異端の鳥のレビュー・感想・評価
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途中退場しなかった自分偉い!ってぐらい少年の行き先に起こる理不尽な...
途中退場しなかった自分偉い!ってぐらい少年の行き先に起こる理不尽な出来事に満腹。少年を手助けしてくれる大人もいるがそれを上回る非道な人たち。
そんな話でも映像で見せる作品で台詞はほとんどないせいか見やすくはあった。
少年の名前が語られ無いのは、人にとって名前が大きな意味をもつからなんだろうな。
少年の熱演
ポーランド人作家イェジー・コシンスキの原作小説を読み終えた直後、チェコ出身のバーツラフ・マルホウル監督は「これは私が・・・」とつぶやいたそうだ。しかもそのつぶやきから完成まで11年。脚本作りに3年。少年が成長する過程を実際に撮らなきゃいけないので、それに2年と、まぁ気の長くなるような映画である。
にしても、1人の少年を、よくぞここまで過酷に描けたのは、ある意味感心する。実際、ヴェネツィア映画祭ではその残酷さで退場者続出だったらしいが、自分が見た劇場では誰1人、途中で帰る者はいなかった。そこまで魅せられる程の内容ではないが、全く言葉を最後まで発せなかった主人公の体当たりの熱演があってこその作品である。
3時間飽きる事なく
3時間越え
なのにずっと没頭
壮絶さがアクションとなり
飽きることなく
最後まで観れた
モノクロだけど
カメラワークや映像美は
とても素晴らしいと思います
戦争や貧困だけじゃなく
人種
性
差別
…
冒頭では
可愛がっていた兎?
を殺されて
悲しみ
親に「早く迎えに来て」
と寂しがる姿が
描写されてたが
ラストでは
人を撃ち
親を睨みつけるまでに…
あまりにも壮絶で
残虐過酷な経験をし過ぎて
変わってしまった少年
それでも
ちょっとした隙に
逃げたりして
生き延びようと
して来たのは何故か?
「絶対家は帰るんだ!」
と言う強い希望だけではない
気がする
もしかしたら
これが人の強さなのか?
そして人の醜さなのか?
時には助けてくれる人もいる
それがナチスの軍曹だったりもする
戦争孤児だと助けてやる2人は
おそらく…
恐ろしい子!
3時間がこんなに短く感じるとは。楽しい映画でもないのに。何なんだこの引き込まれて様は? 生きるため帰るためならどんなえげつない仕打ちにも耐え、目には目を、歯には歯をで殺しさえ迷わない少年に感服。
人間の残虐さを淡々と描く
本当に第二次世界大戦中〜直後が舞台なのか?
前々世紀までの暗黒時代ではないのか?
と思うような、文化レベルの低い町の様子と、人間の残虐さが全面に露出した内容でした。
外見に少しの差異があるだけのユダヤ人の子どもが、数々の差別、目をそむけたくなるようなありとあらゆる虐待を受けていきます。
教会に祈りに来る人々すら。
観終わった瞬間、「人を見たら、殺人者と思え」くらいな心境に達しました。
朝イチで観る映画ではない事は確か
まず冒頭で一気に体力を削られ元気が無くなりました…
とりあえず朝1で観る映画ではないことは確かである。
その日の生活に精一杯のなかでは「道徳」や「正義」なんて何の意味もないし価値もない。
35mmフィルムで撮られたモノクロの映像と俳優でもなんでもない、「普通の少年」が演じているのはとてもリアル。
観終わった後は私の視界もモノクロ状態になっていました…
こう言うがいいん作品なのかな・・・
う~ん・・・この手の映画が良い映画って言うのかな・・・・
時は第二次世界大戦のお話なっていますが、もっと前の話にも感じる・・・・
ホロコーストを生き抜いたひとりの少年の話なんですが・・・・本作品を書いた原作者ポーランド出身のイェジー・コシンスキも当時ドイツ軍から逃げた経験があるようだが・・・・
幾ら時代が混沌としていたとしても、このお話の内容のような事が本当に起こりうるのかな・・・・
人種差別などが起こるのは分かるんだけど、本作品、少年に対しての性虐待や異常な性行為やそのに携わる異常な行為が結構あるんだけど、これって本当なのかな・・・・戦争と言う異常な苦しみの中、人は人ではなくなり、獣や人道を忘れて狂い始めると言われればそれもあるのかなと思うけど・・・・
勿論、あるべき姿も分かるんだけどね・・・なんかあまりにも表現が度が過ぎるような感じで・・・・
私としては、もう少し少年に起こった現実的な話で話を進めて貰えれば良かったのかな・・・・
あまりにも、周りが異常過ぎて・・・・・
見終わって、同情と言うよりは・・・・何とも呆れると言うか・・・・
映画の方は、2時間40分位ある作品でしたが、飽きずに見れましたが・・・・
何とも脚色し過ぎてリアル感が全くない印象は私は受けました。
強烈な映像の強さに目が離せない
ほとんどセリフが無いモノクロ映画、いつどこ誰は分からないままに進んでいくのにも関わらず。
場所を失った少年、家までの道すがら関わる大人たちを少年の目線で描く、所在の無い物語。
はじめに関わるのが祈祷師みたいなおばあさんで、儀式的なシーンから抽象的な物語なのか?と煙に巻かれた様な気分になる。
しかし、少年が受ける執拗なまでの差別発言や行動で私たちにも徐々に状況が見え始め、恐ろしい程の現実が現れてくる。
側から見えない家庭の事情やら人生の悲劇、狂気な欲望にまみれた世界から慈悲深い人々まで、閉鎖的なコミュニティの厳しい目にさらされる少年と、少年自身の強い瞳が対照的だ。
はち切れるばかりの少年の気持ちが最後に溢れ出す時に、私の気持ちもシンクロする。
忘れるわけがない、大切な物は心の奥深くにしまってあるんだから。
不幸てんこ盛り
同様の作品で「炎628」があるが、炎が昭和の金八シリーズ(腐ったミカン編)なら、鳥は平成金八シリーズのようなよくわからない例えだが、そんなかんじ
北の国からなら、連続ドラマシリーズとスペシャルの違い
新日なら昭和プロレスと棚橋以降の新日とか…もういいよ!
優れた問題作
ナチスの迫害からの疎開先の祖母の家に一人送り出された少年が、祖母の死後、あちこちを彷徨い、生きるために色んなことをし、様々な人に会い、戦下という誰もの苦境の中、人間の本性を見せられながら、生き延びようとする物語。情のある人も中にはいるが、いたとしても幸運は続かずに、転々と場所を移るしかなく、それが1つずつ描かれる。戦時下だし田舎だし、教育は受けていないと思われるが、持って生まれたものなのか、少年はろくな人間に出会わないにも拘わらず、善悪を見極めつつ、その場その場で判断し、自分を見失わない。しかしそれも終盤で人を殺めてしまい、顔つきも変化していく。終戦後、とうとう父親と再会するが、普通の服を着て純粋に再会を喜ぶ父親に、これまで自分が経験したことを思うと許すことが出来ず、これまで出会ったどのクズ人間よりも冷たく激しく父親に当たる。しかし父親の腕にホロコーストの番号が刻まれているのを見て、真実を知るのだった。
製作に11年かけ、舞台がどの国か特定しないようスラヴィック・エスペラント語という人工言語を用いて撮影したらしい。
「人生そのものには意味なんてない」という真理を、徹底して突きつけられる
私たちが目をつぶってきた人間社会の不条理な世界を、嫌というほど見せつけられる作品。
作品の最後で少年は父親との再会を果たすものの、その再会がそれまで少年が経験してきた悲惨な状況を打ち消してくれるはずもない。父親の腕の刻印からも、彼も少年と同様に過酷な日々を過ごしてきたことが伺いしれる。
その後の少年の心に平穏な日々が訪れることはくるのだろうか。
これは70数年前に起きた東欧での惨状を、今の時代に伝えるためだけの映画ではない。
近い将来ネオリベラリズムの経済体制が実質破綻を迎え、社会の分断がいっそう深刻化していく日本や米国のディストピアな未来を描いているような気がしてならない。
目の前の日々の生活に精一杯のなかでは、「道徳」や「正義」など何の意味も価値もなくなってしまう。
底辺に生きる人びとは、自分たちよりもマイノリティの人々を容赦なく叩き潰す。まるで今のネトウヨのように。
サルトルは「人間は自由の刑に処せられている」と言っていたらしいが、「これから好きなように生きていけ」と放り出されてしまった少年の姿をも言っているかのよう。
第二次世界大戦の惨事から、西欧の人びとが信じてきた神が自分たちの人生に何の意味も与えてくれないと気づいてしまった。そのことから実存主義の思想が生まれたことは、ある意味で必然的だったはず。
「生まれてきたこと自体には何の意味も持たない。その人生に意味を与えるのは自分自身しかいない。」
今だからこそ観るべき作品であるが、もうしばらくは観たくない作品。
色のない稀有な映画体験
手放しで傑作とは言えないが、とてつもない問題作であることだけは確か。
ホロコーストを逃れ生きるために村を訪れては差別と迫害を繰り返される少年の姿を描いた作品。
この作品、迫害がメインテーマじゃなくて、「生存本能の副産物」がメインテーマ。
生きるためならなんだってやる人の行動や、生きるために我慢してきた欲をどういう形で爆発させるのかを描いていると感じた。
ある人は、迫害。
ある人は、暴力。
ある人は、誘惑。
ある人は、救命。
ある人は、戦争。
それぞれが生き延びるための果ての姿。
そこには善悪もなければ、色彩もない。
そんな人間の本能に「名もなき少年」は打ちのめされていく。
家族も名前も自分自身も分からなくなる程に。
ヴェネチア映画祭で退場者続出と聞いていたので、グロを覚悟していたが白黒だしグロくはない。
ただとにかく痛々しくてとにかく惨い。
割と真面目に主演の子を心配するし、監督の果てなきこだわりも伝わってくる。
この作品を作り切った制作陣は本当に素晴らしいし、この作品を演じきった主演の子の根性がトンデモない。
作中では感動しなかったけど、エンドロールで制作陣を観てると何故かウルッときた。
とてつもなく残虐な人間の姿を捉えたモノクローム169分。
これは覚悟してでも観る価値あります。
期待通りの絵と想像以上のストーリー性
美しく力強いモノクロ映像は期待通りで、過去という意味合いもさることながら、まるで別世界の出来事のようにさえ見えてしまうめくるめく幻想的な景色が素晴らしくて、期待以上のストーリー性に終始集中力が切れることなく、作品を十二分に堪能できた。
名の知れた名優もちらほら出てくるので、自然と出演陣のパフォーマンスにも興味を持たせてくれたのだが、何といっても主演の子役の見事なパフォーマンスは圧巻だった。台詞が少ないということも功を奏していたとは思うけれど、にしても巧みに演出された陰影の中、あの少年は輝き続けていたなぁ。正直、内容は全般的にこの世の地獄というにふさわしいくらいに悲劇的かつ過激で見るに堪えない箇所もかなりあったけれど、常に小さな輝きがあったので、最後まで目を反らすことがなく観賞できたのかもしれない。
時に目を背けたくなるような残虐・暴力描写が映し出すのは人間の業、戦...
時に目を背けたくなるような残虐・暴力描写が映し出すのは人間の業、戦時中に顕になる大人の野蛮な歪み。そんな中で主人公の少年は酷い目に遭いながらも行く先々で健気に生きようとする……と思いきや。彼もまたそうした一種"狂気"的なや闇に飲まれ変わっていくよう。タイトル(原題)が深い。
35mmフィルムのモノクロによる見事な撮影。正直、(戦時中)子供や主人公が酷い目に遭いながら様々な場所や人の元を渡り歩いていくというプロット自体を追いかけたとき、それ自体にすこぶる目新しさがあるというわけではないかもしれない。ただ、それでも主人公の少年が次々に遭う生き地獄的所業はじめ熱量がすごいし、監督・脚本・製作すべてを自らで務めたヴァーツラフ・マルホウの表現者としての逃げない姿勢に感服。
セリフ少なくとも、だからこそ際立つ役者陣の熱演。ヨーロッパが誇る名バイプレーヤー安定のステラン・スカルスガルドに、すっかり作家主義な映画に出まくる姿勢がひたすら好感な名優ハーヴェイ・カイテル。この二人は、自らの保身や猜疑心・嫉妬と欲に忠実な大人達ばかり出てくる中で数少ないまともな良心のキャラクター。バリー・ペッパーは『プライベート・ライアン』の頃から狙撃手がよく似合う。
JOSKA
今年映画館鑑賞56本目たぶん
今回のクソ客:ビニール袋で食べ物やら飲み物やら持ち込んでいる男性が隣で、箱のチョコか何かだと思うけど何度も開けては閉めて繰り返していて、「ずっと開けておけよ!」と思った。しかもめちゃくちゃ嫌いな、定期的「ふぅ〜〜〜」みたいな息吐くタイプに、欠伸まで!欠伸くらい音殺してできるだろうが(気持ちは若干分からなくもないが)
人間とは一体なんなんですかね?
まず、映像美が素晴らしかった。
鮮やかなモノクロ。
時折差し込まれる数々のワンショットが
時間を見事に切り取った写真や絵画のよう。
構図が印象的。見入ります。
だからこそなのでしょうか?
繰り広げられる残酷、残虐性極まる獣達の所業が
非常に際立つのです。心にザクザク刺さります。
そりゃ、観ている方もどんどん目が死んで行きますよ、
主人公のように。
それほどに人間という最強の獣の本性が
そのまんまに描かれます。
劇中早めに英題の意味を表すシーンがあるので
「あぁ、そうか、そういうことか」
と思いながら観ることになると思いますが、
その理解した意味に縛られて鑑賞し続けない方が
良いのかな?って思います。
この映画、とにかく「人間」に焦点を当てている作品だと思います。
(表情のアップが多い演出が印象的です)
それと、幕区切りが特徴的です。
生き物として、獣としての本能のままに生活するのも人間なら
本能を制御できるのも人間。
しかし、不幸を繰り返す。悲しみを自ら生み出す。
本能を制御できなくなったときにそれらは生み出される。
きっとそれは「罪」と呼ばれるものなのであろう。
現代には、たった独りで人類の全ての罪を背負い
「受難」と「贖罪」を行ってくれる人はいない。
人間自身は「復活」はないし、死んだら終わり。
「受難」を経験し続ける他ない。
地獄である。死んだように生きるとはこのことか。
なぜなんだろう?
でもそこからはい出せるのも人間であることも確か。
我々人間は全て、「受難」しているのだと。思います。日常的に。
しかし「贖罪」のち赦され「復活」もする。・・・「人格」としての復活。
それを成し遂げるときに傍にいるのは「人間」なんだよなぁ。
それが「希望」なのか「温もり」なのか?
そのためには人間のそばにいなければならない。
独りではだめ。
そうすると集団ができる。
集団ができると・・・・・また・・・。
切ない、人間とはなぜに切ない。
でも少しの希望を胸に人生のバスに乗って
曲りくねった道を進んでいくしかないんだろうなぁ。
十分消化できていないのでダラダラ書いてしまってすみません。
この観賞後感覚、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と似ているなぁ。
あーーー、どなたかと「あれってどーいうこと?」と話したい気分です。
なお、この映画。
かなりハードな描写が多いです。
さまざまな暴力シーン、性描写、幼児虐待シーンなど苦手な方
観る際は要注意です。すぐに退場できる席にするなどの
準備が必要かもしれません。
それでも生きる。
タル・ベーラを思わせる美しいモノクロ映像。小津安二郎を彷彿とさせるローアングル。全編にわたるてんこ盛りの暴力、恐怖、苦痛、死、欲望、憎悪、差別、貧困、嘘に、少しの正義感と慈悲。戦禍を軸に、人間の魂の本質をえぐる衝撃作。
動物好きさんにはお勧めしません!
感想が大きく分かれる映画でしょう。どんな戦争ドキュメンタリーも負けます。人間のヒトとしての根幹を揺さぶられる内容です。 ヒトの性悪説も納得かな。昭和生まれは観るべし。 これを観てしまうと今年観たナチが出てくる映画は生ぬるいの一言です。コロナ禍だからこそ観るべき映画と言えます。但し、無類の動物好きさんには酷な映画です。お気をつけて。
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