やすらぎの森

劇場公開日:

やすらぎの森

解説

カナダ・ケベック州の深い森で静かに暮らす年老いた世捨て人たちの姿を描いた人間ドラマ。カナダ・ケベック州、人里離れた深い森にある湖のほとり。その場所にたたずむ小屋で、それぞれの理由で社会に背を向けて世捨て人となった年老いた3人の男性が愛犬たちと一緒に静かな暮らしを営んでいた。そんな彼らの前に、思いがけない来訪者が現れる。ジェルトルードという80歳の女性は、少女時代の不当な措置により精神科療養所に入れられ、60年以上も外界と隔絶した生活を強いられていた。世捨て人たちに受け入れられたジェルトルードはマリー・デネージュという新たな名前で第二の人生を踏み出した。日に日に活力を取り戻した彼女と彼らの穏やかな生活。しかし、そんな森の日常を揺るがす緊急事態が巻き起こり、彼らは重大な決断を迫られるようになる。監督は本作が3本目の長編劇映画となるケベック出身のルイーズ・アルシャンポー。

2019年製作/126分/G/カナダ
原題または英題:Il pleuvait des oiseaux
配給:エスパース・サロウ
劇場公開日:2021年5月21日

スタッフ・キャスト

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(C)2019 les films insiders inc. une filiale des films OUTSIDERS inc.

映画レビュー

3.5ケベックならではの、森と共にある死生観、人生観があふれる。

2021年5月31日
PCから投稿

本作は、深い森に囲まれた湖の映像とともに始まる。そこに身を浸し、気持ちよさそうに泳ぐ年老いた男たち。彼らの誰もが現代社会に別れを告げつつ今を穏やかに生きていることを思うと、ここは実在する天国なのかもしれない。だが、現実のものである以上、平穏も長くは続かない。そのカウントダウンが、さながらこの世の終わりのように思えるのは何故だろうか。本作の最大の特質は、自然がもたらす静謐な日々と共に、数十年前に起こった悲劇的な森林火災の記憶が随所に挟み込まれるところ。焼けた鳥たちが空から無数に落ちてくる逸話も不気味だし、ずっと施設暮らしを余儀なくされた老婆の半生も影を落とす。そんな中で、ある者は死の香りに身を浸し、またある者は生への意欲を湧き上がらせーーーー。物語の展開はどこか漠然としているものの、ケベックが舞台なだけあり、既存の宗教や死生観をこえて目の前の大自然こそを畏怖し信仰するかのような境地が新鮮だ。

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牛津厚信

4.0タイトルは原題の方が良いのでは

2024年12月15日
PCから投稿

「そして、鳥が降ってきた」というのが原題らしい(人づて)。
音楽も良かった。
そうか、スティーブは司法取引に応じなかったのだな(人づて)。
良かった。

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ぜん

3.0ひきこもり

2023年5月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

人間が面倒になったら、町よりも森に引きこもった方が自由に暮らせますね。生き方や死に方を自分で選べるって羨ましいし素晴らしいこと。私も自己を持って生きることを幾つになっても諦めたくない。やっぱり自由はいい。

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ミカ

3.5【”自分の人生の最期は、自分自身で決める。”高齢の男女の湖畔での共同生活を通して、人生の晩年を如何に生きるかというテーマを、決然と描き出した作品。愛と再生と、人間の誇りを描いた作品でもある。】

2022年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■人里離れた深い森で暮らす年老いた3人の男たち。
 それぞれの理由で世捨て人となった彼らのもとに、80歳の女性・ジェルトルードが訪れる。
 精神科療養所に入れられ、60年以上も外界と隔絶した生活を強いられてきた彼女は、この地で新たな人生を踏みだすが…。

◆感想<Caution!  内容に触れています。>

・今作の本当の価値は、ある一定以上の年齢にならないと分からないのかもしれない。
だが、私は身体中に管を通され、自らの意思も認められず、只、ベッドで死を待つ現代日本では普通になりつつある最期は遂げたくはない。
 故に、隔絶した森に棲み、部屋にはいつでも死ねるように、青酸カリの瓶を置き暮らす、彼らの生き方、死に方を否定したくはない。

・長年、施設に閉じこめられてきたジェルトルード/マリー・デネージュ(アンドレ・ラシャペル)が彼らの元に、遣って来てチャーリー(ジルベール・シコット)と身体を重ねるシーンの美しさ。
アンドレ・ラシャペルという女優さんは資料によると、”ケベックのカトリーヌ・ドヌーブ)と言われていた女優さんだそうだが、実に稚気ある美しさを発揮している。
彼女は、この森に来たことで、愛を得て、再生したのである。

・一方、テッド・ボイチョク(ケネス・ウェルシュ)は、前半で亡くなってしまうが、素晴らしい絵を遺したし、トム(レミー・ジラール)も自分の死期を悟り、自分自身で穴を掘り、愛犬と青酸カリを仰ぎ、最期を遂げる。
ー このシーンは衝撃的ではあるが、上記に記した通り、トムの行為を私は支持する。ー

<日本でも、近年高年齢化が進む中、”老いと死”をテーマにした映画が、毎週の様に上映されるが、今作はカナダの”世捨て人”の男女の生き方、死に方は観る側に深い余韻とともに、人として死ぬとはいかなることかを、語りかけてくる作品であると思う。>

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NOBU