ファーザーのレビュー・感想・評価
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認知症目線という斬新、かつ涙目。
今年の アカデミー主演男優賞 受賞した
アンソニーホプキンス 主演
名演技というカテゴリーを完全に超えた。
単なる 認知症 の話ではない。
映画全体が “認知症目線” で進む。
だから記憶と展開が崩壊。
体験した事ありますか?
一歩間違えばタイムリープSFですよ。
誰にも話が伝わらなく
聞いた事と違うんです。
こんな辛さは無い。
私の父も6年前に亡くなり最後は認知症だった。
伝わらない地獄だったんだなと。
父を思い出して泣いたがそれは悲しさではなく辛さの涙。
「さ迷い、失い行く」を体験する
正直、和解と許しの物語か、と勝手に想像していた。
だが期待を裏切るストーリーは、
ヘタなホラーよりも格段に恐ろしく、
ヘタなサスペンスよりも格段にハラハラさせられる。仕上がりだ
おかげで何が事実で何が虚構か。
誰が誰で、いつ、どこなのか。
ときおり見せつけられる現実に、観客は主人公と同じ体験を強いられ、
恐怖と混乱と絶望に陥れられる。
唐突に始まる物語は舞台劇のようで、さほどシーンに切り変わりもなく、
派手さなどもってのほかだ。
だが上記のようなミスリードでたたみかけられると、もう勘弁してください
というほかない。
主人公のような人物像はよく、第三者目線で描かれるが、
これは当事者目線の物語である。
物語として一貫性を欠くにもかかわらず、起承転結が整い
観客を置いてゆくことのないシナリオ構成は圧巻。
もちろん主演、アンソニー・ホプキンズの演技も抜群で、
まだ見たことのなかった世界観があったのか、と唸らされる仕上がりだった。
そしてそこはかとなく切ない。
正しく認知できなくなった時の、人の「尊厳」についても痛いほど考えさせられる。
ラストもあそこで切れるなどと、魂レベルでえぐられた。
老いの不安、悲しみを描いた名作
認知症の父親と、彼の世話をする娘のやり取りを中心に、老いの不安と悲しみ、周囲の困惑と辛さを丁寧な展開で描く。脚本がとても良くできていて、それを演技力の非常に高い俳優さんが演じているので、リアリティーがあり過ぎて、観ている方も双方に感情移入してしまって辛くなってしまいました。
年齢をとって、身体だけでなく記憶力や判断力も衰えてしまい、自分が自分でないように感じられ、周囲からも邪魔にされ、重荷に感じられているのだろう、見捨てられてしまうのじゃないかと不安になって、疑心暗鬼になり、悪い妄想に苛まれる気持ち、とてもよくわかりました。自分の親や自分自身にも、いつかそういう時が訪れるのだろうと思うと、誰にとっても他人事とは思えない映画だと思います。
私の父も認知症だったので、最後の方は娘の私のことも誰なのかわからなくなってしまったけれど、性格的にすごく素直で穏やかで、人を疑うようなことは全くなかったので、幸い映画の娘のような苦労は私にはありませんでした。
4回目の緊急事態宣言が発表された週末の日曜午後に、池袋のシネマロサという昭和レトロ感漂う映画館で観ましたが、映画を観に来ていた観客の多くが、20-30代ぐらいの若者だったことに、少し驚きました。
認知症側の世界
何よりアンソニーホプキンスの演技が素晴らしかった。
認知症の世界がよく描かれており、観ながら自分もそれを体験しているかのようだった。
派手なアクションもなく、単調なシーンも多そうなのに、飽きることなくあっという間に終わった。
観て良かったと思う。
メンタルにきた
予告編やパンフレットのイメージで、認知症を患う父と娘の感動大作かと思って観てしまい、衝撃を受けました。素晴らしい映画体験だったけれどメンタルがやられました。そして、高齢の両親に見せたくないと思ってしまった…。
かなり怖い。ラストおじいちゃん可哀想。
認知症により、パーソナルリアルと現実世界が乖離して崩壊する話。アンソニー・ホプキンスの演技が光り、主人公に感情移入してしまう。二回観てもよいかもしれない。年をとるとああなるのかという、恐怖を味わえる。福祉は大事だな。
名優ホプキンス
ホプキンスの一人芝居を観ていたかのようでした。
重く、散漫とした印象になりそうな話を彼の演技が説得力のあるものにしています。
脚本が素晴らしい。
認知症の人の頭の中はこんなふうになっているのか、と体感させてくれます。
斬新な演出?
いわゆる痴呆症の人の演技は、たくさん観ている気がするけど、痴呆症の人の一人称の視点は、なかなかないのでは?
最後まで、どうなってるんだろう?と理解できませんでしたが、痴呆症の人は、常にこんな感じなんだろうね…。変な意味で、よく理解できました。そういう意味で、よく出来た映画だと思いました。もう一度観ると、さらに評価があがるかも?
恐ろしい映画だった。
そんじょそこらのホラー映画なんか目じゃない。認知症を患う81歳の男の話しである。そして視点は患者。頭の中に過去と現実が蜘蛛の糸にからめとられてしまう。その混沌は足掻くほどに心身を疲弊させていく。おまけに死神からの招待状は届かない。既に老人ホームに入ってしまっている状況からの彼の独白のようだ。認知症は患者にとっては醜い現実から逃れることを可能にする病ではない。人間の意識は実に恐ろしいと痛感してしまった。しかし救われたのはラストシーンに映し出された木々の葉っぱやそこにそよぐ風だ。人も自然のなかのひとつなのだと…だから、どうと言うことはない。辛くなったら木々の騒めきを心耳で聞いてみることにしよう。
タイトルなし
人の認知とはかくも危うい。様々な人と出来事が言っては来たり、それをなんとかお話にまとめて、我々は日常を保っている。/『カメラを止めるな』的伏線回収劇でもあるが、回収仕切った末の寂寥感はなんとも言えない。
20210627追記。翌日もう一度見に行く。これは、娘との別離譚になっているのもいい。自分の意志で離れていく人、アクシデントで離れていく人。今度は自分が腕時計を見て旅立つ番。
「わからない」ことの怖さ
今年71本目(合計136本目)。 ※70本目と71本目は鑑賞日が違います。
さて、こちら。大阪市ではコロナ事情で、遅れ放映で、他に押している状況ですでに放映回数も少なめになっている状況。
多くの方が書かれている通り、認知症を患った父親目線でのお話。そのため、ストーリーは「その意味で」支離滅裂で、また、その認知症をケアする家族や関係者から見た目線でも、「その意味でも」支離滅裂です。認知症そのものは今では多くの方が知っているメジャーな病気ですが、それが進むと、本当に手の付けられない状況になります。とはいえ、だからといって、そうなったら老人施設か何かに入れておけばいいのかというと、それもまた考え方は分かれます。施設で見てもらう分には、設備の整った専門の方のケアが受けられますが、余命が短いことがわかっている場合、あえて施設に頼らず、家族と最低限の外部のケア(看護師さんとか、ヘルパーさんとか)だけで余命を…ということも考えられるからです。
この映画は、「この意味において」理解が難しい内容です。ただ、その趣旨は、当然「認知症になると、本人や家族はどうなるのか」という問題提起にある点は明らかで、ストーリーの中でもその点、支離滅裂になる点は前提とした上で、理解不能にならないようにケアが入っています。
特に減点材料とするべき点もないので、フルスコアにしました。
実際、認知症を患っても、イギリスにお住まいとの設定で、「言語が支離滅裂になる」ということはないのですね(単語を忘れる、同じような文の言い回しになる、といったことは想定可能な設定だが、それが読み取れる内容は一切出てこない。むしろ、この点に限っていえば、「認知症を患っても、国語能力は残る(場合がある)どころか、何らの衰えもなく議論するほどに会話が可能」という例で(もっとも、実話ものでもないようですが)、その点は理解できるので(言語といったことは、日常生活で使うことなので、衰えても全く使えないということは起きにくいが、簡単な算数や理科でも、日常使わないものになると、やっぱりわからない、ということは容易に想定可能)、特に気にしませんでした(むしろ、言語関係は衰えない(場合がある)」という描写は、誤った知識を植え付けないようにしている点で評価しました(おそらく、この点は何らか監修を受けているのだと思います)。
自分という概念の喪失。
終始大混乱で鑑賞。ほぼ頭の中がぐちゃぐちゃでした。誰が実在の人物で誰がアンソニーの見ている幻覚なのか。誰の言葉が真実で誰の言葉が妄想なのか。その答えが見つからないまま時間だけが過ぎてゆく。まさにアンソニー同様今、何時だ?と聞きたくなってしまうような気分だった。
そしてこの何が何だか訳が分からない感覚こそが最大のテーマであり見所でもある。認知症を発症したアンソニーの視点から描かれる日々を私たち観客も疑似体験することになる。
壁に飾られた絵画。盗まれた腕時計。繰り返される出来事。噛み合わない娘アンとの会話。何かがおかしい。でも何がおかしいのか分からない。認知症は劇的に改善することはない。それ故そちら側の世界の詳細を体験者から知ることはできない。それなのにこの妙にリアルな体験はなんだろう。
父親の変化を何とか理解しなくてはともがくアン。その葛藤や絶望感はいつの日か私自身が抱える問題かもしれない。更に言えば自分が認知症にならないなんて言い切ることは誰にもできない。
自分という概念の喪失。これ以上の恐怖はこの世にないかもしれない。
アンソニーの涙
個人評価:3.7
万引き家族の安藤サクラの泣きの演技に世界は驚かされた。それを彷彿するかの様に、御年83歳のアンソニー・ホプキンスの涙の演技に心揺さぶられ、悲しく切なくなる。2度目のオスカーも納得な名演である。
こういった作品は、介護する家族の大変さを描きがちだが、本作は老いによる喪失を本人視点で描いている為、日常が心落ち着かないサスペンスの様な出来事に囲まれ、記憶を失う恐怖と違和感を見る側が体験する事ができる。サスペンスの様な演出だったが、稀有な作品と感じる。
自分や家族、身近な人とのこれからを考える作品
認知症や福祉などをテーマに扱った作品は珍しくはないと思うが
認知症の父からの目線で描かれているというところが独特。
最初は、まさに支離滅裂という感じで
少し混乱するが、父の目線だということを理解できると
非常に物語に引き込まれていった。
自分が認知症になったらこんな感じになるのだろうか……?
と、自分ごとのように捉えてしまう。
介護をする子供の感情や葛藤も繊細に丁寧に描かれていて非常に考えさせられる作品
親の視点でも、子供の視点でもどちらにも感情移入してしまう作りが秀逸だった。
誰もが、どの立場にでもなりうるという点で
身近な人についてや、将来について考えさせられる作品だと思う。
「わからない」ことはホラー
「わからない」って言うのは本当に怖い。この映画は、認知症を患った本人の視点で描かれているため、見ている私たちも彼の立場で体験することになる。本当に訳がわからない。誰?どこ?何が起こっている?今何時?全部わからない。そりゃパニックになるよ…。自分の大切な人が患ったとき、本人の辛さを理解してあげられる人になりたい。
目を覆ってしまったことに後悔…認知症のもどかしさを淡々と描く良作
映画を観ていると、いつも正解を探してしまう。どうも分からなかった気でいたのだが、あの混沌こそ一つの答えだと気づいた時、この作品の真髄を知ることになる。
認知症の父と介抱する娘。次第にこじれていった関係は元に戻せなさそうだ。そこを取り繕う奇跡の話でもなければ、非情なサスペンスを描くわけでもない。そう、ただ老いていく父を無情にも噛みしめるしかないのだ。しかし、この作品が一線を画しているのは、父の目線が自然な形で入ってくるということだ。そこに見る混乱こそ、認知症の父の視点であり、認知症の恐怖である。単なる頑固おやじなら話はこじれないだろう。「自分はしっかりしている、大丈夫」と思い込める世界が広がっているから怖いのである。まだ大学生である故、痛みから逃げることが出来るから、そうハマらなかったのかもしれないが、その事実に目を覆ってしまえたからハマらなかった気がする。目をつむるのはいつだって簡単。これは反省だ…。
とにかく認知症の恐怖がそこにある。蝕むような。しっかりしていた人でもこうなるのだから、認知症がいかに恐ろしいか分かる1本。
あなたは見たレビューを半分覚えている
タイトルがなんかマフィアっぽいと思ったが全くそうではない。
痴呆症の父を描きつつ、同時に父の視点でも物語が流れていく、なかなか構成の面白い作品。良作ではないだろうか。
良い点
・演技
・軽くコミカルでもある
悪い点
・もっとオチがほしい
全258件中、121~140件目を表示