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2020年1月26日
映画レビュー
ヴァルキリーの出てこないマクロス
ということで今朝はこれ、『上海要塞』。新しいエネルギー源シエントンの発見により人類が飛躍的な発展を遂げた近未来。そんな栄光は束の間、シエントンを狙う異星人の攻撃で世界各国の主要都市は次々と陥落、人類の希望は上海要塞に託されていた。チアン・ヤンら4名の選抜クルーはリン・ラン司令官のもとで新型戦闘機AV28の操縦シミュレーション訓練を受けるが、そんな折異星人の母艦が上海上空に出現、シールドで防御された上海への侵略を開始する。
ある意味中国の国力を端的に示しているかのような豪華絢爛なSF大作。正直目新しい点はほぼ何にもなし、一言で言うとヴァルキリーの出てこないマクロス。『宇宙戦艦ヤマト』、『第9地区』、『マトリックス・レボリューションズ』、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』、『トップ・ガン』、『ID4』、『パシフィック・リム』等々メジャー大作からクラシックなSFアニメまでのおいしい所をつまんで煮込んだ闇鍋みたいな物語。敵の異星人についてはほぼ描写がなかったり新型戦闘機なのにコクピットにズラッとトグルスイッチが並んでたり、世間的には駄作の部類に入るのだと思いますが、個人的には全然オッケー。何が一番いいかというと物語の中心に主人公チアンのリー司令官に対するショッパイにも程がある片思いを据えていること。リー司令官を演じているのはスー・チー、一体どういうニーズがあってこんなことになっているのか解りませんが、片思いってある意味最終兵器、それをど真ん中に据えてくれたのは嬉しい限り。サイドストーリーにツンデレもブチ込まれているので、近未来のくせにスマホにカメラも付いてないとか些末なことは全然気になりません。とにかくCGのクオリティがアホみたいにハイレベル、これだけの大作が作れてしまう中国映画界に畏敬の念しかないですが、何より正規ルートではないとはいえマクロスを実写化してくれたことが何より嬉しいです。