隠り沼
2021年製作/日本
2021年製作/日本
舞台は長野の山間の小さな町かな。
ごく普通の田舎街に暮らす人々は、多分、皆が知り合いで、
良くも悪くも日本の田舎らしい、人間関係が濃い世界なのだと思う。
ヒロインは他所から嫁いできたが、肝心の夫が行方不明になり、
夫の弟と二人ぐらししながら、町の小さな整体院に勤めている。
その行方不明の夫をめぐり、登場人物たちの想いや行動が錯綜するストーリーなのだけれど、テレビドラマのような明快なサスペンスドラマとも違う。
不思議で、時折意味不明で、歯痒さすら覚える登場人物たちのあり方は、でもきっと現実はこんなものかもしれないと感じさせる。
映像は光と影のコントラストが綺麗で、思い返すとモノトーンの映画を見ているような気にもなる。
沼の色のせいだろうか。
ハリウッド映画のような派手さはないし、流行りの日本映画のようなシンプルさもない
だから、受け身で観るとつまらないのだけれど、
かと言って、登場人物一人ひとりの気持ちや、印象に残るモチーフについて、
いろいろ意味を求め、理解したつもりになったとしても、
それ自体が奢りなのかなもしれない、と思わされる作品
面白いか面白くないかで言えば、面白いです。
長野県にあんな沼を有する村があるっていう設定は、フィクションだとしても、長野の人は嫌だよね。
あの沼は、何のメタファーなのだろうか。
やっぱり、人を好きになって他に目が向けられなくなることなのだろうか。
だとしたら、沼はもっとキレイで神秘的な所を選んだ方が良いと思う。
それこそ長野にも、そんな沼があるのを僕は知っている。
あの沼は、人を飲み込むにしても、神秘性や謎を孕む様は不足しているように思う。
怖い場面はないけど、あのPCに詩を打ち込んでる和服の女性なんかを思い返すと、ある意味、この作品はホラーだ。
つぎに何が起きるのか気にしながら観てたら、時間は過ぎたけど、それほど面白くはなかった。
努力賞かな。
変なレビューになってしまった。