花椒(ホアジャオ)の味

劇場公開日:

花椒(ホアジャオ)の味

解説

父の死をきっかけに初めて互いの存在を知った3姉妹の交流と成長を描いた香港発の人間ドラマ。疎遠になっていた父が倒れたとの報せを受けたユーシューは会社から病院へ駆けつけるが、父は既に息を引き取っていた。ユーシューは父の携帯電話から、自分の名前に似た知らない名前を見つける。葬儀の日、台北からボーイッシュなビリヤード選手の次女ルージー、重慶から髪をオレンジ色に染めたネットショップオーナーの三女ルーグオが現れ、3人の異母姉妹は初めて顔を合わせる。ユーシューは父が経営していた火鍋店を継ぐことを決意するが、常連客の望む麻辣鍋のスープを作ることができず、客足が遠のいてしまう。ルージーとルーグオも加わり、3姉妹はなんとか父秘伝の味を再現しようと奮闘するが……。長女ユーシュー役に「インファナル・アフェア」シリーズなど女優としても活躍する歌手サミー・チェン。「恋の紫煙」の脚本で知られるヘイワード・マックが監督・脚本を手がけた。

2019年製作/118分/G/香港
原題または英題:花椒之味 Fagara
配給:武蔵野エンタテインメント
劇場公開日:2021年11月5日

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映画レビュー

4.5香港、台湾、中国の姉妹

2021年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今、香港からこの物語が届くことに切実さを感じてしまう。
父親が死に、残された料理店を3姉妹が切り盛りすることになる。姉妹はそれぞれ存在を知らなかった。1人は香港、1人は台湾、そしてもう1人は中国本土の重慶で暮らしていた。父の葬式で初めて顔を合わせた3人は、距離感を掴みかねながら、次第に心を近づけていく。
父の火鍋の味を探ろうとする3人の気持ちが、それぞれが知る父の姿を探る姿と重なり、家族のあり方を見つめ直していく。美味しそうな料理がたくさん登場するので、眼福だ。
本作には今の香港をめぐる政治的な要素は描かれない。しかし、台湾と香港と中国本土出身の3人の女性が、1人の共通の父というルーツを持ち、互いの人生を見つめ直すという物語の構造そのものに、何らかの願いがこもっているのではと思わずにいられない。そういう描き方の方が、直接政治的な題材を扱うよりも人々の心に響く何がある時もある。

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杉本穂高

4.0泣けるシーンで本当に泣けてくる

2022年10月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣かせようとするシーンで本当に泣けるから演出が上手いんだと思う。
基本的に赤髪の人の台詞が良い。
ドラマサイズになりそうな話を特に過不足なく映画サイズに出来てるの地味に凄い。

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ルル

4.0久しぶりにDVDで手元に欲しいと思った。 好きな世界観。 次女演じ...

2022年9月23日
iPhoneアプリから投稿

久しぶりにDVDで手元に欲しいと思った。
好きな世界観。
次女演じるメーガン・ライがとても魅力的で
インスタ等で探した所、同じ人かと思うほど別人に
見えて凄く驚いた。同時に凄く好きになった。
香港映画いいなぁ。やっぱり好き。

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めごちん

4.0人は誰しも過ちを犯す。そして赦してくれる人を待っている。

2022年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

父を亡くして、初めて知る二人の妹の存在。その父というのは、理由はどうあれ、自分の子をなした女性を何度も捨てて、結局元の居場所に戻った男。長女が毛嫌いするのも至極当然なのだ。だけど、三人が揃ってからの展開が胸を打つヒューマンドラマ。みんなそれぞれ、背伸びして、きつく当たって、好きに生きてきた。でも、彼女たちはわかっていたと思う、自分が愛されているからこそワガママが言えているんだってことを。愛されていないと絶望していたら、寄り付きもしないだろう。たまに顔を見せることで家族との距離を確かめて安心していたように見えた。悲しいかな、人は、失くしてからその存在の大きさを知る。だから、長女は、何度も何度も父の面影がちらつくのだ。その思い出は、辛い思い出ばかりで痛みを伴うのだけれども、別れの痛みは和らいでいった。そこに、妹二人がいてくれる幸せも感じながら。

そうそう。三人の娘たち、誰が一番愛されていたのか気にしてたね。そこで僕のかつての上司の言葉を思い出した。ある時、二人目の子供の出産を控えた先輩が「今まで一人に向けてた愛情が、これから半分半分になってしまう」と心配していると、「大丈夫だ。今の愛情が100%だとしたら、50%50%になるんじゃなくて、あと100%増えるから」と言った。たぶん、この父の愛情も誰かに偏ったりせず、ちゃんと100%ずつ降り注いていたんだって思えた。それを感じることができた三姉妹の笑顔が眩しかった。

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栗太郎