名もなき生涯

劇場公開日:

名もなき生涯

解説

「ツリー・オブ・ライフ」「シン・レッド・ライン」の巨匠テレンス・マリックが、第2次世界大戦時のオーストリアで、ヒトラーへの忠誠を拒み信念に殉じた実在の農夫の物語を映画化したヒューマンドラマ。第2次世界大戦下のオーストリア。山と谷に囲まれた美しい村で、妻フランチスカと3人の娘と暮らしていたフランツは、激化する戦争へと狩り出されるが、ヒトラーへの忠誠を拒んだことで収監される。裁判を待つフランツをフランチスカは手紙で励ますが、彼女自身もまた、裏切り者の妻として村人たちから酷い仕打ちを受けていた。ナチスに加担するよりも自らの信念に殉じ、後に列福されたフランツを「イングロリアス・バスターズ」「マルクス・エンゲルス」のアウグスト・ディール、妻フランチスカを「エゴン・シーレ 死と乙女」のバレリー・パフナーが演じた。また、2019年2月に他界した名優ブルーノ・ガンツが判事役を務めている。19年・第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

2019年製作/175分/アメリカ・ドイツ合作
原題または英題:A Hidden Life
配給:ディズニー
劇場公開日:2020年2月21日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第72回 カンヌ国際映画祭(2019年)

出品

コンペティション部門
出品作品 テレンス・マリック
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(C)2019 Twentieth Century Fox

映画レビュー

4.5試される人間、信仰のあり方と、マリックの映像世界の親和性

2020年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

知的

空中を漂うように緩く揺れながら移動するカメラワーク、自然光を活かした人物や草木の淡い描写、詩的なモノローグ、反復が強調されたクラシック調のBGMが特徴的なテレンス・マリックの映像世界。柔和で、優美で、どこか超越したような感覚は、神の眼差しを思わせる。今作では特に、美しい高原の村の背景にそびえる急峻な峰が、形而上的な存在や過酷な運命を象徴するかのように、たびたび映し出されては観客に独特の感興をもたらす。 主人公フランツの受難に加え、村八分のような仕打ちを受ける妻と娘たちも不憫でやるせない。日本でも戦時中、反戦主義者は非国民とののしられ、理不尽な目に遭った。半世紀以上が過ぎても、さまざまな相互不理解と分断があり、生きづらい世の中が続いていることを、神の視点からはどう見えるのだろうかと考えてしまう。

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高森 郁哉

3.5実話なので重い。でも共感するのは難しい

2024年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

オーストリアの山あいの美しい風景のカットがたくさん挿入される。ピュアな信念を描いた映画なので、きれいな風景が主人公の考えの底にあるということだろうか。普通の人にはできない判断を最後まで貫くのを丁寧に描いていて、なぜそういう判断をすることになったのかはほとんど説明しない。説明しようとしてもできないし、下手に説明しようとしないことがドキュメンタリー映画のようで、リアリティを感じた。 「フランツ・イェーガーシュテッター」という人の話がベースで、実際に信念を貫いた人がいたことが驚き。たぶん映画で描かれたように、ジタバタしたり迷ったりはしなかったのだろうと思う。 上映時間は175分で、ほぼ3時間。話の進み方が遅く、映像表現として冗長に感じるところはある。主人公が異例の判断をする話なので仕方ない面があるけど、主人公の気持ちがわからないままの3時間は長かった。妻フランチェスカや娘3人との仲の良い平和な時間を何度も描いているが、どれも平易な印象で今一つ心に残らない。なので、全体として心を揺さぶられるところまで至らず。 貫いた信念は、キリスト教の教えに基づいているのだろうと思う。殉教について子供の頃から聞かされているような文化の中なら、この映画に感動するのかもしれない。

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p.f.naga

4.0キリスト教を純粋に信心する人は主人公の気持ちがよく理解できるのだろ...

2023年8月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

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共感した! 7件)
りか

4.5生きることの意味を問いかける作品

2023年3月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

第二次世界大戦中のナチスドイツに併合されたオーストリアの農村、ナチスに対して忠誠を拒んだフランツ、収監されて死刑の判決がくだされる、1人、農作業に勤しむ妻のフランチェスカ、畑を耕すロバ、牧羊の鈴の音 父親の帰りを待ち続けて、食べ物を残し ドアを閉めずに開けている幼き3人の娘たち 教会にいる敬虔な人たち フランツが生涯を閉じてから手紙を読むフランチェスカ、向こう側でまた会いましょう。 萌ゆる草原、風の囁やき 風に舞う1枚の木の葉、歴史に残らなくても 善の方向に今も向かっている、静かに祈りを捧げたい、テレンス・マリックの映像が 美しい作品でした。

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美紅

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