「パラサイトした家族が先行パラサイトだったという設定の方が」パラサイト 半地下の家族 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
パラサイトした家族が先行パラサイトだったという設定の方が
これがアカデミー作品賞
・カンヌパルムドール受賞作品か、
と複雑な思いだ。
前半のパラサイトの部分は非常に魅力的で、
後半への期待が大きく膨らんだ。
しかし、格差間衝突の後半部分になって
急にその魅力が萎んでしまった。
何かとデフォルメ過剰な表現が多く、
またリアリティ欠如の場面も多過ぎる。
大きなものとして、
雨の中やって来た元家政婦を
断ればいいだけなのに家に入れてしまう
という地下に潜んでいる夫を登場させるだけに
設けられたような御都合主義的展開。
現場検証で警察に重要箇所として
捜索されているはずなのに、
パラサイト家族の夫が殺害事件後に
地下にいても発見されないなんて
設定が無理繰り過ぎる。
パラサイト家族も、娘が殺害された中で
もはや地下室を秘密に出来ないだろうし、
警察もその存在が解明出来ないまま
なんてあり得ないだろう。
とにかく、何かとリアリティ欠如と
御都合主義的な描写が多く、
その度に映像世界への没入を拒否される。
前半はウィットの効いた見事なパラサイトを
見せられてワクワクだったのに、
後半は一転して暴力手段を見せられて
ガッカリ。こんな表現で
効果的な社会啓発になるだろうか。
むしろ格差間抗争を煽りはしないだろうか。
エンターテイメント的表現なのだろうが、
暴力シーンは決して心地良い訳も無く、
前半で見事なセンスで
世の中を上手く皮肉って見せたのに、
後半のアメリカ映画的なバイオレンス表現は
市場を意識し過ぎたのか残念至極だ。
最後までセンス良く
知恵での問題解消を見せて欲しかった。
私的には、パラサイトした家族が、
実は先行パラサイトの一家だった、
位の展開を期待したのだが。
ポン・ジュノ監督作品としては
「グエムル-漢江の怪物-」「母なる証明」
の方が、自然なストーリーと象徴性
が効いていて優れているように思う。
せっかく各場面で
“上る”と“下る”の要素を巧妙に散りばめる
素晴らしいテクニックを駆使して
格差社会を上手く描写しながらも、
一方で、過激過ぎる映像手法と
リアリティの欠如した
御都合主義的ストーリー展開では、
各映画祭での高評価にも関わらず、
この作品が映画史上の名作にはなり得ない、
と私は思うが、どうだろうか。
こんばんは😊
な、何とフォローしていただきましてありがとうございました😊
今後ともよろしくお願いいたします。
『母なる証明』『グエムル-漢江の怪物-』も観ています。二つとも
強烈でした。本作、本当に、後半目を背けたくなる箇所もあり、違いましたね。