オーバーナイトウォーク
劇場公開日:2020年7月17日
解説
「予定は未定」でSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018短編コンペティション部門の優秀作品賞を受賞した磯部鉄平監督が、同年に手がけたもう1本の作品。東京で売れない女優をしている27歳のさくらは、ヌードの仕事のオファーを受けるかどうか、思い悩んでいた。そんな時、故郷から姉の百合子が突然さくらのもとを訪ねてくる。故郷を捨てた妹と故郷を離れなかった姉。2人は過去の思いを振り返りながら、下北沢から新宿まで、夜中の散歩に出る。さくら役は、舞台を中心にドラマや映画にも出演する高田怜子。姉の百合子役は、実写版「るろうに剣心」「進撃の巨人」シリーズなどにも出演し、アクション女優としても定評のある屋敷紘子。20年6月、「予定は未定」とあわせて2本立てで劇場公開。
2019年製作/43分/日本
配給:アルミード
スタッフ・キャスト
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夜の居酒屋で仲間たちが集まり、あれこれ議論がスタートする。もしかしてこの応酬が朝まで続くのかなと少し不安になりかけたところで、ヒロインの姉が突然やってきて「ちょっと歩きながら話そうや」とナイトウォークが始まっていく。磯部作品では「夜」が大切に描かれ、体を躍動させ「移動する」ことも愛おしく描かれる。この作品の場合、移動距離は下北沢から新宿まで。移り変わる夜の街並みと共に、姉妹は歩きながら互いの近況を報告し、言い出しにくい本音をさらけ出し、さらにはおぼろげになった記憶を辿って昔話にも花が咲く。絶妙なセリフの掛け合いが歩く速度と重なり、距離だけでなく姉妹は心の内側にも降り進んでいってるかのようだ。歩道橋から望む車道はまるで光の川。やがて始発が走る。夜のとばりが明ける。街が目覚める頃、姉妹の表情はすっかり晴々としている。磯部作品の夜はやっぱり温かくて優しい。ぜひ機会あれば鑑賞してみてほしい秀作だ。