ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビューのレビュー・感想・評価
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2020年最高の青春コメディ
これは今年の日本公開作で最高の青春コメディではなかろうか。「book smart」とは本で得た知識は豊富だが実体験に乏しい状態(や人)を指す。優等生の主人公2人は、3年間勉強一筋で名門大合格を果たしたが、遊んでばかりのように見えた同級生らも実は一流大学やグーグル入社といった進路を決めていたと知って愕然。高校生のうちに遊んだ思い出も作ろうと、同級生のモテ男が主催する卒業前夜パーティーに繰り出そうとするが…という筋。 ご多分に漏れず「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(07)を思い出したが、本作の脚本は2009年にはできていたというから、やはり意識したのではなかろうか。さえない男子仲間がモテようと奮闘したり背伸びして大人の世界を体験しようとするのは青春映画の王道だが、これを女性版にしただけでなく、昨今の多様性尊重も巧みに織り込んだ。悪者もいなければいじめもない、2人がある場面で遭遇する犯罪者(後で分かる)さえ良い一面を持っている、ひたすら優しい世界観。失敗したり失恋したりして傷ついてもいい、一歩踏み出すことが人生を豊かにすると教えてくれる。オリビア・ワイルドの見事な監督デビュー作でもある。
進んだ価値観がごく自然に備わった高校生たちに宿った希望
『エイス・グレード』を観た時には、自分たちが生きてきた時代とは隔世の感がある青春映画の新しい形に目眩がしたものだが、こちらは古き良き青春映画のフォーマットをベースにしつつ、新しい世代の価値観が織り込まれていて、懐かしくも新鮮。主演がジョナ・ヒルの妹だからというだけなく、明らかに『スーパーバッド/童貞ウォーズ』の現代版だと思うし、青春映画につきものの「終わってしまう切なさ」みたいなものを突き崩す陽性なエネルギーも痛快だった。
ただ、これをアメリカの等身大の青春像と捉えていいのかはわからない。というのも、登場する高校生たちの、バカなようでいろいろわかっている感やバランスの取れたジェンダー意識みたいなものは、もしかすると一種の理想像ではないかとも思ってしまうから。
例えば主人公を含む本作の高校生たちは、エリート高に通い、選ばれし者だけが通れる狭き門を突破して名門大学や広い世界に飛び出していく。それだからこその知性と意識の高さなのか、時代が変わって今の常識はここまで進んでいるのか? 正直、前者にフィクションが混じっているおかげではないかと邪推してしまうのだが、こういう映画がバンバン作られて、老若男女の常識がアップデートされていくなら大歓迎である。
自由に泳いでみたい
たまに“映画の中の人物たちと同化したい!”という欲求に駆られることがある。かつて「桐島、部活やめるってよ」や「スーパーバッド 童貞ウォーズ」で感じたそれは、単純に登場人物になりたいという気持ちではなく、愛おしくてたまらない彼らに寄り添い、一緒に悩み、笑い、世界を共有したいという片思いの恋心のようなものだった。対して「ブックスマート」では、さらにそれを飛び越え、この世界観を創造した作り手たちの掲げる理想と同化したいというおかしな欲求にまでエスカレートしてしまった。一見、シビアなヒエラルキーに支配されたよく見る学園世界のようでいて、そこにはカリカチュアされた悪も道化も存在しない。ひとりひとりが感情を持って自分の人生を生きている。言い換えれば、作り手が意図的に登場人物たちに“役割”を担わせることをせず、物語の中を自由に泳がせている。こんな優しい視線を持った作り手たちの世界で、自由に泳いでみたい。
個々の魅力を思いっきり開放させつつ、絶妙なハーモニーでまとめ上げた快作
型にはまらない展開、ステレオタイプに陥らない人間描写とは、まさにこのことかと思う。これまで勉強一筋で高校生活を突っ走ってきた親友同士が、卒業前夜、「やり残したことがあまりに多すぎる!」と同級生たちが開催するパーティーを探してひたすら街を駆け抜ける。一見、従来のハリウッド映画でよく見かける王道パターンのようだが、いざ本編が始まると主演コンビのやりとりは一部始終が面白いし、ファッションもユニークだし、爆発力を持った二人(監督いわく「バディ・ムービーを参考にした」)のことがすぐに大好きになる。彼女たちだけではない。ここには誰かを指差し「みんなと違う」と揶揄する者は一人もいないし、一人一人が「私こそが主人公!」とばかりに活き活きしている。人との違いを受け入れ、社会や人間関係の複雑さを楽しむ。説教臭くなりそうなテーマをこれほど底知れぬ楽しさとバイタリティでまとめ上げたワイルド監督、本当に恐るべしだ。
身に覚え
自分が必死こいて勉強してる間に、他の子はみんな悠々遊んでさっさと大学にも受かって…というショックはめちゃめちゃわかるぞ。しかしその巻き返しのスピードよ。/作品と関係はないが、豊岡劇場が居心地良く最高だった。
ちょっと贔屓が強すぎた?でも見てよかった
この映画には青春の葛藤や一瞬の輝きがある。 若さがもたらす残酷なドラマは、その多くが競い合いによって優劣が決まり、美しい敗北者に思わず自分を投影してしまう。 そしてまわりに居る人物のひとりひとりが個性的で、濃いストーリーがたくさん埋まっていそうなバックグラウンドを持つ。 映像の撮り方も非常に効果的。周到な準備や大掛かりなスタントも無く、たぶんギャラの安い俳優ばかり起用されているので、これと言った見どころの無いドラマが延々続くだけのコメディになりかねないところなのに、様々な工夫を凝らして同じ絵面にならないよう考えてある。 スチルの写真だけを見ても、どのシーンか分かるほどに同じ場面が無い。仮に同じ組み合わせの登場人物同士のシーンだとしても、必ず衣装や、メイクやシチュエーションが変わる。そしてそのひとつずつがどれも美しく効果的に彩られ、見惚れてしまう。予告編の、切り取った映像だけを見ても、このカメラがただ者じゃないことは明白だ。 ストーリー自体は非常にシンプルで、卒業の記念パーティに参加して、そこで成長していく主人公たちの物語を一夜の出来事に凝縮して、しかも笑える要素満載で見せてくれる。テイストは『ハングオーバー!』シリーズに近い。極論すれば、ティーンエイジャー版、女の子版ハングオーバーと言っても過言ではない。かと言って、あれほど過剰に事件が起きるわけでは無く、あくまで身の丈に合ったアクシデントが相乗効果で災難となって降りかかってくる造りだ。脚本がよく出来ているので、偶然まかせや、強引な展開が無い。 アメリカの学園コメディに保護者の役でチラッと出てくるリサ・クドローがうれしかった。この人、『フ・レ・ン・ズ』のメインキャスト、フィービー役で10年間出演し続けたベテランの女優さんだ。 LGBTやマイノリティに配慮したのであろうキャスティングも絶妙だ。これほど多様性にあふれた学校が、今や当たり前なのだろうか?誰もが何かしらの背景を抱えていて、特徴のない普通の人種、普通の性癖の人物がいない。主人公のエイミーがそういう人種のことを「1%」みたいな言い方をしているシーンがあったが、もはや白人セレブみたいな分かり易い成功者は、ドラマの登場人物としては特殊な階級として語られる存在ということなのだろう。 真面目にコツコツと勉強して、ようやくエール大に進学できる成功を勝ち取ったエイミーから見て、ただ遊んでいたようにしか見えない「いまが人生のピーク組」の連中も、実はちゃっかりエール大に合格していたという事実を知って、打ちのめされるエイミーが笑える。最後の1日で取り返そうとする動機が単純すぎてそれで映画を一本撮ってしまうあたりのシャレが効いている。 芸能プロダクションの忖度とごり押しキャスティングにスポイルされた日本映画に、こんな面白いコメディが撮れるだろうか?あ、観てないから語る資格無いや。正確に言えば、観たいと思う映画が無いから見てないのだけれど、低予算でも、ここまで面白く出来るアメリカ映画って、やっぱりすごいと思う。
ノットフォーミーの極み。
あらすじなどをざっと見て、学生時代にイケてなかった自分みたいな人間が共感できる映画なのでは!?と勝手に思い込んでしまい、期待値を上げすぎてしまったのが運の尽き。 冴えない二人がパーティデビューする話というよりは、遊びやパーティに興味がないわけじゃないけど将来のために勉強のみに徹してきた優等生が卒業前にひと暴れするという話だった。 日本の感覚でいう"陰キャ"とは全然違う感じ。 学生時代にずっと似た者どうしでつるんでいて"弾けた青春"とは無縁だった自分だけど、それはそれで楽しかったし後悔もない。みんなが思う楽しいに無理に合わせる必要はないし、どんな学生時代を送るかに貴賎はないと思ってる。 (勝手に勘違いした自分も悪いが)そういう在り方を肯定してくれる話だろうと期待して見てしまったので、個人的にはあまり盛り上がれなかった。 今まで勉強ばかりしてきたから最後くらい何か楽しいことしようぜ!ってなるのは分かる。 でもその"楽しい"は、みんなと同じやり方でないといけないんだろうか。酒やクスリ、パーティ、セックス、ルール破りなど、社会的マジョリティお墨付きの型にはまったものでなきゃダメなんだろうか。"楽しい"とか"思い出"って本当にそれだけなんだろうか。 (遊んでる子たちを見下していたモリーの態度は最悪だったし改めるべきだと思ったけど) どこのサイトを見ても評価が高く、周囲での評判もよかった作品だけど、以上の理由から自分にはあまり刺さらなかった。シスターフットやレズビアンの物語でなければ途中で見るのをやめていた可能性もある。 自分の好みを抜きにして映画作品としてどうかと言われれば、斬新で面白い作品だとは思う。全体のテーマはさておき、細かな描写の一つ一つはわりと好きだった。
バランス感のある
シスターフッドものでオーソドックスな筋書きや背景なのだがクラスメイト含めてけっこうジェンダー意識進んでいてああ2010年〜20年代の作品なんだなとおもいました。童貞ウォーズのような切なさも最後あったが、ただ更新点はというとどうですかね。レディーバードやフランシス・ハ思い出しながら不誠実にたらたら見てしまった。
日本もプロムしよーよ!
アメリカのプロムという文化は全き日本人の私からすると正直かなり羨ましい。楽しそうだから、というものもちろんあるが、それ以上に高校と大学(ないし社会人)の境目にこういう派手なイニシエーションを刻み付けられることが羨ましい。もちろん日本にも卒業式とか卒業旅行とかいったイベントはあるんだけど、それらはあくまで公式的な手続きか、親しき仲での友情確認作業でしかない。そうではなく、もっとこう、ほとんど他人みたいなクラスメイトや同級生の知られざる一面を鏡にして自分自身の自意識を見つめ直す機会が欲しい。 大学に入ってコイツ嫌だな、と思った奴には往々にして共通点がある。それは他者が見えていないということだ。受験時代から引きずり続けている傲慢な感性と閉ざされたコミュニケーションに終始するばかりで、外向きのベクトルを持っていない。とはいえ現代日本の学校教育から受験というシステムを完全に放逐できるわけがないし、であれば受験時代にジメジメと積み上がってしまった自意識をどこかで見つめ直し、場合によっては空の果てまでぶっ飛ばしてやる機会がやっぱり必要だと思う。 エイミーとモリーは典型的な内向的受験生で、名門大学に受かったという事実にあぐらをかいてそれとなく周囲の生徒たちをバカにしている。そのまま大学に進んだら5chの受験サロンで自分より格下の大学に無慈悲な罵詈雑言をぶつけてそうな感じ。 しかしモリーは「トリプルA」と呼んでバカにしていた頭の悪そうな女生徒が自分と同じ大学に進学する事実を知って半狂乱に陥る。遊びと勉強が強固なトレードオフ関係にあると思い込んでるの、ネクラあるあるすぎるんだよな・・・ そんなわけで自分たちの学生生活の空疎さにようやく気が付いた二人は、一夜にして青春のすべてを取り返そうとプロムパーティーへ赴くことを決意する。以降は湯浅正明版の『夜は短し歩けよ乙女』を髣髴とさせるような、時間の流れを歪めに歪めてあっちこっちのパーティー会場を飛び回るジェットコースター・コメディが幕を開ける。 ろくでもないバカだと思ってた奴に思いがけない一面があったり、密かに思いを寄せてた奴にフラれたり。プロムを通じて二人の狭い了見が徐々に解きほぐされ、今まで見えなかった、あるいは見ようとしてこなかった世界の豊かな側面が立ち現れていく。本当に一晩の出来事なのか?と不思議に思うかもしれないが、そのくらい濃密な夜というのは確かに存在するのだ。 現代のアメリカ映画らしく、青春コメディの中にLGBT的な問題圏が織り交ぜられているのだが、そういう要素をことさらグロテスクに強調しようという下手な作為性は全く感じない。たとえばエイミーはレズだが、周りの誰一人それを気にかけない。So What?てな具合だ。それどころか教条的に凝り固まった近年のLGBT文脈を内面化したうえで軽々と乗り越えている節さえある。「人を傷つけてはいけない」という信条を神経症的に突き詰めるのではなく、仮借ない友情に基づいた適度な「遊び」を持たせること。互いの性的なあれこれを笑い話にしたっていいじゃん、私もアンタもそういうのが好きだって互いに知ってんだから、という。 プロム明けの卒業式に臨むモリーとエイミーの表情は雲一つない青空のように晴れ渡っていた。こういう気持ちのいい奴らと大学で出会いたかったものだ、と心から思った。
アメリカの若者ならではの
進学の為にガリ勉に徹し、多くを犠牲にした女子二人の物語。卒業前夜に青春を取り戻すべくパーティに参加して色々な事件が起こる。 若者達の姿をコメディタッチでパワフルに描く良作だと思う。エンディングにかけての二人の描写は涙腺を刺激する。 人は皆、他人からは見えない一面を持っている。人は人を必要としている。知識と経験は別モノ。そんな副題も感じられた。
青春群像劇
2015年前後のアメリカが舞台になるのかな。
定番だけども、ティーンエイジャー達のプライド、恋、ドラッグ、性などなどの悩みを明るくユーモラスに描いている。
主役の2人も魅力的だが、脇役達のキャラも立ってるからこそ、その世界観が膨らんで面白い。
真面目人間と言う意味では、多くの日本人が主人公達に共感が出来るんじゃないかなぁ…。
オリビアワイルド自体が1番の驚き
herの時にやたら演技力あるなーって思ってたけど、オリビアワイルド自体がブックスマートの登場人物の誰よりも意外だった!こっちの人だったんだ! 以下の描写が異常にたまらなかった ・パーティ会場に到着した時の孤独感 ・一瞬リア充を味わうもやっぱ違った感 ・卒業式に2人がかけつけた時 ※なんとなくみんなに認められてる感ではなく、ちゃんと一夜でヒーローになった ・カテゴライズしてしまってたキャラの意外性を知ったとき全般 これさー 文化祭の打ち上げとか修学旅行の夜とかに一瞬戻っちゃったよー なんか何回か泣いちゃったよ
青春
外国の青春ってこんな感じ!で楽しそう ハングオーバー!の女子高生版って感じです 高校卒業前ある一件以降、真面目な生活しかしてこなかった後悔からハメを外す2人 なんやかんやあって 大切なものは何か気付かされました。 こんな青春憧れる
青春とりもどせ
爽やか感動系を期待していたのですが、ちょっと違って下ネタ多め。 でも、遊びまくってると思っていた同級生達が実はしっかりと勉強もしていたという焦りや、残り僅かな高校生活をハジけまくろう!と奮闘する姿には共感できました。 海外の学園モノの映画を観るといつも思うのですが、向こうの高校生達って本当にこんなに大人で派手でハジけまくりなのだろうか。日本の高校生達が自転車で登校するような感覚で、彼らは車で登校し、日本の高校生達が文化祭で青春するみたいに彼らはプロムでプールにダイブしたりするの?映画で観ている分には楽しくて良いのですが、自分は日本人で良かったとつくづく感じます。
アメリカ文化
主人公の2人は遊ばなかった優等生の設定だけど、そんなイメージじゃなかった。 アメリカでは高校卒業の前日にパーティーをするものなのかな。結構下ネタ多めだったけど、これが現実なんだろうか。そしてLGBT絡みの映画は評価が高い気がする。 まあ面白かったのかな。 評価:3.5
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