パーム・スプリングスのレビュー・感想・評価
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結婚式で疎外感を味わう男女はどちらも異次元の体験者
ここ数年、タイムループ映画が多い気がする。パイオニアは言うまでもなくビル・マーレイ主演の『恋はデ・ジャブ』(93)だが、同じ1日が何度も巡ってきて、そこから抜け出せない主人公の徒労感と言うか閉塞感はあの映画でフォーマットが完成した気がする。なのに、またまた現れた新手のタイムループ映画がこれ。何が新しいかって、本作でループにハマる主人公のナイルズには、サラという仲間がいるのだ。彼らは何が起きても常にリセットされる人生に、何らかの意味を持たせようと努力する。意味とは、2人の関係性だ。ただただ時間が回転する空間を共に生きる相手が、果たして、自分にとって意味のある存在なのか?という。キャラ設定がうまい。誰も知らない異常な時間軸を往来するナイルズとサラは、どちらも結婚式というお定まりの儀式に全然馴染めないでいる。その疎外感がタイムルーパーにはぴったりなのだ。また、舞台になるパーム・スプリングスの閉ざされた砂漠の街感が、この話にぴったり。ちょっと郊外まで歩いたら何があっても不思議ではない、という。最も笑ったのは、ナイルズとサラがループに対して自暴自棄というか、むしろだんだん挑戦的になっていく件。これは、巻き込まれ型ループ映画の意外な新規軸かもしれないと思った。現在、もう1本のタイムループ映画『隔たる世界の2人』(今年のアカデミー短編映画賞候補)がNetflixで配信中なので、こちらも強くオススメします!
基本「タイムループ」ものは面白いが、出口にしっかりと導けているものは意外と少なく、本作は数少ない名作。
私が注目する映画祭の1つに「サンダンス映画祭」があります。それは、この映画祭から毎年着実に名作が生まれているからです。
本作は、2020年1月に開催された「サンダンス映画祭」において、サンダンス映画祭の史上最高額で配給権が買われた作品です。(2021年1月には超えられましたが)
まずは、その時点で本作に興味を持ちました。
そして、見てみると「タイムループ」ものでした。
この「タイムループ」ものは、近年だと名作ホラーコメディの「ハッピー・デス・デイ」やトム・クルーズ主演のSFアクションの「オール・ユー・ニード・イズ・キル」などがあります。
このように「タイムループ」ものは割と面白い作品が多いのですが、出口をしっかり描けていないと、途中で飽きたりもするので難しいジャンルでもあるのです。
タイトルの「パーム・スプリングス」とは、カリフォルニアの砂漠のリゾート地の地名です。
本作は、この「パーム・スプリングス」を舞台にした❝タイムループ・ラブコメディ❞というジャンルの作品なのです。
パーム・スプリングスでは、よく結婚式が行われていて、そこでの結婚式に出席した主人公のナイルズ。そして、花嫁の介添人のサラ。果たしてこの2人にはどんな事態が待ち構えているのか?
謎の老人はアカデミー賞俳優のJ・K・シモンズが演じています。
予備知識は必要なく、90分で終わるのも良く、一度は見てみてほしい作品です。
これは実にユニークなロマンティック・コメディだ。
1組の男女が、知人の結婚式の日を何度も繰り返す、タイムループもののロマンティック・コメディ。露骨な下ネタのジョークや描写のせいか、PG12指定。
『恋はデジャ・ブ』との類似が指摘されている。私はどちらも甲乙つけがたい良作だと思う。
太陽が輝く楽園で、年頃の男女の屈折した行動や憂鬱さを描いている。非常にシニカルでニヒルなユーモアだが、それをカラッとした笑いに転化しているのが凄い。
アンディ・サムバーグとクリスティン・ミリオティが、不謹慎な言動、間の抜けた愚かさ、皆を魅了する親近感と、さまざまな面を見せた好演が、本作を大いに支えている。脇役陣も、みんな好演だ。
一見くだらないと思える設定から、次々と巧妙なストーリー展開で、力強く一気に見せてくれる。
鑑賞後は、むしろ潔さ、清々しさまで感じてしまう、実にユニークなロマンティック・コメディだ。
気楽に観れるタイムリープもの。初っ端から下ネタ全開で笑える
気楽に観れるタイムリープもの。初っ端から下ネタ全開で笑える。
サラ役のクリスティン・ミリオティのミステリアスな顔立ちが好き。目力がすごい。
キャラ的には、タラの兄と寝たのが引っ掛かって完全に好きにはなれなかった。何も知らないまま結婚を迎えるタラがかわいそう。
ループ世界からの脱出法が科学的で意外だった。かなりの時間を勉強に費やしたと思うと、サラの努力が凄い。
「〇〇受賞!」みたいな過剰な宣伝文句でハードル上げたせいか、超面白いって訳じゃないけど、タイムリープものとしては無難に楽しめた。
極限まで羽目を外す
何をやってもリセットされるからって、はちゃめちゃだ。
そのはちゃめちゃが度を越していて面白い。
結局物理学とか力学?を勉強して元に戻れた。
その発想と努力に拍手だ。
日曜(翌日仕事or学校)の夜にオススメの映画
今夜(2024/06/09)観ました。
11/9から抜け出せなくなったふたりの日々(?)を描いたコメディ映画です。
100分を切る観やすい尺で、笑うしかない展開の目白押し+クライマックスでは、ちょっぴりホロリとさせる作品です。
アンディ・サムバーグは『The Lonely Island』という下らない歌を中心に歌っている音楽グループのひとりです。YoutubeにMVがあるので見てみて下さい(笑)
本作ではただただサラの奔走に脱帽、感服です!
女の強さを見せつけられる作品です✨
是非おご覧ください!
これを見たのが11/10!自分でもびっくり。
タイムループものはあまり見たことなかったが、面白かった。
結婚式当日を何度も繰り返しながら、毎回が初めてなのに、今までの経験も積み重なって複雑さを増してゆく。果たしてどの結婚式当日がリアルになるのだろうか。
明日目が覚めて、ちゃんと次の日になっていることを確かめたくなった。
未来は決まってんだよ
なかなか含蓄のあるお言葉。
拙がいる世界でも映画の中でも共有できる。
ただ大好きな「オールユーニードイズキル」ほど心躍らなかったのは
しょーがないんだけどこの世界で俺は生きていくしかないんだよ
と後ろ向きになったところでしょうか。
元に戻れるのもまーそうしな仕方ないか
ってところですかね。
60点
Tジョイ博多 20210415
無限タイムループの2人は抜け出せるのか?
妹の結婚式に行ったサラはチャラ男のナイルズに出会う。2人はお互いに好意を抱きいい感じ。そこへ謎の老人がナイルズに襲いかかる。ナイルズは負傷し近くの洞窟へと逃げる。サラも追いかけて洞窟に入ってしまう。
【以下ネタバレあります。】
それは眠ると1日前に戻ってしまう(=同じ日を繰り返す)無限ループの始まりだった。
実はナイルズは以前から無限ループを繰り返しており何をやっても全部リセットされるのでやりたい放題をしてきたという。それにも飽きたナイルズは無意味にダラダラと過ごしてきた。
サラは何とか元の世界に戻ろうとして色々試す。そのシーンは面白い。何でもありである。何でも試せる。だってその為に死んだとしてもまた11月9日に戻ってリセットだ。
その後2人は段々距離を縮め愛し合うようになるのだが、どうも違和感がありすぎて私はこの設定に乗り切れなかった。
ナイルズは以前から無限ループにいたのである。分かっていてサラを引き込んだ。サラが「どうして自分を引き入れた。」と怒らないのが不思議だ。自分に近づきこの無限ループに引きずり込んだ張本人を私なら信用できないし愛せない。
実はこの映画には無限タイムループの事を知っている人物が3人出てくる。
ナイルズとサラともう1人はナイルズに襲いかかった謎の老人ロイである。
ロイもまたサラ同様、ナイルズにこのタイムループに引きずり込まれた人間である。それ故彼はナイルズを恨んでいる。私はこっちの方が普通の反応だと思う。
この3人、無限タイムループについて三者三様の考え方をする。
①ナイルズ・・やりたい放題やって楽しむ。その後はただ無意味に過ごすだけ。タイムループから抜け出そうなんてことは考えない。
②サラ・・何とかタイムループから抜け出そうともがく。色々試してみたが全て失敗。それでも諦めずインターネットを通じて物理学を学び科学的にこの事象を解明しタイムループから抜ける方法を見つけようとする。
③ロイ・・タイムループに引きずり込んだナイルズをとにかく恨んでいる。仕返しに行ったりするがそのうちナイルズの立場を理解するようになる。
彼は毎日繰り返される11月9日、その1日を大事に生きて、家族を大切にしている。
私はロイのようには復讐しには行かないけど、家族に対するロイの気持ちはよく分かる。
もし私だったら、自分には次の日(11月10日)は来なくても家族には次の日以降もあるのだから、その1日一生懸命家族に接して愛を伝えたり、叱ったり、褒めたり…その1日で出来ることをすると思う。
そもそも現実の世界でも毎日毎日の積み重ねである。それがいつも11月9日ってだけである。それならば家族のためにしてあげられることを一生懸命にしようと思う。そしてまた私もサラ同様、決して諦め無いだろう。解決の方法を模索してコツコツ頑張ると思う。
さてサラは物理学でとうとうタイムループから抜け出す方法をみつける。爆弾を爆発させれば戻れるという結論に達する。
ナイルズはサラを心から愛するようになっていたのでとても悩む。
①サラが成功していなくなってしまう。
②失敗してサラが爆発で死んでしまう。
③成功して2人でタイムループから抜け出し幸せになる。
結局ナイルズは③の可能性にかけることにする。
①サラがいなくなり自分だけが残される事に耐えられないし
②サラが死んでしまった悲しみを抱えて生きて行くのにも耐えられない。
ナイルズは③にかけてみるしか無いのである。生きるのも死ぬのも一緒だ。
で、2人は決行する。さて結末は如何に?
この映画はラストをはっきりとは描いていない。所謂、観客の想像に任すというやつである。
このラストを少し考察してみよう。
ラストは家主のいないプールに2人が浮かんでいる。そうポスターのあのシーンだ。
①今までとは違う光景にナイルズは言う。「これが11月10日かあ。」(実験成功)
➡同じ時間軸上の11月10日を迎えて完全に元に戻ったパターン
②2人は死んでいる。(実験失敗)
③2人は別の次元すなわちマルチバース(並行世界)に飛ばされた。(実験失敗)
➡同じ時間軸線上には戻れていない。当初の11月10日には戻れていないので実験成功とは言えないが幸せに暮らしましたとさ。
ラストもまた3パターン、皆さんはどれだと思いましたか?
①の成功や③のマルチバースだと捉えた人は概ね高得点を付けているように思う。
ちなみに私はこの観客に任すという終わり方が嫌いである。ハッピーエンドでもバッドエンドでも白黒はっきりしている方が好み。
投げるだけ投げておいて伏線が回収されず投げっぱなしになる映画が大嫌いだ。最初にラストまできちっとプロットを組み立ててから製作しないからこうなるのである。伏線は全て回収してスッキリ終わらせて欲しい。
だから結末を観客に任せる映画の点数は低めになる。
その映画がたとえ中盤まで面白くても、回収できてない箇所があれば減点している。
話を戻そう。私の結論は「元には戻れなかった。」である。つまり②の死か、③のマルチバースか、④である。
「えっ?④?」と思った方の為にヒント。
ラストカットの荒野のシーンに映画中盤で観た恐竜が遠くにいる。この恐竜が何なのか描かれていないので謎ではあるがこれがいるということは同じ時間軸なのではないか?
そしてエンドロールでロイがナイルズに話しかけるシーン。この時のナイルズはロイを知らない。
このエンドロールのシーンがもしも何度も無限タイムループを繰り返していた時のナイルズとロイならナイルズはロイを知っていたはず。
以上の観点から導き出すともう一つの④番目のパターンが見えてくる。
④同じ時間軸に戻ったが爆発により未来が変わってしまった。
➡サラとナイルズは元と同じ時間軸線上には戻れたものの当初の未来(11月10日)はもう無くて、そこから先の未来は変わってしまっているのである。④は③のマルチバース(並行世界)と似ているがマルチバースとは異なる。③のマルチバースは別の時間軸上にある並行世界であり、④は同じ時間軸上にある世界である。
私は④のパターンのような気がする。
毎日が結婚式?
ゴールデングローブ賞にもノミネートされたし興業的にも成功した話題作、毎日が結婚式というタイムループから抜け出せなくなったバカップルのラブ・コメディ。
ところが個人的には全く合わない恋愛映画、先ず下ネタの多い下世話なセリフ、役者もJ・K・シモンズ以外は馴染みが無いし、酒とセックスと馬鹿騒ぎの繰り返しが鼻につきます。
戻る日付は同じだが記憶も持続し自由行動できる好都合なタイムループ、ループからの脱出に量子力学を持ち出すのは奇抜だが爆死と何がつながるのか意味不明。
作家性が強すぎて馴染めない映画でした。
無意味な繰り返しの中で気付き始める人生で大切な事
同じ一日から抜け出せない!タイムループラブコメディ。
豪遊しようが、自殺しようが、一晩経てばまた同じ一日が始まる。
そんな繰り返しの中で気付き始める、人生で大切な事。
コミカルで楽しいのですが、意外と深くて考えさせられました。
運命を悟り受け入れるのも人生
こんなのヤダ!って足掻くのも人生
どんな人生だとしても、それを共有し、一緒になって泣いたり笑ったりできる誰かがいる事で、それは満ち足りていく。
パーム・スプリングス
結婚式に参加していた男女がタイムループに閉じ込められてしまい、脱出を試みる中で大切なことに気づいていく物語。
素敵な音楽と色彩豊かなポップな映像がとても良かった。ストーリーもSF要素のあるラブコメで、退屈な日常の中で幸せって何だろう、生きるって何だろうと訴えかけられるしっかりとした内容だったと思う。全体的に明るく楽しい印象の中で作品を引き締めているJ・K・シモンズの存在感と演技が印象的だった。
タイムループしながら育む新しい恋の形
タイムループに巻き込まれた男女の恋愛模様を描く。寝てしまうとまた同じ一日を繰り返してしまうので、何とか寝ずに過ごそうとしたり、開き直って不法侵入したり色々と羽目を外す二人が面白い。しかし二人には互いに内緒にしていた秘密があって・・・。同じ時間軸でも、どちらの視点で描くかで物語が異なり、観ていて飽きない。
【セッション】のJ・K・シモンズが、タイムループに巻き込まれた男を好演。主人公を恨み殺そうと執拗に追い回すも、最後は家族との一日を永遠に過ごせることに喜びを見出す。
ボーッとして観るにはとても楽しめる
タラとエイブの結婚式を軸にした、11月10日を迎えるまでのラブコメディ。
思っていたのと全然違ってました。
特にボーガンが登場してからは想像の上の展開の連続で、酒をやりながら観ていたものだから最高に面白かったです。
それと、クリスティン・ミリオリティの目のクリクリした顔が凄いキュート。
あとやたらに飲みまくるビール、「Akupara」が気になって気になってしょうがなかったんですが、架空の銘柄みたいですね。
タランティーノとロバートロドリゲスの、ビッグカフナバーガーみたいなものみたいです。
抜け出せない毎日なのに、次第に楽しめる様になっている二人が小気味よい。
それと“出たい、出たくない”その二つの気持ちが痛すぎるほど伝わるのが上手かった。
ボーッとして観るにはとても楽しめる作品でした。
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