少年の君

劇場公開日:

少年の君

解説

「七月と安生」など監督としても高く評価される香港出身の俳優デレク・ツァンがメガホンをとった青春映画。進学校に通う高校3年生の少女チェン・ニェンは、大学入試を控え殺伐とした校内で、ひたすら参考書に向かい息を潜めて日々をやり過ごしていた。しかし、同級生がいじめを苦に飛び降り自殺を遂げ、チェン・ニェンが新たないじめの標的になってしまう。彼女の学費のため犯罪まがいの商売をしている母親以外に身寄りはなく、頼る人もいない。そんなある日、下校途中の彼女は集団暴行を受けている少年を目撃し、その少年シャオベイをとっさに救う。優等生と不良という対極的な存在でありながらも、それぞれ孤独を抱える2人は次第に心を通わせていく。「サンザシの樹の下で」のチョウ・ドンユィがチェン・ニェン、アイドルグループ「TFBOYS」のイー・ヤンチェンシーがシャオベイを演じた。第39回香港電影金像奨で作品賞、監督賞、主演女優賞など8部門を受賞。第93回アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネート。

2019年製作/135分/G/中国・香港合作
原題:Better Days
配給:クロックワークス
劇場公開日:2021年7月16日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第93回 アカデミー賞(2021年)

ノミネート

国際長編映画賞  
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映画評論

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(C)2019 Shooting Pictures Ltd., China (Shenzhen) Wit Media. Co., Ltd., Tianjin XIRON Entertainment Co., Ltd., We Pictures Ltd., Kashi J.Q. Culture and Media Company Limited, The Alliance of Gods Pictures (Tianjin) Co., Ltd., Shanghai Alibaba Pictures Co., Ltd., Tianjin Maoyan Weying Media Co., Ltd., Lianray Pictures, Local Entertainment, Yunyan Pictures, Beijing Jin Yi Jia Yi Film Distribution Co., Ltd., Dadi Century (Beijing) Co., Ltd., Zhejiang Hengdian Films Co., Ltd., Fat Kids Production, Goodfellas Pictures Limited. ALL Rights reserved.

映画レビュー

4.5深刻な題材の向こうに重厚なドラマが浮かび上がる

2021年7月29日
PCから投稿

正直、魂を射抜かれたような気持ちだ。本作はいじめ問題や受験戦争、親の出稼ぎ、孤立を深める子供達などの深刻な題材を丁寧に折り重ね、その絶望の縁で絆を深める二人の主人公にグッとカメラを寄せていく。彼らは一般的に見ると、片やエリート志望の高校生、片や人生の道を踏み外した不良。しかしその実、神も救いもない世界を生き延びる上で、まさに出会うべくして出会った二人でもある。序盤はある種の息苦しさが物語を支配し続けるが、半分を超えると僅かながらに眩い光が刺す。それが表すのは、生やさしい希望や恋愛感情というレベルのものではなく、心の底から身を寄せ合える者を得た”やすらぎ”。おそらく彼らが人間として初めて味わった無垢なる感情に違いない。また二人をギリギリのところで社会へ繋ぎ留めようとする刑事の目線も後半になって効いてくる。シリアスな題材に身構える人も多かろうが、いざ飛び込んでみると深い感動がこみ上げる秀作だ。

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牛津厚信

4.0いじめが題材で重苦しいが、聖性さえ帯びる純愛の美しさに救われる

2021年7月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

物語の主題や重要な要素として「いじめ」を描く劇映画は、日本や韓国はもちろん欧米の作品でも少なくないが、中国ではかなり珍しいようだ。表現の規制が厳しいかの国では、たとえフィクションでも現実にある社会問題を扱う作品の公開は統治上のリスクと考えられるのか、本作が完成した2019年が中華人民共和国成立70周年にあたることもあり、当局の手続き上の理由から劇場公開が4カ月も遅らされたという。

映画は、教室で英語を教える主人公チェン・ニェンの現在の様子から始まる。「失われてしまった」というニュアンスを含む表現"used to be …"を説明しながら、彼女の視線はある女生徒に注がれる。その生徒の様子から、チェン・ニェンは自身の高校3年生の日々を思い出す…。

現在と高3時代の両方を演じるチョウ・ドンユイは1992年生まれの29歳(撮影時は26歳ぐらいか)なので、さすがに高校生パートに入ってすぐは違和感を覚えるが、幼く見える顔立ちのおかげもあってじきに気にならなくなる。

いじめの標的にされた優等生のチェン・ニェンと、夜道で集団暴行を受けていた不良少年シャオベイ。いじめの描写は重く苦しいが、孤独な魂が寄り添うように絆を深めていく2人の日々が切なく美しく、聖性さえ帯びるかのよう。

なお本作は小説の映画化だが、原作をめぐって(中国でも人気の高い)東野圭吾の代表作2作の盗作ではないかという騒動が持ち上がったという。具体的なタイトルを知ると、映画後半のミステリ要素のネタバレになりかねないので、鑑賞するつもりの方はなるべくそのあたりの周辺情報を事前に仕入れずに観るほうがいいと思う。

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高森 郁哉

4.0泣けてしまう

2024年4月16日
iPhoneアプリから投稿

冒頭の笑顔がホントに良かった

セリフが短く、キッパリとしていてあやふやなところが無い

「いじめ」が問題だが、それ以上に社会全体が容赦ない

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薫

4.0実にリアルな心情表現が素晴らしい!

2024年3月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

主演のチョウ・ドンユイの演技が凄すぎ&圧倒的でした!!

ひでぇ話だなと冒頭から重苦しい雰囲気のまま中盤まで至りますが、
中盤折り返しからの、主人公チェン・ニェンとシャオペイの
心の結びつきの強さの描き方が本当に素晴らしかった。

それもこれも、監督デレク・ツァンの手腕と思いますが、
やはりチョウ・ドンユイが魅力的に演じたからこそだと感じます。
本当に体当たりの演技ですし、表情が素晴らしいんですね。

私は『ソウルメイト 七月と安生』を先に鑑賞し、
あまりにも素晴らしかったので、本作に観るに至ったのですが、
いやぁ猛烈に感動しましたね。

これは多くの方に観てほしい作品です。
リアルタイムで劇場で観たかった。そこだけは後悔していますが、
本作に出会えて幸せです。

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ひでちゃぴん
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