子供はわかってあげない

劇場公開日:

子供はわかってあげない

解説

田島列島の人気同名コミックを上白石萌歌主演、「南極料理人」「横道世之介」の沖田修一のメガホンで実写映画化。ひょんなことがきっかけで意気投合した美波ともじくん。美波のもとに突然届いた「謎のお札」をきっかけに、2人は幼い頃に行方がわからなくなった美波の実の父を捜すことになった。女性のような見た目で、探偵をしているというもじくんの兄・明大の協力により、実の父・藁谷友充はあっさりと捜し当ててしまった。美波は今の家族には内緒で、友充に会いに行くが……。主人公・美波役を上白石、もじくん役を「町田くんの世界」の細田佳央太がそれぞれ演じ、豊川悦司、千葉雄大、斉藤由貴、古舘寛治らが脇を固める。

2021年製作/138分/PG12/日本
配給:日活
劇場公開日:2021年8月20日

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(C)2020「子供はわかってあげない」製作委員会 (C)田島列島/講談社

映画レビュー

4.5「水は海に向かって流れる」実写化と見比べると、良さが一層引き立つ

2023年6月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

幸せ

本作を公開当時見逃して残念に思っていたが、田島列島の人気コミックの実写映画化という点で共通する「水は海に向かって流れる」(2023年6月公開)を観るにあたり参考のため配信で鑑賞。「南極料理人」「横道世之介」など大好きな作品の多い沖田修一監督、やはり期待を裏切らず楽しませてくれる。冒頭前触れなく始まって観客を面食らわせる劇中アニメへの尋常ならざる力の入れようなどは、「おらおらでひとりいぐも」の遊び心を想起させると同時に、やはり人気コミックを原作とした石井裕也監督作「町田くんの世界」(町田くんを演じた細田佳央太が本作の主人公の一人・門司くん役)にも似た、邦画界で量産される青春漫画実写化作品の定型を作家性で打破する強い意志を感じさせもする。

上白石萌歌がちゃんと高校の水泳部員に見えるすっぴん(に見えるナチュラルメイクかもしれないが)で、しっかり日焼けしながらプールや海で演じているのも高ポイント(インタビューによると、きちんと夏に順撮りしたという)。そうしたリアルな若者像を丁寧に映像化した点も魅力になっている本作と見比べると、「水は海に向かって流れる」で描かれる世界は表面的でどうにも嘘っぽく、量産型の青春ドラマ邦画の枠を抜け出せていないと感じる。田島列島原作の映画2作品で比較するなら、この「子供はわかってあげない」に軍配を上げたい。

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高森 郁哉

3.5不思議なおかしさが、やがて胸を打つ

2021年10月8日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
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和田隆

4.5高校生が日焼けしている、という当たり前の素晴らしさ

2021年8月27日
iPhoneアプリから投稿

なんでこんなにしあわせな映画ができるのか? 沖田修一監督のもっているリズムとユーモアや、その世界観で漂っているような俳優たちの妙演など、素晴らしいポイントはいくつもあって、何の話かよくわからないまま、しあわせに時間が過ぎていく。なんだこれ、発明か。

そして数ある青春映画の中でも特異とも言えるのが、上白石萌歌演じる主人公、朔田美波の、毎日を楽しむ力の強さ。朔田さんは、目の前にあるものをいつも思い切り楽しんでいて、屈託や悩みもあるにはあるけれど、概ね前向きな気持ちが勝ってしまう。青春映画の多くは憂鬱や行き止まりの感覚を描くものだが、本作の朔田さんにはそれがない。しかしそんなものは本作には要らないのだと、上白石萌歌の屈託のなさに教えられる。

この映画は二年前のひと夏に、順撮りで撮影されたという。気がつけば真っ黒に日焼けして、ニコニコしている上白石萌歌の無防備さに、知らず知らずのうちに救われてる。この演技を見るだけでも、割増料金を払いたいくらいである。

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村山章

4.0沖田監督ならでは独特の空気感が秀逸

2021年8月25日
PCから投稿

いつも独特の温もりと緩急自在の笑いと、心がスッと澄みわたる特別な時間を創り出す沖田修一。彼が手がけると何もかもが沖田カラーに染まっていく。本作もまさかアニメーションで始まるとは思わなかったが、そこから時間をかけてじっくり捉えていくリビングの風景が実に素晴らしい。こんな覚悟の要るアプローチを飄々とやってのけるのが沖田監督らしいところ。上白石や細田のイメージも無理に原作に寄せるのではなく、むしろ彼らの持ち味を大切にしたキャラクターが生き生きと青春を謳歌していて、隅から隅まで好感が持てる。脇を固める名優陣も独特の沖田ワールドを力まず、泳ぐように生きている。この間合い、この呼吸。どこまでも心地よく、クスクス笑わされたかと思えば、ふと涙してる自分に気づかされたりもして、これまた新鮮。ちなみに原作漫画では別の角度からの味わい(もじくんのお兄さんの名探偵ぶりなど)が楽しめたりするので、こちらもお薦めだ。

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牛津厚信