ディナー・イン・アメリカ
劇場公開日:2021年9月24日
解説
パンクロック好きの孤独な少女が、敬愛するパンクバンドの覆面リーダーを匿ったことから巻き起こる騒動を描いた異色ラブストーリー。過保護に育てられた臆病な少女パティは、孤独で単調な毎日を送っていた。そんな彼女にとって、パンクロックを聴くことだけが、平凡な人生から逃避できる唯一の楽しみだった。ある日、パティはひょんなことから、警察に追われる男サイモンを家に匿う。なんと彼の正体は、パティが大好きなバンド「サイオプス」の覆面リーダーであるジョンQだった。パティを「ミスエデュケーション」のエミリー・スケッグス、サイモンをリメイク版「エルム街の悪夢」のカイル・ガルナーが演じた。共演に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのリー・トンプソン、「24 TWENTY FOUR」シリーズのメアリー・リン・ライスカブ。俳優ベン・スティラーがプロデューサーに名を連ね、「バニーゲーム」のアダム・レーマイヤーが監督を務めた。
2020年製作/106分/PG12/アメリカ
原題:Dinner in America
配給:ハーク
スタッフ・キャスト
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なかなか手の内を明かさず、突飛すぎるキャラクターを配しながら珍妙なテンションで突き進む作品である。よくいう「世の中で生き辛さを感じながら暮らす人々」というナイーブさは無い。特に主人公の男はかなり攻撃的で、自分の感情の赴くままに全てを発散せずにいられない性格の持ち主。「危険人物」とさえ言える。そんな彼が、これまた一風変わったヒロインと巡り合うことで化学変化が巻き起こるわけだが、そんな変化球版「ロミオとジュリエット」的な流れも、中盤過ぎからようやく主人公らの内面を徐々にあらわにしはじめる。響き渡るパンクロックの叫び。徐々に距離を縮めていく二人。そして打ち明けられる一つの秘密・・・。後半のワンシーンにおいて、これまでのデコボコだらけで刺々しい道のりが、嘘のような繊細さに変わる瞬間が待ち受けていた。ここでグッと強烈に惹かれる。言いようのない、おかしなチャームポイントの沸点を持ち合わせた珍作なのだ。
2021年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
“Stay Hungry , Stay Foolish” ---これは2005年にスティーヴ・ジョブスが若者に贈ったエールだ。
それから約15年、90年代のパンクに触発されて、地下室で音楽を作っていたアダム・レーマイヤー監督の『デイナー・イン・アメリカ』には、ジョブスの名言に連なるシンプルで熱烈なメッセージが込められている。
人は外見で判断してはいけない。映画に登場する人物も尚更だ。星条旗柄のワンピースで食卓を囲むパティは『ウェインズ・ワールド』女の子版みたいな眼鏡ルック。カーキのMA-1が似合うサイモンはモヒカン崩れのスリックバックで煙草を手放せない。一見とっつきにくいふたりだけど、観終わった時には得も言われぬ共感に包まれる。
ペットショップで地味に働くパティは、バスでは高校生にからかわれ、同性からも見下されている。唯一の楽しみは覆面ヴォーカリスト、ジョン Q率いるパンクバンド“サイオプス”を聴くこと。ライヴに行きたいが過保護な親から“Stay Home”と反対されている。一方、無軌道な行動で放火犯として追われるサイモンはまさに“Stay Foolish”を地で行く男。
ある日、パティは警察に追われるサイモンを匿うことに。ほどなく彼女が自分の大ファンだと知ったサイモンは、“Stay Hungry”な彼女の型破りスピリットを見出していく。そして…
パティを演じるエミリー・スケッグスは歌って踊れる舞台出身女優。カイル・ガルナーはアダム・レーマイヤー監督が憑依したかのように曲を生み出すサイモンを体現する。
ステイせざるを得ない状況下であってもパンクは貫ける。“Stay Punk”、ふたりが奏でる規格外ラブストーリーは“留まるな”と叫び続ける。
始めの方は、あーありがちなアメリカのチープ犯罪てんこ盛り的な物かと思っていたら、あららという間に可愛い恋愛物語へと。ジャージ姿の絡んでくる男の子達 はなんでか意味不明だったり、家族の人々の意味不明さはあるのだがなんだか楽しい。チープさがよく合っている。パティは実は可愛くなるのではないかと思って見ていたが、どう転んでも可愛くもならなかっし、魅力的にはならなかった。そこもまたメガネを取ったら美人だった!みたいな安直さがなくていいんじゃない。
2022年11月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
「ディナーインアメリカ」アメリカの(家庭の)夕食。これが、この映画の主題を伝えているってことに、終わるまで気づかなかった。お恥ずかし。
パンクロック好きのイケてない少女と、彼女が大ファンであるバンド「サイオプス」の覆面リーダージョンQを演じているサイモンの出会いとラブストーリー(?!)
いや、これは、家族愛の象徴と見られているアメリカの家族で囲む食卓が、必ずしも万人に幸せな場所ではない、ということを、本当に一所懸命訴えた映画なんだろうな。
たしかに、主人公二人にとって、その場はまるでお白州のようであり、かつ自分の意見は全く顧みられない場所でしかない。普通って何? みんなに合わせろよって何? 日本は(今、急速に変わり始めているが)「集団が第一に大切にすべきもので、個人は二の次という雰囲気」だと感じてはいたが、米国でもそのように感じる人もいるんだねえ。
表現に癖が強くて、大好きな映画とは言えないけれど、観て、拾い物をした感じ。観てよかった。