ジョーンの秘密

劇場公開日:

ジョーンの秘密

解説

スパイ容疑で逮捕された80代の老女の数奇な実話をもとにしたジェニー・ルーニーのベストセラー小説を「恋におちたシェイクスピア」のオスカー女優、ジュディ・デンチ主演で映画化。夫に先立たれ、仕事も引退し、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていたジョーン・スタンリーが突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。彼女にかけられたのは、半世紀以上も前にロシアのKGBに核開発の機密情報を漏えいしていたというスパイ容疑だった。ジョーンは無罪を主張するが、外務事務次官のW・ミッチェル卿の死後に見つかった資料などから、彼女の驚がくの過去が次々と明らかとなる。ジョーン役をデンチ、若かりし頃のジョーン役を「キングスマン」のソフィー・クックソン、ロシア人の恋人レオ役をテレビシリーズ「女王ヴィクトリア」のトム・ヒューズがそれぞれ演じる。監督はデンチの舞台作品の演出を数多く手がけたトレバー・ナン。

2018年製作/101分/PG12/イギリス
原題:Red Joan
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2020年8月7日

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(C)TRADEMARK (RED JOAN) LIMITED 2018

映画レビュー

3.0独りよがりの正義感の行く末

2020年8月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 公式ホームページに主人公のモデルとなったメリタ・ノーウッドのプロフィールが書いてあるが、主人公の政治的スタンスに関しては作中ではかなりフィクションなので、このプロフィールを読んでから鑑賞すると少し肩透かしを食らうかも知れない。
 第二次世界大戦中、ケンブリッジ大学で物理学を学んだ才媛ジョーンは原爆開発の機密任務に携わる一方、学生時代からの知人である共産主義者の友人や恋人との政治絡みの人間関係に翻弄される。2000年に逮捕された年老いたジョーンが取り調べを受けつつ回想する形式で当時の出来事が描かれる。
 ジョーンは専門知識に関しては頭の回転がよいのだが、恋愛と機密任務に携わる者としての使命感と個人的正義の優先順位があやふやで、最後まで感情移入出来なかった。彼女は共産主義には賛同しないが、広島・長崎への原爆投下の映像を見て心が揺らぐ。周辺の男性との関係も彼女の心をおおいに揺らす。
 公式ページに書いてあることだが、現実のジョーン、すなわちメリタは親の代からの筋金入りの共産主義者である。ソ連からの勲章も喜んで受け取っている。この事実をそのまま生かして、イギリス人のKGBやり手女諜報員がひたすら使命感のもとに暗躍するスパイ映画として作れば、ジョーンのポリシーが一貫したものになってエンターテイメントとして違う面白さがあったかも知れない。
 とはいえ、ジュディ・デンチの説得力ある演技は見応えがある。ジュディの演じる現代パートは要所要所に挟まれるものの、トータルの出演時間はそんなに長くない。それでも、ジュディの静かな演技の中に、若き日の秘密と独りよがりの正義を胸に秘めたままジョーンが過ごした50年以上の月日が透けて見える気がした。また、若き日のジョーン役ソフィー・クックソンも好演で、クラシックで控えめな美しさがあって見入ってしまった。
 トレヴァー・ナン監督はインタビューで、この映画が問いかけるものは「ジョーンのとった行動は正しかったのか」ということで、観客にこの問題を熟考してほしいと語っている。折しも日本では広島・長崎の原爆の日を迎える季節だ。毎年テレビで放送される原爆のドキュメンタリーなどとはかなり切り口の違う本作だが、被爆国の視点からジョーンが主張した正義を考察するのもまた意義深いことだと思う。

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ニコ

3.0「事実」を参考にした「フィクション」

2023年9月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

これは私の率直な印象、感想なのですが、主人公のジョーン・スタンリーに対しては、ポリコレ連中に抱くのと同様の腹立たしさを覚えました。独善的で、欲望を正義という偽りで塗りたくって誤魔化して、開き直るという、人間のクズかよという思いで観終わりました。
その点、ジョーンを演じた老境のジュディ・デンチには年寄りに有りがちな頑迷さも加わり、青年期を演じたソフィー・クックソンには偽善が加わり、両者とも素晴らしい演技でした。いや、なかなかに良かった。
しかし、両主役の素晴らしさと裏腹にストーリーが淡々と流れていくわりに、「余計な」心情描写もふんだんにあって、多少、混乱を来すと同時に、特に山場もなくスッと終わってしまったのが残念です。また、本当に彼女はそういう偽善的な動機でスパイ行為に関わったのか、が、弱い流れ、流れに巻き込まれて行為を正当化していく話の進め方だったのももう一つかなあと。

余談ですが、当時の男尊女卑がありのままに表現されています。

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zem_movie_review

3.0異色のスパイ物

2022年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

異色のスパイ物。リアルなスパイってこういうことなんだね。
事実がベースということで、捕まえるほうもそうだし、捕まるのもあるんだなというところがびっくりでした。

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khapphom

3.0難しかったな

2022年5月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

想像力の乏しい自分にとってはわかりづらかった。
でも一つ、他国でも同じ力を所有しないとバランスが保てないとの考え方は少し勉強になった。結果的にそうなってるのかも。
評価:3.1

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bigsuke