ラスト・ムービースター
劇場公開日 2019年9月6日
解説
「脱出」「ロンゲスト・ヤード」「トランザム7000」「ブギーナイツ」など数多くの作品に出演し、2018年9月に82歳で亡くなったバート・レイノルズの最後の主演作。劇中にレイノルズの過去作品が多数引用され、落ちぶれたスターという役柄をユーモアたっぷりに演じる。かつては映画界のスーパースターとして一世を風靡したが、今では人びとからほぼ忘れられている状態のヴィック・エドワーズのもとに、ある映画祭から一通の招待状が届く。功労賞を送りたいという映画祭にしぶしぶ参加はしたものの、騙しに近い名もない映画祭であることがわかり、エドワーズは憤慨する。しかし、そこは彼が生まれ育ったノックスビルの町の近くだった。育った家、大学のフットボールで活躍したスタジアム……久しぶりにふるさとの町を訪れたエドワーズに懐かしい思い出が去来していく。監督は「デトロイト・ロック・シティ」「LOOK」のアダム・リフキン。
2017年製作/103分/アメリカ
原題:The Last Movie Star
配給:ブロードウェイ
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2020年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
まるで古い蝋人形のような風貌で、かつてのスーパースターが招かれて地方の映画祭へと嫌々ながらも馳せ参じる。途中、演じるバート・レイノルズが痛いセルフ・パロディっぽいセリフを幾度となく吐きつつ。レイノルズのキャリアを知るファンは複雑な気持ちに違いない。一方、若い映画ファンはハリウッドの栄枯盛衰の過酷さを思い、笑いたくても笑えない奇妙な感覚を覚えるかもしれない。もし、興味を感じたら以下のことを知っていて欲しい。マッチョスターのシンボルとして人気最盛期はマネーメイキングの分野でクリント・イーストウッドと渡り合ったレイノルズは、大学時代に打ち込んだアメリカンフットボールで鍛えた裸体を、女性誌の"コスモポリタン"で披露して以来、絵に描いたようなセックスシンボル路線を歩み始める。しかし、次第に監督として頭角を表していったライバルのイーストウッドとは違い、その後もイメージを刷新することなく出番を無くしていく。そんな一瞬の閃光、時代の徒花的な存在だったレイノルズだが、だからこそ、ポール・トーマス・アンダーソンの「ブギーナイツ」で演じたポルノ監督役がぴったりだったし、もし、生きていたら「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に登場する牧場のオーナー役は適役だっただろう。つまり、生きていたら、まさにこれからが勝負のシーズンだったのだ。
バート・レイノルズにどっぷりと浸かっていた時期は特にないのだが、この人のパブリックイメージみたいなものは感じていた。今どきは流行らないような、胸毛の濃いマッチョ野郎で、シリアスさを吹き飛ばしてくれるような明るさを持っている陽気なアメリカ人。そんな映画スターが調子のいい全盛期を経て、やがてかつての輝きを失ったからこそ『ブギーナイツ』のような当たり役が生まれたと思っているが、それにしても、演技者としてあまり評価されないまま晩年を迎えていたように思う。
本作は、厳密には遺作ではないが、確かに遺作に見えるように作られている。少なくとも監督が、バート・レイノルズというスターの人生とキャリアと劇中の主人公をダブらせて、総決算のような映画を意識していたことは間違いないのではないだろうか。物語はベタだし、エッジさを狙っているところもないし、言うなれば平凡な人情噺だ。でも、それがバート・レイノルズという個性にぴったり合っているからこそ、この平凡な映画になんとも言えない感傷を感じずにはいられないのである。
2022年3月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
途中で挟まれる過去の映像、音楽、街の景色、登場人物たち、全てがアメリカの映画という感じだった。
過去のスターがあるきっかけで過去を振り返る旅に出て、変わっていく。ストーリーはありがちだけれど、結末は変えられなくても途中は変えられるのだというメッセージは響く。
表情が優しく変わったリルが印象的。
映像を観たことがないのですが、
バート・レイノルズというステキなスターの存在は知っていました。
若い頃の写真とは想像も出来ないほど老いたお姿でしたが、
ユーモアのセンス抜群のステキな方でした。
彼の作品を観たいと思います。
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