生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事

劇場公開日:2021年3月20日

生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事

解説・あらすじ

「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」の佐古忠彦監督が、太平洋戦争末期の沖縄県知事・島田叡にスポットを当て、知られざる沖縄戦中史を描いたドキュメンタリー。1944年10月10日、米軍による大空襲で壊滅的な打撃を受けた沖縄。翌年1月、内務省は新たな沖縄県知事として、当時大阪府の内政部長だった島田叡を任命する。家族を大阪に残して沖縄に降り立った島田は、大規模な疎開促進や、食糧不足解消に奔走するなど、様々な施策を断行。米軍の沖縄本島上陸後は、壕を移動しながら行政を続けた。大勢の県民が命を落としていく中、島田は軍部からの理不尽な要求と、行政官としての住民第一主義という信念の板挟みとなり、苦渋の選択を迫られる。戦時下の教育により「玉砕こそが美徳」とされた時代、周囲の人々に「生きろ」と言い続けた島田の生き方、考え方はどのように育まれたのか。沖縄戦を生き延びた県民たち、軍や県の関係者、遺族への取材を中心に、新たに発見された資料を交えながら、その生涯に迫る。俳優の佐々木蔵之介が語りを担当。

2021年製作/118分/G/日本
配給:アーク・フィルムズ
劇場公開日:2021年3月20日

スタッフ・キャスト

監督
佐古忠彦
プロデューサー
藤井和史
刀根鉄太
撮影
福田安美
音声
町田英史
編集
後藤亮太
選曲
御園雅也
サウンドデザイン
御園雅也
音響効果
田久保貴昭
音楽
兼松衆
中村巴奈重
語り
山根基世
津嘉山正種
佐々木蔵之介
主題歌
小椋佳
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(C)2021 映画「生きろ 島田叡」製作委員会

映画レビュー

3.5パトリとナショナリズム  島田叡と牛島満の差異とは何だったのか

2021年7月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

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共感した! 2件)
マユキ

今更そんな事言われても・・の思い

2025年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 沖縄戦時に知事を務め、敗戦時に自害したとされる島田叡(あきら)さんの最晩年を追ったドキュメンタリーです。島田さんは当時としては開明的な考えの持ち主で、知事の職と軍の板挟みになりながらも人々に「生きろ」と説いた人物だったのだそうです。

 さて、困った。この作品を観ながら、ずっとモヤモヤした物を抱え続けていました。本作は誠実に作られており、映像も堅実だし、島田さんについては知らない事ばかりなので、記録映画としては得る物が多かったと思います。でも、やっぱりモヤモヤします。

 例えば。米軍の猛攻に進退窮まり、敗戦が決定的になった時点で自決した沖縄方面根拠地隊司令官・太田実中将が本土に向けて最後に打った電報は良く知られており、本作でも紹介されています。その最後は次の様に結ばれます。

 「沖縄県民斯ク戦ヘリ
  県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」

 太田中将は島田知事とも気持ちが通じ合っており、陸軍の無謀な戦略に批判的であった軍人で、この電文はその悲痛な思いを物語る一文とされています。恐らくそれは真実で、当時にあってはこれが精一杯の言葉だったのでしょう。しかし、と僕は思います。

 「沖縄県民斯ク戦ヘリ」とありますが、多くの沖縄県民は「戦った」訳ではなく、「戦わされた」或いは「巻き込まれた」に違いありません。本作でも取り上げられている鉄血勤皇隊は、学校に通う少年ながらに実質上招集された兵なのです。そして、上の電文には、避難した壕の中で日本兵によって殺された子供の事は取り上げられていません。壕を追い出された住民の事も述べられていません。集団自決を強いられた人々についての記述もありません。そんな事を当時の司令官が知っていたのかどうかも分かりません。知らなかったのだとしたら、それはそれで大きな問題でしょう。だから、もし僕がそうして非業の死を遂げていたとしたら、この電文を見ても、

 「個人としてはどんな思いだったのかは知らないが、日本軍によって殺された我々の魂は、『後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ』なんて今更言われても何ら安まる事はない」

と呪いの眼差しを向けるだろうと思うのです。

 過去の人物を現在の価値観で批判してはならないと言うのは歴史を語る上でのルールでしょう。しかし一方で、今だから冷静に見られる視線と言うものもある筈です。

 本作の島田知事は軍人ではなく文官なのですが、知事と言う立場上、自らが発した指示・命令に責任を負わねばなりません。「当時としては軍に逆らう事はできなかったのだ」と言う事情はあったにせよ、「だから仕方なかった」では済まされない重みがあると思うのです。さもなければ、「あの頃は上からの指示に逆らえなかったのだ。仕方なかったのだ」が順送りされ、誰にも責任がないと言う事態に陥ってしまいます。

 あの壕の中で集団自決した人々が、米軍に追い詰められて崖から次々と身投げした人々が、この映画を観てどう感じるのか。そうした厳しい視線がもっとあってよいのではないか。そんな風に感じたのでした。

 (2021/7/15 鑑賞)

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La Strada

3.5リアルでつらく、

2024年11月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

しかし、いつの世も、国、政治、政治家、政府の「犠牲」になるのは国民、庶民、住民なんだな、と思う。

なんで国民がいて成立する国、政治のはずなのに、その政治の舵取りをするごく一部の国の連中のせいで大多数の国民がつらい思いをするんだろうな。
いつの時代も理不尽なところがあるものだ。

と、他の人とは違ってこの作品そのものとはまた違うことも書いてみた。
それくらい国民の幸せ、安心、安全な、穏やかな生活はその国の体質、方針によるものだな、と。

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みけい

4.0形を変えて今に続く暴力性への自問

2024年1月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

戦中最後の沖縄県知事になった島田を中心に描きながらも、今も続く沖縄と本土の関係や、力を持つ者と持たざる者(軍部と民間、陸軍と海軍、司令官と部下、兵隊とそうでない者等々)の間の覆せない暴力性が丹念な取材と人々へのインタビューによって炙り出され、観るものに迫ってくる。
個人的には、映画の中に登場する「民間人を壕から追い出したり、泣き声をあげる10才の子を射殺したりする軍人たち」のメンタリティが、形を変えて今も我々の中に残ってはいないか自問させられた。
単に戦時下の話として片付けられない広がりを持ったTBS制作らしいドキュメンタリー。

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sow_miya