劇場公開日 2020年8月21日

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「自由に泳いでみたい」ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー オスカーノユクエさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0自由に泳いでみたい

2020年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

たまに“映画の中の人物たちと同化したい!”という欲求に駆られることがある。かつて「桐島、部活やめるってよ」や「スーパーバッド 童貞ウォーズ」で感じたそれは、単純に登場人物になりたいという気持ちではなく、愛おしくてたまらない彼らに寄り添い、一緒に悩み、笑い、世界を共有したいという片思いの恋心のようなものだった。対して「ブックスマート」では、さらにそれを飛び越え、この世界観を創造した作り手たちの掲げる理想と同化したいというおかしな欲求にまでエスカレートしてしまった。一見、シビアなヒエラルキーに支配されたよく見る学園世界のようでいて、そこにはカリカチュアされた悪も道化も存在しない。ひとりひとりが感情を持って自分の人生を生きている。言い換えれば、作り手が意図的に登場人物たちに“役割”を担わせることをせず、物語の中を自由に泳がせている。こんな優しい視線を持った作り手たちの世界で、自由に泳いでみたい。

オスカーノユクエ