レッド・ロケットのレビュー・感想・評価
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それでもみんな生きている
映像の中にさまざまな象徴(ドーナツ、ホイルから突き出た円錐がある車、多分アメリカンピットブルテリア、入れ墨、コンビナートの煙突)が隠れていて、それらに囲まれてみんなが生きていた。
生きているというよりは、生かされている。
「連れとのパーティーに行きたかった」と小太りの入れ墨兄貴が愚痴を叩いたり、「Bye Bye Bye」をストロベリーが裸で歌ったり、愛すべき姿で映画の中で生きていた。
「私たちもなんもかわらんよ」と、感じたとたんに
ちょっと優しくなった自分を意識した。
同じような場面や状況は、身の回りにいくらでもあるのだ。
今まで、目を逸らしていたり、見てなかっただけだつた。
象徴は、映画を見る者が、現実から「目を逸らすな!」と胸元に突き付ける役目をしている。
そして、映画が終わったとき、私たちはぎこちなくても生きていかざるをえない世界と出会い直す。
さて、これからどんな人に声をかけよう?
MVPはストロベリー
マイキーの人格はご覧の通りだが、感情移入できるか否かで鑑賞者が二極化すると思われる。できない人(含・評者)は,同化できる人はこう感じるのだろうなと推測しながら「メタ鑑賞」するのも一興。
舞台となっているテキサスが,人生の選択肢や機会に乏しく、才能ひとつで大セレブ、というアメリカン・ドリームとは程遠い土地柄であることは,例えば「ヘル・オア・ハイ・ウォーター」みたいな映画でじっくり描かれているが、そういう下地を踏まえて観ると登場人物たちの屈折や諦観が切実さを増す。
マイキーは,身近には決していてほしくないが,こういう人物をとことん排除する社会がはたして理想的なのか?居場所をさりげなく提供するコミュニティのほうが健全ではないのか?とはいってもその居場所を用意できるのは結局あんな「シラフじゃやってられん」テキサスだけなのか?…などと,おそらく監督の意図とは関係なさそうな事を考えてしまいました。
スーツケース・ピンプ
『他人の夢につけ込んで、彼らの希望や労働を食い物にする男』と定義した監督の造語らしいが、いわゆる"ポン引き"の広域版(国中を廻ってデリヘル嬢をスカウト&斡旋)を描く作品であろうと推察する
構成、ストーリー展開は現在の邦画のような作りになっているが、そこはやはりアメリカ、広大なロケを背景にできるので、こじんまりさは一切感じない テキサスの精油工場のダイナミックスさと、主人公の置かれている状況の対比が比較的分りやすく描かれている
編集もカット割りが細かくスピーディーに運ばれるのだが、その分叙情的な部分は深味がない
まぁ、今作は何と言っても"ストロベリー"役、スザンナ・サンの魅力一択だと信じる程、彼女の一挙手一投足に心を奪われる 役柄の未成年という事も相俟って、まるで男のゲスな理想像に作られた、歪んだ女性を体現させたことで、主人公をより滑稽で未熟な人間像に印象づけた構図に仕上げている それは現在のセクシズム、若しくは幼稚な女性願望といった表現を取り扱った、ハッキリ言えば"同人誌的"表現を色濃く落としている内容であろう 勿論、歪んだ唾棄すべき前時代的な人間としての主人公の描き方なのだが、対を成す様に、強かな現実としての女性を散りばめる事で、一気にリアリティというか、冷や水を浴びせる効果を演出させている。それは幻想である"ストロベリー"、そして転がり込んだ元?妻と義母、そして麻薬元締の若き娘といった一筋縄では行かない面々達との対比を、政治的にもオーバーラップさせた分りやすい構図に描いているのである
幻想と現実、この前時代的な発想そのものが変化したとき、次の時代が訪れる、今は過渡期なのかも知れない・・・
唯、今作は唯一主人公の言うことを訊く(ストロベリーは幻想という仮定として)、隣人の男のしでかした重大事故が、単なる物語の為のテンションとしか機能していないことが悔やまれる 起伏の為のサブテキストにしてはかなり大ごとだったし、収束も淡白だった事が否めない・・・
結論すれば、正直に言えば、早く古い人間(自分含)は、とっとと消えればいいんだろうな・・・
とても面白かった
その道のプロの筈の主人公が、色ボケで頭に霞がかかったような行動しかしないのがおかしくもあり、身につまされる。
監督の前作「フロリダプロジェクト」は親子の切実な状況を描いて忘れがたい傑作だったが、今作は打って変わって、全く何のありがたみもないような、しょうもない話にも思える。
しかし見ている間中ずっと、テンポよく進む楽しさとヒリヒリした息苦しさが同時に迫って来る独特の感じは前作から共通している。
今回の舞台はテキサス州だが内陸ではなくメキシコ湾沿いの町のようで、産業構造など物語の社会的バックグラウンドをこの監督はうまく描写している。
とにかく登場人物たちの魅力が最高なのだが、脇役も含めてキャラ立ちがハイレベルすぎる。中でもお気に入りは大麻売り元締めの仏頂面の娘と、ドーナツ女子の元カレの一家3名。
同情できない情けなさとクズっぷり
主人公のあまりの勝手さ、自己愛の強さに同情の余地は無かった。ある事件後に見せた喜びのシーンがクズさを最大限に引き出しててドン引きした笑。
常にその場しのぎでいつか酷い目に遭うんだろなぁとちょっとワクワクしながら観ていた。
が、ずっと見せられていると不思議と愛着が出てしまい、最後のテンポの良い展開は自業自得すぎたが、ちょっと可哀想と感じてしまった。なんだかんだ周りの人間も変でひどいやつばかりだったからかな。
ワンコ以外はみんなクズ
クズなのは主役だけじゃない。
主要な登場人物はみんなクズ。
なぜか観終わった後、「世界最速のインディアン」を思い出しました。
対極だからかな。
130分退屈しなかったんだから満点です。
DONUT HOEL
落ちぶれてLAから17年ぶりに地元テキサスの田舎町に帰ってきた元ポルノスターのお話。
一応まだ妻と義母が住む家に転がり込み、仕事を探すもみつからず、昔のツテでマリファナの売人をすることになっていくストーリー。
製油所の従業員には手を出すなと言われる中、ストリップ劇場で客を開拓したり、ドーナツ屋のバイトのJKに一目惚れしたり…。
とりあえず、口からデマカセは当たり前、口八丁でひと人に取り入り、なんとまさかのストロベリーも!?
しかしながらラストはなんか中途半端にぶった切られた様な感じ?
一応コメディ要素も強めのインチキ再生物語という感じなんでしょうかね…つまらなくはなかったけれど、イマイチピリッとしないというか、主人公がテキトーに生きているだけみたいな感じだし、特に魅力的という訳でもないし自分にはハマらなかった。
エロくて自由人
なんか良かった。何も考えないで流し見的な映画で、だけど物語がちゃんとあってそれが案外面白かったり。
ポルノ男優の主人公はトコトンエロく、エロさはプロ。正直で人生楽しんでる感じも良い。
自由さ加減や自宅の外でゆるーく過ごすシーンは、なんだか沖縄暮らしの沖縄人にみえた。(沖縄の方御免なさい🙏)
あと、何度か出た男性のアソコ(笑)
あれはいいのかな?(笑)
エンディングは映画らしい終わり方。
できたらあの続きが観たいなー。
余談、この手はシネマートより武蔵野館っぽくないですか?
純度100%のクズ男
マイキーという男、純度100%のクズ成分で構成されていて、言うことやること虚栄心と身勝手なことばかり。だが、突き抜けたクズが笑いを引き起こす。
長年、音沙汰なしだったのにヨメの実家にノコノコとアポなしで現れるなんて、普通の男にはできない。ただ、マイキーには逆境を屁とも思わないタフさと、口の上手さがあって、ヨメの実家にまんまと居座ってしまう。
テキサス州Gulf Coastが舞台で、湾に面した製油所が巨大にそびえる。マイキーの周辺の人間は、石油がもたらす雇用にはありつけず、まともに働いている様子がない。まともに働く気もないのかもしれないが。アメリカの豊かさからこぼれ落ちた彼らが、トランプに望みをかけたくなるのも理解できる。
終盤、マイキーのクズ行動が、あっというアクシデントを引き起こす。怒りすら湧いてくる自分勝手なマイキーなんだけど、これも笑いに繋がるんだよね。場内、大爆笑。
ストロベリーを演じるスザンナ・サンがやたらと上手い。おバカで大人の男に憧れる高校生を演じているんだけど、溢れ出るキュートさにやられてしまう。この作品をキッカケに羽ばたいていきそう。
監督によると『Red Rocket』は、オスのワンちゃんのアソコを意味するんだって。
サイモン・レックスの立派なモノは再起するのか。乞うご期待。
人生は甘くはない
極悪人こそいないけど、善人というか褒められた人も出てこない。
LAで仕事が上手く行かなくなり、どうしようもなくなって長年別居していた妻と義母の家を訪ねて土下座せんとばかりに泊めてくれと頼む主人公マイキー。AV男優以外にろくな職歴がないので、就活も上手くいかず結局同級生の家のマリファナの売買をして金を稼ぐ。妻と義母にご馳走しようと連れて行ったドーナツショップで、レジの女子高生ストロベリーに一目惚れし、年の差無関係に口説き落とす。彼女の野心と「好きもの」であることを見抜き、彼女をポルノ女優として売り出し、自分も復活しようと企む。この間ら全方向に嘘つきまくり。何の罪悪感も感じていない彼の望みが上手く行けば良いななんて思えない。自分の計画を得意げにロニーに車で話していた時、高速を下りるタイミングを間違えてギリギリにハンドルを切ったら、その後22台の玉突き事故が起こる。ロニーに自分と一緒だったと絶対に言うなと強く言い、律儀なロニーはそれを守ってくれたことを知る。今のうちにとストロベリーを連れて明日カリフォルニアに行くことにし、義母と妻に家を出ることを告げる。腹を立てた2人は、大麻の元締めの一家と手を組み、彼の貯めた金と大麻を取り上げる。犬にもソッポを向かれ、ゴミ袋に数枚の服を詰め、ストロベリーの住むピンクの家に迎えに行くが…。
妻には保護施設にいる息子がいるようだが、売春で金を稼ぎ薬物依存状態なので親権がない。また同級生の家族もなかなかすごくて、お母さんはマトモかもしれないが妹が怖い。隣家のロニーも退役軍人のフリをして小銭を稼いでる。みんな普通に仕事をしていないのだ。近所にある巨大な製油工場で働けたら良いのに。彼らはそういう仕事を望んでるようにも見えないが。
金網のフェンス、正面に窓が1つとドアだけという、ストロベリーに嘘をついて送ってもらう家はもちろん、ストロベリーの実家と比べても明らかに見すぼらしい家。住む所があるだけ良いのか。アメリカの底辺の社会を映し出した作品。
どんな人もユーモアで救い上げる
ヒューマントラストシネマ渋谷でショーン・ベイカー監督のオンライントークショーの回に参加。
質疑応答があると聞いていたので、昨晩から徹夜(嘘)で考えてきた質問を聞いてもらえるように、頑張って手を上げて、当ててもらいました!!
私の質問:
「ショーン・ベイカー監督の作品には前回の「フロリダ・プロジェクト」では近くにディズニーワールドがあり、本作では大きな工場が画面にずっと映っています。そういった大きな世界があってその片隅に暮らしている小さな人達という構図が感じられるのですが、そういったことは何か意識されていますか?」
ショーン・ベイカー監督のご回答:
「もちろんそれは意図的です。でもその意味するところや解釈は皆さんに自由にしていただきたいと思います。作り手である 僕が細かくお話しするのは重要ではないと思っていますね。自分自身の政治的な思いを皆さんに伝えるよりは、皆さん自身の体験 を通して、この映画を感じて参加していただくというアートの形である方がいいなと思っています。とはいえ、もちろん言いたいことや提 示していることはあります。それは我々がいかに資本主義社会で生きているかということで、平均的な人々は大企業の陰に生きてい るのだということです。それとともに、僕は物語の舞台を具体的にすることが好きなんです。ロケーションもキャラクターの一つとして考え ています。今回はテキサスシティという、360度カメラをどこに向けても製油所に囲まれているような場所が舞台です。視覚的に非常 に興味をそそられて、絶対にここで撮りたいと思いました。」とのお話しをいただしました!
(通訳の方すごかった。スタッフの方も本当にありがとうざいます。とても貴重な体験でした。)
監督が映画館で声を掛けて本作が映画初デビューというストロベリー役のスザンナ・サンのチャーミングさにおじさん達は全員ノックアウト笑
どうしようない奴なんだけど、どこか憎めない主人公のマイキーを演じるサイモン・レックスも完全フルヌードになるという体当たりの演技でめちゃくちゃ良かった。
本当に人の浅はかさと愚かさと妬ましさを全て兼ね備える主人公。会う人会う人に嘘をついて、自分のことを棚に上げて他人をディスったり、本当に最悪なやつです!笑
最悪な奴なんですが、無駄に良い奴っぽいところもあって、最後も黙って出て行けばいいものを「オレ達ケンカとかしたり色々あったけど、良かったよな?今まで世話になった。明日出て行くよ」と言ったばかりに街のダメな奴全員集合しちゃって裸で追い出されてっていう もう本当にバカなんだから!と叱りたくなる主人公。
いやー笑いました。
元気になる映画です。この残酷な社会構造を感じさせながら、非常にリアリティのある人間描写は監督自身のキャスティングと演出の成せる技だと思うし、どんな人にも愛情ある視点を向ける監督の優しさに溢れています。人間讃歌です。
今年ベスト!!
変とまともが合わさった登場人物
「まとも」と「変」の境界線はあるかも知れないけれど曖昧だ。
煙草吸い過ぎ、マリワナ売る、吸う、買う、暴力。恰好もヘアスタイルも服もぐちゃぐちゃ、太ってる、すごく痩せてる、ドーナツを沢山嬉々として食べる。家族の結束が強い、なんとなく或いはとても貧しい、石油が出た地域はちょっと豊か。時代はまさにトランプ vs. ヒラリーによる大統領選挙運動中。テレビ画面に映し出されているのはトランプだけ、この地域はトランプ支持だろう。
帰ってきたマイキーに、家族、友だち、隣人皆が尋ねる:「なぜここに戻ってきた?」住んでる人もそこに住んでるの嫌だったし、マイキーの出戻りによって、日々の生活にうんざりしてる気持ちに蓋してたことに気づかされてしまったし。
マイキーはハンサム、笑顔がいい。砂ぼこりの町を自転車で移動して(子どもっぽい)、高校生に一目惚れして(子どもっぽい)ジワジワと食指を伸ばす(大人の男の嫌らしさ)元・ポルノ俳優。
生まれ故郷はあんな場所なんだ。工場が沢山、煙突から色んな色の煙がいっぱい。そんな背景をバックにしたマイキーの自転車移動映像はかっこいいし、騒音がすごくて話が聞こえないのもリアルだった。そんな土地から離れてどこか別のところに行きたくてもできない。親がいる、子どもがいる、どこかに行って働く具体的技術も知識も移動の為のお金もなければ気持ちも失せている。
埃っぽいローマ郊外が舞台の映画「アッカトーネ」(パゾリーニ)を思い出した。「アッカトーネ」では戦後のイタリアが経済復興に向かう中、ローマ近郊でヒモ男が女を売春婦にする底辺社会が描かれている。「レッド・ロケット」では夢も豊さもとうに消えて取り残された工業地帯。マイキーもヒモ男だが根拠ない自信と行動力と笑顔はある。それで女たちにボコボコにされる、自業自得。
予備知識ゼロでショーン・ベイカー監督の映画を初めて見た。とても気になるので他の作品も見たいとすごく思った。
飽きずに観られた
『フロリダ・プロジェクト』のショーン・ベイカー監督の最新作。
うん、やっぱり面白い。
若干、長く感じたが、ずっと飽きずに観られた。
追いかけたい監督です。
前作然り、今作も
絶対どこかにいると思えるような
登場人物の造形がうまい。
行ったこともないのだけど、
アメリカのテキサスというところに
ああいう母娘がいると本当に思わせられる。
マイキーもずるいくらいに憎めない
だけど、時折スマートに見えたり。
長くロスにいた分、田舎町に来ると
どこかカリスマ性を帯びて見えるのよな…。
それで周りの人を虜にさせ、
そして不幸にしていくのです…。
レクシーのよれた感じとか、
人生諦めてるあの感じとか、
もうリアルすぎてさ〜。
ロイも絶対どこかにいるでしょ…。
そんで誰かの罪被って謝罪してるでしょ…。
もうさ、
ストロベリーもいつかレクシーになる未来しか見えないしさ。
マイキーはマジでやばい奴ですよ。
第二のレクシー製造機ですよ…。
全体的にふざけたジョークが散りばめられてるから気づかないようになってるけど、本当にシリアスでシビアな現実の連続ですよ、
そして劇場から出た後も、
どこかにいるレクシーのことを想うのです…。
ストイックさに痺れる
これほどまでに最低で最悪な主人公が、かつていただろうか?笑
人気ポルノ男優という経歴も、どれだけすごいのか怪しいうえに、特化したスキルや技術が必要な職業とはいえ、女優ありきの添え物感が拭えない。
とにかく口八丁手八丁で周りの人を利用していく最低男ですが
ユーモラスな演出が見事で、チャーミングで憎めない部分にほだされてしまう説得力があります。
喜びが満ち溢れるシーンでは、不覚にも可愛いと感じてしまった。
なんだろう、このモヤモヤは。
人が純粋に喜ぶ姿は素晴らしい。けど喜びの理由が最低で最悪なんよね。
では、最低で最悪な彼の「低」とは何か?
そして「悪」とは何か?
どん底の主人公が最後に向かった町は、高い煙突から炎と煙が立ちのぼる工業地帯。
住人たちも、やたらタバコに火をつけ煙を吐く。
自分が生きることに精一杯で周りが見えていないから、その煙が大気を汚染し、副流煙が側にいる人に害を及ぼすことに気づける余裕が無い。
利用するか利用されるか?ギリギリの状態で生きているのだ。
主人公もその1人で、再起をかけて出直したくても新たなチャンスは与えられず、結局は過去と同じことの繰り返し。負のスパイラルから抜け出せないでいる。
観客はこれまでのドラマのセオリーに何度も裏切られます。
悪は成敗されるはず
悪は報いを受けるはず
悪は改心するはず
もし悪を正当化するにしてもポリシーが必要ですが、それすら与えられません。
だって、そもそも悪ではないから。
人間の生き方に「悪」は無い
たとえ手段を間違うことがあったとしても
生きようとすること自体は決して悪ではない
誤解を恐れずメッセージを伝え切る監督のストイックさに痺れました。
彼にセオリーを当てはめたとたん、彼のこれまでの生き方を否定することになってしまうから、彼は最後まで最低で最悪の男のままなのです。
これまでもショーン・ベイカー監督は偏見や貧困の中で生きる人々の喜びや悲しみを絶妙なバランスで描いてきました。
ユーモアには生きる為の力強さを ファンタジーには生きる為の希望を感じはしますが、それらが逆に悲しくもある。
でも、決して寄り添って勇気づけたり美談にして憐れんだりはしない。
むしろ、懸命に生きる人に向かってそんな感情は失礼だと言わんがばかりに。
かといって俯瞰で捉えた人間賛歌ほど遠ざかっていないのは、彼らが苦しむ原因が明らかで、彼らの未来を閉ざしている憎むべき悪は、私たちの中にある偏見に他ならないからだと感じました。
この企画を支持できるなんて、やっぱりA24ってすごいな。
とにかく一筋縄ではいかない登場人物たちがいちいち魅力的。
なかでも、元締めマザーの娘が気になりました。
めちゃくちゃ主人公にキツくあたるけど、意識している裏返しに見えて、勝手にキュンキュンしちゃいました。
「見る人を選ぶ映画」と呼ばないで。
思い切ってダイブしてほしい。
落ちぶれてしまった元ポルノスターが故郷に戻り再生を目指す物語
4/14のFilmarks試写会(京橋テアトル)に参加してきました。
主人公のマイキーは最低なんだけどなんかみんなが好きになってしまう魅力をもっていて、私は途中から素敵な人にみえてしまいました‼️
そして、テーマが重いはずなのに…ポップでユーモラスに描いていてショーン・ベイカー監督の優しさが今作も滲み出てました☺️✨✨
上映後のトークで主人公のマイキーと薬の売人をやっている娘の母親レオンドリア役以外、全員素人という事実を知ってびっくりしました。
賛否がわかれる作品かなとは思いましたが、ベイカー監督の手腕によって素晴らしい映画へと変身できたのかなと思います🤔
音楽も映像も全部よくて、最初の方のシーンでお店でドーナツをたくさん食べて元奥さんとおばあちゃんと一緒に急いで家に帰るシーンがすごくへんてこで
そこで出会ったストロベリーという赤毛の小柄な女の子に恋をして出会いを重ねていく中で、
自分の今の堕落している生活から脱出するために以前の仕事だったポルノ俳優という経歴を利用して「君だったら、ビッグスターになれる!!」と口説いて、
日の目を見ることが少ない職業に誘い込むというストーリーが展開していきます😌
今作をみることによって、社会的少数者に属する職業で働いている人への見方というか意識の向け方が変わるのではないかと感じました🤗
誰であっても変われる可能性はあるんだよっていうことも観客に伝えてくれている感じもしました😄
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