劇場公開日 2021年10月8日

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ONODA 一万夜を越えてのレビュー・感想・評価

全96件中、61~80件目を表示

5.0どうかしているフランス人の情熱

2021年10月13日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

興奮

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労働4号

4.5信念と喪失感

2021年10月13日
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陸軍学校で受けた洗脳からか、信念から戦争が続いていると思いこみ、1人戦い続ける男の話。何だかランボーのような終わりかただった。小野田さんは、戦争の終わりを告げる上官の前でランボーのように泣き崩れることはなかったが、観ていた私は悲しくて涙が止まらなかった。
上官役のイッセー尾形がかつての威厳を装うことにうろたえながらも武装解除を命令し、中野太賀が取って付けたように玉音放送を流し、津田寛治演じる小野田さんが呆然と茶番を眺めている。期待していたような熱い会話(玉砕することは許さない、次の命令に備えて、何としてでも生きて迎えを待てという指令を受けて)「迎えに来なくてすまなかった」や「なんで迎えに来なかったんですか」なんてのも無かった。ランボーのように「オレの戦争はまだ終わっていない」とも叫ばなかった。小野田さんが自分の中で幕を下ろしていく放心した表情が悲しかった。
映画を見終わってすぐに色々調べてしまったが、映画は実際と違っているとこもあるようで、住民との戦闘シーンも簡素であれっ?て思ったのだけれど、あのあまりに手応えの無い戦闘の描き方で良かったのだと思った。ジャングルの中で過ごした無駄な時間が、無駄な死が、3時間の長尺で淡々と描かれる戦争映画だった。

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世界のメガネ

4.5これぞカンヌ作品

2021年10月13日
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今年一番ではないか?
脚本、演出、キャスト全ていい。特に脚本。ありがちなベタな泣かせる作品にしたり、戦争反対、主人公を美化するなど全く無く良い。主人公や登場人物がちゃんと生身の人間である。敵だから殺す、危ないから殺す。それは悪役でも正義でもなく人間だから。本当の戦争反対映画はこうでなくては駄目だと思う。
遠藤雄弥も悪くはないしむしろ良い。しかし津田寛治の芝居が素晴らしく、すべてを持って行った感じがする。

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ゆう

5.06年ぶりに、パンフレットを買いたいと思う映画でした。 なのに売店で...

2021年10月13日
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泣ける

6年ぶりに、パンフレットを買いたいと思う映画でした。
なのに売店で『そもそも製造していない』と知り、とても残念でした。

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jung

3.5必ず迎えに行く。あの日、あの人はそう言った。

2021年10月13日
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当時、僕はおそらく7歳で、この大ニュースのことはおぼろげながら覚えている。フィリピンのルバン島(あえて当時の表現で)で、終戦後もおよそ30年近くにわたって戦闘状態を続けていた残留兵、小野田少尉。どれだけ戦争は終わったのだと呼びかけても、容易に信じない姿は滑稽にも映る。ただの意固地にしか見えない。だけど、彼は本気だったようだ。ラジオから得られる情報も信じず、どうやら、日本の亡命政権は満州にあって、当時の日本の繁栄はアメリカの傀儡政権によるものだと思い込んでいたという。とっくに戦争は終わっているのに友軍来援をひたすら待っているなんて、こうなりゃもう喜劇の類であり、まじめに言えば、戦時中の二俣分校での洗脳教育がいかにすさまじいものであったかを裏付けるともいえた。
青年期の小野田少尉を演じた遠藤雄弥がことのほかいい。精悍で、思慮があり、強靭な意思をもつキャラクターを体現していた。おかげで、ともすればただジャングルを隠れ廻っているだけの映画になりかねない話に、緊張感が保てた。なにせ、3時間近くの長丁場、ダレてもおかしくなかった。戦後70年を過ぎ、太平洋戦争がらみの映画は随分と出尽くしたと思っていたが、最後の最後に、最後の残留兵が残っていた。

鑑賞後、仲野太賀演じる青年が気になった。彼がいなかったら、小野田少尉はまだジャングルに潜伏していただろうからだ。彼の名は、鈴木紀夫という。劇中、「パンダ・小野田さん・雪男に会うのが夢だ」と話すしていたとおり、そののちは雪男を見つけるために何度もヒマラヤへ赴き、結局遭難死、享年37歳という若さだった。彼の死に接した小野田は、「友人の死は残念」と述べている。彼を友人と呼ぶほどの信頼があったのか、と図らずもグッときた。のちに小野田は、慰霊のためにヒマラヤを訪れているほどだ。バックパッカー時代の放浪記も破天荒なこの鈴木青年の物語、ちょっと興味が湧いた。

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栗太郎

4.510歳の頃見た衝撃の中身を知る事が出来ました!

2021年10月12日
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auスペシャルウィークで10/14日まで1,100円『ONODA 一万夜を越えて』

174分って事で、逆に劇場に行かなきゃ観ないかもって事での鑑賞ですが・・・
外国人監督が、題材に選んで日本人キャストで挑んでる部分は、先日のMINAMATAと同じです。

この・・・日本人兵士がまた見つかった!ってニュース・・・・
当時10歳でしたが、新聞やTV報道の衝撃を覚えてます。
横井さん帰還時より小野田さんの鋭い目つきは、子供ながらに怖かった。

さて映画ですが、2人の俳優さんが小野田少尉を演じるわけですが、2人も凄かったです。
特に津田寛治さんは、47年前に見た小野田さんが憑依してるくらい小野田さんでした。
約30年、命令を守る為に生き延びる手段は、全てが美化されるモノではないとも思いますが・・・
この史実は、当時を知る者としては、確認出来て良かったです。

上映時間に関しては、思ったより気になりませんでしたが、映画としてはやはり長過ぎますね。
それとこういう実話作品のお約束、エンドロールでの当時の写真やその後の解説が無かったのは残念。

エンドロールでの配役紹介も2度流れるなら1度は、漢字名にして欲しかったです。
外国作品なので、どんな感じで評価されるのか?ですが、日本人兵を演じた役者さん達にスタオベです。
ここ数年売れっ子ながら、この役のオフォーを受けて出演してる仲野大賀くんも流石っす!

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eigatama41

5.0命令は絶対

2021年10月12日
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良い映画でした。

上官が「必ず迎えに行くから死ぬなと」その言葉があったから彼は、日本に帰ることが出来た。

もし、「自決しろ」と言われていたらそうしていたはず。

外国人スタッフが作って、出演者は、ほぼ日本人だけ。
それでもこんな素晴らしい映画が出来た。

日本人キャストがみんな素晴らしいです。

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エンジェル・ハート

2.5津田さんの小野田さん再現度、イッセー尾形さんの演技 見応えある。 ...

2021年10月12日
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津田さんの小野田さん再現度、イッセー尾形さんの演技 見応えある。
フィリピン現地目線での日本兵がどうなのか、秘密部隊としての心情などもう少し描かれてると ウィキペディアで後から調べなくてもわかったような気がする。

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やぎ

4.0俳優陣の偉大さよ!!

2021年10月11日
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本作、特に観る予定もなかったのですが、某新聞の社評を見て食指が動いた感じです。

いやー観て良かったなと思える作品でした。フランスの監督と言うことで客観的に南方戦線の事を映像化されており、恐らくですがあれが事実なんでは?と考えさせられる作品でした。(士気の低さや、分隊分けなど)

青年期を演じた遠藤氏は、初めて拝見しましたが狂気じみた(徹底した現実主義)雰囲気など、当時を感じる演じでした。

3時間と少し長いですが、不思議と長いとは感じ無いと思います。(なんとなく“ドライブ・マイ・カー”に似ているかも◡̈♥︎)
秋の夜長にゆっくり異世界に潜りたい方は是非観て下さいー!!

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白長須鯨

4.5私たちは、自分の司令官であるのだろうか❓‼️

2021年10月11日
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三時間に畏れて敬遠していたのですが、演技力に制圧されて、驚愕のまま結末。
若きおのだ、最後のおのだ、それぞれに凄い演技。
脚本とセリフが凄い、フランス人だから客観的に中立的で真実に近い。
多分、おのだ自身の告白より真実に近い、そう思う、女子供も殺しただろう、戦争なら。
でも、戦後なら、山賊なんで、掴まれば死刑です。
政治的な解決を求める三十年、さすが陸軍中野学校出の男。
謎多き小野田の三十年ですが、こんな映画が意外と参考になります。
今の時代は戦時中と似ています、コロナは医学を知らない医師会に牛耳られてるし、経済を知らない財務省はやりたい放題です。
コロナの行動制限に科学的根拠無し、財政破綻も根拠無し、累進課税して無いし、調べればすぐわかること、小野田少尉を笑えないよ!
余談が過ぎたけど、最高の映画です、是非。

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アサシン5

3.5強い思想を持ち生き残る上での功罪と教訓

2021年10月11日
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じーたら

2.0小野田さんの本と違う

2021年10月11日
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ゆゆゆ

4.0小野田寛郎さんと横井庄一さんの区別さえつかない

2021年10月11日
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悲しい

怖い

フランス人監督、3時間、さすがに辛そうなのでスルーかと思っいましたが、太賀が出ていると知り頑張って鑑賞。
フランス映画のように淡々と描かれれている感じもしますが、見応えのあるシーンもあるのでそれほど辛くなかったです。
ただ、3時間はさすがに長い。
映画の内容から年配の人がおおったけど、何人かは途中退出。そりゃ長いからね。
無駄なシーンは無いと思っいるから長くなるのだろうけど、そこを何とか2時間前後に収めて欲しい。

内容ですが、
日本人でもアメリカ人でもフィリピン人でもない、フランス人が映画にすることは意味があると思います。

私は横井庄一さんと小野田寛郎さんの区別さえ出来ていません。(今回をきっかけにWikipediaで読みましたが)
そんな日本人から見ると、苦労したヒーローという1面と、戦争の象徴のような負のイメージの両方があります。

フィリピン人から見れば、亡霊や悪魔に近い存在かと。特に小野田さんは、現地民を30人近く殺傷しているそうなので、同じことが日本であれば、、、と考えると、とてもおぞましい存在。

アメリカ人は、戦勝国だし、なんでも感動的にエンタメにしたがるので。

見る人の立場で大きく違うと思います。

この映画では、どちらかと言うと、武士道、偉人、ヒーローとして描かれているので、日本人としてはありがたいと思いますが、現地の人を殺傷するシーンを見ると、戦争に対する罪悪感が芽生えます。
映画として、その微妙な所バランスが良いと思います。

あと、役者陣が素晴らしい。
何言ってるか聞き取れないところもあるけど、迫力と絶望、孤独、意地などが素晴らしい。

ちなみにルバング島ってマニラ湾の入口なんですね。そこに29年、、、ちょっとびっくり。

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だるまん

4.5すなおに本当に心からお疲れ様でした

2021年10月11日
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泣ける

悲しい

この話を驚愕としてしか認識できていませんでしたが、異国からの冷静で情熱のある眼差しによって、改めて、皆さん本当にお疲れ様でしたという気持ちになりました。
小野田さんはもちろんのこと、戦争に遭った全ての人、そしてこの作品を創った方々─特に役者さんらのパフォーマンスは素晴らしかったです。
出だしの部分、なかなか作品の中に入り込むのは難しかったのですが、味のある映像に徐々に引き込まれ─なんか不思議と昭和っていう感じがしたんですよねー、長い長い時間に耐え抜いた分、その涙は、単なる感動とか悲しみというものを超越していました。

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SH

4.0中立に忠実に作られた現代の寓話

2021年10月10日
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気を衒わずとても丹精に、そしていろんなリスペクトがなされた映画だと思う。観ている間中、これがフランス人監督によるフランス映画であることはほとんど思い出さない。しかし、このような映画、日本ではなかなか作れないだろうとも思う。要するに、フランス人監督だからなし得た客観的な視点な気がする。
自分が見知っていた小野田寛郎の物語に非常に近い。4人から3人、3人から2人、2人からひとりぼっちへと進み、世界の歴史上の戦後がはじまって、それを気づかせようといくつかの置き土産から類推する「現在」が切ない。半ば笑いそうになるくらい狂気の世界だ。やがてひとりぼっちの時間の孤独の後に現れる鈴木青年。これも書物などで見知っていた戦後生まれの青年の屈託のなさゆえに小野田に接近できてしまうキャラクターを太賀がドンピシャに演じてる。イッセー尾形との再会、服を慌ててシャツに仕舞い込んで現れる辺りは本当にうまい。
日本政府の人間と島民に囲まれてヘリに向かう小野田の顔を見ながら涙が溢れた。津田寛治、減量したんだろうな、すごくいい顔をしていた。
これは日本では実現不可能なONODAの映画だった。

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ONI

3.5戦争には兵士の数だけの物語りがあり。

2021年10月10日
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新聞社絡みで多国籍合作は、でー嫌いな映画になるテンプレ。しかも3時間あって、日独伊三国同盟(WWⅡ敗戦国)揃い踏みで、聞いたことないプロデューサーとスタッフ陣。と、相当警戒しながらのスタートです。するとですよ。日本陸軍、いきなりジープに乗って登場でズッコケる。軍服も階級章も適当な感じです。手抜きです。と言うか、多分、気にして無いw

劇中でも、陸軍中野学校出身者に、天皇を奉る日本が毛沢東の中国共産党と東亜連邦を組め、なんて言わせる茶番。この辺りは雑を通り越して悪意も感じますが。

全般的にはリアル。美化も誹謗も無し。誰かを貶める描写もなく。日本が占領されても徹底抗戦するとの戦略を持っていた事は事実。秘密戦の工作要員としての使命を全うした小野田少尉。ただ終戦後、29年って言うのは長すぎるし、ほぼ地元一般人30人を殺傷した点(日比間で国際問題化)の要因は、軍指令によると言うよりも、個人の資質に帰する気がしないでもないけれど。

映画を観ながら思ったのは。むしろ。

食べる事も出来ずに餓死した兵士たちだったり。逃げ遅れて戦艦と共に海底へ沈んで行ったり。熱病に倒れ衰弱死したり。

靖國に眠る英霊の方だったりしたもんだ、と来た。

遠藤雄弥と津田寛治の演技は印象的でした。3時間の凡作とまでは言わないけれど、見慣れてる感はアリアリで感動には至らず、でした。

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bloodtrail

4.0恥ずかしながら楽しめました。

2021年10月10日
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小野田さんが帰ってきたのは俺が小学生の頃。
当時、横井さん、小野田さんと続いていたので、他にもいると思ってた。
それにしても、なんでフランスの若手監督が。フランス・ドイツ・ベルギー・イタリア・日本合作ってのも凄いよね。
スタートは終戦1年前。空軍を辞めた彼が軍の秘密学校にスカウトされた所から始まります。そこで学んだ事が、それからの彼の生き方の指針になる。卒業後、フィリピンに派遣され、間もなく師団壊滅。残った7人で、島を守る事になる。そりゃ色々あるよね。徐々に人数が減って30年後には1人に。
しかし、現地の人達には迷惑だったよね。何十年も強盗団が近所に潜伏してるんだもんね。武器持ってやっつけようとするわな。
MINAMATAに続いて日本の事を外国の監督が撮ると、俳優たちがランクアップ。いつもはバイプレイヤーな皆んながめっちゃ輝いてた。字幕がなくてフィリピン語が分からなかったのも良かった。
日本の監督と比べて、カメラワークや照明が素晴らしい。絶対邦画じゃないってすぐ分かると思うよ。3時間弱の長尺だけど、ずっと緊張とウルウルで大満足でした。

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涼介

3.5役者に魅了される

2021年10月10日
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小野田寛郎氏を演じた2人の日本人俳優の演技、特にその目力に引き込まれたが、さすがにあっという間の3時間、とはちょっと言いづらいか?
やはり、長いことは長いです。
ただ、なぜ小野田寛郎がフィリピンに残り続けたのか、多少狂信的かもしれないが、戦争当時の日本兵の国に対する気持ち、思いというものがよく描かれていた。
フランス人ながらの視点かもしれないが、日本の戦争を描く映画として、かなりの良作であることは間違いない。

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デカ太郎

4.0戦争の無意味さを明らかにした

2021年10月10日
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「ONODA 一万夜を越えて」という邦題がおかしい。「越えて」という部分だ。何を越えてきたというのか。何も越えていないではないか。いい加減な言葉の使い方は日本の政治家だけにしてほしい。原題の直訳で「ONODA、ジャングルでの一万夜」でよかったと思う。

 小野田寛郎さんは陸軍中野学校出身である。出身者は、派遣先で住民を掌握し、武力によって従わせたり、場合によっては徴兵して戦わせる。そうやって本土攻撃を少しでも遅らせるのだ。三上智恵監督の映画「沖縄スパイ戦史」によると、中野学校出身の将校が沖縄で「護郷隊」と呼ばれる少年兵を組織したそうだ。結果として多くの少年兵が戦死したり、上官命令で仲間から撃たれたりして、生き残った者はトラウマを抱え続けることになった。
 つまり陸軍中野学校は、徒らに住民を巻き込んで戦争を長引かせようとする将校を生み出しただけだったのだ。彼らは天皇陛下だとか皇軍だとかいう権威を信じ、日本は負けない、最後の一兵卒になっても戦うのだと信じていた。

 小野田さんも、学校で学んだ人心掌握術を発揮して兵隊や住民を巻き込み、最後まで戦線を守り抜くと勢い込んでルバング島に来た。しかし兵隊の誰も言うことを聞かず、結局残ったのは自分を含めて4人だけだった。
 そこから小野田少尉の狂気にも似た残留作戦が始まる。食料調達のために住民を襲い、家畜を殺す。ルバング島の住民にとっては小野田さんたちは山賊である。畑の作物を食い荒らすイノシシみたいな存在だ。猟友会によって駆除される運命にあった。たまたま駆除されないで29年もの間、生き延びたというだけの話である。

 本作品はフランス映画である。哲学の国の映画だから、世界を客観的に描く。ジャングルでの29年は、それは苦しい年月だったと想像される。しかし同情はしない。むしろ、まったく無意味な年月であったと切って捨てる。小野田さんを演じた津田寛治の虚ろな目の色がそれを物語っている。
 天皇陛下万歳のパラダイムから一歩も出ることができなかった小野田さんの精神性は、陸軍中野学校が生み出した罪なのだろう。小野田さんと同じように戦争を全肯定する人々が世界中で不気味に増加しつつある。その危機感がこの映画を製作した動機かもしれない。戦争がどれほど無意味で、無駄な死と、薄れることのない憎悪を生み出すだけかを明らかにした作品である。

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耶馬英彦

4.5悲しくておかしくてシュールで

2021年10月10日
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SP_Hitoshi