ドライブ・マイ・カーのレビュー・感想・評価
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生きることは不条理だ
ゴドーを待ちながらしかり、多言語で構成される舞台しかり、現実社会は不条理に満ちている。一番近い存在ともいえる夫婦でも家族の中でも、愛も裏切りも暴力すらあるように。
こんな不条理で謎だらけでわけがわからない世界で生きているわけだけど、でも、苦しんで閉ざしていた感情が、心を開き合うことで浄化される瞬間がある。あっていい。そういう奇跡みたいな時間と空間が、車を運転するみさきと同乗する家福に、もたらされる。
能弁すぎるくらい描き込まれた箇所もありながら、見る人に委ねるモチーフ的表現もあり、そのあたりのバランスもよいと思う。ラストも余韻が残る。
映画を観ることの豊かさを久々に味わった作品。
村上春樹らしい作品
人間の心の奥の奥を書かせたら右にでるものがいない、村上春樹らしい作品ですね❗️
この難しい設定を完璧に演じた、西島秀俊、三浦透子、岡田将生の演技は素晴らしいの一言です。
まさに日本アカデミー賞作品賞にふさわしい作品です。
3時間なんて、あっという間でした。
是非観てください😊
アカデミー会員でない人にはチョット...
俳優の熱演は伝わる。
脚本或いは原作のメッセージが分からない。自分自身を見つめ、それに向き合う大切さ?おいおい、3時間見させられて、それかい?村上春樹好きな人どうぞ。
私を救済する物語
長い長い時間をかけて、私は私と対話し、私は私を許し、私は私を救済することができた。私は私を救済したことによって、やっと、心から私を愛してあげることができた。
他者とのちょっとした出会いだけで、私は私を救えるんだな。多分、救われる人と救われない人の違いは、こんなちょっとした違いなんだ。だから、人生なんて全てがちょっとしたことなんだって、知ることができた。
邦画にしては珍しく、自立的で個人主義的で突き放した作品だったので、国際的に評価されたのもうなづけました。素晴らしかった。
「私はひとりだ」ということを良い意味で実感したと同時に「私もひとりだ」ということを他者と共有できる。そんな作品。それが、とても心地よく感じる作品。一期一会でも、他者と出会いたいな。
私も完全にこちら側の人間なので、全く集中力が途切れずに、ずっと心地よく作品の中にいることができました。
「何故、私は生きるのか?」と考えてしまう、哲学好き、文学好き、内省好きの方はハマる作品だと思います。
余韻に浸りました
最初は最近話題だから見てみるか〜という軽い気持ちで見始めて、人間関係の重なりや感情みたいな、物語の黒い渦にどんどん引き込まれていきました。
この作品を朝から晩まで見ていたような気もするし、一瞬の出来事だったような気もします。全てに無駄がなくて、良い意味で時間の感覚が分からなくなりました。人の人生があふれかえって、縮まって、重なりあってました。
人の悪い部分や良い部分、全て合わせてその人である。それを受け入れて生きていかないといけないし、それは自分自身も同様である、ということを感じました。
また、『君の信念が悪いんじゃなくて、君が悪いんだよ』この言葉が印象的でした。
私はどちらかというと、『君自身が悪いんじゃなくて、君の信念が悪いんだよ』という方が一般的なのかな?と思っていました。人の人格を否定するのではなく、その人の行動を否定することで、その人に成長の余地を与える。これが一般的かなと思ってたので正直驚きました。
でもたしかに、この言葉にはこの作品が詰まっているのかなと思いました。どんなに他人が言ったとしても、一度過ちを犯して反省したとしても、その人自身は変わらない。その人のドス黒い部分、反対にその人の良い部分の塊は変わらない。だから、君の信念が悪いんじゃなくて、君自身が悪い、ということになるのかなと。
とっても素晴らしい作品で余韻に浸りました。
drive いわんや Winding Roadをや。
岡田将生の表情と人相がとてもこの役に相応しい。
語られた話の長さは持続力に比例するのか、
打ちのめされた主人公は長距離ドライブも他者に委ね、
寄る年波には勝てぬのか、せめて…
待てど暮らせど願えどもゴドーと妻は現れない
観に行ってしまった…
ミーハーだなぁ〜、賞を獲ったからって。
アカデミー賞作品は時に首を傾げる作品もあったりして、「あ、私解らない人なのか…」ってちょっと落ち込んだりします。
本作は素晴らしい作品だと思いますし、伝えたい事はよく判りました。でも、あそこまで長くする必要はあったのかな、と思うと星の数が減っちゃいました。
きっとあったのでしょうね。
私は「解らない人」…(笑)。
きっと本を読んだ方がぐぐ〜っと入ってくるのかもしれません。
生きよう
レンタルで家で観ました
ちょっと理不尽な事柄で心が荒んでた金曜日の午後
ザ・村上春樹 的なオサレな映画かと軽い気持ちで観始めたけれど
結構最初のほうからどんどん引き込まれて
最後は涙を流している自分がいました
原作は読んでいたけれど、どんな話だったか忘れてしまっているくらいでした
映画を観た後の現在も思い出せない…
別物になっているのかな
思い出せないのでわかりません笑
三時間という上映時間に映画館での鑑賞は頓挫したけど
きっと劇場で観てたらヤバいくらい号泣してたと思う
いい文芸作品を読んだ後みたいに心が温かくそしてスッキリと前向きになれました
あの短編を
どういう風にすれば3時間?と思ったけれど同じ短編集の作品を入れ込んだり、劇中劇を入れ込んだりと元々の短編とは全く異なるものだけど何故か退屈せずに3時間見終えました。ただ最後ちょっと綺麗にまとめた感じが作品の雰囲気とマッチしたないような気がした。
つまらない。
正直つまらないと感じた。
非常に長い。進展が遅い。
他の人のコメントを見ると面白かった。引きこれた。と感想を述べる人が多くて驚いた。
一切原作の本は読んだことがなくそのせいもあるのかもしれない。はっきり言って上級者向け?だと感じた。
それほどでも...
つまんなくはないけど長すぎるし詰め込みすぎで途中眠くなった。演劇関連のシーンはちょっとあざといところもあるけど新鮮で面白かったけどね。
デート向きではないかな。
なお映画と小説は別物だとは思うけど、原作の方がずっと面白かった。
濱口監督だったら「寝ても覚めても」「偶然と想像」の方がずっと面白いと思います。
あと西島秀俊はテレビドラマの人というイメージが強くて、映画俳優としては線が細いというか弱いと思うな。
新感覚ミステリー
物語の冒頭から終盤まで車中でカセットテープから流れる演劇の台詞が印象に残る。
主人公である家福は演出家であり、自らも舞台に立つ役者でもある。
家福は妻の浮気を目撃してしまうが、怒るわけでもなく何事もなかったかのように振る舞う。
実はこの夫婦は4歳になる子供を肺炎で亡くしていた。
その事から妻である音は傷心し立ち直れずにいたが、ある日からセックスの最中に物語を語るようになる。
音は大事な話があると言い残し、くも膜下出血により病死する。
2年後、ある演劇祭の仕事で広島に向かい、そのドライバーとしてみさきが登場する。
徐々に距離を縮めていき、お互いの過去のことを話し始める。ラスト近く演劇の台詞が劇中の主人公達にも重なるようなセリフ、不幸なことだらけだけど生きていくしかない、あの世に行ったら神様に憐れんでもらおうというよつな台詞がこの映画の主人公達を表しているように感じた。
終盤まで感情を感じなかった主人公が自分自身に向き合い本当の自分を解放していた。みさきと対話し、重ね合わせることで自分自身と向き合っていたんだと思う。
村上春樹は以前に読んで苦手だと感じていたが、やはりこの不思議さは苦手である。
ただ、映画として引き込まれた。ストーリーが緻密で丁寧に描かれていた。
ひたすら思考を要求する映画
物語の中で幾重にも物語を語り、巧みに組み入れ、下手な演出だと滅茶苦茶になりそうだなと思いつつ、そこはやはり村上春樹作品、端正な清潔感とともに理路整然と物語が組み上がり引き込まれていく。
丁寧に1シーンずつ、ひたすら思考する事を要求する、示唆にあふれた映画。劇中、観客に考えさせる量の何と凄まじいことか。画づくりも、いかにも考え抜かれた精密感、静寂感に満ちたものになっている。
思索の深掘りが試される気分と、日常に慣らされた頭が少しリセットされた感覚を覚える。これは村上春樹の小説を読んだ後味そのものであって、同じものを映画でも感じるとは思わなかった。
セックスの際に語られる創作物語が夫婦のきずなになり、仕事になるという下りは村上春樹ならでは。他の作家が書いたら気持ち悪くて許されないだろう。
各映画賞を受賞しており、これは納得出来るが、子供と一緒に観られる娯楽映画ではない。「かもめ」くらいしか読んでなかったチェホフも読んでみようか。
最後にサーブに乗っていた犬は、食事に招かれた家に居た犬ですよね?穏やかで暖かい未来を感じさせるラストも映画らしくて良かった。
流れる景色。
棒読みのテープと読み合わせ。三浦透子という役者を選ぶセンス。最後まで三浦透子は感情的になることはなかった。それがよくある感動を誘うような演出にならなくて良い。彼女の実家に行った時、どういう感じになるのか見入ったが、やはり期待を裏切らず。素晴らしい。
家福が車を手放すことで、彼女がそれを引き継ぐことで、二人が生きていけるならそれでいい。最高の選択。
長い。
話題になったため鑑賞。
まず、プロローグが長い。からの2部?も長い。
役者陣の演技は上手かった。微細な演技や表情の変化がとても良いです。カットやシーンとかも凝ってると思う。サイレントなところやドライブのシーン、トンネルなどなど。ちょい俺にはくどく感じるところや眠くなるとこもあったけど、いいんだと思う、、。
まぁ、あとは内容。俺には難しすぎたかな。ドライバーと徐々に距離を縮めていくところとか、人と人との関わり、こーゆー訴えかける?的なストーリーは刺さる人には刺さるのかな。
子供脳の自分としては、大迫力・ラブコメ・大爆笑・感動・わかりやすい起承転結・ハッピーエンドが好きだから、そこまでハマらなかった。
小説好きな人は、いいかも?俺には早すぎました笑
不思議な世界観に引き込まれる心地よい3時間
村上春樹氏の短編を原作にした映画。原作では黄色のサーブ900コンバーティブルですが、映画では赤のサンルーフ付き。この車、学生時代に憧れていたこともあって、それだけでエモかったです!
2人が車内で煙草を吸って、サンルーフから出しているシーンが個人的にはとても良かったです。
他は、皆さんがいろいろ書いてらっしゃるので、そのことだけ(笑)
訣別と再生
アカデミー賞受賞のニュースを受けて映画館で観ることにした。静かに紡がれる訣別と再生の物語は、深い余韻を残した。映画を見終えて外の世界に出た時に、何か言葉にならないけれど世界がほんのわずかに変化したように感じた。過去の悲しみから抜け出せずにいる全ての人に観て欲しい。この映画は自分の中に葬られていた生きる喜びを思い出させてくれる。
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