護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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タイトルの意味と重さ
「護れなかった」、じゃなくて「護られなかった」
一文字違うだけで立場が逆になる
震災で生きててよかった、と思う人と、生きててよかったのかな?と思う人、初めて3人で寝た夜に言った台詞がタイトルにも関連してて、見終わった後に気付いた
実際に震災で被害を被った訳じゃないけど、被害者やその家族のことを考えると物凄く考えさせられる
早いもので震災から10年
いちえふのような大きな事件ではないが、映画の台詞を借りれば「怪物」が起こした人生や心を大きく変化させた出来事だったんだな、と改めて考えた
それにしても予告だけで判断すると佐藤健が犯人なんだろうな、と思ってたけどフタを開けたら、清原果耶の静かに見える、とんでもない憎悪をラストシーンで見せつけられた
完全に阿部寛と佐藤健を食ってた
あんな可愛い顔してるのに…
佐藤健は普段の役柄とは真逆だったけどいい演技してるし、倍賞美津子も本当に素晴らしい演技
震災や貧困、生活保護など扱ってるテーマは重いけど、見て損はない映画
心抉られる名作 震災の傷痕は疼き続けて
原作は未読。必ずこれから購入して読もうと思いました。
観賞後、心が抉られました。おそらくこれからしばらくの間はこの映画のことを思い出し続けるでしょう。
ミステリーとしては「誰が」は比較的分かりやすく、「どうやって」はあまり重視されず、いわゆるホワイダニット=「どうして」を考えるタイプです。
犯人も、被害者も、刑事たちも、登場人物はみんな震災という「怪物」で傷を負った人たちです。(東京から来た主人公刑事の相棒刑事だけはそういう点では第三者だが)。
この作品には「嫌なやつ」がたくさん出てきます。「なんだこいつは!!」とムカつく登場人物がたくさん出てきます。二人の主人公も、その周辺の人物も。いわゆる「善人」としては一人も描かれません。
「誰も悪人ではない」みたいな単純な言葉は使いたくはありませんが、少なくとも「震災」がなければ「嫌なヤツ」にならなくて済んだ人たちが大勢いるんだと、そう感じさせる映画です。
誰しも護りたい人とか物があります。「絆」だとか「助け合い」だとかポエムのような言葉ではなくて直接的に手を差し伸べたいと思うこともあります。
しかし、私たちにはそれを護りたいと思っても「勇気」や「力」が足りないという現実に直面する場合が多々あります。全てを護ることなど到底出ないのかもしれません。
あの震災を経験した我々日本人は多かれ少なかれ心のどこかに罪悪感のようなものを抱えています。護れなかった、見捨てた。3月11日をむかえるたびに罪の意識のようなものがチクチクと痛みだすこともあります。
この映画の主人公二人の姿は私たちにその癒えない罪悪感に対してどう向かい合ったらいいか、その一つの解答を示してくれているような、そんな気がします。
震災を描いた作品はいくつもありますが、本作はその中でも特に「震災後の私たちがこれから、あの日とどう向き合っていったらいいか」を描ききった名作だと思います。
個人的には今年の邦画で一、二位を争う作品だと感じました。
原作読んだときの
原作の良さを自ら放棄。中途半端に。
前半の避難所のシーン尺取り過ぎ。
3.11の凄さは他の作品以外でも十分語られているのにわざわざ原作に無いシーンをふんだんに織り込む必要があるあった?
かんちゃんの服装とラストの回収くらいしか意味見出せないんだけど…
って言うかかんちゃんの母親、津波で逝かせてしまうって!
長屋で家に帰りたがらないかんちゃんのシーンが有るからこそ3人の絆がより強くなる!って良いシーンなのに(怒)
『生活保護受給者は子供を塾にすら行かせられない!』って怒りのシーンはもっと深くても良かったと思う。
生活保護のシーンは全体的に大人しめだよね。
やっぱり御上に目をつけられたく無い?
1番のビックリ点はかんちゃんガクブル女の子設定って事!
原作もそうだっけ?(結構前だから…)
初回の殺人もアパートの一階だったはず。
女性じゃ全く動かない成人男性(約70K)を古い階段の上を2階まで引きずって上げるなんて!
まぁ健と阿部ちゃんの演技に救われた感ありありのは作品。
良い映画でした
震災がテーマの作品はドラマも含めていくつか観ましたが、どんなに悲惨なものだったのだろうと考えるといつも悲しくなってきます。生き残った人達が肩を寄せあっていく様、行政への理不尽な思い、そして行政の人も、みんなが一生懸命だったと思います。殺人はいけないし極端ですが、辛抱して辛抱して色んな事を乗り越えて来られて、同じ日本の離れた地域で悲しい思いをされた方々が、今日も幸せで一日を終えていて欲しい、投げかけられた生活保護の問題もありますが、とにかくそう願わずにおれない映画でした。
演出面では、役がそれぞれはまっていて、役者がみんな上手かったです。最も意外だったのは犯人で、透明感と同時に持ち合わせている暗さが躊躇なく存分に発揮されていて、その度胸が評価できると感じました。
うどん食べたい
みて良かったな
原作を読んで、楽しみにしてました。初日に観れて嬉しい。
ほぼ原作通り。映画の時間枠に収めるためには多少の設定変更は仕方ないと納得。個人的には、そこをそう変えたのかと驚く設定もあったかな。
逆に、原作では触れていなかった殺害シーンが詳しくあったり、震災部分をだいぶ取り入れた感じ。
原作読んで無い人には、是非読んでじっくり深掘りしてみて、と言いたくなるなぁ。
生活保護申請や運用の難しさ、『護られなかった人』に対して誰がどうするのがよいのか、、、
生活保護申請で、たとえ何十年も会ってなかったとしても、親族イコール頼れる人がいると判断されるのは現実なのかな。けいさんの、生活保護申請解除の理由が切なかった。。
清原果耶、朝ドラとだいぶイメージ違う役でドキドキ。でもどちらも宮城県だなぁと、ちょっと嬉しく思った。
まろやかに、すとんと
東日本大震災の被害復興と、生活保護、それぞれの問題をあらわにした社会的意義のある原作を、ここまでよく映像化したと、感心しきり。
映画用に改変した部分は多く、犯人のあるポイントを変えたり、議員の人間性を変えたりってあたりは、「まろやかにしたなぁ」と。
そこも映像化においてはすごくよかった点で、万人受けしやすく、ストンと腑に落ちやすくなったと思いました。
原作からの改変が活かされた稀有な例
原作は中山七里の長編推理小説で、全国 14 紙に2016〜2017 年に連載されたものである。東日本大震災をきっかけにして人生が大きく変えられてしまった人物たちが織りなす人間模様であるが、ミステリー作品というよりは社会福祉や生活保護の現状をこれでもかと叩きつけた作風になっていた。映画化にあたっては、事件の発生を大震災の4年後から9年後に変更されたのをはじめ、登場人物の設定にはかなりの改変があった。
東北人は、東日本大震災の話になると襟を正さずにはいられなくなる。人一人が亡くなることは関係者にとっては耐えがたい悲しみであるのに、それが一度に何千人も起こってしまったのである。映画冒頭の避難所の風景などはもちろん作り物であろうが、そのリアリティは素晴らしいものであった。あの時、自然の猛威に晒された時の人間の非力さ、助け合いの有難さを忘れることはできない。
人間は一人では生きて行けず、誰かと関わり合って生きていかなければならないというのが古来よりの定めである。社会保障制度がない時代には、家族を失ったり病気で動けなくなった場合に餓死するしかないというのが現実であった。しかし、現憲法では「国民は最低限の生活が保障」されているので、働かなくても生命の維持が可能になっている。一方で、この制度を悪用して楽して生きようとする不届き者も後を絶たず、各自治体の生活保護担当者はその見極めと適正な運用に心を砕いている。
働ける家族がいる場合にはその収入によって生きるべきという建前であるが、我が子と親子としての関係が確保できていない老人には、突然我が子の前に現れて生活に窮しているから助けてくれと身の上話をさせられることになる。それを生活保護申請より困難なことと考える者も少なからずいるであろう。実に見事な着眼であり、各人物の引くに引けない事情などが我がことのように察せられた。
ものの本によると、口に水も何も入れられない状態で餓死するには1〜2週間を要し、その間意識が保たれるので、餓死の苦痛は5段階中レベル4と記述されており、電車への飛び込み(レベル3)よりも苦しく、入水(レベル4)と同じくらい苦しいらしい。レベル1は縊死と高いところからの飛び降りだそうである。この犯人が選んだ殺害方法にはこうした理由があったのである。
配役は実に贅沢であり、阿部寛も佐藤健もイケメンオーラを封印して非常に陰のある役柄を見事に演じていた。倍賞美津子の人柄の優しさや暖かさなども見応えがあり、そのリアリティが物語の核となっているだけに、彼女を取り巻く者たちが持ったであろうかけがえのなさを、観客に感じさせるのに成功していた。清原伽耶の役柄は原作から変えられていたのだが、この演技を期待して変えたのであれば原作を凌駕していると思った。制服姿なども違和感は全くなく、朝ドラの主役をやりながらこれを撮っていたのかと驚嘆させられた。
音楽はこの映画の持つ切なさや、やり切れない雰囲気を良く醸し出していたが、最後に流れてくる桑田の歌は場違い感が甚だしく、見終えた後の気分に水を差された。演出は終始緊張感が途切れず、台詞に頼らずに各人物の心情を感じさせる手腕には感服させられた。満席の館内にはすすり泣きも数多く聞かれた。大変な傑作である。
(映像5+脚本5+役者5+音楽4+演出5)×4= 96 点。
ただのミステリーじゃない。深く刺さる!
護ろうとした者たち
“魂が泣く”とは言い得て妙だ。
事件が起きた背景を知ると憤慨と哀しみで胸が締め付けられる。誰も本作の犯人を責めることはできないだろう。もっとも憎むべき相手は国なのかもしれないが…。
本作は社会福祉の在り方や不条理さを巡って描かれるミステリー。未だ大きな爪痕を残す3.11東日本大震災の背景も絡められることにより“護られなかった”との言葉がより幅広い意味合を持ち私たちに訴えかける。
大筋は原作と同じであるが(細かい部分は大きく脚色されている)、映画の方が東日本大震災との関係をより深く絡めながら時系列も細かく入れ替えている。映画の脚本も申し分ない。
かんちゃんを護ろうとした利根
飢えで意識が薄れていく中で利根とかんちゃんを護ろうとしたケイさん
家族を護ろうとしたが護れなかった笘篠ーー。
『護られなかった』とはケイ達のように生活保護を受けられずに命を失った人、東日本大震災によって命を失った者、それにより愛する人を失った者たちのことで、私たち皆が大切な“何か”を護ろうと生きている。
本作を観て涙を流す人は多いだろう。だけどただ泣いて終わりではない。護られようとすべきものが護られず、護に値しない者を護る(不正受給など)今の法律と歪んだ社会が変わらないといけない。そのためには私たち一人一人が声をあげる必要がある。
そして、終身雇用制度が崩壊し、幸せな未来が約束されない不安定な現代の日本を生きる私たちはまさに「一寸先は闇」で、よほどの資産家か富裕層の家庭出身でない限り、誰しも貧困の沼に引きずり込まれる可能性があり、本作に描かれている事は決して他人事ではないのだ。もし自分自身が、または愛する人や身近な人が貧困の沼に陥った時に、私たちはどうすればいいのか、ラストのカンチャンのSNSへの投稿が印象的だ。
以下原作から。
「声の大きいもの、強面のするものが生活保護費を掠め取り、昔堅気で遠慮や自立が美徳だと教え込まれたものが今日の食費にも事欠いている。護られなかった人たちへ。どうか声をあげてください。恥を忍んでおらず、肉身に、近隣に、可能な環境であればネットに向かって辛さを吐き出してください。この世は思うよりも広く、あなたのことを気にかけてくれる人が必ず存在します」
それにしても、ちょっとした役にも主役級のキャスト達が顔を揃えていて、豪華すぎる。かんちゃんに清原果耶を差し出すあたりも心憎い。
もう一度観るには重すぎるけど、より多くの人に観てもらいたい作品だ。
切ない悲しいドラマ
自分の気持ちを乗せられなかった
魂が揺さぶられた
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