護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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みて良かったな
原作を読んで、楽しみにしてました。初日に観れて嬉しい。 ほぼ原作通り。映画の時間枠に収めるためには多少の設定変更は仕方ないと納得。個人的には、そこをそう変えたのかと驚く設定もあったかな。 逆に、原作では触れていなかった殺害シーンが詳しくあったり、震災部分をだいぶ取り入れた感じ。 原作読んで無い人には、是非読んでじっくり深掘りしてみて、と言いたくなるなぁ。 生活保護申請や運用の難しさ、『護られなかった人』に対して誰がどうするのがよいのか、、、 生活保護申請で、たとえ何十年も会ってなかったとしても、親族イコール頼れる人がいると判断されるのは現実なのかな。けいさんの、生活保護申請解除の理由が切なかった。。 清原果耶、朝ドラとだいぶイメージ違う役でドキドキ。でもどちらも宮城県だなぁと、ちょっと嬉しく思った。
大震災の爪痕
何を伝えないのかわかりました! 殺人事件は特に関係ないとも思えます… 犯人の気持ちは充分伝わる展開です あまり書かないようにします 昨日観た空白とダブりますが非常に心が苦しくなる作品です 是非見てください!
まろやかに、すとんと
東日本大震災の被害復興と、生活保護、それぞれの問題をあらわにした社会的意義のある原作を、ここまでよく映像化したと、感心しきり。 映画用に改変した部分は多く、犯人のあるポイントを変えたり、議員の人間性を変えたりってあたりは、「まろやかにしたなぁ」と。 そこも映像化においてはすごくよかった点で、万人受けしやすく、ストンと腑に落ちやすくなったと思いました。
原作からの改変が活かされた稀有な例
原作は中山七里の長編推理小説で、全国 14 紙に2016〜2017 年に連載されたものである。東日本大震災をきっかけにして人生が大きく変えられてしまった人物たちが織りなす人間模様であるが、ミステリー作品というよりは社会福祉や生活保護の現状をこれでもかと叩きつけた作風になっていた。映画化にあたっては、事件の発生を大震災の4年後から9年後に変更されたのをはじめ、登場人物の設定にはかなりの改変があった。 東北人は、東日本大震災の話になると襟を正さずにはいられなくなる。人一人が亡くなることは関係者にとっては耐えがたい悲しみであるのに、それが一度に何千人も起こってしまったのである。映画冒頭の避難所の風景などはもちろん作り物であろうが、そのリアリティは素晴らしいものであった。あの時、自然の猛威に晒された時の人間の非力さ、助け合いの有難さを忘れることはできない。 人間は一人では生きて行けず、誰かと関わり合って生きていかなければならないというのが古来よりの定めである。社会保障制度がない時代には、家族を失ったり病気で動けなくなった場合に餓死するしかないというのが現実であった。しかし、現憲法では「国民は最低限の生活が保障」されているので、働かなくても生命の維持が可能になっている。一方で、この制度を悪用して楽して生きようとする不届き者も後を絶たず、各自治体の生活保護担当者はその見極めと適正な運用に心を砕いている。 働ける家族がいる場合にはその収入によって生きるべきという建前であるが、我が子と親子としての関係が確保できていない老人には、突然我が子の前に現れて生活に窮しているから助けてくれと身の上話をさせられることになる。それを生活保護申請より困難なことと考える者も少なからずいるであろう。実に見事な着眼であり、各人物の引くに引けない事情などが我がことのように察せられた。 ものの本によると、口に水も何も入れられない状態で餓死するには1〜2週間を要し、その間意識が保たれるので、餓死の苦痛は5段階中レベル4と記述されており、電車への飛び込み(レベル3)よりも苦しく、入水(レベル4)と同じくらい苦しいらしい。レベル1は縊死と高いところからの飛び降りだそうである。この犯人が選んだ殺害方法にはこうした理由があったのである。 配役は実に贅沢であり、阿部寛も佐藤健もイケメンオーラを封印して非常に陰のある役柄を見事に演じていた。倍賞美津子の人柄の優しさや暖かさなども見応えがあり、そのリアリティが物語の核となっているだけに、彼女を取り巻く者たちが持ったであろうかけがえのなさを、観客に感じさせるのに成功していた。清原伽耶の役柄は原作から変えられていたのだが、この演技を期待して変えたのであれば原作を凌駕していると思った。制服姿なども違和感は全くなく、朝ドラの主役をやりながらこれを撮っていたのかと驚嘆させられた。 音楽はこの映画の持つ切なさや、やり切れない雰囲気を良く醸し出していたが、最後に流れてくる桑田の歌は場違い感が甚だしく、見終えた後の気分に水を差された。演出は終始緊張感が途切れず、台詞に頼らずに各人物の心情を感じさせる手腕には感服させられた。満席の館内にはすすり泣きも数多く聞かれた。大変な傑作である。 (映像5+脚本5+役者5+音楽4+演出5)×4= 96 点。
ただのミステリーじゃない。深く刺さる!
事件の起きた背景が、東日本大震災やその後の生活保護受給をめぐる公共サービスにあるので、動機が深い。 震災後の傷つき疲弊しきった人々が、生活保護を提供する側と受ける側に立つ。そこに意図的な悪意はないのかもしれない。 でも、生活保護という公共システム自体の問題点もからみ、憎しみが生まれ、事件が起こる。 佐藤健、阿部寛、清原果耶、の渾身の演技は本当に素晴らしかった。 脇の俳優も、出番が少ないにもかかわらず演技派揃いで、映画全体に重厚感があった。 ラストの、利根青年の出自と水、刑事の息子と幹ちゃんを護りたかった理由が全部結びついたとき、涙腺崩壊! 映画館内、すすり泣き多数でした。
護ろうとした者たち
“魂が泣く”とは言い得て妙だ。
事件が起きた背景を知ると憤慨と哀しみで胸が締め付けられる。誰も本作の犯人を責めることはできないだろう。もっとも憎むべき相手は国なのかもしれないが…。
本作は社会福祉の在り方や不条理さを巡って描かれるミステリー。未だ大きな爪痕を残す3.11東日本大震災の背景も絡められることにより“護られなかった”との言葉がより幅広い意味合を持ち私たちに訴えかける。
大筋は原作と同じであるが(細かい部分は大きく脚色されている)、映画の方が東日本大震災との関係をより深く絡めながら時系列も細かく入れ替えている。映画の脚本も申し分ない。
かんちゃんを護ろうとした利根
飢えで意識が薄れていく中で利根とかんちゃんを護ろうとしたケイさん
家族を護ろうとしたが護れなかった笘篠ーー。
『護られなかった』とはケイ達のように生活保護を受けられずに命を失った人、東日本大震災によって命を失った者、それにより愛する人を失った者たちのことで、私たち皆が大切な“何か”を護ろうと生きている。
本作を観て涙を流す人は多いだろう。だけどただ泣いて終わりではない。護られようとすべきものが護られず、護に値しない者を護る(不正受給など)今の法律と歪んだ社会が変わらないといけない。そのためには私たち一人一人が声をあげる必要がある。
そして、終身雇用制度が崩壊し、幸せな未来が約束されない不安定な現代の日本を生きる私たちはまさに「一寸先は闇」で、よほどの資産家か富裕層の家庭出身でない限り、誰しも貧困の沼に引きずり込まれる可能性があり、本作に描かれている事は決して他人事ではないのだ。もし自分自身が、または愛する人や身近な人が貧困の沼に陥った時に、私たちはどうすればいいのか、ラストのカンチャンのSNSへの投稿が印象的だ。
以下原作から。
「声の大きいもの、強面のするものが生活保護費を掠め取り、昔堅気で遠慮や自立が美徳だと教え込まれたものが今日の食費にも事欠いている。護られなかった人たちへ。どうか声をあげてください。恥を忍んでおらず、肉身に、近隣に、可能な環境であればネットに向かって辛さを吐き出してください。この世は思うよりも広く、あなたのことを気にかけてくれる人が必ず存在します」
それにしても、ちょっとした役にも主役級のキャスト達が顔を揃えていて、豪華すぎる。かんちゃんに清原果耶を差し出すあたりも心憎い。
もう一度観るには重すぎるけど、より多くの人に観てもらいたい作品だ。
切ない悲しいドラマ
凄く面白かった。震災と生活保護をめぐるテーマ。 震災から9年後に事件が起き、徐々に真相が明らかに。 避難所で出会った見ず知らずの3人は、凄く愛ある家族になった。不器用な3人には誰よりも幸せになって欲しかった。だが、、、 人には親切にしたい、いつも笑顔でいよう そう観て思った映画でした。
自分の気持ちを乗せられなかった
試写会で見る。 震災がテーマなので重い内容であることは想定内だったが、 復興支援のため、1.5年被災地にいた者としては、もっと違うテーマもあるよな・・・と自分の気持ちが乗せられなかったというのが正直な感想です。 技巧者が多い中、もう一つ上の表現ができてないことも物足りなさを感じる要因でもあると思う。 最後のシーンくらい、明るい陽がさす被災地を映し出して欲しかったです。
魂が揺さぶられた
試写会にて観賞 観終わったあと、題名の意味を深く 感じられされる内容でした 豪華キャストに恥じない構成、 震災を風化させないためにも、 幅広い年代の方に観て貰いたいと思いました、エンディングのサザンの曲も 良かったです 原作本はこれから読んで、また観に行きます
震災から10年。
震災によって、家族を亡くし家を無くし何もかもが変わってしまった。 正直、関東地方在住なので、何も被害がなかった。 だから、軽々しく分かるなんて言えない。 でも、このような形でも考える機会は必要だと思う。 震災からの貧困。 まだまだたくさんの方が頑張っている。 考える機会になった。
阿部ちゃんの刑事もの
2021年9月16日 映画 #護られなかった者たちへ (2021年)鑑賞 #T・ジョイ博多 試写会 東日本大震災後の復興が進む仙台で発生した連続殺人事件を巡り、日本の生活保護制度の欠陥を明らかに 主演の3人の演技が素晴らしかった #護られ観た #魂が泣いた
見つかった
大震災 × 疑似家族モノ = 過去と今をつなぐサスペンス/ミステリー。価値ある題材だけど、いかんせん感情がついていかなかった。護"られなかった"と聞くと一般的に受け身・受動態な気がするけど、そこには能動態としての「できなかった」"can not" の意味も込められているよう。そういう「あのときもっとこうしておけば…」という自戒・自責、後悔に反省の念みたいなものも、多少ご都合主義的符号性もはらみながら最後にはしっかりと昇華する。途中の雨天でのチェイスシーンは見応えあった。説明しがちで中だるみ感否めない。生活保"護"目には目を。 スターモードでストイックな佐藤健もいいけど、今回は役者モード。やさぐれ怖い感じも出せる。安定の阿部寛もいい、こういう役柄似合いすぎ。友罪モードでサイコパス味ある瀬々組常連・永山瑛太(つまり東出の得意そうなやつ)。絵に描いたように説明係な林遣都。他にも実質出番ワンシーン+αくらいしかない役どころでも結構知った顔が揃っている。佐藤浩市は今回休み。瀬々監督のフィルモグラフィーには2(3?)種類のタイプの作品があると思っていて、本当に自分の作りたい(けどお金にはならない?)ものはクラウドファンディングや小規模で製作し、一方で普段はメインストリームの原作モノも監督している。本作は『ロクヨン』『友罪』パターンか。『糸』のような恋愛系もしていて、佐藤健は『8年越しの花嫁』にも出ている。次の『とんび』も阿部寛出演。
311をフィクションの舞台にするだけの時間が経った。
愛する人すべてを一瞬のうちに失ったあの3.11。それぞれに心に癒えない傷を負った人々が寄り添って生きようとしていく。そして家族のようにいたわり合った愛する人を再び失うことで、痛切な事件が起きてしまう。追うものも追われるものも、あの日にたまたま生き残る側になった者だ。そして、生き続けるためのシステムから護られなかった者の慟哭がこの映画の主題だろう。 作品の通奏低音ともいえるあの3.11に起きた全てと、そして「生き残ったことで決着をつけなければいけないものを抱き続けた」登場人物がおりなす、まだ終わっていない惨禍が観客の心を打つ。そしてその終わっていない惨禍の是非が、が殺人事件として、世に問われる。真相が明かされる時、観客はその罪を憎むことができるのだろうか。ふたたび別れなければならない家族は、こののち、また再会できるのだろうか。 久しぶりに重厚な人間ドラマを描いた傑作を観た。今年のベストだ。
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