初恋のレビュー・感想・評価
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大味
三池崇史監督は、スタイルを貫いている──とは思わない。プロダクトの意向にあわせて、酷いときもあれば、いいときもある。多作で振幅がはげしい。山っ気の大きい商業映画の監督だと認識している。
海外先行公開の鳴り物入りで、アメリカでは、ほぼ称賛だった。幾つかの評でエドガーライトのベイビードライバーさえ引き合いにされていたことに驚いたが、個人的には凡作だった。ゲリラロケの野次馬を数えられるほど冷静でいられた。
筋書きに意外性はあるが意外ではない。全キャラクターに既視感がある。セリフが、状況や境遇を説明しており、もっさりしている。撮影が暗すぎて見づらい。登場人物が多すぎて、主役が立ち上がらない。見終えてタイトルが成り立っていないことに気づいた。
荒削りというより、とても忙しい人が撮った映画──という印象だった。
このプロットの狙いは、欲や私恨でカオスへ至り、三つ巴、四つ巴となる、ギラギラの抗争のなかに、ポッと咲いた純愛──だったはずである。
筋はトゥルーロマンスで、パートアニメーションはキルビルを思わせる。すなわち映画は、タランティーノファンへの媚びを持っていた。
日本映画が海外市場へ媚びるのは、合理的なマーケティングだと思うし、むしろもっと媚びてもいい気がする。ただ──媚びていることが観衆に解っては逆効果に陥る。たとえばスキヤキウエスタンジャンゴなんて露骨に阿付していると、白ける──わけである。
本質的にいい映画が媚びを凌駕するという事実がある。
サムライも忍者もポケモンもない国が、アウェーの映画祭で最高賞を獲ってしまうというバイタリティーを、パラサイトに見ている。だから──ではないが、この映画にそこはかとなく漂う媚びを、個人的にはいやらしく感じた──のだった。
が、アメリカは歓迎した。rottentomatoesなど、賛辞だらけだった。
深作欣二に傾倒したタランティーノがつくった映画は深作欣二よりも楽しい。ならば、タランティーノを再翻案できるか=逆輸入が成り立つか。をやってみた感のある映画であり、個人的には失敗しているように思えたが、海外の称賛をみて、いちばんの驚きは、この映画がタランティーノを意識していることに、外国人が気づいていない、もしくは気にしていないことだ。かれらは鶏か卵かを気にしない。
日本人は、日本のヤクザ映画に影響を受けたとはいえ、むしろタランティーノのほうが元祖だと思っている。しかし外国人は、三池映画に元祖の血脈を見る。──海外の高評価に、そんな構造を感じた。
しかし大味すぎるのではなかろうか。撮影も構図も急場のようなざっくり感。キャラクターにも魅力を感じない。笑える要素も微かで作用しているとは思えない。唯一、ワンの片腕ポンプアクションは面白いキャラクタライズだったが、個人的にこの映画の海外の称賛は理解できなかった。原田眞人監督のリターンズのスベり方に似ていたと思う。
しばしば、日本映画に対する、imdbやrottentomatoesなど、主にアメリカの外国人評点は、プラスαの甘さを持っている──と思う。その甘さとは、もちろん日本文化に対するかれらの好印象である。
灯台もと暗し、と言うが、本当である。
初恋? 濃い!
内野さん極道が最高に格好いい
権藤(内野)の外伝があったら観たい!
キャストのラインナップがお見事
それぞれの役柄が違和感なくハマっており、グイグイと加速していく展開が飽きさせなかった
ストイックなボクサー役のレオ=窪田君は男らしい一面と、時折あの優しげな声質が女性心を擽る表理性が良
そして何よりカメレオン俳優の内野さんの武闘派ヤクザ=権藤が、主役を喰っていたと言っても過言でもないほど渋く勇ましかった
男も女も惚れる佇まいに、この作品を引き立てていたと感じる
勿論怒り狂うベッキーやあの中では一番の常識人に思える大森さんの名演も言わずもがな
とにかく演者の方々が最高でした
ただ、三池監督が描くヒロインはいつも魅力に欠け、今回も役者頼りで演出やカメラのアングルも今一つで惜しかった
PRで「人生で最高に濃密な一夜を描くラブストーリー」となっていたが原題と共に、チグハグ感が否めなかったのが残念
~「死んだ気になりゃ…やれるはずってこと…そのはず…」~
【賛否両論チェック】
賛:偶然出逢った孤独な2人の逃走劇をきっかけに巻き起こる、2つの組織をも巻き込んだ大騒動に、最初から最後までハラハラさせられる。事件を通して少しずつ変わっていく主人公達の心境にも、観ていて思わず考えさせられるよう。超豪華なキャストも必見。
否:ストーリーも登場人物もみんなブッ飛んでいて、なおかつブラックユーモアも満載なので、好き嫌いは極端に分かれそう。グロシーンも非常に多いので、苦手な人には不向き。
余命宣告をされてしまった天才ボクサー・レオと、そんな彼に助けられた自暴自棄の少女・モニカ。ひょんなことから2つの運命が交錯し、期せずして動き出したことで巻き起こる大騒動に、ノンストップでハラハラドキドキさせられてしまいます。そして境遇こそ違えど、お互いに捨て鉢になっていたレオとモニカが、物語を通してどんな風に変わっていくのか、2人の成長(?)にも注目です。
そして本作で最も好き嫌いが分かれそうなのが、その空気感でしょうか。不謹慎なのにどこかクスっと笑えてしまうようなブラックユーモアが満載なので、その辺りの好みは観る人によって大きく違ってくるかと思います。
キャストも超豪華なんですが、そんな出てくる登場人物達がまたみんなブッ飛んでいて(笑)、そこがまた魅力でもあります。個人的には、内野聖陽さん演じる権藤の昔カタギすぎるキャラクターが、味があって好きでした(笑)。
グロシーンもメチャメチャ多いので、苦手な人には向きませんが、三池ワールド全開の破天荒サスペンスアクションですので、気になった方は是非ご覧になってみて下さい。
ラブ少なめ。
ステキ(目がハート)
流石三池崇史!!!
映画館にて鑑賞、三池崇史やからえぐいんやろなと思ってたら案の定えぐかった。現実では味わえないようなエンタメ性に富んでいてこんなに娯楽を詰め込んだ映画はなかなかない、設定ゆるゆるでツッコミどころ満載だけどおもろいから全て良し!!!
2020年 14本目 ★★☆「仁とは思いやり」
脳みその原始的なところを直接揺さぶる
途中、ひでぇー、と思ったけど。よかった。
ネタバレになるからあまり書かないけど、ハダカ親父が踊りだしたときは
「何だこの映画は?」とガーンと来ました。
でも観てるうちに、
おもしろい、楽しい、若さを応援したくなる、エンディングもいい。
小西 桜子がカワイイ、美人。登場場面ではAV女優かと思った。
窪田正孝もなかなかいい。
映画の中で・・・二人を応援しました。
他の俳優さんたちもよかったです。
それぞれ自分の個性をぶっ壊して。
ただ、ベッキー、俺は応援してるんだけど、あんなにキャラ壊して大丈夫か?
小林さんと幸せになれよ。
タイトルのネーミングセンスが酷い
作品内容と全く合致していない。
カンヌに持っていくために、それらしいタイトルを、という安直な発想が透けて見える。
そもそも、主人公ふたりの初恋絡みの物語だからというのは分かるが、それにしても恋愛感情の表現が薄過ぎる。
三池崇史監督に恋愛絡みのストーリーを撮らせる事自体が無理筋なのにOKを出した東映が悪い。
全体的な内容にしても敢えてそうしたのかも知れないが、構図がごちゃごちゃし過ぎだし、また、主人公がボクサーである必然性も見えない。
モニカ(小西桜子)が幻覚を見て怯えながら笑うシーンがあるが、そんな演技はどんなベテランの役者でも出来やしない。それを新人女優に求めた三池崇史はただのドSか?
東映としては、得意のヤクザもので90年代に一世を風靡したVシネマの路線を今度は映画の世界で展開して復権を果たすべく、その試金石としたい作品だったのだろうが、だったら、中途半端なコメディ要素は要らないのでは?
万年3番手の東映だからこそ通った企画だとは思うが・・・
真骨頂
鬼才がその鬼才ぶりを遺憾なく発揮してる。そしてロマンチックな監督だと改めて思えた。
三池風ラブロマンスが沸騰してた。
「初恋」のタイトルに似つかわしく、のっけから首が飛ぶ。…ちょっと待て。
いやいや…「え?」これからどうやって初恋が語られていくのだろう?何かの揶揄なのか?そんな冒頭の困惑を物ともせず物語はドストレートに「初恋」を描き完結した。
社会から消去されたようなヒロイン。
父親の借金のカタに身売りされ、シャブ中にされ体を売る。
全うな人生を歩みようのなかった主人公。
親に捨てられ顔すら覚えてない。
ボクシングで注目されるが本人には向上心のようなものもなく体を張って金を得るも、その胸の内は空虚なままだ。何1つ達成感もなく脳内に腫瘍があると宣告される。余命幾ばくもない。
そんな2人が出会うまでが丁寧に描かれる。
どん底でどん詰まりの人生が事細かに。
出会ってからのバイオレンスは容赦がない。
怪優に変貌した染谷将太を筆頭に端役に至るまで熱演だった。いや、その鼓動が聞こえてくるくらいに作品の中に生息してた。
昨今のコンプライアンス重視の風潮を歯牙にもかけず、強固な壁であるはずのコンプライアンスをまるで紙よりも薄いもののように突き破り疾走する。
その様が心地いい。
暴力に陶酔してるわけじゃなく、その潔いまでの覚悟が心地よいのだ。
そのバイオレンスが表現するのは苛烈なまでの生存競争と欲深き人間性で、それが故に動物と区分されるような部分だ。
つまりは、そこを抜きには人間を描ききれるはずがないと断言してるようにも思える。
そんな集団の片隅に自分達も生息しているとの自覚をも促してくれたりする。
そのバイオレンスの必然性にも無理がなく、覚醒剤をめぐる裏社会の対立が描かれる。
コレがまた見応えあって…ドラマを作るのはキャラクターって表現がピタリとハマる。
見事な采配だった。
適度な皮肉やユーモアも挿入されていて、ヤクザの組長代理がパラリンピックのピンバッチを身につけていたり、人柄と思えばクスッと笑うし、癒着ととれば強烈な曝露にもなり得る。
大陸からきた女性のヒットマンが仁侠の心意気を理解していたり、幻覚である父親が阿波踊りを始めたりと…噛めば噛むほど味わい深いマテリアルが散りばめられてる。
そんな血で血を洗うような非日常に巻き込まれる主人公たち。
このまま闘争で締め括られるのかと思っていた矢先、スマホの留守録に驚愕の事実。
「どおすんだ、レオ!?」と物語は予想だにしなかった分岐点を明示する。
ラストは殴り合いと斬り合いだ。
ここに来て主人公の生涯が報われるようでもあり、これをもって救済とするのかと、監督の男気を感じたりする。
冷静でいながら断固たる決意で拳を奮う、主演・窪田氏の目が印象的だった。
彼はこの時にボクサーとしての背骨を手に入れたかのようだった。
斬り合いの方は意地と意地のぶつかり合いだ。死ぬのは別に構わない。ただ俺が死ぬのはこいつより後だ。死んでもそこだけは譲らない。そんな鬼気迫る斬り合いだった。
大陸からの風当たりの強い日本。明確な反旗も反論も出来ぬままのような気がしてならない。そんな鬱屈した空気を吹き飛ばしてくれるかのようだ。
作品にそんな比喩も意図もないとは思うが、俺の気持ちは晴れた。権藤が背負うのは高倉健だ。日本男児の気骨の象徴だ。
ラストにかかるシークエンスでは、彼女の初恋と遭遇する。
彼女の初恋が幕を閉じ、彼の初恋が始まりを告げる。
薬物治療で狂おしいまでの中毒症状と戦う彼女。己が生きる理由を自覚し、迸る感情を露わにする彼。
ラストは無音のロングショット。
未だ生活に余裕はないが、それでも楽しそうに我家に帰っていく2人。おまけに雪まで降っている。流血で朱に染まるこの世界を、真っ白な雪が覆い隠してくれるようだった。
このラストがロマンチックでなくてなんだと言うのだあぁぁぁぁッッ!!!
振り返ってみたら血みどろの悪鬼羅刹供は、共喰いの末、全員鬼籍に入り、愛を育む未来だけが残る。
おそらくならば、この映画を観たクエンティン氏は地団駄を踏み悔しがる事だろう。
それでもクエンティン氏ならば、監督をハグし「Excellent!!」と絶賛してくれるかもしれない。
堪能させてもらいました!
煮え切らない現代社会を一蹴する痛快なストーリーテリングに拍手喝采!!
三池にしか撮れない、代替の効かない一本。
三池監督といえばバイオレンスやアクション、という定型句のようなものがある。けれどこの監督は、美しさやロマンチックな表現も持ち合わせているのが凄味。そんな一面が存分に発揮された作品だと思う。
ひたすら楽しいド派手な展開の奥底に感じるのは『トゥルー・ロマンス』や『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の刹那さ。そして同監督作品である『中国の鳥人』の美しさだった。
もちろん『極道大戦争』(誰も真似できない稀有な大傑作!)のようなカオスっぷりも存分に堪能できるのだが、根幹を支えるのはどれだけ自由でカオスに遊んだとしても、決して作品が滅茶苦茶にならない圧倒的な技量!
ストーリー、テンポ、映像などの土台が全く崩れないから、どれだけ傍若無人な展開でも、観てる側を置いていくことがない。俳優陣の演技がさらにそれを下支えするのだから、引っ掛かりなくどんどん引き込まれる。作品の重要なアクセントになっているベッキーも見事。昔から変わらない生々しさ溢れるアクションも超楽しい。
圧倒的な技量の上で展開されるカオスな自由。三池崇史が他の監督達と絶対に違う理由、映画史に残る監督の一人である理由。
タイトルなし
昔風の作品を今の時代の設定に?
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