レッド・ロケットのレビュー・感想・評価
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判り易く言えばほぼ「リアリティショー」
私はこの映画レビューを映画.comとFacebookへ投稿していますが、今回もFacebookではあまりウケが良くなさそうな作品です。すみません。
通ぶるつもりはありませんが、この手の作品を喜んで観るタイプはそれなりに映画を掘ってる「ファン」が中心です。なので、私らがもし「面白い映画ありませんか」的な(雑な)質問をされたときに、自分は好きでもまず例には挙げない作品であるとも言えます。
本作、ショーン・ベイカーの新作と言うことで上映前から映画ファンの期待度の高さを感じつつも、やはり商業的には厳しいとみられているのか公開規模は小さめです。週末のヒューマントラストシネマ渋谷の午前中回はオンラインチケット販売だけでかなりの客入りだったので、敢えて、平日のシネマート新宿を選択。こちらは16時20分開始の1回のみでサービスデイということもあり、中途半端な時間にもかかわらずやはりまぁまぁ入っていました。
で、観た感想は一言「かなり好き」。
でも解説めいたことはしようがないほどめちゃくちゃシンプルさで、判り易く言えばほぼ「リアリティショー」的な感じなんですが、そこはやはり映画的な編集です。独特な間とバシバシ展開する落ち着きのなさが、作品内で起きている「おかしな現実」に対して変に考えてしまうことなく、ただただ笑えてその効果が活きています。
主人公のマイキー(サイモン・レックス)は得意の口車で相手をマニピュレートしているつもりになっていますが、そもそも言っている自分が誰よりも思い込み激しくて妄想が止まりません。自分がペースを作っているようでいて、実際は無計画で成り行き任せな彼の言動は傍から見れば「わかりやすい」ため、案の定のことをする彼に対して「可愛げ」すら感じてしまいます。
そして、ストロベリー(スザンナ・サン)はヤバいですね(笑)。マイキーが完全に浮かれている様子を笑いながら観つつも、私も完全なるオジサンとして正直、このムスメに関わってはまずいな、と思ったり。でも、まぁ自分はむしろ隣人ロニーのキャラクター寄りだし、と言う逃げは、なら(作品内のように)ああなるのか?と思うと、それはそれで複雑で。
観ていて終始「酷いなぁ」なんて半笑いで観ている他人の言動に対し、実はめちゃくちゃ自分を重ねて考えてしまう妙なリアリティがあっていいのです。
結局、観てもらわないと伝わらない面白さなのですが、特に女性には「見たくもないもの」もガンガン見えちゃってますし、まぁ本当に興味があればどうぞ。
映画史クズ野郎の系譜の一人だ。
なんなんだ この人々は…
アメリカは、まだ表記は「ポルノ」!
23-055
2016年テキサス
おおよそ日本に住んでると関係のない
生活圏でのストーリーです
マリファナが身近にあり
違った家族感がみえて
とても興味深い作品でした
ストロベリーがとてもキュートです
そして
最後のフル○○全力ダッシュに
テキサス魂を感じました(笑)
それでもみんな生きている
映像の中にさまざまな象徴(ドーナツ、ホイルから突き出た円錐がある車、多分アメリカンピットブルテリア、入れ墨、コンビナートの煙突)が隠れていて、それらに囲まれてみんなが生きていた。
生きているというよりは、生かされている。
「連れとのパーティーに行きたかった」と小太りの入れ墨兄貴が愚痴を叩いたり、「Bye Bye Bye」をストロベリーが裸で歌ったり、愛すべき姿で映画の中で生きていた。
「私たちもなんもかわらんよ」と、感じたとたんに
ちょっと優しくなった自分を意識した。
同じような場面や状況は、身の回りにいくらでもあるのだ。
今まで、目を逸らしていたり、見てなかっただけだつた。
象徴は、映画を見る者が、現実から「目を逸らすな!」と胸元に突き付ける役目をしている。
そして、映画が終わったとき、私たちはぎこちなくても生きていかざるをえない世界と出会い直す。
さて、これからどんな人に声をかけよう?
MVPはストロベリー
マイキーの人格はご覧の通りだが、感情移入できるか否かで鑑賞者が二極化すると思われる。できない人(含・評者)は,同化できる人はこう感じるのだろうなと推測しながら「メタ鑑賞」するのも一興。
舞台となっているテキサスが,人生の選択肢や機会に乏しく、才能ひとつで大セレブ、というアメリカン・ドリームとは程遠い土地柄であることは,例えば「ヘル・オア・ハイ・ウォーター」みたいな映画でじっくり描かれているが、そういう下地を踏まえて観ると登場人物たちの屈折や諦観が切実さを増す。
マイキーは,身近には決していてほしくないが,こういう人物をとことん排除する社会がはたして理想的なのか?居場所をさりげなく提供するコミュニティのほうが健全ではないのか?とはいってもその居場所を用意できるのは結局あんな「シラフじゃやってられん」テキサスだけなのか?…などと,おそらく監督の意図とは関係なさそうな事を考えてしまいました。
スーツケース・ピンプ
『他人の夢につけ込んで、彼らの希望や労働を食い物にする男』と定義した監督の造語らしいが、いわゆる"ポン引き"の広域版(国中を廻ってデリヘル嬢をスカウト&斡旋)を描く作品であろうと推察する
構成、ストーリー展開は現在の邦画のような作りになっているが、そこはやはりアメリカ、広大なロケを背景にできるので、こじんまりさは一切感じない テキサスの精油工場のダイナミックスさと、主人公の置かれている状況の対比が比較的分りやすく描かれている
編集もカット割りが細かくスピーディーに運ばれるのだが、その分叙情的な部分は深味がない
まぁ、今作は何と言っても"ストロベリー"役、スザンナ・サンの魅力一択だと信じる程、彼女の一挙手一投足に心を奪われる 役柄の未成年という事も相俟って、まるで男のゲスな理想像に作られた、歪んだ女性を体現させたことで、主人公をより滑稽で未熟な人間像に印象づけた構図に仕上げている それは現在のセクシズム、若しくは幼稚な女性願望といった表現を取り扱った、ハッキリ言えば"同人誌的"表現を色濃く落としている内容であろう 勿論、歪んだ唾棄すべき前時代的な人間としての主人公の描き方なのだが、対を成す様に、強かな現実としての女性を散りばめる事で、一気にリアリティというか、冷や水を浴びせる効果を演出させている。それは幻想である"ストロベリー"、そして転がり込んだ元?妻と義母、そして麻薬元締の若き娘といった一筋縄では行かない面々達との対比を、政治的にもオーバーラップさせた分りやすい構図に描いているのである
幻想と現実、この前時代的な発想そのものが変化したとき、次の時代が訪れる、今は過渡期なのかも知れない・・・
唯、今作は唯一主人公の言うことを訊く(ストロベリーは幻想という仮定として)、隣人の男のしでかした重大事故が、単なる物語の為のテンションとしか機能していないことが悔やまれる 起伏の為のサブテキストにしてはかなり大ごとだったし、収束も淡白だった事が否めない・・・
結論すれば、正直に言えば、早く古い人間(自分含)は、とっとと消えればいいんだろうな・・・
とても面白かった
その道のプロの筈の主人公が、色ボケで頭に霞がかかったような行動しかしないのがおかしくもあり、身につまされる。
監督の前作「フロリダプロジェクト」は親子の切実な状況を描いて忘れがたい傑作だったが、今作は打って変わって、全く何のありがたみもないような、しょうもない話にも思える。
しかし見ている間中ずっと、テンポよく進む楽しさとヒリヒリした息苦しさが同時に迫って来る独特の感じは前作から共通している。
今回の舞台はテキサス州だが内陸ではなくメキシコ湾沿いの町のようで、産業構造など物語の社会的バックグラウンドをこの監督はうまく描写している。
とにかく登場人物たちの魅力が最高なのだが、脇役も含めてキャラ立ちがハイレベルすぎる。中でもお気に入りは大麻売り元締めの仏頂面の娘と、ドーナツ女子の元カレの一家3名。
同情できない情けなさとクズっぷり
DONUT HOEL
落ちぶれてLAから17年ぶりに地元テキサスの田舎町に帰ってきた元ポルノスターのお話。
一応まだ妻と義母が住む家に転がり込み、仕事を探すもみつからず、昔のツテでマリファナの売人をすることになっていくストーリー。
製油所の従業員には手を出すなと言われる中、ストリップ劇場で客を開拓したり、ドーナツ屋のバイトのJKに一目惚れしたり…。
とりあえず、口からデマカセは当たり前、口八丁でひと人に取り入り、なんとまさかのストロベリーも!?
しかしながらラストはなんか中途半端にぶった切られた様な感じ?
一応コメディ要素も強めのインチキ再生物語という感じなんでしょうかね…つまらなくはなかったけれど、イマイチピリッとしないというか、主人公がテキトーに生きているだけみたいな感じだし、特に魅力的という訳でもないし自分にはハマらなかった。
エロくて自由人
なんか良かった。何も考えないで流し見的な映画で、だけど物語がちゃんとあってそれが案外面白かったり。
ポルノ男優の主人公はトコトンエロく、エロさはプロ。正直で人生楽しんでる感じも良い。
自由さ加減や自宅の外でゆるーく過ごすシーンは、なんだか沖縄暮らしの沖縄人にみえた。(沖縄の方御免なさい🙏)
あと、何度か出た男性のアソコ(笑)
あれはいいのかな?(笑)
エンディングは映画らしい終わり方。
できたらあの続きが観たいなー。
余談、この手はシネマートより武蔵野館っぽくないですか?
純度100%のクズ男
マイキーという男、純度100%のクズ成分で構成されていて、言うことやること虚栄心と身勝手なことばかり。だが、突き抜けたクズが笑いを引き起こす。
長年、音沙汰なしだったのにヨメの実家にノコノコとアポなしで現れるなんて、普通の男にはできない。ただ、マイキーには逆境を屁とも思わないタフさと、口の上手さがあって、ヨメの実家にまんまと居座ってしまう。
テキサス州Gulf Coastが舞台で、湾に面した製油所が巨大にそびえる。マイキーの周辺の人間は、石油がもたらす雇用にはありつけず、まともに働いている様子がない。まともに働く気もないのかもしれないが。アメリカの豊かさからこぼれ落ちた彼らが、トランプに望みをかけたくなるのも理解できる。
終盤、マイキーのクズ行動が、あっというアクシデントを引き起こす。怒りすら湧いてくる自分勝手なマイキーなんだけど、これも笑いに繋がるんだよね。場内、大爆笑。
ストロベリーを演じるスザンナ・サンがやたらと上手い。おバカで大人の男に憧れる高校生を演じているんだけど、溢れ出るキュートさにやられてしまう。この作品をキッカケに羽ばたいていきそう。
監督によると『Red Rocket』は、オスのワンちゃんのアソコを意味するんだって。
サイモン・レックスの立派なモノは再起するのか。乞うご期待。
人生は甘くはない
極悪人こそいないけど、善人というか褒められた人も出てこない。
LAで仕事が上手く行かなくなり、どうしようもなくなって長年別居していた妻と義母の家を訪ねて土下座せんとばかりに泊めてくれと頼む主人公マイキー。AV男優以外にろくな職歴がないので、就活も上手くいかず結局同級生の家のマリファナの売買をして金を稼ぐ。妻と義母にご馳走しようと連れて行ったドーナツショップで、レジの女子高生ストロベリーに一目惚れし、年の差無関係に口説き落とす。彼女の野心と「好きもの」であることを見抜き、彼女をポルノ女優として売り出し、自分も復活しようと企む。この間ら全方向に嘘つきまくり。何の罪悪感も感じていない彼の望みが上手く行けば良いななんて思えない。自分の計画を得意げにロニーに車で話していた時、高速を下りるタイミングを間違えてギリギリにハンドルを切ったら、その後22台の玉突き事故が起こる。ロニーに自分と一緒だったと絶対に言うなと強く言い、律儀なロニーはそれを守ってくれたことを知る。今のうちにとストロベリーを連れて明日カリフォルニアに行くことにし、義母と妻に家を出ることを告げる。腹を立てた2人は、大麻の元締めの一家と手を組み、彼の貯めた金と大麻を取り上げる。犬にもソッポを向かれ、ゴミ袋に数枚の服を詰め、ストロベリーの住むピンクの家に迎えに行くが…。
妻には保護施設にいる息子がいるようだが、売春で金を稼ぎ薬物依存状態なので親権がない。また同級生の家族もなかなかすごくて、お母さんはマトモかもしれないが妹が怖い。隣家のロニーも退役軍人のフリをして小銭を稼いでる。みんな普通に仕事をしていないのだ。近所にある巨大な製油工場で働けたら良いのに。彼らはそういう仕事を望んでるようにも見えないが。
金網のフェンス、正面に窓が1つとドアだけという、ストロベリーに嘘をついて送ってもらう家はもちろん、ストロベリーの実家と比べても明らかに見すぼらしい家。住む所があるだけ良いのか。アメリカの底辺の社会を映し出した作品。
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