すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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生きるための器用さとは
☆☆☆☆★ 冒頭。鉄格子から見えた青空は、主人公には多いなる希望の...
☆☆☆☆★
冒頭。鉄格子から見えた青空は、主人公には多いなる希望の青空だった…のだが。
原作読了済み。
※ 原作を読み、予めに要約した読後のレビューを書いてはいた。
映画本編鑑賞直後には、(作品の出来の)素晴らしさに感激して、勢いと情熱のみで突っ走ったレビューを書きなぐり。もうあと少し…と言うところで、訳あって一旦休憩。
さあ!もう少しでこの長文も完成…と思ったら、、、痛恨の押し間違えから、近年では自分としてもかなり満足出来る内容だったレビューが脆くも泡と消えてしまった。
_| ̄|○ もう死んだ! 余りのショックに寝込みたくなった程。
翌日に観に行く予定だった洋画2本も一気に観る気が無くなってしまった。
(夜中に起きた地震の影響は少なからず有ったのは事実だけど…)
何しろ本編は、〝 傑作 〟との称号は多くの作品に当てはまるとは思うのだけれど。〝 真の傑作 〟と呼ぶに相応しいくらいに【崇高な高みへと昇って行った】作品だったのだから。
少なくとも、2000年代に入ってから公開された日本映画の中で、間違いなくトップ中のトップに位置する作品だと思ったから…それゆえに、自分のレビューが消えてしまったショックは大きかった。
日が経ってやっと再度レビューを書く気にはなったものの。やはりレビューってヤツは、鑑賞直後に書く【情熱と勢い】こそが、最良のレビューになる…と思っている。例えその文章に大いなる間違えや勘違いが有ったとしてもだ💦
(コレ、、、いっもやっちゃうんだよなあ〜!勿論間違いはしっかりと正しますが…)
…との恨み節は(出演者の中に梶芽衣子が居たから…って訳ではありません( ̄^ ̄)キッパリ)まあ、この辺に止めて改めてレビューを。
原作は元ヤクザで殺人で長期間服役した男が、《現代の浦島太郎》として社会に戻るが。堅気になる為には、生きづらい社会になっていて。それに抗いながらも、必死に生きて行く姿を描いている。
実は、原作を読んだ人ならば分かるのだが。彼の中では大きな変化が起きてはいるものの。(原作の中では)特別に大きな事件等は起こらない。
勿論、近隣とのトラブル等多少の揉め事は起こるものの。警察が介入したり…と言った、大事には至っていない。
と言うのも。ひとえに、彼が生活をするにあたり。周辺の人々が彼を手厚く支え。且つ、様々な面倒を見てあげる。
絶えず、「それは駄目だよ!」「何で我慢出来ないの!」…と、この男に皆んなが甲斐甲斐しく関わって行き。道を踏み外さない様に見守って行く。
何故ならばこの男、確かに罪は犯したものの、人として誰よりも…
【純粋で情に熱い男】 だったから
そんな人物である彼は、正面から周りの人に包み隠さずに己の姿をぶつけて行く。それに周りの人達も次第次第に巻き込まれて行ってしまうからだった。
しかしながら、そんな彼にとっては。何かと世知辛く生きにくい世の中であるのは変わりない。
だからか?常に癇癪を起こしては周りの人に迷惑をついついかけてしまう。
彼にとってはそれらの一つ一つが、口では「何でですか?」と怒りながらも。心のどこかで、自分のだらしなさを感じてしまう為か。その怒りを発散出来ずに、もどかしい思いを日々繰り返す毎日が描写されている。
そんな生きづらい世の中で喘ぐ彼のところに、映画は原作には登場しない津乃田と言う人物が密着し始める。
とは言え原作には、当初ライター志望の男が存在していたのだが。このモデルの男が時折見せる暴力性に怯んでしまい、いつの間にか居なくなる。
映画は、途中からその津乃田とモデルの男の交流を通じながらの〝 母親探し 〟へと発展して行く。
元々原作では、何度も元妻への連絡を試み。最後にデートへとこぎつける。(但し男の子付きだが)
そんな展開ではあるのですが。それを敢えて外し、別の方法へと変えた事で。スンナリと母親探しの旅へと移行出来ている。
実はこの辺りの描写こそが、監督西川美和本人としての《クリエイターとしての挑戦》であり、更には《女としての独特なカン》が働いた結果…なのではないか?と私は思っています。
津乃田=西川美和
復刊された原作には、後にこのモデルになった男が福岡市で一人寂しく孤独死をする。その後に判明し、また更なる謎だけが残った部分等を含めた《顛末記》を書いた「行路病死人」が掲載されている。
最初に、原作自体には特に事件等は起こらない…と書いた。
この「行路病死人」に於いても、(多少のいざこざを除いては)特別に大きな変化が起こる訳でもない。
ないのだが、この《情に熱く皆んなから構ってあげたくなる》男の最期に立ち会えた人達の、その〝 思いの共有 〟が文章から感じられる。
東京の安アパートの下に集った市井の名もない人達。
福岡市で男の最期を看取った出版・役所関連の人達。
そのどちらにも、熱い人間性が溢れている。
だからこそ…だと思うのだが。このモデルとなった男の最期に、クリエイターとしての興味を掻き立てられながら、、、
《その人々の中には入って行けなかった》
そんな思いを持ち続けていた…と思えるのが、監督西川美和本人の〝 もう一つの寂しさ 〟だったのだと思う。
それだけに。本来ならばスーパーの店長で町内会会長が、何度も何度も言い含める様に諭した「暴力では何も解決しないよ!」との言葉を、津乃田に言わせているのも。この男の魅力に嵌って行った監督の、素直な気持ちの表れだったのかも知れない。
本人も死に、原作者も死んだ。
題材を決めたものの、、、
話をどう繋げて行けば良いのか?
大きく変えても良いのか?
いっそのこと全てを投げ出してしまいたい、、、
その様な葛藤が津乃田とゆうキャラクターの中に全てが詰まっていた。
そして長澤まさみのキャラクターには、(おそらくは)監督本人の【面白がり】の心の一部である〝 猪突猛進 〟の一部分が、、、
四年余りの田村氏との付き合いで、問わず語りに母の話をしたことがある。わたしの母は七年前に肝臓ガンで死んだが、戦争未亡人として四人の子をかかえて辛酸をなめた。大柄な母が体中にヤミ米を巻きつけ、上からだぶだぶのコートを着て列車に乗り、経済警察に追われて必死に逃げたことを話すのを、彼は涙ぐんで聞いてくれた。田村氏の短歌や俳句には母親を詠んだものが多く、「母親は騙し易しと言う囚人に何の怒りぞ孤児の我」が印象に残っている。
田村氏の発言の記憶は、割烹着をつけて孤児院に面会に来て、手を振りながら大橋の方へ帰った後ろ姿だそうである。彼が死んだアパートが、福岡市南区大橋だったことを思うと、愛惜の情を禁じ得ない。今年の四月に福岡へ移るとき、わたしに直接は言わなかったが、最後まで母親捜しを諦めていなかったのだ。
(「行路病死人」より)
敢えてなのか?男が存命中には描かなかったと思える原作者自身の〝 その想い 〟を、監督西川美和は《女としてのカン》を敏感に感じ取ったがゆえに作り上げた〝 母親探しの旅 〟だったのだろう?と思う。
復刊された「身分帳」の監督後書き より
何れにしても山川がシャツを破って啖呵を切ったところで、通用するものなどもはや何一つないだろう。私は大きく原作とは時代設定を変えて映画を作ることを決めた。どう描いたって、この分厚い小説が語ったものは語りきれないし、小説とは異なるものを描かない限り、映画の存在意義などない。
〜 略 〜
亀有で逮捕されたバーの店長の名前は〈三上正夫〉とあった。前橋の家族で戸籍を作られた十五歳の時、警察の調書に書くのが面倒でない文字を並べて適当につけたという名前。「山川一」は佐木さんが小説のためにつけた仮名だったのだ。山川一と三上正夫。同じように字画の少ない漢字ばかりの並びを見て、生き別れていた二卵生双生児を引き合わせたような嬉しさに駆られた。佐木さんも亡くなり、山川の縁者も見つからず、誰に断る必要もないことを少し寂しく思いながら、私は映画の主人公の名前に、この名をもらうことにした。実名で描くのはまずいのかかもしれないが、彼のためにまずいと思う他者が存在するのかさえわからない。文句がある人がいれば私のところにぜひ申し出て欲しいのだ。「私は三上を知ってる」と。
〜 略 〜
映画は役所広司さんが「三上正夫」を演じてくれることになった。健さんももういないが、私は随一の俳優をキャスティングしたと胸を張っている。よかったねえ、素晴らしいことだよ、役所さんが演ってくれるんだよ。と、私はまるで離れて暮らす家族に報告するような気持ちで、山川を思った。
田村氏が平成三年二月二十日までに、有期懲役に相当する犯罪を犯さなければ、これまでの〝 前科 〟は消える。よく田村氏は「五年たてば事を起こしても〝 準初犯 〟で刑が軽くなる」と語った。それに付け加えて、)五年間もおとなしくしていれば、事件を起こすのがバカらしくなるでしょう」とわらっていた。あと四ヶ月生きていたら、大きな解放感を味わえたに違いないのである。
(「行路病死人」より)
思えば、西川美和監督作品には【死】とゆうキーワードは絶えず付き纏っていた様に思えてならない。
これまでは、その【死】に対して対峙する人々にはどこかに〝 心の闇 〟であり、他人には見せようとはしない〝 魂の苦悩 〟と言った、《人間味》感じさせない人物像が多かった。
これまで描いて来た(心の)内側に暴力性を秘めた人物とは真逆で、絶えず暴力性を漂わせる。
それらを考えると。今回描かれたモデルの男は、映画監督西川美和が見つけた〝 新たなる人間像 〟に他ならない。
だからこそ、真実は寂しい最期だったこの男の最期に、監督西川美和としては「行路病死人」の人達を彼の最期に集まって貰った。そしてその場面には、自身の想いを投影させる人物も添えて。
映画のラストは広々とした青空が、、、
しかし…主人公が望んだ社会は、彼が歩んで来た過去には冷たい社会で。その青空は見た目とは違って閉ざされていたのだった。
最後にこれだけ言わせて貰いたい。
◆ 来年のアカデミー賞 頑張れ!
2021年 2月13日 TOHOシネマズ日比谷/スクリーン7
※ 基本的には他のレビューサイトとの併用して利用しています。
◆ 結果は残念にも参加も叶わずT_T
しかし、自分の中での評価は変わらない。
前科のない人間がまっとうなのかという疑問
一番印象に残ったのは、介護施設で前科のある障害者の職員を、同僚たちが嘲笑うシーン。
あの職員たちには前科はなく、自分が至極真っ当な人間のような顔をして生活している。もちろん犯罪者を擁護するつもりはないが、罪を償い、社会でまた生きていこうとしている人たちを、『前科がある』というだけであんな不当に扱っていいわけがない。
もちろん警戒心や疑心を抱くことは否定しない。必要以上に距離を縮めないことも。仕事でミスをしたら指導することだって必要だ。
しかし彼らのように見下し、差別し、卑しめるようなことは、許されないと思う。何よりもあの場にいた職員4人共に、なんの罪の意識もないことが許せなかった。まるで『犯罪者には何を言っても許される』とでも思っているようにも見えた。
彼らに前科はなくとも、私の目には犯罪者と同じくらい軽蔑に値する人間に映った。
そして『前科持ちになるということ』について。
前科がある人間が社会で生きていくことの難しさ、辛さがつまっていた。三上は人に恵まれ、組に戻ったり、再犯を犯すことはなかったが、そんなにうまくいかないのが現実なのかも知れない。自業自得といえばそれまでだし、前科があるという生きにくさを抱え、時には我慢し、生きていくしかないのだとも思う。
犯罪者はきっとみんな、そんなことは想像せずに罪に手を染めるのだろう。一度も犯罪に手を染めないで生きることが何よりも一番楽な人生なのに、目の前の欲に負けて罪を犯す。その先にはもっと生きにくく、辛い人生があるのに。
ラストの展開は、三上が世の中でうまく生きていくための処世術を身につけたが故にあの結末なってしまったのか?もしくは結局どんなに足掻いて努力しても幸せにはなれないということなのか?と考えさせられた。
わたしは前者だと信じたい。見て見ぬふりをし、聞こえないふりをする。思ってもいないことを言い、笑いたくないのに笑う。そんなことをしていたら心が死んでしまう。ということを本当の死とリンクさせたのではないかと感じた。
全体を通して強く思うのは、世の中のすべての子供が、両親のせめてどちらかだけからでも、十分な愛情と温もりをもらえる世の中になることだ。そして、愛情を注げなかった親の罪は何よりも重い。
役所広司さん、仲野太賀さん
素晴らしい演技でした。特に三上の愛される性格は役所広司でなければ演じられなかったのではないかと思いました。
長澤まさみさんは、個人的にとても好きなので、今回の役柄は見てて複雑な気持ちになりましたが、演技が素晴らしいということですね。
すべてのキャストの方が素敵でした。
シロウトとして世間におもねる寂しさ
優しさのためだと信じて握った拳を、振るわず躊躇わなければならないってのも、やるせないもんだな
人によって倫理観や正義の尺度は違うだろうとは思うけど
極道と報道屋ってのはなかなか面白い対比だった
それぞれにイカれてる。
「普通になるんですよ。三上さんは」ってセリフ良かったし、
教習所で受験番号つけられて威勢よくなるのには笑った。
最期に空を写して「すばらしき世界」のタイトルを表示するのは皮肉なのか?
伏線か?(笑)
ケツと満月
役所広司さん演じる三上の喜怒哀楽の表情が魅力的。
雪景色も東京タワー周辺の夜景も一流映画の風格があり、三上の過去の白黒写真等の映像のクオリティもリアルであった。
仲野太賀さん演じるダメ男ツノダを長澤まさみさん演じるキャリアウーマンのヨシザワが追いかけてカメラをぶん投げて叱責する場面が好き。
今の時代の象徴。
三上は母に捨てられたのではなく愛されていたのだということが、出産経験のある女性とのピロートークの時に確信する場面が好き。
会話の中で地震と自信をかけていたようにも感じた。
『見上げてごらん夜の星を』を歌う時に六角精児さん演じる店長がギターを弾いて三上の就職祝いをする場面が好き。
ピッカピカの黄色い自転車も素敵。
満月の夜にツノダに背中を流してもらう場面が好き。
裸を見せた相手には心身ともに無防備になる。
三上が土いじりをする時の障害を持った介護施設要員との交流の場面が好き。
無邪気で美しく、すばらしき世界を感じた。
世知辛い世の中に牙を向けずに過ごせるようになった三上には、もっと長く生きていて欲しかったし、その生きざまをもっと見たかった。
正義感強男
アマプラ無料鑑賞
アンガー💢はマネジメントできないと
どしよもないよね🤦🏻♂️詰む
で、最後の介護施設で苛めっ子らをモップで制裁💥した件は不問なん❓🤔
老いぼれてボケて生きながらえてしまうより、サッと死ねるの、良いと思う🌸 羨ま死
役所さんの醸す雰囲気でおまけ+0.5⭐️
育った環境の影響はとても大きい
主人公の三上は劣悪な環境で育ち、学も無い。そこから抜け出すために成人する前にヤクザの世界に足を踏み入れた。そのため人生の半分は刑務所暮らし。問題の解決方法は暴力のみ。彼にとってはアウトローな世界の方が楽なのだ。そのような人間が、今までの生き方、考え方、身に付いた習慣を変えて、社会復帰するのがどれだけ大変か、考えさせられる映画。低所得者や社会からドロップアウトした人間などを指して、不遇な環境にいるのは努力が足りないからだという意見を耳にすることがある。確かにその通りな面もあるだろう。しかし、目標を定めて努力できること自体、育った環境によるところが大きいのだと、この映画を観て改めて感じた。
三上は終盤で介護施設に就職する。そこで同僚の障害者が虐められている場面を目撃する。以前の彼なら、我を忘れて暴力を振るい止めていたところを、グッとこらえて見て見ぬふりをする。一見すると、普通に割って入ればいいじゃないかと思うシーンだ。しかし彼は暴力以外の問題解決方法を知らない。そのため、不器用な彼はどうしていいのか分からず、見て見ぬ振りをするしかなかった。このようなシーンからも、彼の生い立ちが行動に大きな影響を与えていることを感じる。
映画でも言われていたが、彼のようにアウトローな世界で生きてきた人間にとって、通常の社会は生きづらいのだ。
作品の役者の重量
答えのない世界
ヤクザであり、人生の大半を刑務所内で過ごした主人公が刑期を終えて日常生活を送るが、社会に居場所が見つからない。それどころか、居場所がどんどん無くなっていく・・・
アパート下界住人との騒音トラブル。そこで自分がヤクザであることを利用し、有利な展開にもっていこうとするのは、現代社会においては「弱さ」だと感じる。
一般人はとかくストレスだらけの毎日で、それを我慢したり、いなしたり、何らかの方法で緩和をして生きている。
主人公の三上は、ヤクザ稼業から足を洗っているのにヤクザであることをチラつかせたり、恫喝したりするのは・・・・「弱さ」である。
その「弱さ」からの自業自得で自分の居場所を狭めていることに気がつかない。
とはいえ、幼少期に母親から虐待(若しくは育児放棄)を受けていたような描写もあり、「考えて、判断して、対応する『学力』」が無い。学力は現代社会において大切な「力」のうちの一つだ。 「自業自得」の一言でまとめるのは残酷過ぎる。
彼のことを思って忠告をしてくれたり、助けようとしてくれる人がいるのだが、耳の痛い正論を言うと三上のほうでその気持を拒絶をする。。。。。
主な原因は彼にあるが、現代日本の社会構造にも要因はあると考えさせられる。
そして、物語の後半、覚悟を決めて「今できる限りのペースで強く、この世界で生きていこう」とすることで、彼の人生が好転していくのだが・・・・
介護施設の同僚がいじめを受け、悪口を言われる場面で「我慢をして、いなす」のだが・・・・皮肉なことにそれは「強さ」ではなく「弱さ」なんだよね。でもその強さを持ち合わせ、行動を起こせる人は少数。
そこで同僚を庇うことで全てが円満解決するわけではなく、三上の手に余る状況になっていくのは想像出来る・・・・そこは「学力」ではなく「立ち居振る舞い」の処世術の経験値が必要とされてくるが、三上にはそれはきっと備わっていない・・・・・
そういう複雑な要素などを感じて、考えていると「すばらしき世界」というタイトルが重くのしかかる。一体誰にとって「すばらしき世界」なのかと。
そして、役所広司である。
2024/1「Perfect Days」
2023/12 「孤狼の血」
を見た。3作品全く違う役どころである。演技の事は素人だけど、役所さんの演技、空気感が「凄まじい」ことは判る。
ヤクザでなくても、生活保護受給で「自分で自分の世界を狭めて、苛ついている」人を知っているので、胸にぐっとくる作品でした。ちょっと胸が痛いので2度目は見たいとは今は思えません。
考えさせられました
始まって、わりとすぐに全裸になるシーンがあるのです(背中側ですけど)。そこまでは「役者さんって大変なお仕事だなぁ……」みたいな感じで観ていたのですが、話が進むにつれ役所広司さん演じる元ヤクザの「三上」という人物に、すっかりと魅入ってしまいました。声色、目つき、表情、しぐさ。刑務所の中で見に着けさせられた整理整頓の習慣、歩くときは手足を大きく振って、返事も大きくはっきりと。
実話に基づくお話とのことで、三上の母親探しは叶うことがありませんでしたが、一度、社会から外れてしまった人が刑務所から社会に戻ること大変さや、社会に適合するために自分を律することの難しさ、葛藤、そして周りの協力も必要なのだということが伝わってきて、とても切なくなりました。終盤、障がいのある人を心無い言葉でバカにする施設職員のシーンが出て来るのですが、元ヤクザだった三上が何とも言えない表情で感情をこらえているのを観ると、犯罪者と言われて肩身の狭い思いをしている人たちよりも、よほどひどい言動をしているな、と、ハッとしました。
心臓を患っていた三上は、最後、畳の上で花を握りしめて絶命します。その命の灯が消えゆく様が、ゆったりとした時間とそよ風で描かれていたのに加え、周りでサポートしてきた人たちの悲しみも丁寧に描かれていて、涙腺崩壊の映画でした。機会があれば、一度は観ていただきたい作品です。
役所広司
考えさせられる
すごおおおくよかったのに❗️ ラストが!台無し!こんな無責任な終わ...
すばらしき世界とは
主人公の人生とは全く異なる人生を送っていたとしても、誰もが共感できる映画。
歪んだ世の中を受け入れることに体が拒否反応を示してしまうほどまっすぐな三上にとって、「すばらしき世界」とは、死後の世界のことなのかなと思いました。
全610件中、41~60件目を表示