ポゼッサー

劇場公開日:

ポゼッサー

解説

鬼才デビッド・クローネンバーグを父に持つブランドン・クローネンバーグ監督の長編第2作。第三者の脳に入り込む遠隔殺人システムを使う殺人者と、人格を乗っ取られた男との生死をかけた攻防を、冷徹で研ぎ澄まされた映像や過激な描写の数々とともに描くSFサスペンスノワール。殺人を請け負う企業に勤めるタシャは、特殊なデバイスを用いてターゲットとなる者の近しい人間の意識に入り込み、ホストとなるその人物の人格の所有者(ポゼッサー)となって殺人を遂行する。無事にターゲットを仕留めた後は、ホストを自殺に追い込み、意識から離脱する。請け負う殺人はすべて速やかに完遂してきたタシャだったが、ある男の意識を乗っ取ったことをきっかけに、タシャのなかの何かが狂い始める。主演は「マンディ 地獄のロードウォリアー」「ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷」のアンドレア・ライズボロー。意識を乗っ取られる男を「ファースト・マン」「ピアッシング」のクリストファー・アボットが演じた。

2020年製作/103分/R18+/カナダ・イギリス合作
原題または英題:Possessor
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2022年3月4日

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(C)2019,RHOMBUS POSSESSOR INC,/ROOK FILMS POSSESSOR LTD. All Rights Reserved.

映画レビュー

4.0クローネンバーグの創造的破壊は、2世監督だけでなく現代の観客にも受け継がれた

2022年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

興奮

ブランドン・クローネンバーグ監督の長編第2作となる「ポゼッサー」は、デビュー作「アンチヴァイラル」にもまして父デビッドの影響を感じさせる強烈な映像作品となった。デビッド・クローネンバーグ監督は1980年代から90年代にかけて、特殊メイクやメカトロニクスを活用して異形者への偏愛や人体損壊をはじめとする残虐な描写を追求し、サスペンスホラーの領域にありながら独特の美意識と世界観でジャンルを超えてファンを獲得した。ハリウッドでCGによる視覚効果が普及していった90年代以降、流れに逆行するかのようにVFXに頼る作品が減り、人間の内面、心の闇に迫るサスペンスドラマを多く手がけていったのも興味深い変化だった。

さて、息子ブランドンが脚本も兼ねた本作も、人格を乗っ取る技術というSF設定や、主人公が他人の体を乗っ取って遂行する殺傷の過激なバイオレンス描写で、一時代を築いた偉大な父の影響を逃れられない血の宿命のようなものを感じさせる。さらに言えば、これ見よがしなCGの利用は避け、殺傷場面で損壊される身体の特殊メイクや、手作り感のあるマスクを使った心理描写など、アナログな手法にこだわっているのも、やはりデビッドの美意識を受け継いだことをうかがわせる。

そして、「ポゼッサー」の映像表現に心をざわつかせながらも魅了されてしまうとすれば、その観客もまた、直接的、間接的にデビッド・クローネンバーグの創造的破壊の影響下にあるのではないか(デビッドの諸作を未見の人でも、デビッドに影響を受けた監督の映画を観た可能性があるという意味で)。一ファンだった評者も、ブランドンの作風に懐かしさを覚えつつ、いつか父を超える映像作家になってほしいと期待している。

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高森 郁哉

1.5お腹が空いて死にそう

2024年11月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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共感した! 0件)
なつ

3.5おじさんは父親目線で応援している

2024年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

寝られる

息子クローネンバーグを。と思ったら大して年齢変わらんかった。

人の体を乗っ取り殺人を敢行、乗っ取った体は自殺して処理して完全犯罪成立!という恐ろしい暗殺手法を使う殺しの組織?で乗っ取り役、つまり殺し屋として働く主人公のターシャ。冒頭はその殺しのテクニックを見せる…はずがどこかおかしい。ターゲットを殺してから自殺して終了のはずが、手元の拳銃の引き金を引くことができない。
駆けつけた警官と銃撃戦の末に死亡して無事乗っ取った体から意識を離脱させる。

その以来から心身ともに衰弱しつつあるターシャだったが、離れて暮らす家族と束の間の再会の後に次の大掛かりな依頼を受ける決心をする。
それは、大企業の社長とその娘の殺害の依頼、娘の恋人の体を乗っ取り近づくというものだった。

ブランドン・クローネンバーグ監督作品。なのでどうしても父との比較をされてしまうのはもう宿命としか言いようがないし、お互いSFホラー作品、独特の世界観という共通項があるように思う。
この作品もそこはかとなく父の臭いを感じさせつつもオリジナリティあふれるストーリー展開で、その体を乗っ取る瞬間のビジュアルなどはかなり凝っていて面白い。視覚的に、あー乗っ取ったんだなーとなんとなく納得させる画作りになっていてセンスを感じた。

その分、ストーリーがどこか説明不足でこちらの脳内にもチップ埋めて色々情報仕込んでよと思うような説明不足部分がチラホラ。後半に進むに従ってその綻びが大きくなっていった印象。
題材がメチャクチャ面白いし、映像化もしっかりできている分脚本の作り込みの甘さが感じられて少し残念だった。
後で解説見て、ああそのタイミングで意識を支配してるのはこっちやったんか、とちょっと驚いたりもしたぐらい。しかも恐ろしく静かなシーンが多くて珍しく一瞬寝落ちした。

正直映画単品としての評価はそれほど高くできない。あまりにも説明不足なのと、終盤のあるシーンがちょっと許せんかった。

でも、ブランドン監督にはこれからも是非頑張って欲しい。お父さんがザ・フライの監督をしたのが43歳の頃なのでちょうど今のブランドン監督ぐらい。まあお父さんはその時点でスキャナーズとかヴィデオドロームとか快作を出しまくっていた頃だけど、今は一本映画を作るにもどえらい費用が掛かるからそんなにポンポン出せんと思う。

それでも、お父さん同様完全オリジナル脚本でニッチ市場でしか受けなさそうなヘンタイ作品を作り続ける映画監督さんはハリウッドではレアな存在だと思う。
親の七光りと言われてもいいから、オリジナリティ溢れる独特のクローネンバーグワールドを作り続けて、このヒーローものとディズニーの続編しかないような映画業界にエログロワールドを守り続けて欲しいと期待している。

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ハルクマール

3.5無感覚の外道

2023年11月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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つとみ