オフィシャル・シークレットのレビュー・感想・評価
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"スパイ"というニュアンスでないのは珍しい?
どうしても他国のスパイ・いやらしい、という
雰囲気を伴う描かれ方が多いように思うこの手の作品に珍しく、
国民に不利益が起きないために働いている、
さらにそれは場合により自国に限った話ではない、
という信念を持つ女性を中心にした話。しかも実話。
裁判に出る展開というのもあまり目にしないか?
事実なので脚本が良いとかではないが。
とにかくイギリス視点というのから真新しい。
長すぎず、短すぎず、飽きずに観れる構成なのが好感。
ブリティッシュイングリッシュはもちろん
裁判のカツラなどいかにも英国を感じるのも、
アメリカ映画が多い中新鮮でよかった。
ひとつ気になったのは、
罪に対して、犯したのが自分か否かという聞き方でなく
事実に対して、自分が罪だと思うか否かという聞き方は
英国だからか、案件が特殊だからなのか…
そのあたりは明るくなくわからなかったが、
興味深い展開だったなあ。
正義とは何か?
職業柄、たまたま国家の不正に気付いてしまった時、見て見ぬふりができますか?
大好きなジャンル「硬派な社会派」映画です。しかも実話。諜報部員に所属する主人公が、イラク戦争に関わる英国政府の不正を発見し、正義感から情報を不正に持ち出してマスコミにリークしてしまう。
この主人公のリアルなところは、「ゆるぎない正義感」というよりは「衝動的な行動」にあると思う。その結果、後悔したり、心配になってリーク先の協力者に会いに行ってしまったりと「ほら、言わんこっちゃ無い。余計なことするから。」と、観ていてイライラしてしまう場面が多かった。
このイライラの源泉は、自分自身の中にある「弱さ」なのだとも思う。リスクを顧みず行動してしまうよりは、無駄に正義感など発揮せずに、何も行動しない方が正しいというような弱さ(見て見ぬふり)が自分の中にあると感じる。「正義」とは何か。自分自身に突き付けられた感じがしました。
裁判の結末に驚いた
地味ながらストーリーは起伏があり、ハラハラさせてくれるシリアス映画。
見応え十分で、実話に基づくシリアス映画が好きな人にはお薦めします。
最後の裁判の結末には驚き、唖然としました。
映画の中身とは直接関係ないが、いくつか感じたこと。
逮捕後の取調べには弁護士が当然同席し、取調べ後にはすぐに釈放されていた。カルロスゴーンが意味不明の証取法違反で逮捕された時は弁護士の同席は許されず、しかも数ヶ月に及ぶ長期勾留による事実上の自白強要をして世界から「中世並みの人権意識」と非難されてたことを思い出した。
メディアが、権力の監視という本来の役割をきちんと果たしている当たり前の姿に感服。欧米メディアはこの映画のようにたまに驚愕スクープを打つが、忖度社会の日本ではあり得ないよな…。
細かい部分は覚えてないが、権力側の人物が、このスクープを記者が書くことについて「いいんじゃない?政府は困るだろうが、国民が危機にさらされるわけじゃない」と言ってたのが印象的だった。
あとね。
中国が違法にTikTokやHUAWEIを利用して情報収集している、けしからん!と、トランプが首長し、日本もそれに従い、自治体もTiktokから撤退し、多くの日本国民も「中国けしからん!」と言っている。
私は中国の肩を持つつもりは毛頭ない。違法な情報収集をしているなら、排除されるべきと思う。
しかしなぁ…、スノーデン事件、そしてこの映画に象徴されるように、アメリカもイギリスも違法な情報収集なんか当たり前のようにやってるんだけど、それについてはみんなどう思うのさ?と言いたくなる。けしからん!と言うなら、HUAWEIやTikTokだけじゃなく、GAFAも排除しないといけないと思うよ。
法と正義の間で揺れるナイトレイの名演
キーラ・ナイトレイ演じるイギリスの諜報機関GCHQで働くキャサリン・ガン。彼女は2003年のイラク戦争開戦前夜、アメリカの諜報機関NSAからの違法な工作活動の要請をリークした。
機密保持の誓約をしているので当然犯罪なのだが、イラク侵攻につながる不正の告発が果たして罪に問われるのか否かドキドキしながら見守った。
とんでもないことをしてしまったという恐れと正しいことをしたという誇りの間で大きく揺れる主人公をナイトレイが見事に演じた。名演であります。
監督はギャビン・フッドだったのですね。前作の『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』といい今作といい実に骨太な秀作だ。
単純な正義
愛国という名の欺瞞
平和な国家がぜひ見ておくべき同じ島国王国のイギリスの本当の恐ろしさを感じる実話
カタルシスなき告発
主演のキーラ・ナイトレイが好きで足を運んだのですが、最後まで観ても、カタルシスを得られるような盛り上がりや啖呵はありませんでした。
緊迫感は常時あるとはいえ、淡々とした映画だと言えると思います。
ですが、映画や創作物をよく味わう方ならご存知の通り、カタルシスは時に危険なもので、観客に大事なものを見誤らせてしまうこともあります。ノンフィクションや、事実を基にした物語では特にそうです。
この映画で、主人公キャサリン・ガンはイラク戦争を防ぐ為に国家秘密法に反して機密情報をリークしますが、結果としてイラク戦争は開戦してしまい、この無為な戦争で多くの人命が失われました。主人公は国相手の裁判にこそ勝つものの、彼女や観客が勝利に酔いしれるような作りにしてはならなかった。誰も勝っていない、それが事実なのです。
もちろん、彼女のしたことに意味がないという意味ではありません。
私は個人やジャーナリズムが、権力の不正を暴くといった物語が好きです。スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ』とか大好きです。もし、自分が同じ立場に置かれたら、目を瞑ることはしたくないと思っています。けれど、それは実際、恐ろしく困難なことです。作中、主人公はずっと追い詰められていて、リークが新聞の見出しになってるのを見て吐いたりします。職場では内部調査が入り、名乗り出た後は拘束され、尾行され、弁護士に会っただけで警官に脅されます。移民の夫は国の圧力によって強制送還されかけます。権力を正当化する沢山の理屈が、彼女を追い詰めます。
告発を悩む彼女に夫が言う「俺は生活の為にカフェで働いている。君の仕事だって同じはずだ。求人に応募した時は内容だって知らなかった(だから私心に惑わされて仕事のルールを破っては行けない)」というような台詞があるのですが(ややうろ覚え)、私には大変共感できる台詞です。仕事は仕事であって、時には私心に背くこともしなければなりませんし、それが「社会人としての責任」などと形容されることもしばしばです。
しかし、彼女は告発しました。
仕事のルールと、国の法律を破って、愛する穏やかな生活を危険に晒しながら。
多くの「告発」とは実際、地味なものであり、告発者は息を潜めて暮らすことになります。どこにも盛り上がりや啖呵や論破は、ありません。苦しいばかりかもしれません。
私がもし告発の一歩を踏み出す時さねばならない時、他のいくつかの物語とともに、カタルシスなきこの映画を思い出すでしょう。だからこそ出来る覚悟があるでしょう。その時どれほど恐ろしくても、彼女のように毅然としてありたいものです。
本当の DO THE RIGHT THING ❗
イラク侵攻はあとになって大量虐殺兵器がなかったことを聞いたわけですが、それもずいぶん前で、記憶が薄れていました。
攻撃阻止には間に合わなかったけど、この実話の映画は人間愛と正義に溢れていて、観て本当によかったです。
メッセージは【ワンダーウーマン】と同じだなぁと思いましたが、実話の分だけ重みがありました。
キーラ・ナイトレイ目当てみたいな観賞動機でしたが、とてもよかったです。キーラ・ナイトレイとガル・ガレットはどちらも正義感が滲み出ていて、適役ですね。キーラ・ナイトレイの場面、場面での顔もポイントです。メイクは当然だと思いますが、役作りや演技でのげっそり感がすごかった。緊迫感伝わってきました。ビンビン。
脇役の弁護士もすごくいい。
あなたとは同じところで釣りたくない。あっちに行ってくれ!
大抵の釣り師は自分の釣果のためだけにいうセリフです。
そうじゃない。
男の矜持がそう言わせるのです!
小判鮫弁護士はエイでも釣ってろ❗
いや~、よく暗殺とか粛清されずにすんだなという気持ちです。怖いですね。
彼氏がクルド人だったことは重要な動機ですね。だから、頑張れたんですね。愛の力は大きい。
お勧めします。
勇気ある行動に拍手!
キャサリンは憤りから後先を考えずに、リークしたのだと思うが、機密情報を漏らすということは、職務違反になることはわかっていたと思うので、すごいことをしたのだと思う。イラク戦争は、結果として大量破壊兵器は見つかっておらず、息子ブッシュ大統領の勇足ということは明白なので、戦争を回避することはできなかったが、この告発は間違いではなかった。正統的な描き方で、時制を崩したりせず、真正面から描いていて、わかりやすく好感が持てた。新聞社の描き方も、最初から飛びついたりせずに、ウラを取ろうとするところが、やっぱそうだよねと思ったし、弁護士側もどうやったら、罪を軽くできるのか作戦会議を開くところなどおもしろく観た。興味深いと思ったのは、米語と英語の違いが指摘される点。日本人からしたら、同じようなものだと思っていたら、微妙に違うのだとは… それにしても、政府は汚い。強制送還しようとしたり、みせしめのために起訴を遅らせたり、やりたい放題だ。でも、こういう映画が作られることはすばらしいことだ。日本では、昨年『新聞記者』が話題になったが、桜を見る会や森友・加計問題が今後映画になることがあるだろうか? 残念ながら、それはないと思う。そんな気概を持つ監督、製作者、配給会社はない。企画がもしも立ち上がったとしても自主規制してしまうに違いない。そんな国に住んでいることは悲しい。
移民の夫を持つ身でも⁉︎
ブッシュが大統領でなかったら、この戦争は起きなかっただろう。あの当時よく話していたことを思い出した。中東の戦火のニュースには心を痛めていたものの、対岸の火事とせず、自身を危険にさらしてまでこの戦争を止めたいと行動を取ったキャサリンの勇気は本当にすばらしい。ただ、移民の夫にまで影響が及ぶ可能性を(映画の通りだとすると)想定していなかった?のは、、GCHQの職員の割に、うーん、ちょっと浅いのかなと感じた。強制送還を間一髪で止められたのは運が良かったとしか言いようがない。
でもそれも、戦争を止めたい、その一心だったからなのかもしれないし、これが実話ゆえの生身の人間の行動なのだと思う。最後に裁判所から出てきた時の本人のインタビュー映像が出てくるが、なんと言うか、すっきりとした潔い姿がとても印象的でした。
共感できるが響いてこない
間違っていることは間違っている。
この作品のレビューは難しい。
慎重に言葉を選ばなければいけないと切に思う。
題材は民主主義のお手本アメリカの当時の大統領が、
実はとんでもない大嘘をついていて、
それによって大量虐殺がなされたイラク戦争の発端の話を、
英国GHCQ側から描いた真実に基づいた作品。
社会的な意見はさておき、
娯楽としてもこの作品は実によくできている。
諜報機関というものが、どのように動いていて、
そこに務める職員たちはは至って普通で、
亡命を申請している人の苦労や、反戦主義者たちの苦悩や、
人権を取り扱っている弁護士たちの意思の強さや、
新聞記者とはどのようにして揺れ動くのかとか、
とにかくそういった「中身」が実に面白い。
なので特に社会派じゃなくとも、この作品はきちんと楽しませてくれたし、
事実をこのような形として表現したのには、
実は大きな目的があるのだろうときちんと気付かせてくれる。
間違っていることは間違っている。
たったそれだけの意思を貫き通すのに、
こんなに大変な思いを強いられる。
しかし人として、それはとても大切なことなのだと、
この作品は訴えている。
弁護士の最後のシーンは特に印象的だった。
これは決して、イラク戦争時の欧米「だけ」を扱ったポリティカル・サスペンスではなく、現在にも繋がる問題を扱った作品。
2003年に勃発したイラク戦争は、大量破壊兵器をイラクが保持しているという、主に米国が主唱した大義名分が発端となっています。しかし現在では、多くの情報・資料が、この米国の主張が根拠のないものだったと暴露しました。だが、日本を含め多くの報道機関は、米国の大義名分を覆すどのような証拠があったのかについてあまり具体的に言及してきませんでした。本作はそうした米国の戦略上欺瞞と、それに同調した英国政府を一人の職員の目を通して描いています。
キーラ・ナイトレイ演じる主人公、キャサリン・ガンはGCHQ(英政府通信本部)の政府職員なので、もちろん当時の世界情勢は国家機密を含めて熟知しています。そんな一般の人々とは隔絶した立場にある人物を主人公にしたポリティカル・サスペンスは、しばしば難解な筋立てとなり、かつ背景状況の熟知を要求するなど、観客を取り残しがちになります。しかし本作では、彼女が夫と報道番組を見るという形で、さりげなく当時何が起こっているのかを説明しています。これはなかなか上手い演出だと感心しました。
じゃあこの物語は17年も前の、しかも遠く英国政府内の出来事として片付けることができるのか、というと、決してそうではありません。本作が投げかける重要な問いは、「国家への忠誠義務を負った公務員が、国民のためにあえて政府に背くことは正当なのか」です。もちろんこの問いは、ここ数年来、日本でも米国でも、世界のあらゆる政治的状況で繰り返し取り上げられてきました。そのため本作が語る問題を、現在の私たちと地続きであることを実感する観客は少なくないでしょう。なぜ今、この作品が作られなければならなかったのか、強い必然性があったのです。
自分の信念を曲げないキャサリン・ガンの、率直で力強い言葉に大いに勇気づけられますが、結末間際にある人物が口にする、この事件の背景動機には唖然というか慄然としました。そしてレイフ・ファインズのひとこと。よく言った!
COOOOL!!!!!!!!
クールで、めっちゃ、面白い!!
たまたま他の映画(「シチリアーノ」)が満員で、代わりに観た、みたいな位置付けになっちゃったが、評判の高さは感じてた。こっちもほぼ満員で、最前列鑑賞だし。(最前列、嫌いじゃないけれど…) ああ、得した感じ。
ああ、あの「アイインザスカイ」の監督なんだ。あれもクールな傑作だったもんね。俺、この監督のテイスト、ジャストミートらしい。こりゃ、覚えとかなきゃ、ギャビンフッド監督!
9.11のテロを受けた米国が、米英等の有志軍で、「テロリストを匿い、大量破壊兵器を保持している」との疑いで、イラクに侵攻する直前の英国。
諜報機関GCHQで働く主人公が、明らかに違法な工作活動に憤り、その指示内容をマスコミに流し、スパイとして起訴される話。
盛り上がりを作りにくい話に思えるが、初めから終わりまで、ずっとドキドキしっぱなし!
法廷への階段なんて、ちょっとしたホラーだよね。
これが、実話!
世界には、驚くべきことがいろいろあるんだなあという驚き。
主人公は、憤りからリークしたものの、思い直したり、不安になったりしていたのが、途中から腹が座ってくる様子が、とても凛々しくてよかった。
法廷前の電話で、若き夫が言う "So proud of you." (君を、誇りに思うよ) 自分がトルコに強制送還されそうになる危機に陥ったりしながらも、これが言える夫、素晴らしい。「そういう夫でありたい」と思いました。
勇敢なリーク
ソーシャル・ディスタンス
主人公は日本で英語教師をしていた
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