ワイルドライフのレビュー・感想・評価
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ポール・ダノの秀逸な脚本とキャリー・マリガンの演技に魅了される。
切ない映画である。父、ジェリーがゴルフコーチの職を失った事がきっかけで家族の絆に不協和音が生じる過程が観ていて辛い。
その状況を見守るしか術のない息子、ジョンの悲しげな眼差しも辛い。(この少年、ポール・ダノに似ていると思ったのは私だけかな?)
しかし、ポール・ダノ監督はストーリーの中に幾つかの伏線を忍ばせ、この家族の未来に微かな希望を感じさせる素晴らしいラストシーンに繋げている。
見事である。
パートナーのゾーイ・カザン(「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」での可愛らしい笑顔が印象的な女性だったなあ)の存在も大きかったのではないだろうか。
初監督・脚本作がこのレベル。
ポール・ダノの今後の監督作品が実に楽しみである。
家族が山火事 くすぶった炎は冬の雪がしずめてくれる
子どもが育つ環境は大切。そして子ども自身の資質や力も大切だと思わせてくれる作品でした。
父親は仕事の続かず他罰的、生活よりプライドを守るために低賃金の山火事消火活動へ。
夫がいなくなると途端に、温もりを求めて女になる母親。
これだけ揃えば、非行へ走るのがありがちなストーリーかと思うが、そうならない子どもの強さはどこから来たのだろう?という疑問が出てきます。
今までの生活は、台詞の断片から推測すると、父親は仕事をよく変えているけれど、全く無職にはならない程度には安定しているし、子どもへの愛情もある。母親は父親が無職の期間には支えてきたのでしょう、近くにいる限り。自分で働く力もあり、短期間であれば大丈夫。
そうやって多少の綱渡りはありながらも、基本的な信頼感は育まれてきた子だったのだと思えます。だからこそ、ラグビーは苦手だし友人ができないことも親に言えたんでしょうね。知的能力は勉強を見てもらっていればかなり優秀なようです。
この家族の悲劇は、親は二人で1.5人分の働きはできるけれど、1人になるとどうしても1に満たない決定的な弱さがあり、それが離ればなれになることで露見したんじゃないかと感じます。
親はバカでも子は育つってか?
キャリー・マリガン演じる母親役は演技力のある女優なら皆やりたがるだろう。並の女優ならバカ母にしか見えないだろうから。その点、キャリー・マリガンの演技は説得力のあるものであった。
壊れてしまった家族三人のポートレート
何かと縁があるポール・ダノ。ウィキペディアで確認したら、すでに9本の出演作を観ていた。そんな彼の初監督作ということで、興味津々で臨んだ。
舞台は1960年のモンタナ。これは家族の崩壊の物語だった。プライドの高い父親の失業、お金の問題、母親の不倫、両親のいや〜な雰囲気の喧嘩などを、主人公の少年は嫌というほど見ることになる。
両親を演じたキャリー・マリガンとジェイク・ギレンホールの演技が光る。彼らの見せる微かな狂気が恐ろしく、少年の悲劇を際立たせた。
個人的にはよく知る空気だけに観るに辛かったが、作品としてはよくできていると思う。ダノの監督処女作としては及第点だろう。
唯一無二の色合いを感じる。
自身の人生を見出せない男…
自身の人生を“家庭”に求めたその妻。
ジェイク・ギレンホール、キャリー・マリガン、この二人の名優が演じるポール・ダノの世界は、初監督でありながら唯一無二の色合いを感じる、映画らしい良い作品。
息子の求めていたものは
旦那の転職や、それによる引っ越し、解雇されても仕事がない(プライドのせい?)
育児に専念するはずの妻も職を探し、息子も転校先で馴染めず家族が崩壊していく
それぞれが人生の壁にぶち当たり、それぞれが乗り越えてゆく
最後の写真撮影の時、母が言った「お父さんと撮ったら」に対して言った息子の言葉「家族で撮りたいんだ」が染みた
親である前に人間だった
父親も母親も、親である前にどうしようもなく人間であった、という話。
ポール・ダノの初監督作は、最初はとても平穏な感じの家族で始まる。しかし父親が失業して、その結果様々なほころびが見え歯車が狂い始める。
プライドと承認欲求が高い父親ジェイク・ギレンホールは山火事を消しに家族を置いて去り、しっかりしてそうだった母親キャリー・マリガンがどんどん狂う...というか崩れていく。キャリー・マリガンの壊れっぷりが絶妙で生々しい。最早息子に感情を隠すことができなくなった、抑制の効かない母親。
大変なのは息子である。いつも何か言いたげな目をしながら結局何もかも飲み込む息子。結局、大人になりきれない両親に代わって彼が大人になる。
「僕ら家族はどうなるの?」「分からない」に全てが集約されている。夫婦は所詮他人の同士、結局繋ぎ目を維持し続けなければ簡単にバラバラになるものなのだ。しかし息子には父と母だ。どちらも投げ捨てることができないあの表情と台詞が悲しい。
しかし、ラストが予想外に穏やかというか、未来が仄かに明るく見えて、ああ、こういう落とし所もあるのかと思った。あのまま切断してもよかったけれど、救いはあった。
物語と登場人物の緊迫感、物語に無駄や弛緩がなく、非常に映画的な映画でした。初監督作とは思えぬ出来。
ジェイク・ギレンホールやっぱりヒゲがあるとないとじゃ全然違うな...。
美しく安定した映像と、そのストーリー
アメリカの自然と直線的な人工物がうまく解け合っている情景が美しく捉えられていて、それだけでもいい映画だと思った。
景色の美しさと対比をなす内容で、うまい具合の仕掛けだなと感心したけれど、感情はそれほど揺さぶられなかった。なぜだか、これはアメリカの事なんだと引いた目でしか見ることができなかった。
それでも、ラストは色々と考えさせられるところもあったし、じんわりと笑えた。あの素晴らしいショットを作り出すために、かなりの時間を要してしまうのが映画の弱みであり、同時に魅力なのだと実感した。
ジョーがかわいそう
父親も母親も息子のことをもう少し考えないと。
14歳でいろいろな経験をさせられたジョーがとてもかわいそうに感じた。でも一応最後は少しいい方向に進んだのかな?
父も母も大人になりきれてなかったんだね。
でもワイルドライフってなんのことを言っているんだろう。
やるせなさ、それでも皆 前を向く
14歳の僕は、両親との暮らしをそれなりに幸せだと思っていたのに、ちょっとしたことから、父と母がすれ違っていき…という話。
舞台は、1960年、俺が生まれた年のアメリカ。
父のプライドがもう少し低ければ、母がもう少しだけ二人の愛に自信があれば、もう少しだけ景気がよければ、とつい思わせる小さな小さな落とし穴に落ちてしまう家族。
それでもこの映画が好評を博しているのは、それでも前を向いて歩いて行こうというラストシーンのメッセージが伝わってくるからだろう。
「写真はね、幸せな人たちを写すものなんだよ」
いい映画でした。
ただ、心がゆったりとしている日に観ることをお勧めします。焦っている日にはダメだよ。
楽曲を提供しているヨハンヨハンソン(2018年2月没)に捧げられていました。
(博士と彼女のセオリーも彼の曲だったんだ…)
追記
なるほど。ゴルファーを目指している父親が勧めるアメフトの道をやめて、静かに写真館でバイトするというのも、彼が自分を確立していく重要な過程だったのか。
少年が自立を始める物語として秀逸! 一歩一歩、ゆっくり進むのがよい。
賢い息子に甘えていた父と母…
大好きな父と母。でも、もう元には戻ることはない。それを悟っている息子・ジョーはただ静かに二人の姿を脳裏に焼き付けるように感じました。ラストは涙を堪えることはできませんでした。ラストシーンの言葉のあとに「3人一緒だった事を忘れないように…。」と心の中でジョーが呟いた気がします。
60年代のアメリカと、最後の写真
アメリカの60年代は、公民権運動や女性解放運動が盛んになって、世の中が大きく変わろうしていた時代だ。
そんな時代のうねりのなか、アメリカの小さな家族の崩壊を通じて、アメリカの価値観が変わる様を比喩的に描いた物語だ。
ジェリーが鎮火作業に身を投じる山火事は、変化しつつある時代の不穏な空気をなぞらえたのだろう。
また、ジャネットが山火事に嫌悪感を示しながらも、その後不倫をしてしまうが、自立して生きて行く道を模索し始めたことも女性解放運動に身を投じるようで同様だ。
今のアメリカは、逆に内向きに不穏な空気が広がりつつあり、この映画が作られるきっかけにもなったのだろうか。
映画のタイトルも、それを表しているようにも感じる。
時代は振り子のように振れるのかもしれない。
ストーリーは、どこにでもいそうなアメリカの小さな家族が、そうした時代の大きな変化の中で、少しずつ崩壊していく様を描いている。
そして、これはアメリカの、それまでの中心的な構成要素であった白人の家族、つまり、従来のアメリカの価値観が徐々に崩壊していく様を象徴的に表しているように思う。
秀逸なのは、ジョーの視点だ。
大人の身勝手な理由や、立ち振る舞い、ルールを独りよがりで解釈したり、思い付きで行動するところなど、翻弄されるのは、実は、特定の価値観から離れられず、変わることの出来ない人達だということを上手く観察するような目で見つめている。
時代は違えど、或いは、時代が変化しようがしまいが、似たような人(大人)は、洋の東西を問わず、本当にたくさんいて、時代の変化に対して、人には何か変わらない滑稽とも思える本質があるような気もして、皮肉たっぷりのようにも感じる。
ジョーが最後に撮った写真の意味は何なのだろうか。
各々が自らの生きる道を見つけたという、人生の岐路の意味で撮ったのだろうか。
また、家族として再生するという期待があったのだろうか。
三人はどんな表情をしたのだろうか。
観る側の想像力をかきたてるが、やはり、崩れ行く価値観の中で、別々の道を歩むことを示唆しているように感じる。
そして、表情は案外晴れ晴れしていたのではないか。
また、言えることは、三人とも力強く生きて行くだろうということだ。
それが、これまでのアメリカの歴史だからだ。
追記: キャリー・マリガンと、ジェイク・ギンレイホールは、ホントにさすが!映画を重くしすぎず、しかし、深みを持たせてるように思う
ジョーにモンタナでアメフトですか。
1960年代、アイダホからモンタナ州グレートフォールズに越してきた夫婦と14歳の息子の仲の良い3人家族がすれ違い壊れていく話。
ゴルフ場に勤めるレッスンプロの旦那が解雇され思慮にふける中、生活の為にと嫁は仕事を見つけてくるも、突如旦那が初雪が降るまで森林火災消火の仕事に行くと言い始めるストーリー。
旦那の行いは悪いことではないけれど、どこからの切っ掛けでその思いに至ったかは語らず、突然身勝手な人間に豹変した様にもみえる。
嫁は元々人の話を聞き入れない感じがあるところからの周りを見ずに猪突猛進。
間で困ったジョー14歳が一番大人っていうね。
何だかすれ違いの切っ掛けや変遷や言い訳が本当にありそうな感じで笑いごとじゃない。
しかしながらそれ以上に大きなこともないしドロドロ感もそんなになくて面白味に欠ける。つまらなくはないけどね。
エピローグも関係性が中途半端だし。
ありがちな他人事で「色々大変だね」という感情程度で終わってしまった。
ポールダノ!
これからが楽しみです!クリント・イーストウッドみたいになってくれるかな?可憐なキャリー・マリガンこんな汚れ役もできるようになってうれしいよ。ビジットのキュートな弟エドオクセンボールド君も垢抜けないいい役者になりそうです。大嫌いなコイツが出てるだけで見るのやめるか悩むくらいのジェイク・ギレンホールまで素晴らしかった。原作も良いんでしょうが、ポールダノすばらしいよ!
試写会にて
『スイス・アーミー・マン』で主役のハンクを務めた(あの死体じゃないほうねw)ポールダノの初監督作品。
脚本はポールの恋人のゾーイカザン。そして演技がピカイチのジェイクギレンホールに“ライアン・ゴズリング”主演の『ドライブ』での名シーン、エレベーターキスがたまらなかったキャリーマリガンが出演。
ジェイクは出演した作品が今年の6,7月に3作品も公開されるという
ジェイクファンにとってはたまらないシーズン。
さて作品ですが、何かを秘めた親子、夫婦の関係が静かに進んでいく。
そんな中、『ドライブ』で可愛さが先行していたキャリーマリガンが一皮も二皮も剥けた演技、表現力を魅せてくれます。
時に老けた?と思わせるほどの表情は素晴らしい。
(その後の表情で老けたと思ったのは間違いとわかりました)
そして息子役のエドオクセンボールドくんがジェイクとキャリーの複雑になっていく両親の間で、時に弱々しく、時に強さを見せてくれ、苦悩と成長を上手く演じていく。
作品の内容は決して派手さはありません。
むしろ『地味』という表現の方が合ってるのかもしれません。
けれども舞台となるモンタナという土地柄を考えると地味で正解なんだと。
秀逸なのはポスターの構図とラストの構図の対比。
これはさすがに素晴らしいかった。
これこそがこの作品の深みだったと思います。
タイトルなし
大人になりきれてない??
ただの無責任とさえ思える
父ジェリーを#ジェイクギレンホール
演じた彼自身までも嫌いになりそうだった💦
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母親役は#キャリーマリガン
よい妻よい母
でもやっぱり母も女なんです
生きていかなくてはならない
.
ただ…息子にとっては
あの母の姿は決して見たくないだろうな😰
14才の少年
両親を想う優しさ悲しさ
彼の静かな佇まいが余計に辛くなる
そんなに早く大人にならなくてもいいのに😖
.
#ポールダノ 初監督作品
モンタナ州の田舎町一家族の出来事
.
105分の映像に家族の葛藤が凝縮
観賞後のモヤモヤ・イライラが
一晩明け思い返して解消😅
家族について自分について
考えさせられました
観てよかった
静かなのにドロドロの修羅場満載。
結構ドロドロの修羅場満載だけど、こんなサイレント映画なかなかない。
家族の崩壊を、静かに、静かに、描いているところが逆に不気味…。
息子の目で見る、夫婦の姿がリアルすぎてとても辛かった。
夫婦生活が壊れるきっかけなんて、些細な事。
何が引き金になるかわからないから怖い。
山火事を食い止めるために、遠い山に出かけて行ってしまった夫。
夫が家からいなくなる悲しみに耐えられずに浮気した妻。
どちらも勝手なのは分かるし、多分妻の浮気の方を非難したくなる人が多いのかもしれないけど…。
女の私から見るに、妻の気持ちちょっと分かってしまった気がする。
いつもいつも、家族の為、夫の為に自分を犠牲にして、笑顔で優しく接してきたのに。
夫がリストラにあっても、励まして優しい言葉をかけてあげたのに…。
夫はそんな私の気持ちも知らずに、勝手に遠い山へ行ってしまった。
これは、まさに裏切りの行為と思ったのではないかな?
だから許せなかったのかもしれない。
私を置いて、出て行った夫のことなんてもう愛せない。
他の男と仲良くやって、自分の人生新しくスタートする!
そんな決意の表れが、妻の乱れた生活の結果なのではないかな?
流石にあんな母親見たら、息子だって誰だって困惑すると思う。
仲の良かった家族をずっと見てきただけに、息子の耐えられない気持ちもすごくよく分かるし辛いけど、一度壊れた歯車は二度と元には戻らない。
誰が悪いとか、何が行けなかったとか、後から後から色々考えたくなるけど、決定打がないから難しい。
徐々に積もり積もったものが、結果的にこのタイミングだったのかもしれないし…。
やっぱり夫婦生活って、他人同士の共存だからね。
最後までお互い添い遂げられる夫婦って本当に凄いことなんだと、今の時代だから改めて思います。
この時代の設定は1960年だけど、今の人が見ても全然人ごととは思えない。
むしろ今の時代に合っている映画だと思いました。
この事件をきっかけに、息子が大人の階段を一気に駆け上がって行った感じか何とも複雑な心境…。
大人って子供が思っている以上に、大人になりきれてないものなんだって実感した映画でした。
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