護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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宮城の過去と現在
地元、宮城の至るところでロケを行った映画。観ていて、これは〇〇だなぁとロケ場所を考えながら、佐藤健、阿部寛、清野伽耶らの演技の上手さにスクリーンに惹きつけられた
普段善人を演じている役者達が、悪役を演じていることが物語に深みを与えている
しかし、いくつかの残念な点も…
2011年と2020年を行き来しながら物語が進んでいくが、この場面はどちらの話かが、佐藤健の髪型も服も変化があまりないのでわからない
何年かとあえて表示しないことにしたのが監督の意図かも知れないが、佐藤健の外見でわかる様に髪型や服装に変化を加えれば、もっと良い映画になっただろうに
例えば、韓国ドラマ「ジキルとハイドに恋した私」で主演がひとりで二役を演じ分けているが、佐藤健にも9年という時の流れを演じ分けて欲しかった
東日本大地震を体験し、今、生活が困窮して生活保護受給をしている方やしようと思っている人達に観てもらいたい話だが、実際には映画を観る余裕はないのだろうと考えさせられてしまった
絵空事でもいいから護りたかった
予想通り+気持ちよく裏切られた
生活保護問題というより3.11で出来た心の傷
《あらすじ》
児童養護施設で育った利根、寡婦のけいさん、3.11でお母さんを亡くした小学生のカンちゃんの3人が3.11の避難所で出会う。
けいさんの温かさに母の姿を見、心救われた2人は、生活に困窮するけいさんに生活保護の申請させるが、後日餓死しているのが発見される。
申請取下げがあったと役所の回答。産まれてすぐに養子に出したため自分の存在を知らない娘に迷惑をかけたくないというのがその理由だった。取り下げれば餓死するのがわかっているにもかかわらず、それを受け取る役所に腹を立てた利根は役所の入口に火を放って逮捕される。
出所し再就職した頃、けいさんの生活保護を担当した課長とその上司が相次ぎ餓死の状態で殺される事件が発生し、警察は利根をマークする。
利根は生活保護課の職員になっていたカンちゃんを訪ね、「なぜ生活保護課の職員なんかになってるんだ」「死んでいい命なんてないんだ」と哀しげに言う。
後日、カンちゃんのもとに警察が来ると「お兄ちゃんは優しい人なんです」と言う。
警察はけいさんの生活保護保護担当者で今は議員となっている男が次に狙われるとみて張り付き、利根が講演会場出口で飛び出してきて「謝罪会見してくれ」と懇願するところを逮捕する。
…ここまでの繊細な若者の悲しい復讐劇という話でお終いだったら、☆5はつけません。
この後、利根が逮捕されているというのに、議員が行方不明になるのである。
こうなって初めて、先程の2人の言葉の意味が全く違うことがわかる。
「職員にまでなって、けいさんの担当者だった奴等に近づいて、復讐の機会を狙ったのか」「例えけいさんを殺した奴等だとしても、純粋な悪人というわけではないし、命を奪ってはいけない」
自分の保身のためではなく、けいさんのためでもなく、ひたすらにカンちゃんを止めようとしていた利根。それを理解しているカンちゃん。
「お兄ちゃんは、自分が殺人犯と誤解されることより、私の身を案じてくれるような心優しい人なんです」
利根はもうこれ以上殺人を犯させたくない一心で、最後の現場であると確信するけいさん宅へ警官と赴く。
「お母さんが死んだときは怒りの遣り場がなかった、でも、けいさんは違う、人災だ」と犯行を成し遂げようとするカンちゃんに、利根は襖に書かれたけいさんの辿々しい文字を見せる。
「おかえりなさい」
けいさんは2人が再び訪れるのを信じ、この温かな言葉をかけようと思っていたのだ。そして、自分もかつてお兄ちゃんに投げた言葉。
事件が終わって、ラストで利根が3.11の津波から救えなかった子供のことを告白し、「護れなかった」と呟く。
《あらすじ ここまで》
大号泣ですよ!!
不安定な思春期に、唯一の家族である最愛の母を3.11で亡くし、震災時に知り合ったもう1人の母といえる人も亡くしたカンちゃん。同時に心の兄たる利根も傍にいなくなってしまったカンちゃん。養親は彼女を立派に育ててくれているので悪い人たちではなさそうですが、彼女にとって大切な人である利根の存在を知らないということから、心通える存在ではなかったのでしょう。もしかしたら、けいさんと利根を失った時点で、カンちゃんの心はもう閉ざされてしまっていたのかもしれませんが。
気持ち良く泣けましたわー
原作を切り落として、利根を純化させたストーリー構成もシンプルで好感をもてました。
ただ、私はこの映画を利根・カンちゃん・けいさんの3人の話だと思いましたので、警官が3.11で亡くした息子=利根が助けられなかった子供であると思われることとか、議員が謝罪会見開くシーン、田舎に来た若い刑事の存在は、蛇足だった気がします。加えて、カンちゃんが精神のバランスを崩す端緒かもしれませんが、不正受給者の当てつけ自殺未遂の話は、殺人事件とは関係ないのでこんな長いシーンとしては不要だったかなと思いました。
そもそも、生活保護問題をクローズアップしたいのなら、殺人事件など不要で、もっとそちらに純粋にウエイトをかけるべきだと思います。様々な問題点をさらっと触れられても、心に残りません。
どうせなら、3.11当時の疲弊しきった生活保護課の担当者たちの人間性について厚みを持たせた方がやるせなさが出て良かったのになぁと思ったくらいです。
あと、変なバレエのシーン、要りますか?誰?
また、海で話し合いさせたいからだとは思いますが、手錠だかの拘束を海岸付近で外すのも違和感ありました。
号泣したい方、オススメです!
護るべきものは
主演の阿部寛さん、佐藤健さんお二人が、巧みな演技で魅せる。
清原果耶さん、石井心咲さんお二人の熱演も素晴らしい。
慈愛に満ちた眼差しの倍賞美津子さんの演技が秀逸で、全てのシーンで魅了された。
福祉に携わっている方々の苦悩、生活保護申請者となる苦悩、それぞれの苦しみ、辛さがリアルに描かれており、根が深い問題だと感じた。
真の優しさに救われた人間が、人を殺める事が出来るのか、犯罪に手を染める事が出来るのか…今も納得出来ていない。
エンドロールで流れる桑田佳祐さんの優しい歌声が沁みた。
映画館での鑑賞
ネタバレ
題材の真面目さ、正しい怒り(エモーション)、端役に至るまでの芸達者な役者層の厚み、回想を挟み込む組み立ての旨さなど、様々な要素が高いレベルだった。多少説明ゼリフや不自然なやり取りで感情が途切れるところもあり、また事件の核心に納得できていないのだが、全体では今見るべき映画である。
終盤に入ると、自分を含めて周りのシニア層は何人も泣いていることを隠せていなかった。ぜひ全米にも見せたい。
ただ、申し訳ない事に、自分の場合の涙はかなりの部分、清原果耶の凄さに向けられたものなので映画本来の感動ではないのかもしれない。既に「なつぞら」でわかっているんだが、中学生時代のぱっつん前髪がとても似合い、現代の二十代も全くそうとしか見られない。鬼気迫る演技に、おっさん降参。さらに、主演する朝ドラ「おかえりモネ」も震災を題材としており、その最終盤を迎えるこのタイミングでの公開。朝ドラでの感情を抑えた役回りに目が慣れてしまっていた…。
アミューズ制作だからか退職前の佐藤健に桑田佳祐の主題歌そして清原果耶。事務所選びにも間違いなかった。
加賀恭一郎ではありません
悲しいかな、人間は・・・
贅沢な配役でした。
佳作だと思いますが、しっくりこない部分も
生活保護についての問題点を支給する側、される側双方からあぶりだしています。誤解も多い問題だけに、映画を通じて訴えることに意味があると思いました。
一方で、制度運用にかかわる職員たちがなぜ殺されなければならないのか。カンちゃんの憤りは理解できるものの、なぜ殺すまでしなければならないのか、疑問を抱きました。カンちゃんのように賢い子が人を殺すようなことを考えるでしょうか。殺すことはすでにまともでないことを表しています。もう少し細かいことを言うと、自分より大きな男に対し、あのような殺し方ができるのかとも思いました。フィクションなので、これぐらいの極端な描き方はあっていいのですが、あのカンちゃんを悪者にはしたくないのです。
地方勤務になった加賀恭一郎にしか見えない・・・
やっと緊急事態宣言明けてのレイトショー復活
007は、鑑賞者おおかったので、先にこちらを鑑賞
サタデーレイトショー『護られなかった者たちへ』
ダークサイドに落ちた感じの佐藤健の眼差しを予告で観て気になってた作品ですが・・・
阿部ちゃんに関しては、地方勤務になった新参者の加賀恭一郎って感じは、否めない^^;;;;;
過去に主演として演じた役柄と同じ職業の役のオフォー受けたらダメですね。
大好きな同年代の俳優さんだけに残念です。
月曜観た空白と同様に、暗く重い作品・・・
しかし殺される役者さんが、主演クラスで豪華です@@!!
現朝ドラヒロインの清原果耶ちゃんは、朝ドラ前に同じロケーションで辛い作品撮ってたと思うと凄い精神力だと思います。
表情と髪型で、女子高生と成人女性を今回も見事に演じ分けてました。
震災後の生活保護に関しての問題が軸になるわけですが・・・
保護を受ける側の問題を調査して、国が決めたマニュアルに沿って仕事をするだけで、恨まれる事もあるシビアな対応が発端して事件は起こる。
話は別ですが、飲食店のコロナ給付金で、店舗や地域により、かなりの利益が出る理不尽にもこれくらいのシビアな調査必要だと思います。
震災時に同じ場所にいた4人の繋がりが、終盤に一気に紐解かれますが、チョッと奇遇過ぎるかも!?
結末に関して・・・
ラストに明かされる犯行シーンなら痕跡や目撃情報がないわけないし・・・・
ネタバレになるので書けませんが、全てに無理があり過ぎる。
今の警察ならすぐ犯人特定出来るはずって思ってしまうほど残念な描写でした。
震災を題材とした作品は、やっぱり精神的に凹むので、注意して鑑賞下さい。
清原果耶、若干19歳、恐るべし
公開2日目と3日目、連続して「護られなかった者たちへ」を観ました。原作では行政(福祉行政)が悪として描かれていますが、本作では完全な悪ではなく、「自助・共助・公助」の名の下に行政と市民との板挟みで苦しみながら、「すべては救えない」と妥協し自分の立つ位置を定めようとせざるを得ない福祉行政の姿も描いていきます。震災は誰も抵抗できないけれども、貧困の問題は人災。これを本人の努力不足とする政府の立場は責任逃れとしか言いようがありません。ミステリーなのでネタバレは一切できませんが‥。
それにつけても主演の佐藤健と阿部寛、重要な役どころの清原果耶抜きにしては、この作品は成立しなかったんじゃないかなとつくづく思います。清原果耶、若干19歳、恐るべしです。表情が全く異なる序盤と最後、想像もつかないような表情。必見です。
社会派映画だが殺人は必要か?
1人でも多くの大人に観て頂きたい…
見終わった感想から。
もう精神の状態が良く分からない…ただ、名作であることは間違いないです。
ストーリーは、現代と3.11東北大震災の時間軸が交互に進みます。
その中で、本作の髄である2件の殺人事件の全容が明らかになるーと言ったストーリーです。
私自身、震災時20代東海地方在住で、震災の実情(報道は原発の事ばかり・行政の無能感ばかりだったと記憶しています。)を余り知ろうとせず恥じるばかり。
今になって少し考えれば、この映画の内容は全くの現実なんだよなと考えさせられました。
震災孤児や養子縁組、県外からわざわざ不正受給目的で来る屑など。
うつ病シングルママ、外車を乗り回す輩など、多分コロナという“化け物”(終盤に震災をこう表現していました)と戦う現在も似た事があるんだろうなと思いました。
俳優陣も素晴らしく(個人的感想ですが佐藤健が暫く浮いてた気が笑)、端役も豪華で入り込めました。相変わらず清原果那が凄い!瑛太も良かった!
最後の佐藤健が言った「死んでいい人間〜」は、お泊まりのシーンがあったらこその成長だし、最後の阿部さんのセリフも事件の真相(深層)を知ってこそだし、兎に角脚本も最高です!!
大人になると、“理不尽な事・不平等な事”が沢山あって、上手く精神の落とし所というか妥協点を見つけるのが上手になるのですが、色んな意味で幼い(多分、大人のそれが劇中の叔父さん)人間だと乗り越えられない葛藤があるかもしれません……別に全然悪いことでは無いです。
長文感想書かないと寝れなさそうだったので、長文にて(´・ω・`)
是非、ホテルや総理の映画もありますが、本作を観てください。ありがとうございました。
※来年にでも東北に慰霊に行きます、本当に。
護られないのは、不正な人がいるから‼️❓
安全圏から無責任に感想を
最初から最後まで泣いてしまい、途中嗚咽が漏れそうに。ヤバいヤバい。
やっぱり佐藤健も清原果耶も上手いなとか、震災と生活保護と殺人事件がこう絡んでいくのか!と映画としてはとても面白かった。ちょっとずつ関係性がわかり、事件の背景がわかっていくから退屈してる暇がなかった。
でも見終わった後は日本の福祉行政における矛盾や不備や未熟さに対する憤りしかない。
きっと生活保護だけでなくて、児童福祉とか医療現場とか災害現場とか誰かの生死がかかっている現場では日々こんな葛藤している人達がいるんだよね。自分が手を離したら助からない人達を抱えながら。頭が上がらない。
こんな風に映画を楽しめて今のところ安全圏から好き放題言ってる自分が一番無責任だ。
けいさんとの日々をもっと描いてほしかった。
原作を読んだ時、私は涙が止まらなかったし、しばらく遠山けいの衰弱していく姿が(想像で)目に焼き付き、食欲がわかないほど悲しかった。
だから利根がヤクザにリンチを受けている時にけいさんが助けた出会いや、ヤクザの道を選択しようとした利根をけいさんが命懸けで守った原作のシーンがあれば、もっと賠償美津子さん演じるけいさんの死に感情を揺さぶられるのではと思った。2時間では足りないので仕方ないです。「境界線」も阿部寛さんの苫篠刑事で是非観たいです。
あ、どなたか教えて下さい。ラスト、苫篠刑事が利根にありがとうと言ってから最後に何と言ったのですか?一人で観たので誰にも聞けず💧
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