ジョジョ・ラビットのレビュー・感想・評価
全503件中、201~220件目を表示
ジョジョの母ならどうするだろう・・・
幼いジョジョが
盲目的に憧れたヒーローヒトラー。
自らその一員となることを望んだ戦時下での
母の死をはじめとする哀しい体験、
ナチスに悪魔と信じ込まされていたユダヤ人少女との出会いや
厳しい状況でも他人を思いやる人の心に触れることを通して
戦争や差別、ナチズムの残忍さ、無慈悲さ、理不尽さを感じ取り、知り、
ついにはヒトラーを蹴り飛ばし、これまでの自らの考えと決別する。
ヒトラーを演じた監督タイカ・ワイティティや
ジョジョの母、2番目の親友などの
キャストが魅力的でした。
私がジョジョの母だったなら、
自分の10歳の息子に
戦争やユダヤ人への差別、ナチズムに対する
命を賭してまで貫き通そうとした自分たち夫婦の考えを
何とか伝えようとする気がするのですが・・・。
面白おじさんからあのヒトラーへ
面白おじさんからあのヒトラーへ変わっていく演出が良かった 冒頭のビートルズを流しながらの演出も良かった POPさがより恐怖を感じさせる。 狂気とPOPの入り混じりかたがボーダーランズ感
心の琴線にふれる映画。ジョジョラビット。
I love this beautiful movie, Jojo rabbit.
10歳という幼い子供からみた戦争の世界。
最初のオープニングからすごく良い映画。
音楽も、映像も構成もとても良くて。
センスがとてもとてもいい映画。
もう2度観ましたがまた行きたくなります。
そして、あんなに愛らしい10歳のジョジョとヨーキー。
あんなに小さなこが ハイルヒトラーなんて
かけ声をしていた時代、武器を持たされた時代があったのですよね。
いろいろなことを考えて、本当に涙が止まらなくなりました。
人種差別や偏見がない世界を作っていくこと。
そして、子供たちに大きな影響をわたしたち大人が与えていることを忘れてはいけないのですよね。
第二次世界大戦のことも戦争のことも、
ナチスユダヤで迫害があったことも、たくさんの命が失われたことも忘れないで。
監督やみなさまからのメッセージをちゃんと受け取りました。
アンネフランクの日記を読んだとき、子供ながらに
もしアンネが生きていたら、、そう思うことがたくさんあったけれど、エルサはアンネのことを思い出させてくれました。
ジョジョのママは本当にチャーミング。
戦争という暗い時代にも
センスのよいファッションに前向きな明るさを持ち合わせて。ジョジョが正しいことを見つけるまで温かく見守るふところの大きな女性。
キャプテンKも本当にかっこいい。
戦争は人々を間違った方向に先導してしまう。
でも、どんなときも心を失わない大切さを改めて教えてくれました。
ジョジョがエルサに出会えてよかった。
あんなに幼い子供たちが集められたドイツのナチスのヒトラーユーゲントの合宿。ミスラームの本を燃やすシーン。
ハイルヒトラーと言わないといけない世の中。
実際にあったことを教えてくれる映画でもあります。
ただここでもキャプテンKが面白い。
子供たちにこんなことを教えるの、俺は本当は嫌だよという表情。
これから先、戦争という恐ろしい選択をわたしたちがすることがありませんように。
そして、ジョジョの親友の可愛すぎるヨーキーに癒されて、ジョジョとヨーキーが本当に可愛くて。
何度も観たくなるそんな映画でした。
ジョジョ、僕たちは間違っていた。
ママにハグしてもらうために家に帰るね。
ヨーキーの言葉がすべてをまとめています。
また、たくさんのことを見失いがちだけれど、
ちゃんと生きていこうと思うそんな映画でした。
また観にいきたいです。
ドイツのひとがみたらどう思うのかが気になるところ。。
そして、人生誰に出会うか、どんな環境かですべて決まるのかも。
大尉殿のドイツ軍人の矜持
アメリカ製作なので「どうせドイツ映画よりゃ劣るよな…」と思いつつも鑑賞。おや?英語はやはり気になるが、なかなか悪くない。 片目の教官大尉殿がジョジョが羽織っていた外套の軍服を剥ぎ取って捨てるシーン、戦には敗けたけど、最後までドイツ軍人の矜持を棄てなかったところでグッときた。 でもやはり、これドイツ語で観たかったね。
真実に辿り着いたジョジョ
冒頭にビートルズの曲が流れると、タイトルの「ジョジョ」との連想ですぐに浮かんだのが、同じビートルズの曲「Get Back」である。グループの仲間同士の亀裂が決定的になろうとしているときに、ポール・マッカートニーがジョン・レノンに向けて、戻ってきてくれとメッセージを送った歌として有名だ。 Jojo was a man who thought he was a loner but he knew it would’nt last … Get back, get back, get back to where you once belonged 当時のジョン・レノンはアメリカに住んで、ボブ・ディランからすすめられた麻薬をやっていた。最初はマリファナなどの軽い麻薬だが、麻薬中毒者のご多分に漏れず、徐々に強い麻薬にシフトしていく。危惧したポールがジョンに、もといた場所(ビートルズ)に帰って来いよと歌ったのだ。 ナチズムは麻薬のようなものかもしれない。まだ十歳のジョジョは麻薬にハマることはないが、ナチズムにはどっぷりとハマってしまった。心の中にアドルフ・ヒトラーのビジョンを生かし続けている。そして一生懸命に理想の愛国少年になろうとする。しかし兵士になるための冷酷非情さを身に付けるには、生来の優しさが邪魔をしてしまう。 失敗続きのジョジョだが、底抜けに楽観的な母親の精神性を受け継いで、めげたり落ち込んだりすることがない。このジョジョのシニカルぶりが面白い。わざと自分を貶めるようなことを言うことで、生きる場所を見つけようとしているように思える。 国家というのは集合と離散を繰り返す幻想である。吉本隆明の言葉を借りれば、一種の共同幻想だ。征服によって国家が消滅したり、独立で誕生したりする相対的な概念である。にもかかわらず、国家を絶対的なもの、神聖なものと誤解することで、国家間の戦争が生じる。国家の指導者層は国民に自分たちが所属している(belong)国家を絶対的なもの、神聖なものと思わせたい。そこで様々なプロパガンダを講ずる。ラグビーの国際試合やオリンピックがその典型だ。これをパンとサーカスと言う。愚かな国民の大量生産だ。 ヒトラーが行なったパンとサーカスが最も有名で、嘘も百回言えば本当になるというのが基本のやり方だった。アウトバーンを整備して若者に自動車をあてがい、オリンピックで国威発揚だ。戦場には覚醒剤を打った兵士を送り出した。お国のためというパラダイムを金科玉条にして若者を次々に戦争に送り込んだ日本の軍事政権と同じである。 由らしむべし知らしむべからずという諺がある。人民というのは得てして頭が悪いから、大事なことを知らせても正しい判断が出来ない、黙って従わせるのがいいという意味だ。 人民の頭の悪さは証明のしようがない。根拠のない前提は為政者の思い込みであり驕りである。そもそも、多くの人から多様な意見を集めたほうが施政に厚みが出るはずだ。広く会議を興し万機公論に決すべしと、五箇条の御誓文にさえ書かれている。 しかし権力を手にすると、自分の思うように政治を誘導したくなる。人間の常である。家庭内や社内、校内などで君臨している人を時折見かけるが、あれも同じ構図である。DVやパワハラに容易に結びつく構図であり、実際に数多くの事件が起きて、数多くの人が自殺を遂げている。 ところが国家権力が同じことをしても、DVやパワハラとして非難されることはない。それは国家の名の下にすべてが正当化されることに加えて、政権によるプロパガンダが成功しやすいという特色があるからだ。その典型がジョジョである。人民が頭が悪いという見方も一理あると誤解してしまいそうな存在のジョジョだが、実は、情報を得ることで真実を悟ることのできる、頭のいい少年であった。 スカーレット・ヨハンソンが演じた聡明な母親は、そのあたりのことを見通していたようで、ナチに熱狂する息子をたしなめたりしない。息子を信じ、ナチスの本質を見抜いて、確実に訪れる自由と解放の時代を息子が力強く生き抜いてくれることを願う。いい作品だった。
前半のコミカルさが好き
歴史の不条理を悲劇ではない視点で描く作品を期待してた。前半は良かったけど後半は失速した感じ。今までよくあるユダヤ人悲劇ものだった。 「ビューティフル・ライフ」みたいな新鮮なアイデアは無かったけど、心温まる作品ではあった。
デブは世界を救う
まず最初に、僕はこう見えて(どう見えて)、デブです。
その僕から観た視点でのレビューです。
第二次大戦時代のヒトラーユーゲント。
ヒトラーの洗脳で脳内に別人格が生まれ、その「友人アドルフ」が緩やかにナチス思考へと誘導する中、弱虫ウサギのジョジョが、母が残した人間の善意の屋根裏の隣人により、大人になり、視野が広がり、洗脳から覚め、恋に落ちるといったストーリーは、数年前の「ライフイズビューティフル」にエンターテインメントと、センスの良いカメラワークに、ピリリと効いたサム・ロック、そして全てを優しく包み込むデブのヨーキーによって、観終えた後もすっきりとした希望に満ちる映画で、アカデミー脚色賞も納得の作品です。
以下、最愛のヨーキーについてつらつらと書きます。
訓練キャンプでのテントでジョジョと過ごすヨーキーの「僕は君の一番の親友だと思ってた」のに違ったと告げられた時の彼の愛くるしい表情。
手投げ弾の暴発で顔面崩壊したジョジョを見つめた時の彼のハッとした表情。
無事ヒトラーユーゲントとなったものの紙製のズタボロ軍服の愚痴りながらの後ろ姿。
米軍攻防時にぱったり会った時に挨拶をしたためにうっかり対戦車バズーカを落として暴発してあわや一大事になった時のやっちまった表情。
全てが終わって再開した時のジョジョと抱き合う時の表情。
彼のズレかけのメガネと愛くるしい表情で、そこが第二次大戦の末期の悲惨なドイツである事すら忘れさせてくれる。
そう、デブは救う。
少なくとも僕は救われました。
数時間前、アカデミー賞受賞のヨーキーのリアルタイムで喜ぶ姿がTwitterに流れましたが、劇中のヨーキーそのものでした。
感動の余韻に浸れるので探してみて下さい。
P.s. デブで良かった。
ヒトラーが好きな男の子の話
まるで関係ない話から始めます。私の家は常に猫を飼っていた。しかし10年程前、愛猫のランちゃんが亡くなりショックで猫がいない時があった。 すると約3カ月経った頃の事だ。天井から何か小動物が動く気配がする。案の定ネズミだ。 奴はスーパーラットと言われるクマネズミだ。 泳げるし、木に登れるし何より知能が高い。 例えば金網の籠型のネズミ取りだ。中の餌に食いつくとガッチャンと扉がしまり捕獲する仕掛けだ。しかしありえない事が起こった。 なんと奴は餌には食いつかず、ふんだけして出て行った❗️全てを理解して人間を馬鹿にしているのだ❗️ まさかネズミまでに馬鹿にされるとは・・・ トホホだよ。 奴はやりたい放題である。隠しても食べ物の場所を察知する。電子レンジの上のレトルトの箱を齧る。ひと気が無ければテーブルの上を漁る。跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ) さてある日の事、奴が柱を登っているのを目撃した。よっちらこっちら。手を伸ばせば届く距離。チャンスだ。ウラミハラサデ オクベキカ。 手近な棒を手にして奴目掛けて思い切り振り下ろ・・・ さなかった・・・一瞬だが可愛いとさえ思ってしまった。 はっきりした。私には生き物を殺す能力が備わっていない。 ヘタレだ‼️ この映画の主人公、ジョジョと同じだ。 その後ネズミにとっての【最終兵器】新しい猫を、うちに迎え入れ解決した。 さて毎度の事ではございますがヘタレの長い枕が終わりました。ネタバレが含まれる可能性が有ります。いやな方は読まない方がいいです。 まずオープニングが良い。ビートルズの「抱きしめたい」気づいてしまった。私はジョン・レノンの声を聞くと涙を流す生き物だった❗️但しドイツ語バージョンです。代わりに本編では全て英語です。 物語を簡単に説明する。主人公はローマン・グリフィン・デイビスくんが演じるジョジョ。年齢は10歳。 彼はべらぼうなヒトラーヲタクだ。彼の視点で物語は進む。彼には妄想上の親友がいる。タイカ・ワイティティ演じるアドルフだ。 母と二人暮し。名前はロージー。スカーレット・ヨハンソンが演じる。 ある日の事、家の片隅の隠し扉に気付いてしまった。そこには17歳の少女エルサがいた! 演じるはトーマシン・マッケンジー彼女はなんとユダヤ人だった! ユダヤ人は敵、ユダヤ人は醜い、そう教え込まれてきたジョジョ。さあどうする? まず、特筆すべきはローマンくんの演技だ。自然で表情が豊かだ。ぎゅっと抱きしめたくなった。監督も務めたアドルフ役のタイカ・ワイティティは本当の才人。母ロージー役のスカーレット・ヨハンソン。お父さんがデンマーク人だ。 だからかオランダ人、ロシア人、ドイツ人など欧州人を演じるとはまるねー。大好き。 この映画は一応戦争映画なのだろうが家族愛ありボーイミーツガールの甘酸っぱい感じもあり、なによりコメディとして優れています。 正直、ヘタレの私は泣きました。 大作ではないかも知れません。けど私はこの映画を・・・ 抱きしめたい。
『すべてを経験せよ 美も恐怖も 生き続けよ 絶望が最後ではない』
ジュヴナイル系の半年限定(但し、波瀾万丈)少年成長譚のかなりクセの強い今作。日本にも終戦を扱う作品があるように、ヨーロッパでもそれは当然起きている。その狭間で今迄の国粋主義と、並列する人種差別主義に洗脳されていた10歳のこまっしゃくれた少年が過酷な運命を辿る内に段々と改心していく構成である。自分の知り合いも某隣国の出先団体主催のサマースクールに参加した経験を教えてくれたが、確かに10代前半の未だ社会の無理解な状態での親元から離してのシステムとしての洗脳は大変効果的であるようである。それは喩えるならば真っ白なキャンバスに赤のインキが滲み、端まで染み渡るが如くであるらしい。勿論、帰宅すればあっけなく洗脳は解けるようだが、恐ろしさは身につまされる。
全編通しての生温いギャグセンスは、チャップリンオマージュがベースであろう。実際に10歳の子供にあれだけの戦闘経験があったのかどうかは未調査であり、フィクションとはいえ俯瞰で観る“戦争ゴッコ”がそのまま殺傷行為に繋がる危うさを、かなりのエキセントリックさで構築されている所に唸る。主人公及びその親友の男の子の、デフォルメされた動きや表情は大変愛らしく、まるで子犬がじゃれ合うような錯覚さえ覚え、これの演技指導があったのか素なのか大変驚かされる。戦争の悲惨さと対と成す、例えば、無事を喜び抱き合うシーンに代表される子供の動きのコミカルさ等、その構図は片渕須直監督“この世界の片隅に”のアニメとしてのコミカルさに通づるイメージを想起させるのだ。主人公に降りかかる過酷さも又、前述の映画と同様、心が抉られる仕打ちに観客も苛まれる。街中の首括り晒しの中によもや母親の靴を発見する件は、かなりのショッキングさに、実は違う人が履いていたなんていうオチを期待してしまった程であるが、ストーリーはそんな甘さを吹っ飛ばす流れだ。
あの時代の中に於いても、個人個人は様々な人格や思想を持っていて、上官の同性愛指向を匂わす件、そして嘗ての姉の友達であったユダヤの女の子の機転鋭い行動等、その生の体験こそ、少年をこの短期間に何倍も成長させる“薬”なのである。洗脳されまいといきがり、少年期独特のイマジナリーフレンドである“総統”を使って何とか自己肯定を試みても、そもそものベースは兎を殺せぬ優しい紳士の素養をしっかりと根付かせているのだから、元々掛かっていたマインドコントロールが解かれた時、その清らかな心と、母親が育んだウィットに富んだ機知は見事に開花することは必然である。愛するが故、又は肉親さえも失った孤独への恐怖が原因の少女への嘘は、しかし少女も又、ビンタと同時にこの少年のこれからの成長を見届けたい期待が膨れ上がり、デヴィッド・ボウイがベルリンの壁近くで演奏した曲に併せてのダンスという演技でカタルシスを披露する。冒頭のビートルズ『Komm, Gib Mir Deine Hand』も又、彼等のハンブルグ武者修行時代の思いが伝わる素晴らしい選曲だ。
ドイツ語での台詞じゃないところに反発もあると巷では流れているが、そもそもが寓話的要素も緻密に織込んでおり、リアリティから距離を置き、まるで絵本のようなストーリーテリングに没頭する脳内転換が出来れば、今作を観る素養は充分である。
今迄結べなかった靴紐を、しっかり結んで上げた時、大人として又、善き人としての階段を登り始めたあのビックリ顔の愛らしい主人公の愛おしさを、ずっと観続けていたい、そんな暖かい気持に包まれる作品である。
レビューとは関係無い、個人的な事情を話したい。
今回の作品を最後にレビューをアップすることを最後にすることとする。理由は仕事が変わる予定であり、映画鑑賞が儘ならないことである。この何年も自分なりに少なくない本数を鑑賞することができた。時には趣味趣向と違っていたテーマにぶつかることもあったし、何より作品の感想など烏滸がましく人様に晒すなど恥以外の何ものでもないと躊躇したが、しかし自分が観てきたこの“総合芸術”に対する気持をどこかに留めておき、記憶の散逸阻止の重要性を大事にしたい思いが勝ち、ここまで記録できた。本当に嬉しい、感慨に浸る心地である。
勿論、拙い文章構成力、乏しいボキャブラリー、何より表現力の圧倒的欠乏と、全く成長できない原因は、努力不足と、研究不足に他ならない。こうして足りないものを羅列して落ち込めるのは、お金を貰って書いている訳では無いというエクスキューズのお陰だ。自分の為に記録しているのだからそこまで卑下しなくてもいいかと楽したいのだが、的確で“芯を喰った“コメントを頂けるレビュアーの方々への申し訳なさだけは心に留めておこうと思う。お目汚し、本当に失礼しました。
唯々、感情に任せて読むに堪えないレビューをアップする人もいる。鑑賞した映画の挙げ足取りに始終し、挙げ句に監督を含めた制作側の信条に迄攻撃を仕掛ける。無料で観た訳ではないだろうに何故作品と向き合えないのか。脳や心がフィルターとなって、映像は様々な解釈に化け、自分自身に化学反応を起こす。脊髄反射だけで映画を観ることこそ、金をドブに捨てるようなものだ。例え自分とは違った思考であろうとも、それを冷静にかみ砕く力を人間は持っている筈。しかし、その思考には前提がある。
『馬鹿にするな』
これが唯一の基準だ。人を蔑む行為程、愚かしくそして汚いものはない。汚物を口一杯頬張ったその臭い頭で、いつものように素っ頓狂で見当違いの人格否定を繰り返すレビュアーにもう一度言いたい。
『馬鹿にするな』
他者を認める事は本当に苦しいし、厳しい。しかし、自分の持っている浅はかな蟠りを気負いせずに放り投げた時、スクリーンに映る様々なシーン、カット、一連のシークエンスは自分達を奥深い人間へと作り替えてくれる筈である。
又いつか、レビューが書ける環境が訪れる迄 ありがとうございました。
いつでもユーモアを
第二次世界大戦下のドイツで"ヒトラー"をイマジナリーフレンドに持つ軍国少年が反ナチ活動をする母親が家に匿っているユダヤの少女を見つけて…。という話。 母親の少年への台詞が良い。 「戦争や政治の話より少年らしいことをしなさい、木に登ったり落ちたり」、「人を好きになるとお腹の中を蝶が飛び回る」、「平和が来たらやりたいことはダンス」 舞台背景からシンドラーのリスト的な話を連想するけど、むしろライフ イズ ビューティフルとかアメリのような味わいでした。
サム・ロックウェルは悪魔に魂を売ったに違いない
でなければこんなにたて続けに高水準の作品に出演し続け(『スリー・ビルボード』、『バイス』、本作、『リチャード・ジュエル』)しかもいずれもおいしい役柄でかつその魅力を最大限に表現する演技をするなんてことがあるのだろうか。
これはアレですよ、絶対やってますよ…
悪「おやおやどんな奴に呼び出されたのかと思ったら、演技は上手いのにイマイチパッとしない中堅俳優サム・ロックウェルさんじゃないですか」
サ「うるせえ! 悪魔め! おい、魂を売ったら、願いを叶えてくれるっていうのは本当なのか?」
悪「ええまあ」
サ「よし、じゃあスゲエ映画を事前に見極める能力をくれ!」
…的な裏取引やってますね、絶対。
というネタがサクッと思いつくほど、最近のロックウェルさんはのっている。
母ちゃんもヨーキーくんも自然体のキャラクターでよかった。ラームお姉さんのお肉に注目していたのは私くらいだと思うが。
正直チョットだる〜いところもあったが、いいシーンの繰り出しかたもよく、あざとい泣かせでごまかさずに終始コメディタッチなのもよかった。レベル・ウィルソン好き。
ところで先日観た『2人のローマ教皇』でベネディクト前教皇への批判プラカードにナチ野郎帰れという類のものがあった。本作のジョジョと同じくヒトラーユーゲントに所属していたことを揶揄してのものだったようだが、子供時代のことを今も言われるのね。教皇はつらいよ。
靴紐をしっかり結べました
世界大戦時のヒトラーが統治するドイツを舞台に、当時の市民生活を焦点を当てた作品。
しかし、これまでの戦争映画のような悲惨さや苦悩を前面に描くのではなく、ヒトラーユーゲントに所属し、自分の靴紐も結べない10歳の男の子・ジョジョの目線で、その当時の世界観を描いています。
ジョジョの気持ちが揺れ動く時、自分の分身として現れる、ヒトラー君との心の会話を所々に入れ込むことで、マインドコントロールされたナチスヒトラーに憧れた少年の、ヒトラーへの崇拝心を、ユーモラスに描いています。
そして、ジョジョの母が、家の隠し部屋に匿っていたユダヤ人の娘の登場場面から、ジョジョの気持ちの中で、ナチスへの崇拝とユダヤの娘への恋心との間に、葛藤が生まれます。戦争を背景に、1人の少年の心の成長こそが、テーマになっていると思います。
今回、ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビスは、愛らしい少年らしい表情が印象的で、この役柄をよく理解した、見事な演技であったと思いました。
また、最近はSF戦士の印象が強いスカーレット・ヨハンソンが、ジョジョの母親役というのは、意外でしたが、子供を包み込む優しさと強さを兼ね備えた母親役を演じていました。
ただ、一つだけ❓を感じたのは、ドイツが舞台なのに、英会話というのは、どうなんだろう…。
映画館で体感すべき素晴らしい作品
ジョジョを始め役各々の台詞に胸を打たれ【愛・洗脳・嘘・優しさ・現実を見る目】等々…考えさせられます。 ワイティティ監督天晴れです。 これから活躍の場が広がる監督さんになることでしょう。 まだまだ上映を続けて欲しい作品です。 個人的には母親ロージーの 台詞に感動しました。 スカーレット・ヨハンソンの適役でしたね。 サム・ロックウェル演じるキャプテンKは戦争を俯瞰した目線で見ている生き方で、終盤ジョジョを助ける場面では涙腺が緩んでしまいました。 すっかりサム・ロックウェルのファンになってしまった。 素晴らしいキャストとストーリーによって 【戦争はいかなることがあっても、絶対に起こしてはならない!!人間として最も愚かで意味の無い行為なのだ】と言うことを教えられました。 誰も幸せにはならず、人生の全てが負のスパイラルにハマっていくだけ。 この作品は【コメディ】となってますが、観賞する者の感情にジワリジワリと訴えてくる立派な秀逸作品です。 個人的には【アカデミー作品賞】。 9回目、観に行きます❗
かわいらしいラビットの成長を見守る
あまりナチスとか詳しくないが、100年も経ってないほんのちょっと前に現実にあったドイツは、そして戦争は、こんな感じだったのかと思うと怖い。 はてさて、映画は、俳優陣の演技もとてもよく、出てくるキャストみなに影響をうけて、ジョジョが自分で考えて行動する大人の男に変わっていく様が、かわいくかっこよく、とても素敵でした。 子役2人がすごくよかった。
2020年ベストエンディング候補
WWⅡの話だから悲惨なこともある。 でもそれをユーモアある笑いととともに見せてくれるのが素敵。 気合を入れなくても見に行ける。 みてて登場人物が愛しくてたまらない。 こんな戦争映画は珍しい。良作! 飄々とした独特の笑いは英語が聞き取れたほうが面白いかも。 言い回しの妙でニヤっとする。 ここらへんのニュアンスは字幕では拾いにくいっすね。 主人公の少年・ジョジョはナチズムでなかなかに憎たらしい。けど可愛らしい子供。 色々なことに戸惑いながら成長していく。 難しい役を見事に演じていました。 偉そうに喋るのに、どうしようもなく子供で……あ~、愛おしい!ってなる たまにジョジョ4部の康一に見えて仕方がないときが。 唇の出っ張り方とか。 そやねん、実写化するならこうやねん! 母親役のスカヨハが注目を浴びているけど、ユダヤ人少女エルサの娘も素晴らしい演技と存在感。 ”少年目線から見て”のシュッとしてカッコいい年上の女の子。 小学校の時とか中学校の女の人があんな風に見えてたなぁとか思い出したり。 あと音楽の使い方が秀逸。 オープニングのハイル・ヒトラー連発しながらのbeatlesはたまんないし……なんたってエンディング! ”あぁ、来るぞ来るぞ!これ来たんちゃう?!キター!!!”ってな。 SW ep9の締めセリフばりの鳥肌ありました。 よく見ると二人の表情と動きが最後の2カットだけ……。 そしてラストのジョジョの表情。 あぁ、素晴らしい!!!! 早くも2020年ベストエンディング候補! 大笑いするよりフフっと微笑みながら見れる。 それでいてメッセージががっつりハートにくる。 コメディな部分も思い返すと”あぁ、人生訓だなぁ”と。 子供ならではの思い込み、強がり、混乱、成長……。 そして自由、温かみ……。 総統っぽい身振りながらしょうもないことばかり言ってるイマジンリー・ヒトラー。 ちょい役かと思いきや素晴らしい見せ場を2つ持ってる◯◯。 あぁ、ほんと登場人物が愛おしい映画! 回想すればするほど好きになっていく~。
10歳の目線のホロコースト
個人評価:4.0 ホロコーストをナチス側から描く作品は珍しい。それも10歳の目線から。 全体にポップな空気感が流れているのが、この時代の子供達も、普通に無邪気に子供時代を送っているとも感じさせ、またその普通の中で、当然の様にナチズムの教育が自然体である事が、ポップに恐ろしい。 盲目の思想の中、敵と戦う後半の戦闘シーン。スローモーションの中で、唯一本当の恐ろしい現実を直視していたのはウサギの様に怯えるジョジョだけ。そんな思想とのコントラストが素晴らしかった。 スカーレット・ヨハンソンはもちろんだが、サム・ロックウェルらしい役柄の大佐も素晴らしかった。
最後のダンス
個人的には『フォードvsフェラーリ』
『パラサイト 半地下の家族』を凌ぎ、
今年ベストが来てしまったという印象。
第二時世界大戦下のヒトラー体制を
コメディとして扱った本作に対して拒否反応が
出ている方も一定数いるようだが、
”10歳の主人公の目を通した
"ストーリーテリングをするにはむしろ
誠実なアプローチだったと思う。
大人たちの誤った導きにより、まるでキャンプ気分で
戦闘訓練を受ける少年たち。
まだ靴紐も結べないジョジョくらいの少年に、
最初から戦争の真の恐ろしさを理解することなどできない。
冒頭からテンポのよい構成やジョジョや
ヨーキーらの愛嬌に見惚れてしまうが、
所々で垣間見える教官らの(ウサギの首を折るなどの)
恐ろしい所業や、ユダヤ人を怪物扱いする
ディエルツ大尉らのやだみは、見ていて
胸に迫るものがある。
(※中盤にしっかりとディエルツ大尉が
目の前にいるユダヤ人を見抜けないという
皮肉があり溜飲が下がるが。)
何より今回は、主演の子役二人や
スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェルらの
演技アンサンブルがたまらない!
特にスカーレットはワイティティ監督のいう
「大事なのは愛と寛容だ」を体現する人物で
戦時下でもおしゃれとダンスを愛し、
厳しい現実から目を逸らさず、ジョジョとエルサを
真っ直ぐな愛で包み込んでいる。
間違いなく彼女のベストアクトだ。
サムも相変わらずの疲れ切ったボンクラ役がハマっていて、ヒトラー体制下に嫌気が差していたからこそ
中盤で意外なアクションを起こすのも納得だった。
やがて物語が進むにつれて街が戦場になったり、
意外な人物が亡くなったりとジョジョの心情が
暗澹たる気持ちになるにつれて画面の色合いも
淡白になっていったように感じた。
やがて、ジョジョ一家の家に匿われたユダヤ人少女
エルサと離れたくないが故に
ついてしまうジョジョの切ない嘘には
涙を抑えることができなかった。
クライマックスには、
今まで結べなかった靴紐を結べるようになるジョジョ。
これは彼の成長だけでなく、心の揺らぎが
なくなったことを表しているのではないだろうか。
ナチスとユダヤの間で揺れてなかなか決心が
つかないでいた彼が、愛と寛容を持って
エルサを受け入れる。
固く結ばれた彼の思いが、物語のラストに
心地よい余韻を残してくれた。
お見事!
靴紐を結び直して
良質な映画でした! 気がついたら大切なものをが静かに奪われている。きっと戦争ってそういうものなのでしょうね。 ジョジョの目を通してみる世界は、憎むべき戦争もどこかポップな印象があるし、ささいな散歩もとてつもなくかけがえなく、キラキラしている。 そういう風に映画が作られているのはきっと監督の手腕なんだろうな。10歳の子ども目線で見る戦争や初恋の危うさが、丁寧に描かれていました。 だから親友のぽっちゃり君が出てくるとほんとにホッとする。10歳の目線で描き通した反戦映画です! 観終わった後ぼんやりしてしまうのは、なぜだろう。。。
勇気と希望を与えてくれる映画
この重い題材を、こんなにもチャーミングに、それでいてしっかり考えさせる作品に仕立てた手腕に脱帽。子を巻き込まないよう自分の考えは語らず、子供に人生の素晴らしさ、生きる喜びを教えた母親。少女と語り合う中で成長していく少年。家族を、人生を奪われながらわずかな可能性を信じ続ける少女。それぞれの姿がたまらなく愛おしい。
全503件中、201~220件目を表示