ハリエットのレビュー・感想・評価
全55件中、21~40件目を表示
自由か死か、さあ「スタンド・アップ」
生きる厳しさを感じる現代に相応しい英雄の真実の物語。心に響く素晴らしい作品でハリエットの不屈の精神に生きる勇気を与えてもらいました。
シンシア・エリヴォの圧巻の演技と歌唱力も素晴らしく見応え充分。そして最後のエリエットの言葉「みんなの居場所を用意するわ」も印象的で深く心に残りました。
劇中歌「スタンド・アップ」も一瞬で心に残る名曲で、試練を感じたり負けそうな時に是非とも聴きたい一曲。
2020-114
自由への躍進
「こんなに面白いとは」
ジャネール・モネイって二階堂ふみに似てる
コロナ前にチェックしていましたが、やっぱり見て良かった。
すごい根性、行動力の持ち主ですね。
超能力、祈祷、予知能力の持ち主でしたけど、昏睡発作がいつ起きるかわからない。神の声が聞こえるようになったのは姉さんが売られて行く時に頭蓋骨が割れるほどの虐待を受けた時から。酷いご主人様です。兄さんたちの背中の無数の鞭打ちによる傷もひどかった。
主役のミンティ(ハリエット)を助ける役の人たちが皆素敵でした。とくに黒人宿の女主人役のジャネール・モネイが素敵でした。なんとなく二階堂ふみに似ていました。
地球にヨーロッパが存在せず、大航海時代がなかったら、歴史はどうなっていたでしょうか。アジア人だけの地球だったらどうなっていたでしょうか。もう少し優しい地球になったでしょうか?
素直に感動
「なんだ、また奴隷解放ものかぁ」とあまり触手が動かない映画でしたが、好きなレビュアー様の一押しだったので鑑賞。
ハリエットってお札に肖像画が載った位だから、アメリカ人なら誰でも知ってる有名人でしょうけど、私は全く知りませんでした。
奴隷制って本当にひどい!人間には共感能力があるはずだけど、奴隷の痛みが分からない人ってのは黒人は自分と同じ人間とは思えない人なんでしょうね。
ハリエットが夫を助けに行った時の絶望感は、ちょっと前に「マチネの終わりに」を読んでいたせいか身にしみて辛かった。
私ならそこからあんなに強くなれない。
自分の絶望にはまって甘えてしまう。
素直な性格なもので、しっかり感動して泣いてしまいました。
でもこの見方で間違ってないと思う!
わたしは戦う。自由の御旗のもとに。
彼女の覚悟と勇気と信念。
力強い意志を受けたかたちで
御神も霊感を授けたのだろうか?
それとも神の意思だったのだろうか?
いつの時代も辱しめられる女性がいて
理不尽な差別を受け虐げられる人々がいる。
世の中には良い戦争と悪い戦争がある…
とか、言われていたりしますよね?
良い戦争はのちに〈革命〉と呼ばれ
正当化し美化したりする傾向がありますよね?
だからといって、戦争の歴史を
肯定したくはないのですが…
彼女の気高き覚悟と勇気と信念。
多くの人々を奮い起こした力強き意志は
尊ぶべきものだと思いました。
本当に彼女は神からの啓示により
大成を遂げたのだろうか?
夢の中で苦い過去を反芻した彼女…
もし、天啓ではなかったとすれば…
彼女は夢の中で理想の未来を見て
その理想を実現するために
行動を起こしていたことになる…
どっちにしてもやっぱり奇跡ですよね!
蔓延する疫病で人々のこころがすさみ
疑心暗鬼になって、軋轢の陰影を
色濃く浮かび上がらしてしまっている2020年。
近い将来、
また奇跡が起こることを願い、そして夢見る。
思い切りが足りない
fuck racism.
奴隷制度、人種差別
~「自由か、死ぬか。どちらか1つは手に入る。」~
【賛否両論チェック】
賛:奴隷だった1人の女性が、奴隷解放運動の最前線で戦うまでになる様を通して、自身が当事者だったからこそ持てたその意志の強さに、観ていて頭が下がるよう。
否:宗教色が強いので、その辺りの好き嫌いは分かれそう。
凄惨な時代の、奴隷解放運動を扱った本作。前半ではヒロインのミンティが、自らの意志と執念で、困難を極めたペンシルベニア州への脱出を成し遂げていく姿に、観ている側も同じ目線でハラハラさせられるようです。
そして後半では、“ハリエット・タブマン”という新しい名前を手に入れたミンティが、決して現状に甘んじることなく、奴隷救出に挑み続けていく姿が、とても雄々しく映ります。自身も奴隷として苦しんだ当事者だからこそ、どれだけ周りから反対されても、最後まで先陣を切って戦い続けることが出来たのだと、その志の高さに頭が下がる想いがします。協力者達を前にした演説のシーンなんかは、すごく胸に染みました。
ただ、ミンティが要所要所で神からの啓示というか予知夢というか、そういったものを受ける演出があったりと、宗教色は少し強めですので、その辺りの好き嫌いはどうしても分かれそうなところではあります。
とはいうものの、人間の意志の強さを改めて実感させられる、そんな作品ですので、是非ご覧になってみて下さい。
私には少し真面目過ぎたのかも知れません
感動は微妙ですが見る価値はあります。
フィクション? ノンフィクション?
この方…実在している方なんですね。しかも、お札に採用されてるなんて…。自分が、いかに、歴史の勉強をしてこなかったんだろうと反省しながら鑑賞しました。
どこまで忠実な話なんでしょう。予知夢みたいなことが起こってましたが、本当に、そんな力を持った方だったんでしょうか。それとも、そんな力を持っていると思わせるくらい、すごい所業をしてきたから、話を盛ったのでしょうか。まあ、エンタメ要素としては、悪くないと思います。でも、ちょっと単調に感じましたね。ノンフィクションともフィクションとも、どっちつかずな気がしました。
あと、個人的には、歌が気になりました。歌にのせて伝えてたけど、毎回、あんなことしてたら、白人にも気付かれないのかな?まあ、それも、映画ならではのフィクションですかね。
気になる点はありましたが、やっぱり感動もしました。こういう人種差別がなくなるといいですね。
奴隷解放は神の声のおかげ?
いますぐ逃げ出そう
夜が最も暗いのは夜明け前だという。使い古されたフレーズだが、本作品は南北戦争の13年前からスタートする。まさに奴隷にとって最も苛酷な時代であった。
アメリカの独立宣言が1776年、合衆国憲法の成立が1787年だ。福沢諭吉の「学問のすすめ」の有名な冒頭である「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと言えり」として紹介されているのがアメリカ独立宣言の思想なのだ。尤も、福沢はその後に、そうは言っても差別はあるから、学問をして自分を向上させなければならないと書いて、現実主義者らしい主張をしている。
フランスのパリバスティーユ監獄襲撃が1789年で同じ年に所謂「人権宣言」が採択された。そこにはすべての市民は平等で差別されないと書かれている。独立宣言も人権宣言も、人間が作り出した権威や王位などに立脚する封建主義を全面的に否定して、法のもとにはすべての人間が平等なのであると謳う。出身地や家柄などによる差別から人間を解放し、自由に行動する権利があることを高らかに宣言したのだ。
ところが人間は、ドストエフスキーが「カラマーゾフの兄弟」のイワンの台詞として書いているように、せっかく勝ち得た自由をパンと引き換えに投げ出してしまう。パンを与えてくれるのはすなわち権威であり、権威は差別の基幹だ。人間は長いものに巻かれるのが大好きであり、権威のパラダイムによって自信を得たり生きがいを覚えたり、ときには他人を差別する。
独立宣言の4年前、ジョン・ニュートンが「アメイジング・グレイス」を作詞した。かつて奴隷貿易で儲け、たくさんの黒人を見殺しにしてきた彼は、難破しかけた嵐から奇跡的に生還したことから、考えを改めて敬虔なクリスチャンとなり牧師となった。曲が付けられて「われをも救いし」というタイトルの有名な賛美歌となった。
アメリカ独立戦争の前から、黒人はたくさんアメリカに「輸入」されており、キリスト教の権威を叩き込まれ、神の前で欲望を恥じ、従順と勤勉を徳とするように洗脳されてきたのだ。一方で「輸入」し購入した側は、黒人を奴隷として「所有」していると当然のように考えている。言葉が理解できる人間は、動物よりも遥かに役に立つ。家事でも農作業でも一度命じれば繰り返し働くし、練度も向上して生産性も上がる。当時のアメリカの白人にとって黒人奴隷はAIロボットのように便利なアイテムだったに違いない。
さて本作品の主人公ハリエット・タブマンは奴隷解放に尽力した数多くの有名人のひとりだ。熱心なキリスト教信者であり、ナルコレプシーと癲癇の持病がある。多分に神がかった人なので無宗教の日本では狂人扱いされたかもしれないが、クリスチャンが主流のアメリカでは信じられたようだ。
キリスト教信仰の是非は横に置いておくとして、ハリエットが大変に勇気と行動力のある女性だったことは確かだ。いくつかの場面で繰り返される「自由か死か」という台詞は、彼女の人生観を端的に示す言葉であり、本作品の世界観でもある。その人生観に従って勇気を出して生きるハリエットの生き方はとても爽快であり、共感できる。
逃げることは恥ではない。束縛から逃げ、隷属の状況を脱することは寧ろ自然な行動だ。「石の上にも三年」は好きな石に限られる。荊棘(いばら)の上に三年もいたら人格が崩壊してしまうだろう。嫌な上司、嫌な会社、嫌な政治家、嫌な国からはとっとと逃走するのがいい。人類の歴史は戦争の歴史だが、同時に逃走の歴史でもあった。自由のない状況では生き続けるより死ぬほうがましなのだ。無一物、徒手空拳で放り出されても、運がよければ生き延びれるかもしれない。ハリエットの幸運を羨ましがる前に、いますぐ逃げ出そう。
タブマンは、オバマ政権時代に新紙幣の肖像にすると決定されていた。数十万人にアンケートを取っての1位だったらしいから、統計学的に言えば全米にアンケートを取っての1位と同じである。さすがオバマだ。やることがいちいち民主的である。政権内部の井戸端会議でコソコソと渋沢栄一に決めたどこかの小国とは大違いなのだ。ところがトランプがこれを延期していて、もしかしたらそのまま消滅するかもしれない。アンケート結果を踏みにじる暴挙だ。連綿と受け継がれていく人種差別の先頭に立っているのが最高権力者である合衆国大統領なのである。そんな時期にこの映画が公開されたことは、大変にエポックメイキングである。もしかすると21世紀のアメリカ史にとって重要な意味合いを持つかもしれない。
タイトルロールを演じたシンシア・エリボの幅のある歌声は、遠くまで聞こえる口笛のようであり、地面から伝わる地響きのようでもある。歌で別れを告げる場面は感動的で、原始宗教が語り継がれるのではなく歌い継がれてきたものであることを思い出した。
夜明けの来ない夜は無いさ・・
今も続く黒人差別
全55件中、21~40件目を表示