劇場公開日 2022年3月11日

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「狂人と紙一重だった頃の若きブルースの物語」THE BATMAN ザ・バットマン ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0狂人と紙一重だった頃の若きブルースの物語

2023年1月4日
iPhoneアプリから投稿

あのダークナイトを超えた!
ジョーカーを超えた!
そんな前評判を聞いた上で臨んだが、正直な所そこまでの魅力を感じなかったというのが本音だ。

ストーリー性ではジョーカーを超える事はできなかったし。ヴィランもヒース・レジャー演じるダークナイト版ジョーカーに勝るとは思えない。

では何が素晴らしかったかというと、圧倒的にビジュアル面だ。
巧みなライティングを駆使した暗闇でのアクションシーンは目を見張るものがあった。
特に、漆黒の闇の中で敵の発砲時のマズルフラッシュしか光源がない状況でのアクションは素晴らしかった。
ガンカタで一世を風靡したリベリオンを彷彿させる演出だが、更にアップデートされており新鮮に見ることができた。

謎解きを主体とした肝心のストーリーについては、正直あまりに冗長すぎて眠くなってしまい退屈な場面も多かった。
核心に迫るにつれて盛り上がる部分は確かにある。が、あまりにそこまでに時間がかかりすぎた。私はバットマンに明るくないのでこんな感じだったが、原作まで知っているファンは楽しめるのかもしれない。賛否割れるところだろう。

ネタバレを避ける為具体的な言及は避けるが、終盤の展開は非常に良かった。ビジュアル的にも過去のバットマン映画にない斬新な展開でハラハラ楽しむ事ができた。
また、バットマン歴の浅いブルースは精神的にもまだ未熟であり、この不安定さもストーリーの牽引力になっていた点は評価すべきだと思う。
狂人と紙一重の危うさは本作の魅力と言えるだろう。

良い点も多いが、同じくらい気になる点も多かったというのが全体の印象だ。
フラットな気持ちで新世代のバットマンを楽しむには良いのかもしれない。

ジョイ☮ JOY86式。