マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”

劇場公開日:

マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”

解説

謎に包まれた天才デザイナー、マルタン・マルジェラに迫ったドキュメンタリー。これまで公の場に一切登場せず、あらゆる取材や撮影を断わり続けてきたマルジェラが、「このドキュメンタリーのためだけ」「顔は映さない」という条件のもと制作に協力。初公開のドローイングや膨大な量のメモ、幼少時に作ったバービー人形の服などのプライベートな記録を見せながら、ドレスメーカーだった祖母からの影響、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、ヒット作となった足袋ブーツの誕生、エルメスのデザイナーへの就任、そして51歳での突然の引退など、キャリアやクリエイティビティについてマルジェラ本人が語る。監督は「マグナム・フォト 世界を変える写真家たち」「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」などで知られるドキュメンタリーの名手ライナー・ホルツェマー。

2019年製作/90分/G/ドイツ・ベルギー合作
原題または英題:Martin Margiela: In His Own Words
配給:アップリンク
劇場公開日:2021年9月17日

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(C)2019 Reiner Holzemer Film - RTBF - Aminata Productions

映画レビュー

4.0メディア対応なし。謎のデザイナーの足跡を辿って行き着く先は

2021年9月15日
iPhoneアプリから投稿

楽しい

亡きカール・ラガーフェルドを筆頭に、自分自身をアピールすることでデザイナーとしてのステイタスと服の価値を高めたクチュリエは多い。そんな中で、かつて一度もショーのラストに顔を出さず、一切メディアにも登場しなかったのが、マルタン・マルジェラだ。本人はその理由を人前に出るのは苦手だし面倒だからだと説明する。あの無愛想な川久保玲ですら、ショーの最後にちょっとだけ挨拶しに出て来ると言うのに。しかし、結果的に彼の引っ込み思案な性格が返って伝説を作り、引退後も注目を浴びる理由なのだとも思う。

そしてこのファッション・ドキュメントでは、ベルギー生まれのマルジェラが、同郷のデザイナーたちと同じく川久保玲の常識を打ち破る服作りに影響され、アシスタントとして働いたジャン=ポール・ゴルチエにその才能を認められた上で、素材をリメイクし、リサイクルした服らしくない"アンチ・ドレス"の数々をどうやって作ったかを詳らかにしていく。彼が最初に注目を浴びた1980年代は装飾美がもてはやされた時代であり、それは今も基本的に変わりないことを考えると、クリエイティブの世界では独創性こそが大事だと改めて痛感する。

それはファッションも映画も同じ。引退した孤高のデザイナーの足跡を紐解く本作は、個性的な秀作を残した巨匠のアーカイブを振り返る作業に似ている。

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清藤秀人

3.5Looking for a Creative Boost of Energy?

2021年8月17日
PCから投稿

The film reveals that everything cool since the 80's can be traced back to Martin Margiela, an influential artist who worked not for fame but for his own enjoyment in life. His advice is metaphysical and can be applied to any craft. "Sometimes it's the things you don't like at first that become the most interesting." I made a painting while watching this film and I was pleased with the result.

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Dan Knighton

5.0匿名性と引きこもりの 狭間で

2025年1月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

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【匿名性と引きこもりの狭間で】

ファッションショーが誰にも配信で観覧できるようになってしまってショーの驚きが無くなってしまった・・
と、マルタンは失意をこぼす。
なるほど、これ、とってもよく分かる。

皆さんにもこの数年間に、思い当たる体験はあったはずだ。
「コロナ禍」で、僕たちは無観客の落語や、空席を前に語る漫才師の収録を、あの頃さんざんラジオで聴いた。
無観客試合もスポーツ界では行われた。
「無味乾燥」とは、まさしくこのこと。
「大工殺すにゃあ刃物は要らぬ雨の三日も降ればよい」だ。
演芸が、そして芸人が殺されていた時代だ。

このドキュメンタリーの冒頭、
マルタンのショーのランウェイの横から、その客席の暗がりから、もう鳴り止まぬ、異常なほどの拍手が続いていて、あの場で観客も踊り、観客も歌い出したそうだ。
小屋が崩れ落ちんばかりの迫力。
あの冒頭のシーン。
あれなのだ、必要なものは。

人に出会って平手打ちを喰らわせられるのが、生の舞台の醍醐味。

人間不在のネット社会で、
そして通販横行の出不精社会で、
気が抜けて引退していくアーティストは、マルタンならずとも、今後も増え続けるのだろうと思う。

・・・・・・・・・・・・・

そもそも「ファッションの発現」は何時の時代の事だろう。
食の確保が最優先であったはずの いにしえ。
イノシシの骨で作った鼻ピアスを仲間に見せ、
腰蓑の裾をちょっと工夫して斜めに揃えてみる。そうやってみんなをおどろかせ、羨ましがらせる。鳥の羽や貝殻で帽子や首飾りをこさえる。
そうやって自分だけのランウェイを歩く。
腹を満たす行為ではないが、心が躍って爆発する服飾の工夫は
人類の誕生と同時期だったはずだ。
恋人の身を包み、赤ん坊の体をくるむ布切れに想いを込めない人はいないからだ。

マルタンについて、ファッション史の専門家たちが講評するのが、またいちいち腑に落ちて興味を惹かれる構成だ。彼女ら、彼らの語る言葉のセンスにも驚かされる。

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【図画工作の作品は、残しておきたい】

ひとつひとつ、彼の歩んできた道のりの「白い箱」が、棚からおろされて開かれる。
マルタンの子供時代の「デザインブック」が大変良かった。
彼がスクラップブックに貼り付けたオリジナルデザインのワンピースやドレス。使う端切れのセンスと質感。縁取りに這わせる青いニット糸。
バービー人形のために自分で縫うシャネルテイストのスーツの完成度と言ったらない。
どれも子供の作とは思えない素晴らしさ。

「パリでデザイナーになる」と言う彼を、両親は「何を馬鹿な事を」と押し留めたけれど、
おばあちゃんは孫の裁縫を手伝い、彼のどんな質問にも (間違いもあったが) よく聞いて、なんでも答えてくれたのだと。
彼の相談をいつも聞いてその手助けをしてくれたおばあちゃんの存在は小さくなかったはずだ。

赤の他人の僕がこんな事言うのはおかしいですが、おばあちゃんこそ最初にして最後のマルタンのオーディエンス。「ありがとう、でかした。おばあちゃん」と僕は伝えたい。
孫のデザイナーとしてのお楽しみに対して、生涯拍手を惜しまなかった祖母。
彼女が、マルタンのショーへの、あの熱狂的アプローズのバックヤードに、ずっと居てくれたのだと思うね。

だから彼の人生はおばあちゃんへのオマージュ。

モードメゾンの記録映画は
これだからやめられない。
星5つ。
·

[追記]
蛇足ですが
僕、きりん。
実はコム・デ・ギャルソンの川久保玲の親戚なんですよ。

「えっへん、どんなもんだい!」
と同僚に自慢したら
「他人やないけ!」と怒られました(笑)
元妻の、父親の、姉の、夫の、姪です。

このサイト「映画ドット・コム」でもいろいろ好き勝手に書いているきりんですが、
ペンネームと云うか、匿名と云うか、きりんは引っ込んでいたほうが世の中のためになる、只の無名の雑魚でしたよ。
川久保さんごめんなさい。😆💦

あ、でも元妻のためにはシフォンのワンピースを縫いました。
熱狂的自画自賛。これ大切。😁

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きりん

5.0貫いてるわ

2021年12月9日
iPhoneアプリから投稿

主人公が最後の最後まで顔を出さない映画って🎞あるんやねぇwと言うか、ファッションでやったセオリー崩しを映画でもやる。と言うマルジェラに感服賞賛の嵐。※僕の心の中で
因みに、視聴した会場のuplink京都はマルジェラとは対称的な貫きれなかった京都の哀愁漂うシチュエーション。アイロニーを感じたわ👯‍♂️uplink京都の上となる地上に京都の風景には通常ない真っ赤な店色を
施したディーゼル。。、おお!あうちw

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tomokuni0714

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