サンダーロード
劇場公開日 2020年6月19日
解説
新鋭ジム・カミングスが監督、脚本、編集、音楽を担当して主演も務め、2016年のサンダンス映画祭でグランプリを受賞した短編を自身のメガホンで長編映画化。私生活では妻と別居し、仕事でもトラブルが続く、テキサス州の警官ジム・アルノー。最愛の母親が亡くなったジムは葬儀で母が好きだったブルース・スプリングスティーンの「涙のサンダーロード」に合わせて踊ろうとするが、ラジカセの故障により音楽が流れず、涙ながらに無音の中でダンスを踊る。それはバレエ教室を主宰していた母への息子からの思いを込めた踊りだったが、後日、小学4年生のひとり娘の親権をめぐる調停で、母の葬儀で踊る映像が奇行の証拠として提出されてしまう。腹を立てたジムは相棒の黒人警官ネイトに八つ当たりし、警官を解雇されてしまい……。
2018年製作/92分/PG12/アメリカ
原題:Thunder Road
配給:ブロードウェイ
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
人間のダメさ、愚かしさを赤裸々に活写するコメディは傑作の宝庫だ。『サンダーロード』も、痛々しくて、到底笑っていられない瞬間の方が多かったりするが、可笑しさと哀しさの濁流に放り込まれるような、さしづめ感情のローラーコースターみたいな映画なのだ。
主人公の警官ジムが善良か否かは、正直自分には判断がつかない。不器用な善人とも言えるが、近所にしればはた迷惑な隣人だろう。ただし、確実に言えるのは、良き父親、良き夫、良き息子、良き市民であろうという必死だということ。、なんならいつだって善行を積もうとしているのに、すべてが裏目に出てしまう、善人であることがあまりにも向いていない人物なのだ。
ジムくらい無様に失敗を繰り返すのは簡単ではないが、ジムは、誰もがハマりかねない落とし穴に真っ先にハマってくれる男でもある。個人的にはショーン・ペン主演の『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』を思い出したが、人間の愚かしさに心が震えてしまう人たちすべてに激推ししたい傑作だと思う。
ネタバレ! クリックして本文を読む
奇妙な映画と言わざるをえない。冒頭12分間にわたる長回しの中、いったい何を見させられているのだろうと思う。全てがアドリブのようにも、緻密な演技のようにも見えるが、くすくす笑いはやがて苦笑いに転じ、もはやこれをコメディに分類していいのかさえわからない。少なくとも踊ってる彼はとにかく必死なのだから。
口を開くと人を不快にさせる。すぐキレる。かと思えば後悔し、また次の瞬間には私はこんなに苦労してるんですよ、と主張する。すぐ身近なところにもこんな人間の一人や二人いるような・・・もしくはそこに重なるのは自分自身だろうか。そういった鏡面的なものを感じるからこそ、彼のことを決して見放せないのかも。
かつて母親が歌に感化されて故郷を飛び出したように、彼にも全身全霊をかけて誓う時が来る。人生とはその瞬間の訪れを信じてひた走るサンダーロードーーーー未だ聞いたことのない歌の真髄に少しだけ触れられた気がした。
2022年6月16日
Androidアプリから投稿
主人公は、悪いヤツじゃないが、
癇癪持ちで、口下手で、不器用。
そんな彼が日常で七転八倒する姿を描くのだが、
イタい奴過ぎて、見てられない。
もっとコメディタッチなら、
路線は違うが、ジム・キャリーが主演して、おバカ系に振り切ってしまえば、コメディとして楽しめただろう。
だが本作は楽しめない。笑えない。
主人公の苦悩を描くモノとしては「マンチェスターバイザシー」とかあるが、あれとも全然違う。
2020年11月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
ベネツィアよりサンダンスの方が好きだわ、やっぱり。
離婚後、娘の監護権を元嫁と争う事になった痛い男の話。失読症だが、よくしゃべる。うっざい。マジでうざいです。
前日見た「佐々木」も痛かったけど、この主人公ジム・アルノーも負けてません。母親の葬儀でのスピーチから訳わからんフラダンス。娘の前で演じる良いお父さん。親友家族と食卓を囲んでもイタイ話しかできません。全身全霊がイタイ。離婚した元嫁が一人娘のクリスタルの監護権と給料と年金の半分を寄こせ裁判でも。痛さ全開で判事に絡みます。敗訴を弁護士に告げられて、ドドドドとブチ切れて、最後は破れたパンツ。あぁ、イタイw
親友の救いで上向き気分も、状況が劇的に変わる訳じゃ無く。これがアーバズレッな元嫁のオーバードーズで裁判は吹っ飛び、念願の父娘生活。
それだけ。教訓も高説も何にもない、あるイタイ男の生活をのぞき見してる風な物語。勤め先でも、家庭でも、押さえつけられ、鬱になりそでやってらんないよ、と言う野郎共は共感してしまいそうなジム・アルノー役は、監督と脚本の三役のジム・カミングス。どこまでが体験談なんでしょうか?って言う詮索は無しで。
ジム・カミングスの次作も楽しみです。
好き。結構。
すべての映画レビューを見る(全30件)