アリ地獄天国

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アリ地獄天国

解説

30代の現役正社員による3年におよぶ労働争議の密着したドキュメンタリー。長時間労働を強いられ、事故や破損を起こせば会社への弁済で借金漬けになる状況から、社員たちが自分たちの状況を「アリ地獄」と自嘲する引っ越し会社。34歳の営業職・西村有さん(仮名)は、会社の方針に異議を唱えて、個人加盟の労働組合(ユニオン)に加入する。ユニオンに加入した西村さんに会社はシュレッダー係への配転を命じ、給料は半減、西村さんは懲戒解雇にまで追い込まれてしまう。ユニオンの抗議によって、解雇は撤回されたものの、復職後もシュレッダー係のままで、会社に反省の色は見られなかった。監督は「フツーの仕事がしたい」など労働問題に関する映像作品を数多く手がけてきた土屋トカチ。

2019年製作/98分/日本
配給:映像グループローポジション
劇場公開日:2020年10月24日

スタッフ・キャスト

監督
企画
小笠原史仁
土屋トカチ
構成
土屋トカチ
飯田基晴
撮影
土屋トカチ
編集
土屋トカチ
整音
常田高志
ナレーション
可野浩太郎
主題歌
マーガレットズロース
挿入歌
The Old & Moderns
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映画レビュー

5.0ブラック企業に戦いを挑む無名の青年が観客の心を掴み取る理由

2020年10月20日
PCから投稿

泣ける

笑える

悲しい

 ドキュメンタリー映画の時代だと言われる。現在、日本国内で上映中のドキュメンタリー映画は、トータルで実に58本にも上る(10月20日現在)。すべてのジャンルで最高の本数だ。

 そして、今週末公開されるのが、運悪くブラック企業に再就職してしまった34歳の主人公(西村さん/仮名)が、理不尽な就業規則を押し付けてくるどす黒い引越し業社に屈することなく、個人加盟型の労働組合に加入して、徹底抗戦を仕掛ける「アリ地獄天国」だ。組合に加入した途端、営業職からシュレッダー係に回された西村さんは、会社前で抗議活動を続けるユニオンの委員長たちの前を通り過ぎて、ただ黙々とゴミを運び続ける。幾度となく抗議団体に詰め寄ってくる会社側幹部の"品のない大阪弁"が飛び交う中を。そんな西村さんの姿は、目の前にある過酷過ぎる現実に言葉を失いながらも、人は時として不屈のファイターになる得ることを僕たちに教えてくれるのだ。

 何しろ、西村さんの冷静沈着ぶりには感服する。そもそも、彼は営業職から管理職にまで上り詰めた優秀な人なのだが、それにしても、マイクを向けられると、その時その時の自分の気持ちを噛むことなく、時折ユーモアを交えつつ説明できてしまうのは凄いと思う。本人曰く、「辛い時は自分を俯瞰で見下ろすことが得策」とか。これは災難時に覚えておくべき賢い対処法かもしれない。

 そうして、いつしか観客全員を熱烈なサポーターにてしまう西村さんは、もしかして、ドキュメンタリー映画の主人公として類まれな魅力の持ち主かもしれないと思う。市井の人々に寄り添い、光を当ることで現代人が見落としがちな社会の闇を突きつける。ケン・ローチ作品も然り、それこそが、ドキュメンタリー映画の醍醐味だと再認識させる「アリ地獄天国」。59本目は特にお薦めだ。

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清藤秀人

5.0秀逸なタイトル

2021年6月23日
Androidアプリから投稿

せっせと働くアリ🐜さんを喰い物にするアリ地獄にとっての天国。

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かっち

4.0ブラック企業を減らすための助けになる事を祈る

2021年4月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

月に390時間という信じられないほどの長時間労働を強いられ、事故や車を擦れば給料から天引きされ、社員たちは自分たちの状況をアリ地獄と自嘲するアリのマークの引越社。
34歳の営業職・西村有さん(仮名)は、48万円の自己負担を強いられた事をきっかけに、個人加盟の労働組合に加入する。労働組合に加入した西村さんに会社はシュレッダー係への配転を命じ、給料は半減、その後懲戒解雇にまで追い込まれてしまう。
労働組合の抗議によって、解雇は撤回されたものの、復職後もシュレッダー係のままだった。
最終的には裁判を争う中で、勝てそうにないと判断した会社側が和解を受け入れることとなったが、それまでの3年に渡るドキュメンタリーは見応えあった。
法令を守らないブラック企業が少しでも減る事を祈り、本作品を多くの人に観てもらいたいと思った。
特に経営者は必見でしょう。
ググって知ったのだが、あの恫喝動画の井ノ口副社長が現在は社長に昇格してるのも驚きだった。

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りあの

3.5純粋に映画としてはそこまで・・・

2021年2月7日
PCから投稿

かつてアリさんマークの引越社で営業成績トップだったにもかかわらず、労働組合に加入したのを理由にシュレッダー係に異動され、解雇された西村さんの戦いを追ったドキュメンタリー。

アリさんマークの引越社の問題は、以前ガイアの夜明けで観たことがある。経営陣が取材陣を恫喝するなどヤクザまがいの行為を行うとんでもない会社である。この会社が悪いのも、西村さんの主張が正当なのも明らかである。しかし、組合に入るとこんなにひどい目に会うのかと思うと、映画を観て勇気をもらうというより、むしろ勇気をくじかれてしまう。また、いくら主張が正しいとしても、なぜ辞めないのかという点では感情移入しづらい。
もっとも、それはこの騒動で何十億円もの利益を失ったアリさんマークの引越社側にも言えることだが。さっさと和解しとけば良かったのに。

映画のつくりとしては、それこそガイアの夜明けでやってそうな内容なので、純粋に映画として面白いかというとそこまででもない。
最後が救われる内容なのはよかった。

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RF