ミナリのレビュー・感想・評価
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「幸せとは何か?」とある家族を通して語られる、普遍的な問い。
【賛否両論チェック】
賛:移住先で奮闘する一家の姿を通して、成功や家族、幸せといったものの本質が、自然に問いかけられていくのが印象的。
否:物語そのものは非常に淡々と進んでいくので、興味を惹かれないと眠くなってしまいそう。
良くも悪くも、とある一家のとある暮らしを、とても淡々と描いた作品です。しかしその実、彼らの生活はまさに波瀾万丈。後半は思わず、
「えー!!?」
っと思ってしまうような、非常に不条理な展開が待ち受けています。
そんな中でも、絆を決して失わない一家を通して描かれるのは、“成功とは?”“家族とは?”そして“本当の幸せとは?”といった、普遍的な問いかけです。
タイトルに込められた意味も思わず考えさせられてしまうような、そんな不思議な作品でもあります。気になった方は是非ご覧になってみて下さい。
小津映画のような小品
ストーリーは
1980年代、米国南部アーカンソー。
アーカンソーに移住した韓国人夫婦が、がむしゃらに働いて自分たちの農地を買った。学童期の娘と息子がいる。息子は先天的な心臓病で、走ったり運動することができない。夫婦は移民してきた5年間のあいだ、町でヒヨコの雌雄選別の仕事をしてきたが、やっとお金をためて念願の土地を買ったのだった。父親の望みは、自分の農地を持ち、そこで韓国野菜を作り米国在住の韓国人の間で流通させることだ。アーカンソーで韓国人はみな食べ物が自分たちの育ってきた国の食べ物と違うので苦労している。韓国人の要求に見合う作物を作れば事業として成功間違いないだろう。
大きな夢を抱いて購入した農地に家族でやってくる。草ぼうぼうの広い野原と、掘っ立て小屋。雨漏りはするし、水も十分ではない。電機はモーターの自家発電で使える時間が限られる。さっそく、何もかも気に入らない母親と大喧嘩だ。父親は、妻のために国から妻の母親を呼んでやることにする。畑仕事に明け暮れる両親に代わって、子育ては、韓国からやってきた祖母が担うことになる。そして祖母と孫たちとの交流が始まる。
というストーリー。
夫婦してヒヨコの雌雄判別作業を5年間した、ということがどんなショボいものだったか、想像できる。映画に残酷なシーンは出てこないが、卵から孵化したばかりの愛らしいヒヨコは、ずらりと並んだ移民たちの手で判別され、オスはベルトコンベアーに乗せられて、羽毛や手足など生きた姿のまま粉砕機に放り込まれて燃やされる。オスは肉が硬いので食べられないし、卵を産まないからだ。オスは孵化されても殺されるために生まれてきた。なんともやるせない。だからヒヨコの入った箱にいくらと決められたわずかなお金をためて土地を買ったときは、夫婦はどんなに嬉しかったことだろう。
ミナリとはセリのことで、水辺に育つ野草。匂いの強い、韓国料理に多用に使われる野菜で、どこにでも根を張り繁殖する。韓国人家族が米国に根着いて生きていく姿を、象徴している。韓国から祖母が種を持ってきて、繁殖させ、彼女が倒れた後、父親がいとおしそうにこれを摘む。
家族の喜怒哀楽が描かれていて共感できる。でもそれにしても、母親はどうして怒ってばかりいるんだろう。家がボロだとか、畑が荒れ放題なのは当たり前だったと思うけど、当たり散らして子供たちを怯えさせるのは、止めて。いったん怒るとその気性の激しさ、一歩も譲らぬ論理性、感情表現の一刻さに、彼女の子供でなくても怖くなる。
アメリカ南部の農耕地帯の田舎町で教会を通して移民家族がコミュニテイーに入っていく様子が好ましい。牧師が模範的なキリスト者の態度で、片言しか話せない移民でも仲間として受け入れる。アーカンソーの自然の大きさ。自然災害の怖さもよく描かれている。
しかし、アメリカ人にとっての韓国人とは、どんな存在だったのかが、あまり描かれていない。どんな田舎に住んでいても、当時徴兵制のあったアメリカ人にとって、朝鮮戦争とベトナム戦争には関わらざるを得ないものだったはずだ。
その国のイメージは自分の父親や祖父から直接聞いた実話から印象付けられる。アメリカ人にとって朝鮮戦争もベトナム戦争も自分たちにとっては何の利益もなかったにもかかわらず、犠牲ばかりの多い戦争だった。1960年代、韓国軍はアメリカ軍と共に参戦したベトナムで、最大時5万人の兵を送り5千人の戦死者を出している。今もなお、徴兵制のある韓国で、彼らがなぜ米国に移民しなければならなかったのか、日米関係よりも米韓関係のほうが、ずっと複雑で密接な関係があったはずだ。
リー チョン監督は小津安二郎が大好きで影響を受けたと言っていることが、うなずける。家族は大切かも知れない。でも人間は社会的な動物だから、社会状況に関わりなく生きていくことはできない。映画では、小津の映画のように、あまり大きなことは起こらない。平穏と小さな幸せ。この映画は家族の結びつきを強調するあまり、人がどんな心を抱えて、どんな社会で生きたのかが十分描かれていないのが、残念だ。小津にないものねだりをしても仕方がないんだけれども。
まあ、普通
どこかで見たような、あったような物語だが、
これと言って悪いところはないが、さりとて他人に薦めるほどのものでもない。
移民一世となれば、その苦労は大変なものだろうが、あまり伝わってこない。
洗いざらしの服のように、贅沢ではないがそれなりの小奇麗さがあって、
泥土の臭いがしない現実感のないセットのような映像物語だった。
これが世界で賞を席捲したという宣伝文句には驚いたし
自分の感性の鈍さかなと思い返している。
北の米から
お前ら今日からここ住むど!てところだけ切り取ると北の国からと同じ。ただ山っ気というより、もっと切実ではっきりとした野心が吾郎と違いある。火事に見舞われるのは共通してたけど。
ばあちゃんが男の孫ばかり可愛がるのが、ああ、とキムジヨンを少し思い出した。でもあのばあちゃん、ある種のいたましさとともに、たまらない魅力があった。なんていうたらええんやろう。
韓国野菜だけに頼ってたから販路が狭くてほかに下ろせないという、同郷ネットワークのメリットデメリットむき出し。社会関係資本なんやそれ。
石川セリ、ひさしぶりに顔が見たくなった。
如何なる世界も時代も家族はスバラシイ
アタクシ位に素朴な人間からしたら
父の (間違ってるかもせーへん) 野望とか
母の (純なる) 家族愛とか
娘の (しっかりせなアカンと思う) 頑張りとか
弟の (したい事が出来へん) 体とか
突如呼ばれて来た
おばあちゃんの (何にも動じない)
素直で素直でしかも生命力が溢れる考え方とか
その全てが、織り成すチグハグ
是がホンマにタマランんノンですゎ~涙
んな事を
ぎゅぎゅっと絞りこんで
要るモンだけ描いた
Lee Isaac Chung 監督に感服なやーつ♪︎♪︎
セリの強さ
想像している怖いことが一切起きない映画でした。
ポールの件にしても、ひよこの選別場にいた女の人にしても。
ただ、それがなんとも日本映画的というか、
昔ながらな感じで、しみじみとしてしまった。
ハンヨンジュさん、助演女優賞おめでとうございます。
ただ、これで日本の樹木希林さんが獲れなかったことが
余計に悔やまれるなあと…。
まあ、そんな彼女がやらかす話だけど、
その時に家族がどんな行動を取るかというのが
肝になっていて。
それが見ていて、なんとも現実的だなあと思った
この映画で好きだったのは、
なんと言ってもおばあちゃんとデビットの関係性。
あの仲良くなり方って、本当にリアリティがあるというか。
どのシーンも面白すぎて。
まず初対面で、栗を口で剥いてそのままあげるところなんて
本当にありそうで笑ってしまった。
それから、苦い茶を飲ましたり、
川に連れて行ったり、
おしっこ飲ませたり、
あんな歳の離れた二人がふざけ合ってるの、
平和でしかないというか。
それがデビットの世界では、本当に深刻なことのように
描かれているのが、面白いなと思った。
知らない時代
アメリカでは反響があったのに日本でイマイチっぽいのでなんでだろうと思っていたが、見てみて納得。私もそうだが、日本に住む日本人には、今の生活が辛いので、米国だったり他の国だったり、今持っているものをうっちゃって、言語も生活習慣も違う足がかりのない地に移民として移住する心境は想像しずらいと思う。
若い夫婦はおそらく彼らが十代から二十代の間に移住してきている。映画で夫婦はそれから10年くらいたっていて、レーガン時代のようなので、多分移住してきたのは70年代じゃないかと思う。当時韓国で生活するのが厳しいかったそうだ。
隣国で一番近いのに自分は知らない70年代韓国に生きるとはどういうことだったのか、などつらつら考えながら鑑賞した。
物足りない作品
アカデミー賞受賞作ということで妻と鑑賞。妻は感動していたが私は物足りなさを感じた。学歴がないと出世できない韓国社会。成功をつかむために韓国から移住し、苦労してやっと農地を手に入れた家族。そこに立ちはだかるいくつかの困難とそれを克服しようともがく家族。その家族を温かく見守る地域社会を描いた作品。
50代の私は、これとよく似たドラマを子供の頃に見ている。「北の国から」と「オレゴンから愛」だ。当時の日本のドラマは凄かった。重厚だった。この2作の記憶が鮮明すぎて、「ミナリ」が非常に薄っぺらく、終わり方も強引。そのためアカデミー賞受賞作として物足りなさを感じたのである。
たった2時間で完結させなければならない映画と片や年月をかけて何クールも続いたドラマを比べるのはミナリには申し訳ないが、この2作は、ミナリで提起した要素が重厚かつ深刻に、そして丁寧に描かれており、これこそアメリカでも通じる移民や開拓をテーマにした本格派のドラマだと思う。
ミナリを見て、もう一度、よりリアリティのあるこの2作を見てみたいと思った。
北の国からを見るべし
ミナリ
劇場公開日 2021年3月19日
ちきしょーーう。
評価4もついてたので見てしまった。
それも我慢しながら、何処で何処から面白くなるんだと思いながら終わってしまいました。
想像では「北の国から」韓国版かなと思っていましたが大きく期待を外しました。
ガッカリ度100%です。
本当わからん?何故に評価が良いのか?
アカデミー賞候補ですか。
良かったね。
真実は何処にあるのですか?
それは私です、私はウソも知ったかぶりもしません。この映画は面白くありません。
断言出来ます。
この映画は面白くありません。
評価に騙されるな。
もう一度言います。この映画は面白くありません。
マジわかんねぇー。評価、全然下がりません。
まだ公開されてないから、しょうがないか。
本当に面白くありません。公開見て後悔するが良い。
全てのおばあちゃんに捧ぐ
「賭ケグルイ」は来週水曜日に、「映画クレヨンしんちゃん」「くれなずめ」は公開未定と延期が度重なり、見たい映画がさっぱりになってしまった。
こういう時こそ、都内でしか上映していない作品や不朽の名作を公開して欲しいものです。個人的には、邦画だったら「殺さない彼と死なない彼女」や「初恋」、洋画だったら「ワイルドスピードシリーズ」や「ボヘミアン・ラプソディ」を上映して欲しいなぁと思っています。
今は人気投票で多く票が集まった過去作を映画館で上映するサービスがあるみたいですね。まだ小さな劇場でしかそういうサービスが行われていませんが、もっと全国に知れ渡りこんなご時世でも映画館のファンが増えることを願っています。
少し枕が長くなってしまいました。
という訳で、気になってはいたものの賛否両論で見ようかどうか迷っていた本作をチョイス。あまり期待はせずに鑑賞。今年のアカデミー賞は微妙だからね
どこにでもあるような家族をテーマにした映画。
割とよく出来ているなぁ〜と褒めたいところではあるが、これがアカデミー賞に選出されるのは意味がわからない。何故そんなに注目されたんだろうか。ブラッド・ピットがプロデュースしたからか?贔屓か?
大きな農場で生計を立てることが夢のジェイコブ(スティーブン・ユァン)とその家族は、アメリカの荒れた土地にやってくる。彼に不安を抱く妻のモニカ(ハン・イェリ)だが、ジェイコブは必ず成功してみせると言い聞かせる。
テンポは良く、居心地もいいので衝撃的だったりまさかの展開だったりはないけど、ドラマではなく映画向きな気がした。特に前半は最初のちょっとした伏線がいい感じに回収され、ほくそ笑んでしまう。
主人公はお父さんのジェイコブではなく、間違いなくデビッドだろうなと思った。彼の成長は著しく、愛らしく、いつまでもいつまでも応援したいな見ていたいなと思った。デビッドを演じるアラン・キムが本当に良かった。
この子と負けないくらいの演技力と絶大なインパクトを放っていたのが、今年度アカデミー賞で助演女優賞を獲得したユン・ヨジョン。藁にもすがる獣たちでも、普段は嫌な奴だけど息子が危険な目に合うと死ぬのを覚悟して立ち向かい、非常にカッコイイ姿を見せてくれたので今作でもどんなもんかなと楽しみにしていたが、やはり素晴らしかった。最初は何も分かっていないおばあちゃんかと思っていたが、だんだんと良さが増していき、今作の登場人物の中で最も好きなキャラクターになっていた。本当に最高です。アカデミー賞獲得、おめでとうございます。
ただ、先程も書いたようにアカデミー賞で作品賞にノミネートされるほどすごい映画じゃない。至って普通の家族映画だし、なんなら平凡で正直見飽きたストーリー。
喧嘩ばっかりの夫婦には呆れるし、長女の話があまりにも無さすぎるし、ビリーの扱い方は雑すぎるし、言ってることめちゃくちゃになるし。ツッコミ所はあまりにも多い。描き足らずで、見ごたえにもかけている。
韓国映画×アカデミー賞ということで、昨年受賞した「パラサイト 半地下の家族」を意識してしまったせいかどうしてもハードルは上がってしまっており、ノマドランドにせよ「パラサイト」の指先すらも見えていないくらい、行き届いていなかった。今回のアカデミー賞はガッカリ回でした。
おばあちゃんだけが魅力の映画でした。
来年のアカデミー賞では汚名返上できるかな...?
家族の愛の物語
アカデミー賞最有力候補!
と謳われていたので、公開前から楽しみにしており、なかなか鑑賞出来ぬ間に、本作のキーパーソンであるおばあちゃを役を演じた、ユン・ヨジョンさんがアカデミー賞で助演女優賞を受賞。授賞式のスピーチを英語でペラペラと話す姿を見て、新たなヨジョンさんの魅力を知りました。
スピーチでは、ブラックジョークのような事も言いながら、彼女の女優、母親、女性、映画に携わる者としての心構えや意志の強さを感じることができました。
個人的に韓国人俳優は世界一演技が上手いんじゃないかと思うくらい大好きなので、今回の受賞で昨年のパラサイトに続き韓国が注目されることを嬉しく思います。
ヨジョンさんが言った、American hospitalityであったかもしれない今回の受賞ですが、それであったとしても注目される事に大きな意味があると感じました。
さてさて本題へ。
本作をアカデミー賞最有力候補として鑑賞してしまい、過度の期待を込めてしまったのは正直やっちまったな。でした。
純粋に余計な情報なしに鑑賞した方が、ずっと楽しめただろうに、、、
ただし、面白くないわけでは決してなく。
どうしてこの作品がこれほどまでに注目され、話題になったかと考えると、移民や多文化国家であるアメリカが舞台になっているからなんだなと。
私自身、農家を生業にする家に生まれたわけでもなければ、開拓者でもなく、移民の経験もないし。なんせ共通点がなく感じたのです。
ある移民家族の生き方を淡々と見せて、紆余曲折しながらも、年長者である祖母が離れそうな家族を結びつける。夫婦の喧嘩はド派手やし、一家の大黒柱である父ちゃんは、妻と多分十分な話をせずに、父親のプライドだけで夢を追いかける少々困った父ちゃんで、病気の息子を心配するあまり子供を逆に不安にさせるようなことを言っちゃうママ。まだ小学生であろう姉の、物分かりの良さなどいろいろある中で、素直な悪ガキに育っている末息子デイビッドが非常に可愛く描かれている。
おばあちゃんはおばあちゃんらしくない。
と孫たちに言われるけれど、おばあちゃんはちゃんとおばあちゃんしか出来ないであろうことをやっています。
娘のことを思い移住してきてくれて、娘を元気付けられる食材を持ってきてくれる。知恵のあるおばあちゃんは自然とどう過ごせば健やかに生きられるか、どこにどんなものが適していて、危険があるかなど。
孫を褒めたり、勇気づけるときは一生懸命。
人生にユーモラスが必要であることも教えてくれます。
そんなおばあちゃんが侵してしまった事故は、結果的には家族の成長と絆にとってはとても重要な役割を果たす。
本作品のインタビューを見ると、主演のスティーブンは、「どの家族にも共感できる部分がある」と話し、妻モニカ役のハン・イェリは「家族の愛の物語です」と言っていました。
ミナリ(芹)のように、雑草のようにどこでも根をはって力強く生きていく家族を描いた本作。
美しく広大なアメリカ大地の風景と、その中で一家が寄り添って雑魚寝する姿を1人じっと見つめるおばあちゃんのラストシーンが印象的でした。
カット割ちょっと不満
カット割で次の展観のまえに音声が先走りなのが多く、技あり見せつけなのか?多様し過ぎに感じた。映像は計算された美的な感じ。信念はわかりましたや、映画として作ってますともな、格好つけてると思った。
#36 ユンさんあっての韓国家族
ほとんどの出演者が韓国系アメリカ人みたいで、なんかセリフが自然じゃない気が。
そんな中ハルモニ役のユンさん登場で一気に韓国から移住した家族感が出た。
ユンさんがハルモニ役のドラマを何本も観てるせいか安心の演技。
本当は英語がお得意なのにわざと韓国人発音で英語を発音するところとかボケた役とか本当に演技がお上手💓
主役の女性に韓国人っぽくない違和感を感じていたが、途中で理由がわかった。美人じゃないのに整形してないからだ。
結局ミナリのおかげで家族は幸せな方向に向かえたのだろうか。
アメリカ大陸に韓国植物の種を持ち込んで植えても良いのか?とか気になったが、私も鍋に大量に入ったミナリは大好きです☘️
神のみぞ知る
この映画には常に緊張感が漂っています。冒頭のハリケーンに始まって、息子デビッドの心臓病、水場のヘビなど、命を脅かすものが次々に現れ、いつ襲われるか分からない恐怖を感じさせます。ですが、それらの心配事は一切起こらず、結果として家族を襲ったのは予期せぬ事故であり、祖母スンジャの台詞「本当に恐いのは見えないこと」が意味する通りになりました。しかし、この不幸な事故のおかげで家族は守られ、事態が好転するあたりに「神のみぞ知る」未来が表現されています。
このように不幸と幸運に翻弄される中で、家族が変化していく様子も見どころです。夫のジェイコブは迷信や宗教を信じず、自らの知恵によって生きる人間でしたが、映画の最後では夫婦揃って神頼みな様子が描かれます(宗教もまた、不幸な世を生き抜くための一つの「知恵」でしょう)。子ども達も逞しく育っていきますが、娘のアンが母を気遣う場面や、息子のデビッドが脚の怪我を我慢する場面、懸命に走って祖母を止めにいく最後の場面によく表されています。
祖父母との文化の違いは自分にも経験があったので懐かしく感じました。個人的には、悲劇の事故から家族が和解し、立ち上がる様子をもう少し描いて欲しかったですね。最後を綺麗にまとめすぎた印象を受けました。
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