ザ・レセプショニスト
劇場公開日:2019年10月25日
解説
台湾出身でロンドン在住の女性監督ジェニー・ルーが、ロンドンに暮らすアジア系の女性たちのリアルな現実を描いた長編デビュー作。ロンドンにあるマッサージパーラー。不法な風俗店であるその場所は、客とアジア出身の女性たち、そして女性経営者が家族のような人間関係を装いながらも、その実態は金とセックス、そして暴力に支配された偽りの空間だった。そんな店でも女性たちは生き延びるために必死で働き、移民であるがゆえ、常に危険と隣り合わせの日々を送っていた。大学を卒業したばかりの台湾人ティナはロンドンで職に就くことができず、その店の受付嬢として働き出したことで、周囲のイギリス人や恋人から冷ややかな視線を向けられていた。
2016年製作/102分/PG12/イギリス・台湾合作
原題:The Receptionist
配給:ガチンコ・フィルム
スタッフ・キャスト
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2020年7月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
イギリス・ロンドンに留学した台湾人の女の子が、卒業後、現地での就職に失敗して、お金に困り、売春宿の受付係として働き始めたという、いわばスケッチです。
マイナーな映画祭であれば、いかにも大賞を取りそうな鬱屈したテーマで、実際に第一回熱海国際映画祭っていう聞いたことがない映画祭で大賞を取ったらしいですけど、ひたすら画面が暗く、話も暗く、なにひとつ面白さがないお話でした。
登場する買春客は、揃いも揃って超変態の白人ばかり。
もしや監督は「関係者にインタビューをした」だけで、実際の現場を取材することもなく、空想話を組み立てて撮ってしまったのではないでしょうか。
そんなにこの仕事のネガな面だけにスポットライトを当てて、どうするのって感じ。
あと、タイトルの「接線員」という原・中国語の題名のほうが、レセプショニストなんてこじゃれたタイトルよりも印象に残るし、良かったとも思いました。
日本語でも「一線を越える仕事」というのがあり、この主人公はまさにその「一線」を越えてはいなくても、一線に接し、密着しているわけですので。
2019年11月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
あそこまでしてイギリスで頑張る意味がわからない。そもそもあのイギリス人の彼氏、志は高そうだが現実をみてなさげ。家賃も彼女に出してもらってる癖に・・他人様に意見できるようなご身分なのだろうか?
そんな甲斐性なしのために頑張るのもどうかしてる。主人公はさっさと台湾に帰ってやり直した方が建設的だと思ったけど。
2019年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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“重い”という英単語を全て煮染めたような大変重厚な内容である。それはヘビーであり、シリアスであり、シビアである。移民の問題、格差社会、性差別、搾取、略奪、タコ部屋、底辺、およそ、この地球のありとあらゆる苦しみ苦みを抽出したような、この世に神も仏もない、でもあるとすればそれは生まれ育った母国、土地なのかもしれないという結びに落とすテーマであろうか。残念ながら未読だが、劇中に提示される重要なプロップであるミラン・クンデラ著『存在の耐えられない軽さ』がこの作品のキモなのであろう。粗筋等を調べると、やはり『母国を捨てる』ことでの様々な心の有り様を表現しているようで、かなりの難書らしいが、今作を紐解く上で大変大事なのだと感じる。
映像自体は昔の邦画のようなザラついた印象を持った。イギリスなのだが、画面全体が灰色がかった色彩設計を覚える。勿論、ロンドンは曇りが多いというのは周知だが、それにしても屋内の映像までグレーの印象を抱くのは、今作品を表わしている特徴かと思う。冒頭から主人公が水辺の草原で、背丈以上の草をかき分けながら何かを探すシーンからスタートする。これは後ろの方で判明するのだが夢の中、つまり今の現状の抽象表現ということである。若者の就職難が壊滅的状況に陥ってる状況で、ましてや他国、それもアジア人である台湾出身の主人公が職などありつける筈もなく、その人種差別がベースでの、一軒家の売春宿を紹介され受付兼小間使いの仕事を始める。今まで表の世界しか観ていなかった主人公が、ここで始めてイギリスの裏の顔を体験することになる。宿主である業突くババァ、ベテラン姉さん、若いノー天気な娘という、或る意味粒立ったキャラクターに加え、ババァのツバメや、裏の世界の顔役等々がそれぞれ個性の濃さを発揮しながら物語をブン回す。思い出すのが日本のドラマ『北の国から』。あの世界観が妙に懐かしく、そして痛い程心のキツいところを刺してくる感覚に陥るのは共通なのだ。そういえばお金を盗むのも同じような展開があったような。夢破れて異国で命が尽きる人もいる、そして運良く母国に帰れる人もいる。そんな人々の苦み走った運命を重厚に見せてくれる今作品は、今の世界の脆弱さ、そして力強さの両方を表現されいた良作である。「ミミズは長いこと外にいると死んじゃう」。なんて悲しい台詞なのだろう…。
2019年11月3日
Androidアプリから投稿
カードは止められ仕事も見つからずという状況の台湾人女性が、口利きされた場所へ行ってみると買春宿で仕事を断るも、同棲中の彼氏も失職したことから嫌悪感を抱きつつも彼氏には内緒で裏方仕事に就くストーリー。
家族の為、生活の為、金の為に働く娼婦達と接し、その世界をみることで、自身は体を売らないまでも慣れて良くも悪くも変わっていく主人公が、生々しく感じ自分に素直に見える。
彼女のその生活の終焉は、最悪な結末や先行きのことや故郷のこと等、偶々様々な出来事が重なったそのタイミングだけが切っ掛けにも感じるけれど、間違いなく一皮剥けていて希望を感じた。