THE BATMAN ザ・バットマンのレビュー・感想・評価
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最高のバットマンを崇める
「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」以来のバットマンの映画ですね。マーベルコミック原作ですが、アクションというよりサスペンスの方が色濃かった印象です。もちろんアクションシーンもあるんですが、刑事もののサスペンスミステリーにダークヒーローが混ざった感じですかね。バットマンそのものは強くてかっこいいので好きですが、ただ、もっと迫力あるアクションシーンが欲しかったです。
一つ物申したいのが、176分は長くない?いや、いいんですよ。尺は制作側がいろいろ考慮して決めてるんですから。映画としてはちょっと長めなだけあって、話のテンポとしてはまあまあゆっくりでしたね。映画の内容はすごく良いものに仕上がってると思うんですが、もうちょっと縮めるか、アクションシーンを増やせばもっと良い映画にできましたね。サスペンス要素に関しては申し分ないです。スリリングな展開もあったし、社会の残酷さ、理不尽さを風刺した描写もあり、強大な陰謀や残酷な真実が暴かれたときはちょっとした衝撃でした。社会の秩序というのはそう簡単に崩れるようなものではなく、覆せるものでもない。自分の置かれた立場を生涯全うしなければならない、というような立てられ方をしているのが社会というものなんでしょうか。理不尽はつきものですが、それをどう乗り越えるか、どうすり抜けるかを考え、それを実行する能力が生きるためには必要なのでしょうか。犯罪者はどれだけ喚いても一生犯罪者です。警察だって本当の正義を貫けているわけではないですよね。バットマンも正義そのものなのかといえば、そうとも言い切れない気がします。映画って自分のいる現実にも考えや気持ちを落とし込めるから面白いですね。
次のマーベル作品は何を見ましょうかね。
暴力が芸術となる瞬間
2022年3月3日 新潟県長岡市 Tジョイ長岡にて
特別試写会に当選し、一足先に鑑賞させて頂きました。
私は原作であるバットマンの造詣は深くはありませんが、幼少期にティム・バートン監督作品、ジョエル・シュマッカー監督作品を観てきました。
そして多くの方同様にノーラン監督のダークナイト三部作に衝撃を受けた世代です。
その後にもレゴバットマンやジョーカー、ジャスティス・リーグ(スナイダーカット版も)等、関連作品を観てきました。
映像作品特化の為、今作のメインヴィランである「リドラー」について全く知識が無い状態で観賞。
本当に圧巻の一言です。
私は芸術性を感じる映画に思えました。
バットマンはMARVEL、DCのアメコミヒーローに於いて最も現代へのメッセージ性を主張出来る稀有な存在。
日本人で云う所のゴジラに近い立ち位置なのかも知れない。
今作もまた単なる社会風刺の枠を超え、人間の本性を問う重いテーマを持っています。
私的に良かった点と悪かった点を。
【良かった点】
○ロバート・パティンソンの演技
トワイライトシリーズや直近だとTENETでの熱演が、記憶に新しいロバート・パティンソン。
今作はバットマンとして活躍を始めて二年目のブルース・ウェインを演じる。
まだ未熟さ故に暴走しがちな危険なブルースを見事に表現していたと思います。
○マイケル・ジアッチーノによる音楽
劇中を彩る音楽は、場面と見事にマッチしており、いずれも精神を不安にさせる。
より緊張感が増し、観客の感情を揺さぶる素晴らしい音楽でした。
○SEの美しさ
BGMだけではなく、SEも素晴らしかった。
ヒーロー、ヴィランが着用するマスク。
今作でもリドラーが独特なマスクで会話をするが、声がくぐもる。
しかしその声が、また美しさを醸し出している。
バットモービルの爆音だったり、バットマンのスーツの衣擦れだったり、戦闘時における打撃音等々、静的な作品である本作にとってこれらのSEは、作品の品質を高めるのに一役買っている。
特にリドラーが被害者の顔を覆う際のテープの引き出し音が堪らない。
これだけでリドラーの異常性を感じる事が出来る。
○アクション
兎に角、地味である。
が、一つ一つの所作に説得力がある力強いアクションだった。
閉鎖空間や足場が不安な場所等、空間を把握した戦闘に感服。
暗い一方通行の通路にてサブマシンガンを弾きつつ、敵を殴るシーンは美しい。
そしてバットマンの異常性を強調する暴力性を重視した殴打は凄い...
一発一発の拳に恐怖を感じます。
○暴力を芸術性に昇華している
私は暴力は嫌いです。
好きな人の方が少ないと思いますが...
現実では嫌悪する暴力も映画の中では、
芸術と錯覚する程、美しいと思う瞬間がある。
本作のバットマンの暴力が、正にそれだと思う。
○ノイズの美しさ
イタリアの未来派宣言をしたルイジ・ルッソロは、機械や電気の不協和音とも取れるノイズに芸術性を見出した。
そして現代、ノイズの多彩さに心惹かれる者は多い。
この作品でもノイズが作品の美しさ、不気味さに大いに貢献している。
バットマンの映像モニターや、リドラーのSNSに投稿した動画等、ノイズ混じりの映像が印象的だ。
映像は美しければ良いと云う訳ではない。
こうした映像の荒さを表現する事も作品には不可欠なのだと再認識させてくれる。
○リドラーのキャラクター性
バットマンのヴィランと云えば相手の心理を揺さぶる知能犯が多いですが、ポール・ダノ演じるリドラーもなかなか曲者で好きになりました。
犯行時は素人のように相手を殺害し、SNSでは情緒不安定な言動でその異常性を見事に表現していたと思います。
余談ですが、コリン・ファレル演じるペンギンが両手両足に手錠をされてペンギン歩きするシーンにクスリ。
○バットマンとしての意義
クライマックスにて発煙筒の光で人々を導くバットマンの姿に泣きそうになりました。
傍から見たら独善的な犯罪者とも見て取れるバットマン。
しかしダークナイト同様にこれからゴッサムを導いていく存在を示唆するあのシーンは、ベタながらも好きです。
○リドラーの独房の隣に居たのは...
あの特徴的な笑い声は...
続編があれば彼がヴィランとして立ち塞がるのか?
リドラーは、彼の謎々に「友達」と答えましたが、私はトランプゲームを連想していたので「ジョーカー」だと思いました。
【悪い点】
○偉大な過去作品の二番煎じ
人によっては、ダークナイトやジョーカーの二番煎じとも見て取れる作風になっているように思えます。
ダークナイト程、ブルースの葛藤が描かれている訳でもなく、
ジョーカー程、貧困の焦燥感や怒りを描いている訳でもない。
過去作品の良い所取りをしたが、全てが中途半端になってしまった印象です。
○リドラーの謎解きと動機が弱い
今作はバットマンを探偵とし、リドラーの謎を解いていくミステリー仕立ての作品になっています。
が、観客に解かせるつもりのない謎ばかりで観客が考える前に解決して行きます。
よってミステリーとしては、余り成立していない。
そしてリドラーの動機。
リドラーの正体を謎解きの過程で描いていますが、それだけではリドラーに感情移入出来ません。
ホアキン・フェニックスのジョーカーが如何に凄かった改めて理解した。
○構成に難あり
物語の方向性は充分に理解出来ますが、劇中に於いてバットマンやゴードンの行動に変化がなく、似たような行動を繰り返す場面がチラホラ。
監督も観客に見せたい映像を優先し、無理矢理、整合性を取ったような構成が見受けられました。
【総評】
私個人としては好きな作品です。
しかしダークナイトやジョーカーの存在感が強すぎる為、偉大な過去作品に似せ過ぎた点が、低評価を下す人を増やすと思います。
雰囲気だけで中身が伴っていないと云う意見も出るかもしれません。
しかしこのロバート・パティンソン版をこの一作で終わらすのは勿体ない。
部分的に芸術性が高い場面もあるので是非とも続編を。
色々と低評価、高評価と二分する作品ですが、
バットマンにしか描けないテーマがある。
この作品は良くも悪くもそれを示した。
繰り返しになりますが、私はこの作品が好きです。
しかし嫌いな人の気持ちも理解出来ます。
しかしいつだって人間の本性を描くバットマンが好きだ。
善人だろうと悪人だろうと人間。
誰しもが高潔な精神を持ち、誰しもが不正を働く。
ゴッサムは世界の縮図であり、
バットマンは人間の精神の在り方なのだ。
パラダイムシフト的
ロバート・パティンソンの演技、バットスーツ着用時とそうでない時のキャラの落差の演じ分けが絶妙だったせいか、確かに、バットマンというダークヒーローではあるんですけど、これまでの「正義」「守護」というよりは、「復讐」「虚無」に重きを置いた新しいバットマンだったかなあと感じました。強さやたくましさより「苦悩」「葛藤」も感じたかなあ。そういう意味で今までのものと一線画すと思います。
ストーリー云々はおいておいて、3時間があっという間に過ぎ去りました。続編が今から楽しみで仕方有りません。あるんですよね?ね?
今回はIMAX4Kレーザーで観ましたが、ドルビーシネマならどうなのだろうかという興味は湧いてきました。特に暗いところでの戦闘シーンですね。一部、真っ暗過ぎてよく分からないところがありまして・・・
(追記)
ドルビーシネマでも鑑賞しました。
映像の鮮明度、特に暗いところでの戦闘シーンは暗いのだけれどきちんと視認出来る鮮明さ、一方、「影」は影として表現されておりました。さすがのドルビービジョンです。期待通りでした。
音響も時折、爆音さながら迫ってくるバス、雨音の散り具合などもドルビーアトモスの表現力はさすがでした。
とにかく、きれいででかいスクリーンで観たいのだ!であればIMAXを、じっくりとストーリーを把握したいのならドルビーシネマをお勧めします。
あートイレ我慢できた。
外星人と対峙するシリーズは置いて
折角ノーランバットマンでアメリカを描き倒したのに
何故またリブート?
キャットウーマンを追っかける筋を入れてきたので
間が持たないことはなかったが
それでも3時間半はないでしょう。
基本生身のヒーローバットマンは敵の攻撃次第では
ピンチに陥る時もあるわけで
そこがハラハラ継続で自然とこっちもサスペンス感を勝手に
持ったりする。
で点数が高くなるのかね。
70点
2
アレックスシネマ水口 20220414
それでも、闘う
主人公のブルースウェインが自身の過去に迫りながら、バットマンとして悪と闘う姿を描いた作品。
「バットマンビギンズ」「ダークナイト」とは、また違った作品だなと感じました。
主人公が抱えている過去の経験でトラウマになっている部分が強く描かれているなと思いました。
敵から送られる謎に迫っていく内に自分のせいで周りを傷つけてしまう。
周りがどんどん離れていってもそれと向き合い続ける。
そんな姿がとてもかっこいいと感じました。
誰かに助けてもらう事と誰かを助ける事。
敵がなろうとしていたものは、ただの自己顕示欲を象徴していた。
ただ、最後のセリフが印象的に残ってます。
「少なければ、少ないほど、価値があるものは〜?」
「友達」
この敵もどこかでそういったものに憧れ続けても手に入らないもどかしさを抱えていたのかもしれないと感じた。
ダークナイトに並ぶ傑作
3時間全集中の没入感。様々な表情を魅せる多彩な黒、そこに浮かび上がる赤の芸術的センス。そして、雨。骨の髄まで伝わる重厚音。カーチェイス。エモーショナルな音楽。魂の抜けたようなブルースの目とカウルを被りオーラを放つ瞳の対比。"復讐"が希望に変わる。大傑作。
カーチェイスは
ザ・バットマンで一番胸踊る
迫力のシーンでした。
青白いあの色かっこいいです。
歴代一かっこいいバットモービルです。
バットマンの執事であるアルフレッドを演じたアンディ・サーキスは
シーザーやスノーク、ゴラム、キングコングなどの類人猿のイメージが強いから
人を演じる姿はかなり新鮮だし
必死に父親になろうとする感動の演技が素晴らしいから激推ししたいです。
自分の中のジョン・タトゥーロのイメージはトランスフォーマーのシモンズしかなかったから、ザ・バットマンの役はかなり新鮮でした。
ザ・バットマンの何が凄いって
リアルな作風に徹してるからこそ
バットマンがちゃんとコスプレの変人に見えるところ。
そして、意外と結構ある笑える台詞もシリアスな作風だから全然笑えないところ笑
ザ・ド傑作
リーブス監督が起用された時、ノーランとあんま変わらないんじゃないかって思ってたけど、同じリアル路線でも全然違う方向性だったからわからんもんですね。
ザ・バットマンの世界を
DCEUのマルチバースとして繋げることは大歓迎だけど
ダークナイト3部作とジョーカーは完全に独立した世界として繋げない方が魅力が保たれると思います。
『ザ・バットマン』世界拡張計画に関して
バットマンは他のヒーローのような超人パワーがない分、世界観や登場キャラクター、ヴィランがかなり魅力的だから、バットマン世界だけの独自のユニバース展開はアリだと思うけど、
ザ・バットマンは3部作向きであって
ユニバース展開には向いてないような気がします。
例えば、あのペンギンのスピンオフもわざわざドラマで作らなくてもいいと思います。
バットマン独自のユニバース展開やるなら、もっとライトな世界観(例えば、レトジョやマーゴットハーレイみたいな雰囲気)の方が向いてると思います。
ロバート・パティンソン渋くなったな
面白かったとは思います
色々頑張ってリブートしてみたけれど…。
お馴染みのアメコミヒーロー・バットマンというフォーマットにハードボイルドミステリー的ストーリーとド派手なアクションをバランス良く展開させて、3時間という長尺を一気に見せていく作りは見事。だが、ヒーロー映画特有の収まる所に収まる終わり方で、見終わった後は意外と無難な印象かな。。この作品のパラノイア的な雰囲気で進めて行くならもう少し救い様のない攻めた終わり方もあったと思うし、色々頑張ってリブートしたけどバットマン作品の最高峰「ダークナイト」のひりつきはさすがに越えられずって感じかなぁ。。。
ロバート・パティンソンのバットマンシリーズ中、最もダークなブルース・ウェインは良き。
イカれてるから引き込まれる。
現代のバットマンの魅力って、その狂人性にあるよね。
クリスチャンベール版もそうだったが、今作は更に闇の部分を色濃くする事で、ブルースウェインが如何に不幸の中にあり続けるかを描いているのが、ホント今っぽい。
とにかく、これまでのスーパーガジェットや見栄切りを出来るだけ排除して、ヒーローらしからぬ立ち振る舞いをするバットマンは、ジョン・ウィックを彷彿とさせる。
やはり今はこいうのが求められてるんだなぁ。
ロバートパティンソン演じるコミュ症ウェインが内省的に鬱々と戦い続ける姿が似合い過ぎる。
ただ、シリーズ化の話出てるみたいだけど、ユニバース化すると、一気に陳腐になりそうなので、単作で終わった方が後味含めて良さそうな気がするな。
レビュー
狂人と紙一重だった頃の若きブルースの物語
あのダークナイトを超えた!
ジョーカーを超えた!
そんな前評判を聞いた上で臨んだが、正直な所そこまでの魅力を感じなかったというのが本音だ。
ストーリー性ではジョーカーを超える事はできなかったし。ヴィランもヒース・レジャー演じるダークナイト版ジョーカーに勝るとは思えない。
では何が素晴らしかったかというと、圧倒的にビジュアル面だ。
巧みなライティングを駆使した暗闇でのアクションシーンは目を見張るものがあった。
特に、漆黒の闇の中で敵の発砲時のマズルフラッシュしか光源がない状況でのアクションは素晴らしかった。
ガンカタで一世を風靡したリベリオンを彷彿させる演出だが、更にアップデートされており新鮮に見ることができた。
謎解きを主体とした肝心のストーリーについては、正直あまりに冗長すぎて眠くなってしまい退屈な場面も多かった。
核心に迫るにつれて盛り上がる部分は確かにある。が、あまりにそこまでに時間がかかりすぎた。私はバットマンに明るくないのでこんな感じだったが、原作まで知っているファンは楽しめるのかもしれない。賛否割れるところだろう。
ネタバレを避ける為具体的な言及は避けるが、終盤の展開は非常に良かった。ビジュアル的にも過去のバットマン映画にない斬新な展開でハラハラ楽しむ事ができた。
また、バットマン歴の浅いブルースは精神的にもまだ未熟であり、この不安定さもストーリーの牽引力になっていた点は評価すべきだと思う。
狂人と紙一重の危うさは本作の魅力と言えるだろう。
良い点も多いが、同じくらい気になる点も多かったというのが全体の印象だ。
フラットな気持ちで新世代のバットマンを楽しむには良いのかもしれない。
どんよりノワール
暗くて重い。
街には悪がはびこり官吏たちは背任し人々は虐げられている。
主人公からして陰気。
バットマン/ブルースウェインはニコリともしなければ冗談も皮肉も言わない。演じるパティンソンは蒼白で、言葉少なで、表情には諦観と哀しみが貼り付き、まるで陽を浴びるとしぬヴァンパイアを演じているかのようだ。
ゴッサムは日中がないかのように闇につつまれ、必然的に真っ黒の画で、地味に市長選直前の混乱を描くこと二時間。尺も三分の二を過ぎ、素顔のリドラー(ポールダノ)が出てきた辺りから、ようやくアメコミらしき躍動が見え始めた。
リドラーは童顔で切れ者だが反社会的で重篤なパーソナリティ障害を抱えている。ホアキンあるいはヒースレジャーのジョーカーを意識したような狂気を表現してみせ、さっさと主役を食ってしまった。
もともと今回描かれたバットマンは主張の少ないヒーローだった。青白いパティンソンはトワイライトの続編がはじまりそうに端正だったとはいえ、生身感と等身大を重視して強さに欠け、感情にも流されやすい一介の男に過ぎなかった。
が、その人間臭さこそが本作のテーマであったにちがいない。
バットマンに超人値がなく、悪いヤツを倒すのに徒手空拳をつかって非効率な戦いをし、ゴッサムの腫瘍リドラーやペンギンやファルコーネをとっちめるにしたって裏をかかれて無力感を味わう。
ひたすら非力な人間臭さ(=生身感と等身大)を強調してみせたのが今回のバットマンの特長だった。
ところがImdb7.8、RottenTomatoes85%と87%。
何にもできないバットマンを描いたノワールにしては大受けだった。
このノワールなバットマンの勝因は新型コロナウィルスだったと(個人的には)思う。
新型コロナウィルスによって、大なり小なり世界じゅうに閉鎖的社会が出現した。程度はともかく防疫として多くの人間関係が絶たれた。気分的にも経済的にも人々が荒廃していった。
そんな時代に、一人じゃ何にもできやしないのにゴッサムに居残って、弱きを助け、悪をくじかんとするバットマンの姿には希望の兆しとなるような熱い物語性があった。
誰も助けられないかもしれない、だけど頑張るんだ──という気概がこの映画にはあった。製作陣のスタンスに同じ気概があったとしてもまったく不思議はない。そういう漢を描いた映画だった。──とわたしは思う。
ところで、コウモリという生き物は強い抗体をもっており、さまざまなウィルス、病原菌を体内に保有できることで知られている。
新型コロナウィルスが蔓延してまもなく、英語圏のツイッターやreddit等でバイラルとなった路肩看板がある。
看板には『Whoever said one person can't change the world never ate an undercooked bat.』と書いてあった。
直訳すると「一人では世界を変えることはできないと言った人は、調理が不十分なコウモリを食べたことがないのでしょう。」となる。
意訳すると「生コウモリを食べれば世界を滅亡させることさえできる。」──という感じだろうか。アイロニカルだが事実だった。奇食は人類を滅亡させることができる。
新型コロナウィルスの発生原因はどこかの誰かの野味だと言われている。
野味とは食用とはされていない野生動物をジビエとする食道楽のこと──である。
野生動物はウィルスの温床であり、素人の調理は、ふぐ免許をもっていない人がさばくふぐのようなものだ。
野味がどれほど蛮人な行為かお分かりいただけるはずである。
むろんほんとうの原因はわからない。しかしわたしたちの世界は誰かが食べた一匹の生コウモリによって暗礁に乗り上げてしまった。──ようなものだ。しかもこれは変異を繰り返しながら、いつまでも存在しつづける。
そんな暗澹たる世界でもじぶんだけはまともに生きてやるぞ。──パティンソンの目にはそんな強い意志が宿っていた。とわたしには思えた。
すなわち製作が暗い世相とゴッサムの混乱をリンクさせていないはずがない──と思えるつくりだった。
──とはいえ、どうだろう。
長いし、正直けっこうだれるところはあったかなw。
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