SNS 少女たちの10日間
劇場公開日:2021年4月23日
解説
成人女性が未成年という設定のもとSNSへ登録すると、どういったことが起こるかを検証したドキュメンタリー。巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋に、幼い顔立ちの18歳以上の3人の女優が集められた。彼女たちは12歳の女子という設定のもと、SNSで友達募集をする。その結果、彼女たちにコンタクトをしてきたのは、2458人もの成人男性だった。精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家による万全のケアのもと、撮影は10日間にわたり続けられた。撮影されているとは気付かず、何も知らずに卑劣な誘いを仕掛ける男たち。彼らの未成年に対する容赦ない欲望の行動は徐々にエスカレートしていく。監督は、チェコで活躍するドキュメンタリー作家のビート・クルサークとバーラ・ハルポバー。
2020年製作/104分/R15+/チェコ
原題:V siti
配給:ハーク
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る

- ×

※無料トライアル登録で、映画チケットを1枚発行できる1,500ポイントをプレゼント。
ネタバレ! クリックして本文を読む
もちろん企画自体の意義はあると思う。まったくダメなドキュメンタリーとは言わないが、ただ作りをての姿勢には疑念が拭えない部分がある。というのも、このドキュメンタリーが、ネット上の子供たちへのセクハラ問題を扱いつつ、問題を掘り下げる気があるようには思えないから。
これだけの仕掛けを作っておいて、作り手は何をしたかったのか。クソみたいな大人たちが子供たちに群がってくるという現実を可視化することはできた。ただ、それも知ってる人にはもはやおなじみのクソでしかない。じゃあ、彼らの闇は何なのかでも、なぜこういう自体を止められないのかでも、子供たちをどうやって守ればいいのかでもなく、この作品の作り手は、クソどもを見つけ出して晒すという“おしおき”以上のことを考えていないように見えてしまう。
子供に群がる連中の行為を、本作ははっきりと犯罪であると説明している。じゃあ、犯罪者どもを見つけて警察が捕まえれば解決する問題なのか? いや、むしろ一線を越えなくても、ここで晒されている性犯罪者たちの嗜好にどこか惹かれてしまう人間(主に男性)は絶対にいて、男性側としてはその心の奥底に潜むものこそ探ってほしかった。常に正義の側に立っているという作り手の意識が、作品として物足りないものにしてしまった感は否めないと思っている。
2021年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
「ドキュメンタリーは嘘をつく」という著書があるが、このドキュメンタリー映画は文字通り嘘をついて、犯罪をあぶり出すという手法を使っている。その著書の言う嘘はこの映画の手法とはちょっと違うことを指しているが。
童顔に見える成人俳優に12歳の少女を演じてもらい、SNSでアカウントを作成。すると性的メッセージを送りつけてくる男性が後をたたない。自分の性器の写真や自慰行為の動画を送りつけてくる初老の男性やら、一体なにを考えているのかと言いたくなる連中がわんさか出てくる。
作り手はこの犯罪を、だまし討ちのような語りであぶり出している。だが、それを隠していない点は誠実と言えるかもしれない。手法の不誠実さも明らかにした上で観客に問う選択をしたのは潔い。
作中に専門家の重要な指摘がある。「小児性愛者の特徴と合致しない」だ。これは性欲よりも支配欲に近いのではないか。相手をコントロールする欲望のはけ口として未成年が選ばれているのではないか、という点を忘れないように本作を鑑賞すべきだ。
2023年5月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
「幼い性」が欲望の対象になり傷付く子供たちがいる。
その事実が重い。
チェコの映画クルーが、
少女3人のプロフィールに12歳と書き(実際は18歳以上の女優)
SNSに登録する。
撒き餌に飛びついた男たちが、瞬時に16人。
その男たちの実態を晒して暴いた映画。
女の子の可愛らしい私室空間に入った男たちは、
ある者は顔を見ただけで興奮して
裸になって○○を見せたり、マスをかいたりし始める。
このオーディションで選ばれた女の子たちは、女優志望なのだが、
スタッフは彼女たちの親から了承を得てこの撮影に臨んでいるのだろうか?
彼女たちは「好奇心がある」と打ち明ける。
アクセスしてきた男性は2500人以上。
中には悪質な相手がいて、幼い少女の画像を送ってきた。
ぼやけていても、酷いことは分かった。
この映像に「やらせ」はないのか?と少し考えた。
ラストで少女3人はコンタクトして来た何人かと会うことになる。
ガールフレンドを連れてきて3Pを提案した男には驚きを通り越して、
呆れた。
少女の1人が、裸の写真を拡散させた男にジュースをぶち撒けて、
怒りをぶつける。
可愛らしい子犬が椅子に掛けた男のジャケットにオシッコを
ひっかけて、澄ました顔(?)で退出する。
そして男たちと会う前に、たった1人まともな男の人がいた。
顔出しのイケ面で、少女ことを本気で気遣ってくれる。
思わず感動で涙する少女。
それほどこの10日間の経験は辛いものだった。
見たくない醜悪な映像に触れて彼女たちのメンタルは大丈夫だろうか?
最後にチェコ警察が捜査に乗り出したとテロップが入る。
実際に摘発されて裁判になった者もいたそうだ。
子供が簡単にアクセスするSNSの危険性の実態を目に見える形で
「問題提起」した意義はそれなりにあったと思う。
徹底した現場に安心しながら観られた。
(とはいえ、子供役した女性も若いとは思う)
胸糞悪い展開が続くし、
本当に男性への印象が変わる、と思う。
ネット社会が悪いのかと言えばそうではないし、
やはり一人一人の価値観をアップデートするしかない。
今作に出てきた人間は一律逮捕でしょ。
唯一純心がいた、って感じで感動してたけど、
いや分かるけど、あいつも子供と連絡取ってるんだよな??と思うと不安は拭いきれない。
しかし、ネットの使用を制限するのは違う。
変わるのは少女たちでは無い。
男たちだ。
ただ、溜飲が下がる訳ではないので、
モヤモヤが残る。
それも、この現代を生きる上での課題だ。