ラ・ヨローナ 彷徨う女

劇場公開日:2020年7月10日

ラ・ヨローナ 彷徨う女

解説・あらすじ

中南米に伝わる怪談「ラ・ヨローナ」をモチーフに、虐げられる女性たちの復讐を描いた社会派スリラー。グアテマラの元司令官エンリケは、30年前の内戦時に大量虐殺を指示した罪で告発される。そんな中、エンリケは夜になると聞こえてくる女の泣き声に悩まされるように。やがて、彼の屋敷に新たに雇われた家政婦アルマの目的が明らかになる。デビュー作「火の山のマリア」でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したグアテマラの俊英ハイロ・ブスタマンテがメガホンをとり、同作で主演を務めたマリア・メルセデス・コロイが家政婦アルマを演じた。2019年・第32回東京国際映画祭コンペティション部門に出品作品(映画祭上映時タイトル「ラ・ヨローナ伝説」)。

2019年製作/97分/G/グアテマラ
原題または英題:La Llorona
配給:ギャガ
劇場公開日:2020年7月10日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第78回 ゴールデングローブ賞(2021年)

ノミネート

最優秀外国語映画賞  
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11
  • 画像12
  • 画像13
  • 画像14
  • 画像15
  • 画像16

(C)COPYRIGHT LA CASA DE PRODUCCION - LES FILMS DU VOLCAN 2019

映画レビュー

4.0 慟哭。そして、再生への願い。エンディングの歌は鎮魂歌。過酷な状況にあった方へ捧げる歌。

2026年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

1992年ノーベル平和賞受賞者であるリゴベルタ・メンチュウさん達が経験した実話をベースとしたフィクション映画。

この映画は、この映画で取り上げられている体験を経験した人への魂・心の浄化を意図したのではないか。
 だから、映画の核になっているジェノサイドはさわりだけ。だって、皆知っているし、経験していることだから。

 メンチュウさんは、メンチュウさんの暗殺を危惧した方々の手によって、フランスへ逃亡させられた。そのメンチュウさんのような経験をしつつもグアテマラに残った、同じようにつれあいや子どもを虐殺された女性たちの会があって、地道に草の根活動を行っていたが、今では国会議員を排出する政党になっている。そのメンバーであるルシア・キラ・コロさんが来日した時、「力による復讐はしない。(ジェノサイドした)彼らと同じになってしまうもの」とおっしゃっていたと記憶する。それ以外にも、人としての強さと優しさを教えていただいた。
 人類学者エリザベス・ブルゴスさんがメンチュウさんから聞き取りをして出版された『私の名はリゴベルタ・メンチュウ』新潮社1987に描かれた様を思い浮かべながら鑑賞すると、映画では虐殺については、かなり状況を薄めて描いている。0.001%くらいの描写。『私の名はリゴベルタ・メンチュウ』は、アジェンダ(農園)で農奴として暮らしていた様子、その生活を少しでも人間らしいものにしようとして立ち上がった人々。その人々を襲った悲劇。でも、ジェノサイドは、立ち上がった人々をせん滅するだけが目的ではない。もっと、国家としての国土改造計画にも基づいて行われていると聞いた。
 この映画での裁判の場面では、メンチュウさんに似た方と、メンチュウさんが帰国した時に、連れ去られて暗殺されないように、フランスの大統領夫人だったか首相夫人だったかが付添人として同行したが、その人がモデル?というような方も一緒に寄り添っていて、この映画の制作・監督は、このジェノサイドを”事実”として捉えていて、その顛末をベースに描きたかったのだと見て取れる。
 このジェノサイドに関しては、『風の記憶:先住民族抵抗の500年』Alter Cine Inc. Alba Films制作 アジア太平洋資料センター日本語版製作 1993と言うVHSもある。この映画の将軍にあたる方がたへのインタビューや、被害を受けている方々のインタビューものせて、ジェノサイドを検証するビデオ。一政権の狂気によって行われたものではなく、もっと根源的な問題が内包されているという構成。ググったらいくつかの大学が蔵書していて驚いた。

映画を観る知識としては、コロンブスの”アメリカ大陸発見”からの、ヨーロッパの侵略の大まかな歴史を知っていた方が、より共感できるのではと思う。
 将軍の家族は、ヨーロッパからの移民を祖とするメスティーソ。中南米大陸を侵略し、いつの間にか、土地を”自分たちの物”とし、コーヒー等の大農園を作った。”国”としての中枢を担う人々。
 土地を奪われて生活の糧を失い、大農園に囲われて、借金まみれになる構造の中で、農奴のように働かされているのが、被害者として証言する”インディオ”。いつの間にかメスティーソによって作られた法律に縛られ、国家の中枢を握られている。当然、政治や商業の中枢で使われるのはスペイン語。村で暮らしている人達の中にはスペイン語ではなく、元々の自分たちの言語しか知らない人の方が多い。それでも、スペイン語やメスティーソの作法を身に着けて、糧をえる人々もいる。
 行方不明者という言葉が飛び交い、人探しのプレートを掲げている人達が大勢、映画の中で映る。ジェノサイドとここで言っているが、山奥に点在している、周りと交流がないような村を丸ごと潰したので、そこに住んでいたいた人はどこに行ったのか、不明(だから証拠がなかなか集まらない)。ジェノサイドが行われたという土地を掘ると、穴の中に折り重なるように積み重ねられた老若男女の人骨が村人総員級の数で見つかったりする。幾つもの村で。また、人知れず拉致されたままの人々も多い。行方不明者≒遺体が見つかっていない犠牲者という意味である。親族は、どこかに逃げ延びて生きているのではないかと願いつつ。

映画としては中途半端。
 解説では「家政婦アルマの目的が明らかになる」とあるが、そういう展開を期待すると肩透かし。アルマの正体には驚いたけれどね。
 映画冒頭の祈りが、終盤効いてくる構成は唸った。だから、黒魔術が必要だったのかな?
 U-NEXTでは「社会派スリラー」と説明されているが、スリラー?
 黒魔術も使われ、ホラーチックなシーンもあるが、すぐに切り替わって、ホラーが苦手な私でも鑑賞できた。とはいえ、ラスト近くのシーンは怖かった…。

認知症も患わっている設定の将軍を中心に、妻・娘と孫を中心に話が進む。
 被害者側ではなく、このジェノサイドを行ったメスティーソ家族を描くことで、古い世代から新しい世代への希望も描いているように見える。
 まったくこの事実を認めない将軍の夫人。裁判・報道、自宅を取り巻く人々に接して、「本当のことを知りたい」と思う娘。孫に至っては、”インディオ”であるアロマを、自分と同等に扱い、いろいろと教えてもらっている。

 娘の夫の顛末。
 妻が夢で体験すること。
 使用人だと思っていた人が実は…。腹違いの姉が、葬儀には家族として参列されていたのは、製作者・監督のスタンスが見て取れて嬉しい。

 その流れでのエンディング。慟哭。そして癒し。祈り。
 エンディングまで堪能してほしい。

※あえて”インディオ”という言葉を使っています。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
とみいじょん

2.5 怪談「ラ・ヨローナ」をモチーフにしただけ!

2022年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
琥珀糖

3.0 死霊館ユニバースと間違えた!!

2022年6月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

死霊館ユニバースを観たつもりだったけど、実は関係ない別モノで、

『ラ・ヨローナ 泣く女』が死霊館ユニバースなんですね。

タイトルほとんど同じ、そりゃ間違えますよ(笑)

ホラー色は薄く、ホラーっぽいサスペンスって感じでしょうか。

25万人の死者を出した、1960年から36年のグアテマラの内戦、
大統領の指揮下、大勢が政府軍により殺害され、グアテマラの歴史上、最も血塗られた恐怖の時代、
26代大統領ホセ・エフライン・リオス・モントが統治した1981年~83年…

知らなかったです。

考えさせられて結構よかったんですが、

最後エンディングの歌が、ヨローナ、ヨローナ、クドくて、イライラしたので、減点(笑)

スコアは星3です。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
RAIN DOG

4.0 虐殺はあったのかどうか。ストーリーに目が離せない。

2021年9月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

グアテマラの大虐殺を執行した将軍家族と殺された側のインディオたち。裁判の結果を不服とするインディオたちが将軍の邸宅を取り囲む。そこで起きる怪奇現象。家の中に潜む不思議な声や水の音。ここに伝説から引き出される「怨念」につながっていく。
邸宅の中と外の状況に終始ハラハラしながらも、ホラー映画のような残虐なシーンは出てこない。が、この政府と原住民の格差、偏見、貧困、差別を背景に、夢や幻想シーン、娘の動向などストーリーに目が離せない。
タイトルのラ・ヨローナは、La Llorona、ラ・ジョロナとも発音される。中南米圏では有名な伝説の話。
Natalia Lafourcadeの歌うLa Lloronaは、意味はよく分からないが、亡き霊を偲ぶ気持ちがとても伝わってくる。

Amazon Prime

コメントする (0件)
共感した! 1件)
MJoe