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表題の配管部品であり、角度を90度に変えて水を運ぶ用途故、欠陥品をみつける為の商品検査は大事である。段ボール一杯に入っているその部品を、夜中ずっと検査する派遣業務に従事する三人の女のそれぞれの生活、人生を赤裸々にリアリティを以て演出されている群像劇である。そしてL字型に曲がった結合部のパイプは覗けば先が見えない=将来が見通せないことを暗喩している。業務終了後のロッカールームでそれぞれが思い思いの行動をするのだが、それは帰った先での次の準備なのか、バスに揺られる派遣社員の無機質な表情はどことなく将来の不安を印象付けているカットである。
初めは取っつきにくい画であるが、徐々に状況設定が明らかになる流れとなっている。“兎丸愛美”が出演しているからまぁ脱ぐシーンはあるんだろう位は予想していたが、所謂“アート系不思議ちゃん”の不条理な行動のパートは、監督の芸術、観念部分を担っているのと同時に“現実逃避”の表現だろう。母親のパートは“現実”、服飾デザイナーを目指す女の子は“理想”と、監督自身のそれぞれの形成されている面を具現化しているように思える。そこに潜む、それぞれのパートナーである男、そして娘が他者との関わりという行為を物語らしている。派遣先のボンボンと関係を持つ不思議ちゃん、元ビジュアル系ロッカーと同棲している理想ちゃん、そして疲れた体に鞭を打つように家事をこなすが、半端無いケチャップを掛けた目玉焼きを食べる、壊れかけの現実母さん。それぞれが、不安の中にそれでもほんの一粒の幸せを見出しながら健気に生きていく。お互いがホンの些細なことで関わり合いながら、その幸せがきっかけで、次の行動に踏み出し始める予感を纏わせる。大きなイベントは起きない、起伏の少ない展開だが、その繊細な画作りは女性監督ならではであろう。静かに浸透する格差社会に対しての女性側の忍耐と反抗、そして力強さがきっちりと表現されていて、荒削りながらも独特の雰囲気を表現出来る監督の才能を感じ取れた。但し、多分頭が良すぎるのか、かなり観客側が解釈を思考しなければ意味を掬い取れないキーワードもあったりして、もう少し下まで降りてきて欲しいとも同時に感じてしまった。“葉巻”の件は、あれは単なるきっかけ作りなのかそれとも何かのメタファーなのか、まぁそれも“総合芸術”としての映画なのだろうな・・・。