「「低層民」を「地下」で象徴する映画のシンクロニシティー」パラサイト 半地下の家族 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
「低層民」を「地下」で象徴する映画のシンクロニシティー
韓国の社会派映画といえば、かの国特有の政治や軍事などを題材にした力作が目立つが、ポン・ジュノ監督最新作は貧富の差の拡大というグローバルに深刻化する問題を取り上げ、予測のつかない超一級のエンターテイメントとなった。韓国初のパルムドール受賞も、普遍的な問題への意識が一因だろう。
丘の上の明るく広い邸宅に暮らす上流の家族と対照的な、暗く狭い地下で暮らす下層の家族。低層民、被差別者、不可視の存在を、彼らが生きる「地下」で象徴するアイデアは、同じく今年公開された米国のホラー映画『アス』と通じる。このシンクロニシティー(共時性)も興味深い。
映像では伝わらない「匂い」で生活の格差を表現したのも、監督の巧妙さであり、観客の想像を経て本能に直接突き刺さるようだ。
監督もメッセージで懇願しているように、これは絶対にネタバレを回避して観に行くべき作品。ジャンルを超越した怪作にぜひ圧倒されていただきたい。
コメントする
このんさんのコメント
2020年2月12日
「匂い」で生活の格差を表現してるところ、うまいなって私も思いました。
確かに生活臭でどんな暮らしをしているかだいたい想像できますよね。
そして、後半でその「匂い」が出来事の原因になるところ。
貧しくても、人にはそれぞれ踏み入れてはならない領域[プライド〕があってうまく表現してるなって思いました。