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久しぶりに再視聴。
毎回思うのだが、この作品を面白いよっ!ってオススメできないのが辛い。
グロ苦手な人はそもそもだけど、これくらいはゴア映画好きならいけますよ的描写なのよ。
ただ、妊婦のお腹は…ってなるだろうなくらいで。
あとネッコ…動物はやめて欲しい。
個人的に、妊婦とホラーって最強に相性がいいと思ってる。殺される側と産まれ出る生命。守りたい、その命…
出だしからもう素晴らしい。胎児に話しかけるお腹越しのくぐもった愛の言葉。突然の事故、赤い鮮血で彩られるOP。
この作品の何がすごいって殺人鬼がすごい美女!
クリスマスなのに灯りもない真っ暗な闇の中、ライターの火に一瞬浮かぶ美女の顔、からの窓ドンでメキメキっとなるガラス。
ぽってりとした唇、艶やかなロングヘア、美しい彼女は無表情で喪服のような長い黒いドレスの出立ちにどこで買えるのか分からないくらいデカいハサミ。
美女ってだけでもすごいのに、身長もあるわパワーはすごいわエモノもエグい。キャラが立ちまくりでどこぞのB級スラッシャー作品よりも尖ってて最高。
むしろ、サラより応援した。
上司のジャン=ピエールから後々にやってくる警官までバッサバッサと景気良い。
無音で攻防がやり取りしていたが所々で非常に不可解なBGMを流すのもとても良い。ジャン=ピエールがやられる時のジャギジャギーンみたいな音声は、え?いま何起きた?って思わず巻き戻した。
一仕事終えた後の一服姿も美しい、
そもそもサラは事故で愛する人を亡くし、お腹の子と2人取り残され悲しみに沈んでいる様子。
それは、側から観ていても守るべき命より愛した夫の存在の方が大きいように見える。出産を控えていてもぼんやりとしていてレース網もボロボロ。
彼女の目的はサラの赤ちゃん。
あの、子供の名前は考えた?とか初産は大変よ〜とかタバコ吸うとか、あれもイマドキの妊ハラの一つってやつですかね?
何がなんだかわからないまま襲われるサラは早々に破水。
家から出られればサラの勝ちという場面でも閉じ込められ、助けも殺されて全てを先回りされてついに絶体絶命のサラ。ドアから出た腕もドーンっ!
よくよく観てても逃げてるサラがあまりお腹の子を気にしてる様子があまりないなぁと。
それなら一緒に病院行って、はいクリスマスプレゼント!ってあげればいいのでは?なんて考えていたら、とうとうサラは信じられないことをした…
女の前で鋭い串を自分のお腹にあてたのだ。
自分の命を守るためにお腹の子供を人質に取った…
悲しみ揺れる胎児。
これは母として許される行為ではない。
薄ら笑いで歪む女の顔。
そこでサラに反撃され後退せざるを得ないのだがサラはカメラのフラッシュ越しに女を探す。凄惨な遺体の転がる中サラは彼らを悼むことなく自分の身を守る為、女を確実に殺す為に歩みを進める。
相対した女は、あなたは私を一度殺したと述べる。
最初に赤ちゃんに語りかけていたのは女。
死んだとばかり…とサラは言ってたけど、事故で死んだのは女の胎児。女=赤ちゃんと思っていたけど、その辺は別に良いか。
サラは夫と事故に遭っていたが、女は1人で車を運転していた。これは何かのヒントになるのかな?とも思った。
左手のリングも悲しい。
同じ事故で片方は赤ちゃんを失い、片方は悲しみに暮れ新しい命を守れない。
ラストの階段でサラの赤ちゃんが産まれるシーン。
女はシーッ、私が付いてるとあやすように安心させる様に囁く女。
産まれて来ない!女は散々人の命を奪ったハサミでサラのお腹を切る。
その階段は分娩台。
たぶんだけど、このシーンが痛い!って多くの人が感じるシーンなのかな?って思うけど、私はこの作品の最大の泣きポイントだと思ってる。
ほんと泣ける。
明らかに致死量を超え階段に横たわるサラ。
たくさんの死骸の中、ゆっくりとロッキングチェアで赤子を抱く女。囁くようなわずかな赤子の声。
この作品はハッピーエンドだと思う。
所々、胎児の様子が映り込みそれは胎児の動きだけでなく心を動かすように揺れる様が心に訴えかけてくる。
人間の妊婦って胎児をすぐに守れるような構造ではないので大変だなぁと改めて思ったよ。