別に、友達とかじゃない
劇場公開日:2021年4月23日
解説
YouTubeで配信されたバラエティ番組「モクベン」から生まれた青春映画。群馬県桐生市を舞台に、卒業を迎えた女子高生3人の微妙な関係性を描いた。どこまでも続く田園風景を眺め、自分の生まれ育ったこの町にはきらめくものも希望もなにもないと考えながら帰路についていた高校3年生の涼子は、久しぶりに同級生の睦と恵麻と会う。そして卒業式の帰り道、睦のある行動をきっかけに、3人はお互いの思いをさらけ出していく。「モクベン」で女優を目指して演技を学ぶ企画「ドラ2(ドラマ2組)」に出演していた寺本莉緒、秋谷百音、植田雅の3人が主演。同じく「ドラ2」に出演していたモデルの碓井玲菜が、出演のほか衣装のスタイリングも担当。「モクベン」のシンガーソングライター企画「うた3(歌3組)」メンバーの大矢梨華子、村田寛奈、佐野舞香が主題歌を手がけた。監督は新鋭・八重樫風雅。脚本は映画「もみの家」、ドラマ「ゆるキャン△」などで知られる北川亜矢子。
2020年製作/40分/日本
配給:レプロエンタテインメント
スタッフ・キャスト
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2021年5月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
群馬県桐生市。どこまでも続く田園風景。
別に友達とかじゃない卒業間近の女子高生3人が交わす下校途中の会話。幼なじみの3人は歳とともに距離が広がったのか久しぶりに話したようだ。
彼女たちの会話は神がかっていた。青春の焦燥にとどまることのない普遍的な哲学があった。何度もドキッとした。感動した。
40分という小品ながらケチのつけどころがない素晴らしい作品だった。今年の日本映画のベストの一本だろう。
いわゆる、予算のない、映画だと思って特別キャスト見てなかったからちょっとビックリ。そもそも演技するんだという。
普通に役にハマってたし、いい意味でちゃんとB級感のあって良かったですね。
思ったことが、何でも口から突いて出てしまう。
いるいる、むっちゃんみたいなの。
この、たかだか40分くらいの作品には色んなものが詰まっている。
私達、友達じゃないし。
友達であることを確認することはあっても、面と向かって、友達じゃないことを確認することは、なかなか無い気がする。
友達の定義って何だろう。
今は結構難しい問いであるように思う。
でも、高校時代はゆるーくしか考えていなかった。
時代が変われど、田舎の高校生なんて、多かれ少なかれ、この3人のように希望や、閉塞感と不安なんかを、ごちゃ混ぜに抱えながら成長していくのだ。
でも、田舎も都会も関係なく、若者は皆そうだとも思う。
ただ、僕達の高校時代より、もっと早い速度で世の中は変わり、情報も溢れ、もしかしたら、僕達より、その目まぐるしさに翻弄されたり、取り残される感覚を覚えているのかもしれない。
YouTuberなんてなかったし。
でも、昔から、エンタメ界を目指す人はいて、実際、僕の先輩の中には、誰もが知る俳優や歌手や、音楽関係者になった人がいる。
だが、それはそれ、そういう場所に立つことだけが「何者」かになるということではなかったはずだ。
元ヤンで、シングルマザーが一番吹っ切れてて、立派な何者かだったじゃないか。
今、帰省すると、田舎の商店街はイオンなど大型商業施設に取って代わられ、多くの人が、そういう場所で職を得てサラリーマン化している(悪い意味ではありません)。
そんなことで親の職業もバラエティが少なくなって、田舎の子供は多様な将来像を描きにくくなっているのだろうか…なんて、シリアスに考えてみたりもした。
でも、むっちゃん、なかみのない薄っぺらいことしか発信できないインフルエンサーになるより、数は少なくても友達でも作って、信頼関係を築ける人になるほうが良いよ。
涼子も、恵麻も、挫折は失敗じゃないよ。
三人とも、田んぼでドロドロになったことは大切な思い出だ。
たこ焼き屋を辞めて、パンケーキを焼いたって良いじゃない。
別に、友達じゃなくても、たまに話してみたって良いと思う。
それに、夢は、場所や年齢や性別じゃなくて、人に宿るんだよ。
君達は自由だ。
ところで、「むっちゃん!言い方!」って何度も口にする涼子をやった人、初めて見たけど、良い目をしてたと思う。
ショートムービーの尺でこのクオリティは秀逸。
片田舎で漠然とした想いを抱えた女子高生三人の
織りなす、なんとも言えない“あの時期”ならではの
揺れる心情を描いた超変化球青春映画。
台詞ひとつひとつに身に覚えがあって、共感羞恥と
身悶えしたくなるような気持ちに。
記録映画かよと思うほど瑞々しかったあの頃のことを反芻した。ちょっとフィルムタッチな映像も相まっていい作品。