しくも、この後編では今話題となっている「宗教2世」問題が描かれる。直接のモチーフは、1995年地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教だが、カルト宗教の一味としてテロに参加した両親の子供たちが、その呪縛にからめとられる運命といかに向き合うかを描いている点は、今社会で取りざたされている事件とも通じる。
前編のややノーテンキな雰囲気とは一変していて、映画用に再編集してシリアスな展開を煮詰めているので、ペンギンたちの存在感が浮いてしまうのがちょっと残念なのだけど、何者にもなれない若者たちの運命に抗う物語は、テレビ放送された10年前以上に今切実な響きがあった。
総集編には合わない
ありがとう
池袋駅前の像をつい見てしまう
テレビ版を観ていたときには分からなかったが、冠葉と晶馬はカエルくんだったんだな。
ラストで剥がされたシールが大量にあるように、「カエルくん◯◯を救う」が何冊もあるのは、何度も何度もカエルくんとして何かを救い続けているからだったんだ。
追加シーンによって、やっとそれが分かるようになったわけだが、冠葉と晶馬が初めからいなかったかのようなラストで悲しさを感じたテレビ版の印象とは違った一種の幸福感を覚えた。
これは良かったね。なんか報われなくて切ない終わりだったかったからね。まあ結局報われてはいないんだけど、次の旅があるからと思えば仕方ない。
ところで、この作品の面白さは何度も繰り返す同じ演出と、仕込まれたミスリードにあると思うんだな。
テレビ版のときは尺が充分だったのでいいが、圧縮された本作では、繰り返しは消滅し、ミスリードはうまく機能していないように感じた。
つまり、個人的には面白く観ることができたけれど、初見の人には半分も面白くないんじゃないかと思ったんだ。どうだろうね。
あとは、池袋がホームタウンなので駅前のシーンは変な高揚感がある。
妻は、テレビ版を観ていたときに、駅前にあんな像あったっけ?と言った。あるんだよね。アニメほど大きくないように思うし、少々目立たないけどね。後日、駅前を通ったときに教えた。
多少難解に過ぎた
今のタイミングで、詳しくは語りたくないので割愛しますが、偶然にしてはできすだろ、な上映だったと思います。様々なことを考えさせられました。
・選択すること/されることの意味
・成長や変化と共に失っていくものの存在
大まかにこの2つについては、後頭部を鈍器で殴られたかのような衝撃でした。すげえ深い。他も細々とした価値観や人生観が無数に散りばめられていて、それに食らいつくのがやっとです。思考実験が出来る人じゃないと無理かも。
という観方をしないと、何がどうなってんの?とか何が言いたいの?という鑑賞する人を選ぶ作品だと、改めて思いましたし、オリジナルを観たいなという欲求も大きくなりました。
展開、ストーリーの組み立てがそれぞれのキャラの回想の組み合わせの体で進んでいきますので多くの短編集の集まり、多くの思考実験の論文集のようです。
結論は、全ては荻野目桃果の手のひらの上、ということなのかな。
出会えて良かった作品でした。ありがとうございました。
「きむ兄いい」
「面白い」から「救いのある」へ
アニメ、小説を読んで見た当時のファンの感想
ノブレスオブリージュ
2巡目の運命の乗り換え
リサイクルと言う言葉通り、アニメ版の大筋をなぞる形でストーリーが進んだ。
アニメ版よりも時系列に話が進むのでストーリー全体を把握しやすかった。
誰かの強い願いのために、運命が乗り換えられていく物語の設定が面白い。
前編ではプリクリ様の可愛さとペンギンの愛らしさで勢いに乗せられて興奮したが、後編では話の本筋に切り込んでいくので、一体全体どうして誰と何が関係してこの状況になっているのか、謎が解き明かされる。
誰からも関心を持たれない、愛してもらえなかった子どもたちは世界から認識されなくなり、透明になる。
自身がバラバラになることも納得してしまう子どもたちは、文字通り無垢で透明な存在。
何者かに慣れたはずなのに
何者にもなれなかったと審判が下された世界
そんな、誰かから関心を持たれなければ存在が許されない世界を真っ向から否定する
サネトシ先生
私が貴方を見つけて、愛していると語りかけてくる
おぎのめももか
サネトシ先生は自己肯定感を他者に左右される世界を否定しながらも、ももか達が他者を受け入れ、愛し合う世界に憧れがあるのかもしれない。
もし、サネトシ先生が理想とする世界を実現させるとしたら、それはとてもシンプルですぐにでも実践できてしまう。
単純に他人を無視して生活すれば良い。
関わらず、語らず、侵さず、侵されない距離感を保ちながら自分を生かすことだけに集中していれば済む話だ。
自分にも他人にも無関心でいられれば、サネトシ先生の理想とする世界は実現できる。
にも関わらず、ももかが手を加えた世界線にちょっかいを掛けに行くのは、自分と同じ次元で世界を見ることのできるももかにシンパシーの様なものを感じているのかもしれない。
実は他者を拒否するつもりで話しかけたことが、うっかり関係性を繋いでしまったり、他者への関心を持ってしまうことになったのかもしれない。
ももかちゃんも、なんだかんだ言いつつ、サネトシ先生を遠くへやるだけで存在を消し去ろうとはしないのだなと思った。
サネトシ先生とももかちゃんはもう、神様というよりも概念に近いのかなと思った。
光が眩しい様に
影が濃くなる様に
現象に名前をつけたら2人になりましたって感覚が近いのかもしれない。
2人に巻き込まれた関係者はたまったものでは無いけど。
時々、電車に乗っていると、自分の列車の隣を走る電車にのる人と目が合う時がある。
きっと、何か少し違えば、自分はあっちのれさ電車に乗っていたかもしれない。
生きる景色は毎日の何気ない選択で変わっている。
私達も毎日もがいて、選択をして生きながら、運命の乗り換えをしているのかもしれない。
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メッセージを絞った総集編
いやぁ、もう実質後編から本番ですよね。
追加シーンが憎いねぇ。
お手紙のシーンがより意味が深まって、伝えたいメッセージが絞られた作品だった。
ももかの追加シーンの横顔がめっちゃ綺麗なとこあった。
ポスター欲しいくらい。
イクニーの人間が生きていく理由みたいなものをきちんと提示した作品だったと思う。
Re:cycleでした。
きっと何者かになれる
TVシリーズ未視聴、コミカライズのみなので、原作との違いなどは分かりません。
とりあえず、構成の上手かった前編に対し、後編は「ここに尺取るか」というシーンが多かった印象。
また、演技ののっぺり感も変わらず。
ただ作画はレベルが高いし、演出も独特のものがあって非常に雰囲気が良い。
当時『難解』と言われてた(らしい)理由がこの演出にあると思われ、イメージなのか比喩なのか現実なのか、境目が非常に分かりづらい。
個人的なその解決法は、「気にしない」事。
キャラの感情や何を伝えたいか、といった本質を捉えられれば、かなり理解は進むと思います。
それでも難しい場合は漫画版をオススメします。
映画を観て、改めて非常にレベルの高いコミカライズだと思いましたし、その下地があったから映画もすんなり観られたのかもしれません。
苹果ちゃん、後編だと正統派ヒロインでしたね。クレイジーサイコストーカーなのに。笑
地下鉄サリン事件がモデルになっていたり、全体的に重い内容ですが、適度にコミカルなので(クライマックスでの眞悧の「マジで?」は笑った)観やすかった。
結局、すみペンギンは眞悧だったってことでいいのかな。
監督のメッセージは伝わったかな?
前編は???でしたが後編は楽しめました
#劇場版ピンドラ
#廻るピングドラム
前編は設定のトリッキーさに
混乱したまま劇場を後にしましたが
後編は比較的解りやすく作品世界へ。
色々な意味で親に存在を
蹂躙された子供達の運命の乗り換え。
解りやすいと言ってもテレビシーリズ未見だったり
キャラクターを理解出来ない部分も。
特に闇堕ち?した冠葉の後半の行動は
どうしても許容出来ません。
結局は日記の呪文在りきで各人物の力では
何かを変えることが出来なかったってこと?
テレビシーリズを見直して
もう一度作品に向き合います。
今週、作品が少ないので前編と一緒に流せばよかったのに…。
今年215本目(合計491本目/今月(2022年7月度)27本目)。
前編のときは「後編まで見てみないと評価が難しい」として便宜上のフルスコアにしましたが、やはりそれは当たりで、後編のこちらの作品も見ないとわからない部分はかなりあります。前半はどちらかというと「腹ごしらえ」レベルで、本気を出してくるのは後編、そんな感じになります。
他の方も書かれている通り、「銀河鉄道の夜」の作品「それ自体」の知識は要求されませんが、その思想にあることは映画内でも出ます(よって、天文に関することも表立っては出ないが裏ではこっそり出る)。このため「だけ」に当該小説を読む必要はないと思いますが、あれば有利かな、程度です。
結局タイトルにも書いたように、この作品、元のアニメを知っている方はわかると思いますが、そうでないと前編、後編両方を見ないと???になり、しかも前編後編が3か月ほどあいていて結構きびしいです。22日(金)からの週ってそんなに映画の新規公開の数ってないのですが、前編も流せないものなのかなぁ(権利関係で難しい?)という印象です。
採点は下記を考慮しています。
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(減点0.3) 捨て猫に関する扱い(不正確な描写)
・ 段ボールの中にあるなどは明確に捨て猫です。「猫」といっても「迷い猫」「捨て猫」「野良猫」といろいろあり、どれも適用される法律が違います(犬の場合も同様だが、犬の場合は狂犬病の観点もあるのでさらに複雑になります)。
このように「一見誰の目に見ても明らかな捨て猫」は、現在では動物愛護法の動物遺棄に問われることになります(1年以下の懲役)。ただ、1年以下とあるように、どちらかというと「マナーを守りましょう」という趣旨で刑罰規定だけを置いた状況で、リアル世界でも「30匹も捨てる」とかムチャクチャをやらない限り逮捕・書類送検例はないようです。
ただそれは犯罪にあたりますから、どの都道府県の市町村の扱いも同じで「明確に(段ボールに入っている等)捨て猫の場合、警察に連絡して実況見分をしてもらう」のが正しく案内されており(証拠保全の観点)、この映画のように勝手に連れ去る行為はいろいろまずいです。
このあたり、ちゃんと説明が必要ではなかろうか…というところです。
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くどくてイマイチ
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