劇場公開日 2021年4月23日

SNS 少女たちの10日間 : 特集

2021年6月4日更新

幼い顔立ちの女性が、未成年の設定でSNS投稿…
児童への“性的搾取”の実態が暴かれる おぞましい男達
から子供をいかに守る? 大問題作、衝撃ドキュメント

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月会費なしで、ご自宅で“気になっていたあの映画”をいち早く鑑賞できるVODサービス「シネマ映画.com」。本日6月4日から「SNS 少女たちの10日間」の独占先行配信がスタートしました。

予告編が披露されるや、その壮絶な内容が日本のネット上を騒然とさせたチェコのドキュメンタリー。6月4日~24日の期間、本作がVODで見られるのはシネマ映画.comだけです。

成人女性が未成年という設定のもとSNSへ登録すると、どういったことが起こるかを検証。児童への性的搾取の実態を捉えた証拠として、本国チェコでは警察が刑事手続きのために映像を要求したり、小学校の性教育カリキュラムが変更されるなど、社会に大きな衝撃を与えました。

おぞましい映像が繰り広げられますが、すべてれっきとした事実。あらゆる人々が交流できるようになったネット社会で、子供たちを性犯罪から守るにはどうすべきか……誰もが考えさせられる衝撃の問題作、ぜひこの機会にご鑑賞ください。

この記事では、本作の見どころを映画.comスタッフが座談会形式で語ります。


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「SNS 少女たちの10日間」(2020年/バーラ・ハルポバー、ビート・クルサーク監督/104分/R15+/チェコ)

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<あらすじ>

巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋に、幼い顔立ちの18歳以上の3人の女優が集められた。彼女たちは12歳の女子という設定のもと、SNSで友達募集をする。

その結果、彼女たちにコンタクトをしてきたのは、2458人もの成人男性だった。精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家による万全のケアのもと、撮影は10日間にわたり続けられた。撮影されているとは気付かず、何も知らずに卑劣な誘いを仕掛ける男たち。彼らの未成年に対する容赦ない欲望の行動は徐々にエスカレートしていく――。


座談会参加メンバー

駒井尚文(映画.com編集長)、和田隆、荒木理絵、今田カミーユ


駒井尚文編集長 これはもう、徹頭徹尾、不愉快な映画ですよね。

和田隆 高校生の娘がいる立場としては、とても心苦しく、見ていられないくらいSNS上の現実を目撃した感じです……(汗)。

荒木理絵 私が子供の頃がちょうどチャットなどが流行しだした時代で、ああいう被害に遭っている子はいました。

駒井編集長 海外の映画祭で、アフリカの貧困少女たちが、アメリカのオッサン相手にSkypeでエアー売春する映画を見たことがあります。まあ、ネットで一番見られているコンテンツは断トツでポルノですから。しかし、この映画のオッサンたちは相当たち悪い。

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和田 男たちの顔のぼかし方が恐ろしく、目や口だけでも異常な感じが伝わってきましたね。

今田カミーユ 監督は、あえて目や口を出したそうです。しかもすべて手作業でのモザイク処理だったそうです。

駒井編集長 あのモザイク処理がまた変態っぽさを増幅してて秀逸!

●自分や、大切な人が同じ被害にあわないために…“おぞましさの向こう”にある“学び”とは

荒木 ものすごくリアルにグロテスクに、男たちを描いてますよね。その一方で、精神科医、弁護士など「少女」を演じる女性たちをフルパワーでサポートする体制、すごく考えられているなあと思いました。

今田 女優たちは演じていて精神的に辛いということよりは、ああいうことをする男性たちの心理を知りたくなったとカウンセラーに相談したらしいです。

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駒井編集長 これ、どこの国でやっても同じ事になりそうな気がするよね。

荒木 世界中にああいう被害を受けている子供たちがいるでしょうね。変態側には、一生癒えない傷を負わせている自覚がないんですよ……。

駒井編集長 これは、学校の授業で生徒たちに見せて、間違った対応しないように教えた方がいいよね。父兄にも見せた方がいい。

荒木 信じがたい性犯罪者はお隣にいるんだと、これを見ればわかると思います。

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●本編で示唆される“一番ヤバいタイプの変態”

今田 近頃は恋愛弱者、性的弱者なんていう言葉もあって、犯罪行為という自覚なくアクセスした男性もいるかもしれませんが、もっと立場の弱い子供をターゲットにする図式が地獄だなと思いました。あと、私は、後半の若い男性の登場、あれは美談にしちゃいけない気がします。そもそもあなたも12歳と話したくてアクセスしたんだよね?って。

荒木 そこは私も引っかかりました!

駒井編集長 鋭い!その発想はなかった。

和田 なるほど!

今田 性欲全開でアクセスしてくる人より、賢いあの人が一番ヤバいタイプかもしれません。

荒木 頭の良い変態が一番厄介ですからね……。

今田 聖職者や教師が性的な不祥事を起こしてニュースになることもありますから。

駒井編集長 ネット上に証拠を残さない、ずる賢いタイプ。あと、変態行為を働いたオッサンが、リアルに警察から捜査されてるのも凄いなって。SNSをネットポリスが巡回するような未来がやって来るかも知れないなって思いましたね。

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●製作体制がかなり“意外” 女性たちが危険な実験を貫徹できた理由もここに

和田 ドキュメンタリー映画としては、よくここまで手の込んだ検証をしたなと感心しますが、どうしても男たちに対して、マイケル・ムーア監督作品ほど突っ込み切れないところもあり、もどかしく感じたのは私だけでしょうか?

荒木 そうですね。結局犯罪者たちを集めるだけ集めただけで実際どう着地したのかわからないですもんね。

駒井編集長 この映画は、監督が2人いて片方が女性で、その女性の方がイニシアチブを握っているんだと思いました。

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駒井編集長 監督に取材した今田さん、いかがでしょうか?

今田 男性のビート・クルサーク監督お話を伺ったところ、彼の方が役割分担は大きそうでした。自分自身はああいう変態でなくても、男性性としての自己反省のようなことも仰ってました。ただ、あそこまで女の子たちが現場を信頼して演じられたのは、女性監督がいたからだと思います。

駒井編集長 ですよね。スタッフがかなり組織的に女子たちをサポートしていましたよね。

今田 同性愛者のスタッフも参加し、現場はとてもフラットな視点で作られたそうです。

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●後半の展開は驚愕「どういう思考回路してんだ」

駒井編集長 いずれにしても、今年上半期最大の問題作ってことでいいと思います。

和田 劇場では4月23日に公開されたばかりですが、ネット上の若い人たちに刺さる映画でしょうか?

駒井編集長 ネットに詳しい人ほど、ビシビシ刺さる映画だと思います。胸くそ悪いけど、他人にも見て欲しい、この胸くそ悪さを共感したいという、不思議な映画だと思います。

今田 映画館の大画面で見るのはしんどい描写もあるので、ネットで見るのにとても適していると思います。あと、駒井さんが映画評で書かれてましたが、あの音楽の使い方は絶妙ですよね。耳から離れません……。

駒井編集長 エンディングのアレンジ最高でした。Skypeをよく使う人じゃないと分からない。日本人はSkypeあまり使わないから、たぶん気がつかないでしょうが、締めは素晴らしかったです。鳥肌立った。ネットを扱った映画って、配信向きですよね「search サーチ」もそうだし「アンフレンデッド」なんかもそうですね。

荒木 私の兄は劇場で見てぐったりしてましたw。ネットで見るとまた趣が違いますね。ネット上の犯罪の話なので。

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和田 後半、実際に会う展開がありましたが、ネット上の画面とは違って、男によっては弱々しく、怯えて不安を抱えたような者もいました。やっぱりリアル恋愛ができないからなのでしょうかね。

駒井編集長 エンドロールで数字が出てましたけど、彼女たち、男たちと実際に会ってますよね。相当の回数。

荒木 そうですね。会いに来る人たちも様々で、まさかの男女で来てゴリゴリ詰め寄る感じの人、脅迫まがいの人、弱々しく逃げ腰の人もいて、興味深かったです。「決めるのは君だ」って、12歳に迫る爺さんは、見ていてツラかったですね……。

駒井編集長 「ベニスに死す」とか思い出してましたよ。

今田 実際会いに来た男性たちはもちろんですが、私は男女カップルに特に腹が立ちましたね。同じ女性なのに、女の子をセックストイとしてしか見ていない。

荒木 まさかの同性ですもんね。どういう思考回路してるんだか驚愕ですよ。基本的に全員、子供たちを消費コンテンツとしか見てないんですよね。自分が制御できそうな弱い存在だから。最後に男の子も気を付けて!ってテロップ出てましたけど、ほんとその通り。

駒井編集長 リアルのところは、だいたい盗撮してましたけど、画像ボカすからって、盗撮を映画にしちゃって大丈夫なのかは気になりました。

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●本国チェコに与えた衝撃… 本作きっかけで教育カリキュラムが“変革”

和田 今回出演して頑張った3人の女性たちには、女優としての未来が拓かれるといいですが。

駒井編集長 まあ、本国ではこの映画大ヒットしたみたいですからね。彼女たちももう有名人でしょう。

今田 この映画でチェコという国についても興味が湧きました。最近だと「異端の鳥」もですし、尖った作品が多い印象です。

駒井編集長 チェコに旅行で行って、あのSNSの映画見たよって言ったら、速攻で議論に発展しそう。

和田 子どものネット利用を親が制御し切れていない状況の説明が冒頭にありましたね。

荒木 社会的になにか動きはあったのでしょうか。かなりセンセーショナルだと思うんですけど。ほんと学校教育の一環にしてほしいくらい。

今田 この映画を見たチェコの(日本でいうところの)文部省では「カリキュラムを変更し、性教育を小学校3年生から取り入れ、オンライン環境でどのように扱うかも含める」と、監督がインタビューで仰ってました。性的なものをむやみやたらに隠すのではなく、本当にきちんとした性教育が必要だと思います。

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和田 私が中学の頃は学校で映画を見に行くことがありましたが、その1本として学年やクラスで見せられるといいと思いました。

駒井編集長 学校もそうですが、例えば免許の更新の時の教習でついでに見せるといいかなって思いました。親に見せた方がいいですからね。

荒木 そうですね、最低限身につけておくべきインターネットリテラシーの一環だと思います。SNSいじめなどもそうですが、子供の生死にかかわる問題ですからね。

和田 オンライン授業やリモートワークの一環で、オンラインで学校や企業がこの作品を推奨して広く見てもらえるといいですね。

駒井編集長 ステイホームなので、SNSの利用も増えていると思いますが、この映画を見て、SNSとのつき合い方を見直してもらえるといいですね。

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