やすらぎの森
劇場公開日:2021年5月21日
解説
カナダ・ケベック州の深い森で静かに暮らす年老いた世捨て人たちの姿を描いた人間ドラマ。カナダ・ケベック州、人里離れた深い森にある湖のほとり。その場所にたたずむ小屋で、それぞれの理由で社会に背を向けて世捨て人となった年老いた3人の男性が愛犬たちと一緒に静かな暮らしを営んでいた。そんな彼らの前に、思いがけない来訪者が現れる。ジェルトルードという80歳の女性は、少女時代の不当な措置により精神科療養所に入れられ、60年以上も外界と隔絶した生活を強いられていた。世捨て人たちに受け入れられたジェルトルードはマリー・デネージュという新たな名前で第二の人生を踏み出した。日に日に活力を取り戻した彼女と彼らの穏やかな生活。しかし、そんな森の日常を揺るがす緊急事態が巻き起こり、彼らは重大な決断を迫られるようになる。監督は本作が3本目の長編劇映画となるケベック出身のルイーズ・アルシャンポー。
2019年製作/126分/G/カナダ
原題:Il pleuvait des oiseaux
配給:エスパース・サロウ
スタッフ・キャスト
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本作は、深い森に囲まれた湖の映像とともに始まる。そこに身を浸し、気持ちよさそうに泳ぐ年老いた男たち。彼らの誰もが現代社会に別れを告げつつ今を穏やかに生きていることを思うと、ここは実在する天国なのかもしれない。だが、現実のものである以上、平穏も長くは続かない。そのカウントダウンが、さながらこの世の終わりのように思えるのは何故だろうか。本作の最大の特質は、自然がもたらす静謐な日々と共に、数十年前に起こった悲劇的な森林火災の記憶が随所に挟み込まれるところ。焼けた鳥たちが空から無数に落ちてくる逸話も不気味だし、ずっと施設暮らしを余儀なくされた老婆の半生も影を落とす。そんな中で、ある者は死の香りに身を浸し、またある者は生への意欲を湧き上がらせーーーー。物語の展開はどこか漠然としているものの、ケベックが舞台なだけあり、既存の宗教や死生観をこえて目の前の大自然こそを畏怖し信仰するかのような境地が新鮮だ。
2022年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
■人里離れた深い森で暮らす年老いた3人の男たち。
それぞれの理由で世捨て人となった彼らのもとに、80歳の女性・ジェルトルードが訪れる。
精神科療養所に入れられ、60年以上も外界と隔絶した生活を強いられてきた彼女は、この地で新たな人生を踏みだすが…。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・今作の本当の価値は、ある一定以上の年齢にならないと分からないのかもしれない。
だが、私は身体中に管を通され、自らの意思も認められず、只、ベッドで死を待つ現代日本では普通になりつつある最期は遂げたくはない。
故に、隔絶した森に棲み、部屋にはいつでも死ねるように、青酸カリの瓶を置き暮らす、彼らの生き方、死に方を否定したくはない。
・長年、施設に閉じこめられてきたジェルトルード/マリー・デネージュ(アンドレ・ラシャペル)が彼らの元に、遣って来てチャーリー(ジルベール・シコット)と身体を重ねるシーンの美しさ。
アンドレ・ラシャペルという女優さんは資料によると、”ケベックのカトリーヌ・ドヌーブ)と言われていた女優さんだそうだが、実に稚気ある美しさを発揮している。
彼女は、この森に来たことで、愛を得て、再生したのである。
・一方、テッド・ボイチョク(ケネス・ウェルシュ)は、前半で亡くなってしまうが、素晴らしい絵を遺したし、トム(レミー・ジラール)も自分の死期を悟り、自分自身で穴を掘り、愛犬と青酸カリを仰ぎ、最期を遂げる。
ー このシーンは衝撃的ではあるが、上記に記した通り、トムの行為を私は支持する。ー
<日本でも、近年高年齢化が進む中、”老いと死”をテーマにした映画が、毎週の様に上映されるが、今作はカナダの”世捨て人”の男女の生き方、死に方は観る側に深い余韻とともに、人として死ぬとはいかなることかを、語りかけてくる作品であると思う。>
2022年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
カナダの森の奥に、世間から隠れるように暮らす老人たちがいた。
自然に囲まれ、自分の好きなスピードで生きていける空間が心地よかった。
しかし山火事が彼らを追い込んでいく。
歳を取るとスピードが合わなくなってくるので、ゆったりと暮らしたいものだ。
2021年7月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
シネスイッチ銀座さんでロングランしているので気になって鑑賞です。
前情報ゼロで観ました。まさか、こんな話だったとは。森の中で、老人達が余生を過ごすハートウォーミングストーリーかと思ってたら。大違いでした。死生観を描く作品、最近多いですねー。価値観が変わりつつあるのかな?
価値観、考え方、選択肢の多様化がどんどん進んでいきますね。それは文明が進み、いろんなことが実現できるようになるからかもしれません。人間は生きている限り、さまざまな欲望を満たそうとしますよね。(欲から脱却されている方もいらっしゃるでしょうが)そして、最後のの欲望とは人生の終わらせ方なのかな?
生きがいを見出す=継続した欲望の連鎖・・・だと思います。欲望、希望があるから生きる。それがなくなったら最後の欲望として人生の幕をおろしたくなるのかな?辛さからの脱却っていう理由もあるのかもしれません。
本作は、何種類かの余生を描きます。まさに生き甲斐をどこにおくか?生き切るとはなんだ?を突きつけるような作品です。貴方はどれ?どれになりそう?って。
世を捨てようにも近寄る現実からは逃げられないのでしょう。いつか判断しないと。ある事象でうまく例えてる気がしました。人間は十人十色。それぞれにドラマが物語があるとおもいます。ですから正解はないのでしょう。
ただ、ケベックのおおらかで豊かな光景を見てると小さな人間のあーしたいこーしたいなんて、荒らされた畑なんて自然の中では大した話じゃないのかも?
なんか、精一杯生きるかな!なんて思ったり。
あー、なんか考えちゃうなー、観たら。
あ、どんな事情があっても道連れはダメ!反対!人形にしなさい。その描写は最大のエゴの象徴。大減点。あの感覚だけは全く理解できない。