スキャンダルのレビュー・感想・評価
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声を上げる重要性と難しさを教えてくれる作品。
本作は米国の大手テレビ局「FOXニュース」で起きた実際の事件に着想を得て作られた物語です。その点で、本作と同じく女性達を主人公に据えた『ハスラーズ』と共通しています。実話の映画化はかねてよりクリント・イーストウッド監督も積極的に取り組んでいますが、イーストウッド監督と本作とでは、題材への取り組みに違いがあり、その点でも興味深い作品です。
主人公三人は「FOXニュース」の女性キャスターとしての経歴を持っていますが、マーゴット・ロビー扮するケイラ・ポスピシルは幾つかの実在の人物を合わせた架空の人物です。
しかしマーゴット・ロビーの素晴らしい演技により、このケイラ・ポスピシルが本作の中で最も人間味を感じさせる登場人物となっています。ある重要な場面での彼女が受けた屈辱、心の痛みは、直接的に観客に伝わってきます。
冒頭で「FOXニュース」のオフィスビルの階の違いが、そのまま社員の序列を意味していることを分かりやすく視覚化しており、鑑賞の助けとなりました。加えて番組の位置づけや関係性についても何らかの説明があれば、シャーリーズ・セロン扮するメーガン・ケリーとニコール・キッドマン扮するグレッチェル・カールソンとの関係がより分かりやすくなったのではと思いました。
「FOXニュース」は米国では共和党寄りの、かなり保守色の強いテレビ局ですが、トランプが共和党の大統領候補となった当初は、共和党の方針すら攻撃するトランプを排除する方向で報道を行ってきました。ところがいよいよトランプが選挙戦で実力を付けてくると、「FOXニュース」の上層部は急に方向転換して、トランプを支援する報道を行うようになります。そのため、トランプ批判の先兵となっていたメーガン・ケリーは、言わばはしごを外された形になり、築き上げてきたキャリアが 危うくなります。こうした状況の中で、グレッチェル・カールソンが「FOXニュース」に君臨していた経営者、ロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)をセクハラで訴えました。こうした経緯は作中でも描写されていますが、やはり事前に状況を把握しておかないと、物語の筋を追うことが難しくなるでしょう。
グレッチェル・カールソンは、裁判に当たってかなり入念に準備、証拠固めを行っていますが、これは裏返せば、権力のある上司をセクハラで訴えることがいかに難しいかということを示しているとも言えます。
実際のカールソンは、「FOXニュース」と和解する際に、秘密保持契約を結んだため、実際にどのようなことが起きたかは依然として明らかになっていないことが多いそうです。もしカールソンがありのままに話していれば、本作の内容も変わっていたかも知れません。
巨大な力と戦うための方法と事情
事実を解りやすいストーリーに仕上げた娯楽作品。
これは決して社会派で括られるものではない。
もちろんセクハラがテーマですけどね。
用意周到にプランを積み上げていくヒロイン。
「なう」で罠に落ちていくヒロイン。
自分よりも周囲にゴタゴタされるヒロイン。
これが解りやすいハリウッドらしい設定。
舞台のほとんどがFOX社内だからなのか、
背景に小ネタを仕込んできて、うっかり見つけてしまうと、
そっちに釘付けになるというトラップに、これから観る人は気をつけてw
でも強大な力の下で、
中くらいの力の下で、
実はそうでもない力の下で、
こんなはずじゃないと踠いている人は、
ちょっとはヒントになるかもしれないw
シャーリーズ・セロン!
間違いなく現在、ハリウッドNo.1美人。これだけの女優陣が揃っても、美しさは群を抜いている。
キャスターのようなクールで理知的な役を演るとなお一層それが引き立つ。
それにしても、かの業界の事に関しては全く疎いのだが、正に伏魔殿というべき世界だ。それとも、FOXだけが特殊なのか?
日本人的にはこの作品に一番思い入れできる部分といえば、カズ・ヒロのオスカー獲得(でも、日本を捨てた人なんだよね)。
綺麗な女優さんが沢山出て来て少し混乱
ある程度実話に基づく社会テーマの映画として
観応えありました。少し登場人物が多くて、
お化粧の有無だったり、皆さん美人キャスター
なので途中から少し混乱してしまいました。
Amazonプライムなどでもう一回観たいと
思います。
ハラスメントのしっぺ返しは、今のように
誰もが情報発信者になれる時代、甚大です。
権力に奢らないよう、気を付けましょう。
急に心がえぐられる
セクハラを無かった事にしてる女性たち。
なにしろトップの人間に気に入られるってチャンスだし、テンション上がっちゃうし、気持ちはよくわかる。
絶対に間違っているって気持ちは見えない所に寄せつつ、万事上手くやっている風を装うのだ。
次々と出てくる膿にハッとさせられて、葬り去った感情が湧き出てくる感じに、居心地の悪さと妙な衝撃を与えられた。
曖昧で分かりにくい展開が多いけど、訴えかけてくるインパクトはあった。
時代を切り取るニュースとしては古い話だし、女性差別の歴史を伝えるには新しすぎる話。
ニコマンがキレイだった!シャリ姉さんがカッコ良かった!!マーゴが可愛かった!!!
・・・とかって感想も「それは“女性の消費”的な見方よっ!」って怒られそうで、そのへん褒めづらい。
じゃあ1本の映画としてどうだったかというと、2020年に観るべきってほどの映画じゃなかったなっていう印象。
“現代社会のセクハラ問題を描いて世に問う!”というには、もはや周知の事実になってる古いニュースだし、“2010年代まで女性はこんな扱いを受けていたのだという歴史を語る”には、まだ記憶に新しすぎる。
「セパハラじじいが権力でもって女性を慰みものにする。勇気を出して女性たちは声を上げ、セパハラじじいを退治するという戦いの物語」。
実世界では、いまだこういうセパハラ男は多く蔓延っているのだろうし、今現在もそういう女性蔑視に戦ったり苦しめられている人もいるだろう。
でも、映画の世界では(こういう映画を映画館に観に来る人たちの価値観においては)、そんな戦いはとっくに女性たちが勝利して決着がついてるし、とうに決着がついてる勝負に勝ち名乗りを上げてる映画には、衝撃も感動も受けない。この『スキャンダル』という作品は、時代に対して攻めてないんだと思う。
例えば女性差別を描く映画を観るのなら、僕が観たいのは今はもう「差別する強者VS差別される弱者」の二項対立ではなくて、
差別と戦おうと立ち上がった女性に対して、
「家族が巻き込まれるかどうか?協力してくれるのか?」とか、
「無責任な世間や好奇心だけのSNSアンチたちからの二次的な差別」とか、
「差別との戦いに固執して本当の幸せを見失っていないか?」とか、
「差別をされてでもその場所に居ざるを得ない人がいたら、どう捉えるべきか?」とか、
映画が提起すべき踏み込んだ問題はもっとあると思うんだけどな。『スキャンダル』にそれらの要素が皆無だったとは言わないけれど、「キレイでカッコイイ女たちがエロジジイをギャフンと言わしたった映画」の域を出てないなかったように思う。
オンナたちの「インサイダー」
映画「インサイダー」のコピーは何だっけ?
確か「銃声のない荘厳な戦場」だったかな?
本作も正にそんな感じ。
銃声は無くとも、彼女たちは文字通り「命がけ」で戦っている。
告発の口火を切るニコール・キッドマン。
告発に加わるか否か葛藤するシャーリーズ・セロン。
そして圧巻なのが、セクハラされるマーゴット・ロビー。
戸惑いと恥辱と恐怖の入り混じった表情でスカートを上げる。
私は男性だが、本当に怖いシーンだった。
思い出したのは、「ディアハンター」のロシアンルーレットのシーン。
あれは過去見た数千本の映画の中で、ぶっちぎりに背筋の寒くなるシーンだったが、このシーンも負けず劣らず背筋が寒くなるシーンだ。
本作の事件が実際にあったのはたった4年前。
当事者の殆どは生きていて、同じ仕事をしている人も多いのでは。
にも関わらず、こんなに早いタイミングで映像化するっていうアメリカ人、ハリウッドのスピード感というか、社会問題に対する嗅覚はスゴイな。
日本でもセクハラ裁判って数多くあると思うが
(先日も伊藤詩織さんが、元TBS山口氏を訴えた裁判の判決があったばかり)
こんなに早く映画化・ドラマ化されることはありえないだろう。
そういう意味では日本っておかしいんだよね。
テレビ屋は、「女性に受ける題材」を探してるハズで、
本作なんて正にそういう題材。
要は、強い女性たちが、クズ男をブチのめす、って話なので。
(ちなみに先日見た「ハスラーズ」も同様)
日本のテレビ屋は絶対にセクハラ実話をドラマ化なんてしない。
日本の女性が社会問題に興味がないから、なのか、
それとも、日本の女性は社会問題に興味がない、って日本のテレビ屋が決めつけているから、のどちらだろうか?
One Teamの弊害を赤裸々に描いた意欲作
FOXニュースのCEOのロジャーに直接面会する機会を得て昇進を直訴する野心溢れる若手キャスターのケイラ。トランプ大統領候補にも歯に絹着せぬ批判を浴びせる看板キャスター、ミーガン。かつては人気キャスターだったが視聴率の振るわない午後の番組担当に回されたベテランキャスターのグレッチェン。それぞれ同局内で孤軍奮闘していたが、グレッチェンがロジャーをセクハラで提訴したことから瞬く間に同局内に衝撃が走り、その余波はケイラとミーガンにも押し寄せてくる。
つい数年前のスキャンダル事件を実名で映画化してのけるハリウッドの強かさにまず感服させられますが、ドラマそのものはかなり地味め。ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー、シャーリーズ・セロンという豪華女優陣の共演も変に華々しく誇張されることなく、局内に蔓延る女性蔑視に対峙する様を淡々と描写しています。
人物描写がフラットなので特定のキャラにグッと感情移入することは出来なかったですが、21世紀に至っても絶滅出来ない男女格差の実態をまざまざと観せられて気が滅入りました。世間的にはカズ・ヒロさんが手掛けた特殊メイクが少し話題になりましたが、役者を別人に仕上げた技術は確かに素晴らしい。ただそこに注目してしまうと肝心のドラマに集中出来なくなるので鑑賞時には気にしないようにしたいところです。
なんとも卑劣な奴がいたもんだ。 相手の上昇志向に付け込んだセクハ...
なんとも卑劣な奴がいたもんだ。
相手の上昇志向に付け込んだセクハラ。
卑しいにもほどがある。
嫌悪感しかない。
一方、セクハラを受けた被害者が
いろいろな思いを持ちながらも勇気をもって
セクハラを訴える姿勢は素晴らしいと思う。
だが、過去にセクハラ被害を受けたという
話には共感できない。
その場でギブアンドテイクの契約を結んだんだろう?
それは金のために体を売った売春婦と何ら変わらない。
だから、metooを主張した輩を見ると哀れに思う。
どちら側から見るかで異なる
思ったより地味、が正直な感想。
でも、何もかも言葉で説明せず、ちょっとした表情や動きで何が言いたいのか丁寧に描かれ、女優陣(脇役ですらも!ベテラン秘書や相手側の弁護士も素敵でした)の演技が光っていました。
どちらにつくの?どう出るの?とドキドキ。
『リチャード・ジュエル』と同じくリアルタイムで騒動を見ていたアメリカ人とは見方が異なると思うけど、
同じ女性として自分ならどうするだろう、と考えながら観ました。
男性はこれを観てどう思うのか(ケンカになるかもしれないけど)聞いてみたい。
ビッグ3
日本じゃ絶対作れない(作らない)
作ったとしても「新聞記者」みたいに架空の設定で、絶対実名は出さない形でやるのがせいぜい
登場人物が多く名前を聞いても知ってるのがトランプぐらいなのがちょっとつらいところ
こういう作品は日本ではヒットはしないだろうが(コロナ騒動も重なり)俳優陣の演技は必見
ビッグ3はもちろん、ジョン・リスゴーの憎々しさやレズビアン役の「ゴーストバスターズ」に出てた人(名前わからん)が個人的にはよかった
古今東西、権力者のやることは同じ?
華やかなメディア、それもほぼ実話に基づく米国の巨大メディアの裏側と日本にいてはわからない大統領選の裏側が見られる点が面白いかな。
肝心のセクハラは、中途半端な上司ならその上にチクれば救われるかもしれないけど、絶対権力者ではね。なかなか勇気を持てないかもね。ただ、尊厳通すなら、夢を捨ててその時点で去ればいいのにとも思うけど。
一方で世の中には体張ってまで自己実現しようとする人もいるから、何とも言えないね。
女性の主張が認められる時代になってよかったということかな。ハリウッド女優三人の共演も良かったね。ニコール・キッドマンの髪型はどうなの?でした。
諦めない!からの始まり
マッーゴット・ロビーの圧巻の演技に前乘めりになった!!
架空の人物ケイラこそが地位も名誉もお金も無く、声を上げられない一番私達に近い存在であることは間違いない・・
観る人のほとんどが彼女に一番感情移入しやすいのかも・・
ケイラこそがこのストーリーの軸だと思わせてくれたチャールズ・ランドルフの見事な脚本を本気度MAXでロビーが演じ切っている👏
C・セロン、N・キッドマンの完璧なオーラと抜群の演技力!
ジョン・リスゴー、アリソン・ジャネイ・・
そうそうたる演技人の中、ケイラの同僚ジェスを演じたケイト・マキノンの好演が印象的でした🍀
・・祝!オスカーのカズ・ヒロさん!
本人とパーツもフォルムも全く違うセロンをあそこまで近づけた(まさに、クローン!)緻密で繊細な神業は溜め息ものでした!
彼が3度目、4度目のオスカーを手にする事も必ずあるはずでしょう!
最後にこの作品こそ、沢山の男性に観ていただきたい!
そして、感じ、考え、語って欲しい!
その時こそが真の#MeTooだから!
勇気ある女性
3人の女性たちが協力してセクハラに立ち向かうストーリーかと思っていたらそうではなく、三者三様のセクハラに対しての戦い方でした
ニコール・キッドマン演じるグレッチェンの勇気には尊敬しかありません
何事も一番最初に声を上げて行動するというのは勇気が必要なこと
誰かが後に着いてきてくれると思っていてもそうじゃないかも
アメリカでもまだまだ女性軽視の世界とは驚きました
でもこういう作品を作れて、それがアカデミー賞ノミネートや受賞するという面ではやはり進んでます
最初は野心の塊にしか思えなかったケイラは可哀想で観てて辛くなりました
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