映画大好きポンポさん

劇場公開日:

映画大好きポンポさん

解説

杉谷庄吾【人間プラモ】の同名コミックを劇場アニメ化。大物映画プロデューサーの孫で自身もその才能を受け継いだポンポさんのもとで、製作アシスタントを務める映画通の青年ジーン。映画を撮ることに憧れながらも自分には無理だと諦めかけていたが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりの楽しさを知る。ある日、ジーンはポンポさんから新作映画「MEISTER」の脚本を渡される。伝説の俳優マーティンの復帰作でもあるその映画に監督として指名されたのは、なんとジーンだった。ポンポさんの目にとまった新人女優ナタリーをヒロインに迎え、波乱万丈の撮影がスタートするが……。「渇き。」の清水尋也が主人公ジーン役で声優に初挑戦。新人女優ナタリーを「犬鳴村」の大谷凜香、ポンポさんをテレビアニメ「スター☆トゥインクルプリキュア」の声優・小原好美がそれぞれ演じる。監督・脚本は「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」「劇場版『空の境界』第五章 矛盾螺旋」の平尾隆之。

2021年製作/90分/G/日本
配給:角川ANIMATION
劇場公開日:2021年6月4日

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(C)2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/ 映画大好きポンポさん製作委員会

映画レビュー

4.0映画好きで、頑張っている人のため

2021年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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共感した! 7件)
猿田猿太郎

4.5細かいネタやディテールが詰め込まれた90分、何度見てもするっと楽しく見られる

2021年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

平尾隆之監督に取材するため試写で2回、公開後に映画館で2回見ていますが、毎回するっと楽しく見られるのが良いなと思っています。本編90分というコンパクトな尺に、アニメならではの表現や映像編集の奥深さ、原作漫画をふくらませた物作りのヒリヒリするドラマが詰め込まれていて、繰り返し見ると細かいところに色々とネタが仕込まれていることにも気づくことができます。例えば、序盤でジーンが「いい絵だ」と言う、水たまりで跳ねるナタリーの横には、さり気なく後半登場するある人物も歩いています。劇中ポスターも1枚1枚デザインされていて、「ニャリウッド」の世界を構築するディテールの凝り具合が楽しめます。

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共感した! 6件)
五所光太郎(アニメハック編集部)

4.5編集は本当に面白い

2021年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映像の編集ってやってみると本当にすごい面白いものだが、映画のメイキング映像でも、映画制作の舞台裏を描いた内幕ものでも中心に取り上げられることがすくない。スタジオで延々と作業するものなので、画的に地味だからしょうがないんだろうけど、本当はめちゃくちゃ面白くて、映像制作の醍醐味なのだが、この編集の面白さを存分に伝えてくれる作品がついに出てきた。物語の前半こそ撮影現場のエピソードがあるが、映画の後半は編集と金策の話になっていく。同じシーンでも編集次第で全く別の印象のシーンとなることが、わかりやすく提示されるが、それ以上に本作全編が凝った編集にあふれているのも良い。
僕が好きなのは、ポンポさんとアランがカフェで向かい合って座って予算の話をしているシーンだ。オーソドックスなつなぎだが、実に順番が的確だ。2人が向かい合っているのを2ショットで捉える、奥には大きな窓があって強い西日が差し込んでいるため、2人は逆光気味で暗く映っている。2人が困難な問題を抱えていることを示唆しているカットだ。そして、2人の正面カットを切り替えしてつなぐのだが、西日によって顔の半分が影に覆われている。2つに分断された顔が、やるかやらないのか、2つの選択肢の決断をする場面であることを伝え、やると決めた2人を今度がカメラが窓側に入り、2人の未来を暗示するように明るく照らしている。このつなぎの順番を逆にしてしまうと、物語の展開は理解できても、伝える力が弱くなるだろう。
このように、つなぎ方にもちゃんと意図がある。素材の強さを何倍にもしてくれるのだ。

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杉本穂高

5.0一見するとタイトルもキャラクターデザインも弱い。でも実は凄く面白い映画! 騙されたと思って見てほしい作品!

2021年6月3日
PCから投稿

まず正直に言います。タイトルは魅力を感じにくいですし、キャラクターデザインもどこかB級感が漂っています。試写で見るまでは「たぶん日本の学校を舞台にした自主製作映画のような作品だろう」と。
ところが、全くスケール感が違っていました!
「日本の学校を舞台にした自主製作映画の物語」どころか、「ハリウッド(正確にはニャリウッド)を舞台にした本格的な実写映画製作の物語」でした。
アニメーション映画なのでキャラクターは日本語を話しますが、書き文字はすべて英語です。
「ポンポさん」というのは、「ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット」という映画プロデューサーのあだ名で、パッと見に反して、内容はかなり本格的な作品だったのです。
本作では、映画製作の舞台裏をテンポよく見せてくれます。
特に、「編集」を大きなテーマにしているだけあって、ここが大きな見どころの一つになっています。
エッジの効いた映像表現と、名作になるためのテーマを織り交ぜながら「夢と狂気の世界」を巧みに描き出しています。
これは、間違いなく名作と言える映画です。

私たちはふだん映画を見ますが、その理由はそれぞれあるでしょう。
ただ、本作には、誰もが共感できるような「答え」が描かれていると思います。
実は、本当に凄い作品は、本作のような「夢と狂気の世界」から生み出されているものなのです。
クリエイターらの「夢と狂気の世界」があってこそ素敵な時間が生まれているのです。
本作のような舞台裏に思いをはせる習慣が大切で、それによってもっと映画が好きになれるのだと思います。

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共感した! 61件)
細野真宏