劇場公開日 2022年1月28日

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ノイズ : インタビュー

2022年1月21日更新

藤原竜也松山ケンイチ、15年ぶりの再共演でも変わらぬ絶対的な信頼関係

「デスノート」以来の再共演を果たす藤原竜也&松山ケンイチにとって、お互いはどのような存在なのか
「デスノート」以来の再共演を果たす藤原竜也&松山ケンイチにとって、お互いはどのような存在なのか

藤原竜也松山ケンイチが、殺人の隠ぺいを図る“共犯者”として対峙する、孤島を舞台にした本格サスペンス「ノイズ」が、1月28日に公開される。かつて、大ヒット作「デスノート」シリーズで、映画史に残るライバル、夜神月とLを演じたふたりが、再び緊迫感溢れる作品で相まみえるという漫画のような熱い展開に、誰もが胸を高鳴らさずにはいられないだろう。藤原と松山に再共演を終えての感想、俳優としてのお互いの存在について、話を聞いた。(取材・文/編集部、写真/間庭裕基

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物語の舞台は、絶海にぽつりと浮かぶ猪狩島。過疎化に苦しんでいたが、泉圭太(藤原)が生産する“黒イチジク”が高く評価され、地方創生推進特別交付金5億円の支給がほぼ決まり、島民たちには希望の兆しが見えていた。そんな島にある日、元受刑者でサイコキラーの小御坂睦雄(渡辺大知)がやってくる。そうとは知らない圭太と幼なじみの猟師・田辺純(松山)、新米警察官の守屋真一郎は、小御坂の不審な言動に違和感を覚えて追いつめるが、圭太の娘の失踪を機に、誤って小御坂を殺してしまう。

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ふたりの本格的な共演は、藤原が24歳、松山が20歳で出演した「デスノート the Last name」(2006)以来、約15年ぶり。まずは本作での再タッグを知ったときの思いと、共演を終えての感想を聞いた。

藤原「『15年も経っていたんだ』というちょっと不思議な思いと、一方で『15年ってあっという間だなあ』という思いがありました。お互いに環境も変わったし、昔とは背負うものも違います。だから、嬉しいですよ。また、こういう大きなステージで松ケンと共演して、一緒に組ませてもらうことができる素直な喜び。あとは、こういう大きな作品を頂きましたから、それを多くの人に見てもらわなきゃいけないという思いもあって。久々に松ケンと組むんだから、失敗できないなという責任感も生まれて、そういうものも全て含めて、楽しんでいます」

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そんな藤原は、松山の現場での存在感を「頼もしかった」と話す。

藤原「今回は、やっぱり松ケンの存在が大きかったです。現場や、廣木(隆一)監督にいろいろと意見を言ってくれて。そういう行動は、彼の持っている、ある種の演出だと思うんです。自分の意見を主張して現場を回して、面白おかしくもやっているというやり方が、僕は端から見ていて『素敵だな、こうやって現場が回っていくんだ』と思っていました。松ケンの現場での過ごし方は、役どころと一緒で頼もしかったです」

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対する松山も、圧倒的な信頼を寄せる藤原を得て、安心して撮影に臨むことができたようだ。

松山「竜也さんとの再共演は本当に嬉しかったですし、やっぱり『デスノート』の時からずっとお世話になっているので、大きな柱に寄りかかれるような安心感がありました。そういう安心感はすごく前から抱いていたし、今回も良い感じで、また頼らせて頂いて(笑)、とても楽しむことができました。『パワーが並の人じゃないな』というのも、今回改めて思いました」

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松山は藤原との共演を、「演技の暴力に打ちのめされた」と振り返り、「改めて竜也さんと対峙して、さらにすごさが分かったというか、圧倒されっ放しなんですよね。絶対に追いつけないところにいらっしゃる、とんでもない先輩だと思いました」と明かしている。そんな思いを特に強くしたのは、ワンカットで撮影した終盤のあるシーンだ。

松山「そのシーンで特に竜也さんのパワーを感じました。撮影はすぐに終わったはずなんですが、演技している時間が長いからか、そのあとはもうぐったりするんです。立てなくなるんですよ。何回もできない。廣木監督がワンカットにしてくれて助かったなと思ったんですが……。竜也さんは、やっぱりすごかったです」

藤原「あの長いシーンをワンカットで撮ったのも、異常だったよね。廣木監督は、すごいチャレンジャーですよ。体力がいる撮影でした」

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藤原が演じた圭太は、幼い頃に両親を亡くし、自身を育ててくれた島民たちや、家族のために農園で働く好青年。“黒イチジク”の成功で、島復興の立役者として祭り上げられるが、小御坂の殺害という予測不能の事態に苦悩し、葛藤する役どころ。しかし一方で、愛知県警の敏腕刑事・畠山努(永瀬正敏)に対し、平然と嘘をつくことができるという、底知れない部分も備えている。

藤原「隣に、ともに隠蔽してくれる純と真一郎という仲間がいることが、大きかったんじゃないですかね。ひとりだったら、どうしようもできないけれど、仲間がいたら、より(間違った方向に)突き進んでしまえるという、負の連鎖が生まれていってしまった」

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対する松山が扮したのは、圭太の幼なじみで、圭太の家族にも慕われている純。寡黙で感情があまり表に出ないが、心の奥底には複雑な思いを抱えている。

松山「普段から思っていることをそのまましゃべるのが、いちばん楽なんですが、その通りにはいかないのが人間関係じゃないですか。だからやっぱりどこかで自分自身を納得させているというか。純もずっとずっと、圭太や島に対して、いろいろな感情を溜め込んでいたと思います」

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撮影の休憩中に、ふたりでセリフを合わせる時間もあったそう。

松山「休憩中にセリフの掛け合いの練習のために、竜也さんから『次のシーン、これちょっとやってみよう』と言われました」

藤原「あなたとはシーンが多いから、やっておこうかって(笑)。今回の撮影は、非常に追いこまれたものがあったけれど、カットがかかれば楽しい空気になったよね」

松山「竜也さん、カメラの前になると顔が変わるんですよ。(その顔が)スタートなんだな、と僕らも分かって、その瞬間にのることができて良かったです」

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本作で、藤原と松山とともに“共犯関係”を結ぶのは、新米警察官・真一郎を演じた神木隆之介。筆者が愛知・知多半島の撮影現場を見学した際には、休憩中に、3人がまるで演じた幼なじみ3人組のように、熱心に話しこんでいる姿を見た。殺人の“共犯者”に扮した3人の間には、どのような空気が流れていたのだろうか。

藤原「圭太は純と一緒に、常に(死体を)隠す、移動させるという流れを、必死の思いでやっているんですが、そこに神(かみ)ちゃんが加わると、また違う空気を持ってきてくれるんです。(神木演じる)真ちゃんが来て、ふたりの空気が変わる……という変化を楽しみながら演じていました」

松山「どちらかというと、真一郎は純の後輩という雰囲気なんですよね」

藤原「朝に現場に行っても、ふたりで楽しそうに話していて。『入る場所がないな』と思っていましたよ(笑)」

松山「そんなことないですよ、竜也さんもずっと話していたじゃないですか(笑)」

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メガホンをとったのは、藤原も松山も初めてタッグを組む廣木監督。撮影では、緊張感をはらんだやりとりを、1テイク、長回しでじっくりとおさめた。藤原は廣木組に初参加するにあたり、最初は緊張していたそうだが、撮影後は「もっと早く出会いたかったと感じられるほど、とても良い刺激をいただきました」と語るなど、大きな充実感を得た様子。

藤原「俳優が何かを提案すると、廣木監督は『そっちの可能性も面白いね、試してみようか』とおっしゃってくださるんです。物語の世界を広げるために、いろいろと試行錯誤してくださるので、とてもやりやすかったです」

松山「全てを受け入れてくれる監督です。そういう制約のなさが、楽しくてしょうがなかったです。どんな球を投げても、『うん、オッケー』と応えてくれて、『あ、これもやっていいんですか?』と思いました」

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デスノート」での共演以降、さまざまな作品に出演を重ね、ともに誰もが認める日本のトップ俳優となったふたり。最後はお互いに、相手をどのような存在だと思うか、また再び共演するとしたらどのような作品が良いか、語ってもらった。

藤原「松ケンとは、本当に久しぶりに共演して、改めてありがたい存在だなあと思いました。ともに知多半島で撮影して、こういう良い作品を残せたし、共演できて良かった俳優さんです。松ケンが出ているほかの作品も、『(現場に)馴染んでいるのかな』と気にして見ていたりして。今後も、よりステップアップした姿を見たいなと思わせてくれる役者さんです。もし、また共演できるとしたら、まるっきり違うタイプの作品にも挑戦してみたいですね」

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松山「映画にはコメディとか人間ドラマとか、いろいろなジャンルがあるじゃないですか。そのなかにもう『藤原竜也』というジャンルがあるんです。『藤原竜也』枠という、確立されているものがあると、僕は思うんですよ」

藤原(笑)

松山「竜也さんは本当にすごいし、そんなことができる人はなかなかいないと思います。たくさんの人を楽しませていますしね。これからまた共演するとしたら、40年後、僕らがおじいさんになってから『デスノート』をやりたいです。おじいさんがデスノートを持ったらどうなるのか……」

藤原「ふたりとも生きていたらね(笑)」

松山「『デスノート』の使い方も忘れちゃったりして……そういう話をやってみたいです(笑)!」

インタビュー中はずっと和気あいあいとした雰囲気で、作品への思いを大いに語ってくれた藤原と松山。20代前半で、「デスノート」シリーズで共演して以降、お互いに第一線で活躍し続けてきた。さり気なく交わす言葉や視線からも、長い年月をかけて築かれた、絶対的な信頼関係が垣間見える。「ノイズ」には、そんなふたりだからこそ表現することができた濃密な関係や、一筋縄ではいかない入り組んだ感情が、確かに息づいている。

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